壁があるこの世界で……。

学園編

仕事 二

「所で学会って何の学会なんです？」

　私とクヌーは下のベッドの上で話していた。

　ベッドが硬いのはある意味、ペンで書くのに丁度良かった。

「ルイス・ミラデナス記念学会ってヤツなんだけどね。まぁ、この資料を見てよ。」

　クヌーに手渡した資料にはある文書のコピーが写されていた。

「何です、これ？見たことのない文字なんですけど……。」

「見たことがなくて当然さ。この世界の何処にも存在していない文字なんだから。」

　クヌーは顔を上げる。意味不明な顔をしていた。

「フォルク帝国建国史の中でルイス・ミラデナスが十年間、隠れながら研究、発明していた事は知っているだろ？」

「えぇ、蒸気機関を発明したのもその十年の間ですよね。」

「そう、そして、その研究結果が記されたレポートをエラ皇帝に手渡したんだが、その中にこの文書が入ってたんだ。」

　クヌーが紙に目を落とす。

「つまり……。」

「そう、あのルイスが発明したものはまだあったんだ。そして、コレがその論文、て言うよりレポートかな。」

「確かに論文なら誰でも読める字で書きますよね。」

「しかも、驚くのはまだ早い。コレを見ろ！」

　手に持っている紙を見るとクヌーはまた驚いたような目をした。

「なんともう一つあるんです！その読めないレポートは！」

　クヌーがもう一枚の紙にも目を落とす。

「どっち同じ言葉で書かれているみたいですね。」

「そして、コレを見なさい！」

　ベッドに置いた紙には一つのとても大きい機械の写真が印刷されている。

「これは何です？」

「コレはその十年間住んだ屋敷に残っていた装置、この装置がその文書の内のどちらかの一つの発明品と言われている！そして、この謎について討論するために呼ばれたんです。」