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本編
ブルーな朝
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差し出された手を掴み、立ち上がる。
太陽は周りの景色を白っぽくしてしまうほど、照り輝いている。
そして君は……。
目が覚めた。
目覚まし時計がベルを鳴らし続けている。
朝食を食べて家を出た。いつもと変わらない毎日。唯一変わっているのは、隣をシワひとつない燕尾服を着た僕そっくりな男が歩いていることぐらいだ。
「おい、現実逃避するな。昨日までとは全く違う日常にもうなっているんだぞ。」
昨日、命名したアシスが僕に詰め寄ってくる。
「そりゃ分かってるよ。神様曰く、今週の金曜までに瑞希をデートに誘わねばならない。そして今日は水曜日だ。」
「分かってるじゃないか。じゃあ、学校に着いたら直ぐに誘え。」
ここで一つ疑問が浮かんだ。何故、今週の金曜日までなんだろう。その二日後の日曜日には二人でラーメンを食べに行く約束をしているのに……。
「確かにそうだな。」
もう考えていることを読まれてことにはツッコまない。
「でも、神様が言うんだ。何か意味があるんだろう。」
何か意味がか……。それにしても、この天啓はどんな意味があるんだろう。
「いいか。天啓というのはふたつのタイプがある。一つはチャンスがあるから掴め、という、言わば神から背中を押されてる様なやつだ。もう一つは、最悪なことが起きるから気をつけろよ、という神から警告だ。まぁ、従い続ける限り悪いようにはならないから。」
あっそ。
そんなこんなで学校に着いた。教室に入り、席につく。そして顔を伏せて、寝たふりをした。
「お前、学校ではボッチなんだよね。」
アシスがしつこく言ってくる。
そんな事はわかりきっている。中学校、いや小学校からそうだった。だから……。
「だから、幼馴染の菊池瑞希は唯一の気が置けない相手で、君にとって大切な人なんだろ。」
そうだよ。それに……。
「君の初恋の人でもあるのか。」
その言葉を発せられた瞬間、思わすアシスのことを睨みつけてしまった。その事に気づいてスッとまた顔を伏せる。
「悪かったよ。でもそうなんだろ?自分が瑞希のことを男の幼馴染として見れていないことに。そのことに自分でも気づいているんだろ?」
そんなの今更誰かに言われなくてもわかっている。
そうこうしている時、瑞希が話しかけてきた。どことなく眠そうな様子で目を擦っている。
「ねぇ、また寝たふり?」と聞いてくる。
「おい、バレてんぞ、京。」とアシスは煽ったような口調で小突いてきた。
「おいっ、何やってんだよ!お前、デートに誘ってないじゃないか。」
帰り道、もはや見慣れた燕尾服を着たアシスが文句を言っている。
「文句じゃなくて警告だよ。」
結局のところ僕は瑞希を誘えなかった。
「誘えなかったんじゃない、誘おうとしなかったんだろ。」
君にはすべてがお見通しだな。
「当たり前だ、で、これからどうすんの?」
どうすっかなぁ。どうすれば、いい案が空の上から落ちて来んだろう。
「自分で考えろよ。」
太陽は周りの景色を白っぽくしてしまうほど、照り輝いている。
そして君は……。
目が覚めた。
目覚まし時計がベルを鳴らし続けている。
朝食を食べて家を出た。いつもと変わらない毎日。唯一変わっているのは、隣をシワひとつない燕尾服を着た僕そっくりな男が歩いていることぐらいだ。
「おい、現実逃避するな。昨日までとは全く違う日常にもうなっているんだぞ。」
昨日、命名したアシスが僕に詰め寄ってくる。
「そりゃ分かってるよ。神様曰く、今週の金曜までに瑞希をデートに誘わねばならない。そして今日は水曜日だ。」
「分かってるじゃないか。じゃあ、学校に着いたら直ぐに誘え。」
ここで一つ疑問が浮かんだ。何故、今週の金曜日までなんだろう。その二日後の日曜日には二人でラーメンを食べに行く約束をしているのに……。
「確かにそうだな。」
もう考えていることを読まれてことにはツッコまない。
「でも、神様が言うんだ。何か意味があるんだろう。」
何か意味がか……。それにしても、この天啓はどんな意味があるんだろう。
「いいか。天啓というのはふたつのタイプがある。一つはチャンスがあるから掴め、という、言わば神から背中を押されてる様なやつだ。もう一つは、最悪なことが起きるから気をつけろよ、という神から警告だ。まぁ、従い続ける限り悪いようにはならないから。」
あっそ。
そんなこんなで学校に着いた。教室に入り、席につく。そして顔を伏せて、寝たふりをした。
「お前、学校ではボッチなんだよね。」
アシスがしつこく言ってくる。
そんな事はわかりきっている。中学校、いや小学校からそうだった。だから……。
「だから、幼馴染の菊池瑞希は唯一の気が置けない相手で、君にとって大切な人なんだろ。」
そうだよ。それに……。
「君の初恋の人でもあるのか。」
その言葉を発せられた瞬間、思わすアシスのことを睨みつけてしまった。その事に気づいてスッとまた顔を伏せる。
「悪かったよ。でもそうなんだろ?自分が瑞希のことを男の幼馴染として見れていないことに。そのことに自分でも気づいているんだろ?」
そんなの今更誰かに言われなくてもわかっている。
そうこうしている時、瑞希が話しかけてきた。どことなく眠そうな様子で目を擦っている。
「ねぇ、また寝たふり?」と聞いてくる。
「おい、バレてんぞ、京。」とアシスは煽ったような口調で小突いてきた。
「おいっ、何やってんだよ!お前、デートに誘ってないじゃないか。」
帰り道、もはや見慣れた燕尾服を着たアシスが文句を言っている。
「文句じゃなくて警告だよ。」
結局のところ僕は瑞希を誘えなかった。
「誘えなかったんじゃない、誘おうとしなかったんだろ。」
君にはすべてがお見通しだな。
「当たり前だ、で、これからどうすんの?」
どうすっかなぁ。どうすれば、いい案が空の上から落ちて来んだろう。
「自分で考えろよ。」
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