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学園編
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我々が所属している機械工学科フレデリク研究室は主に発電機やモーターの研究を行っている。
と言っても期待度はかなり低く、予算も何も足りていない。
その期待度を象徴するように我々の研究室は七階建ての第二棟の七階の端にひっそりとある。
俺たち三人はもうボロボロになった外階段を登っていく。中の階段は少し前に穴が空き、建築科の研究室が修繕工事をしている。
そして、五階に辿り着いて、研究室の中に入る。中には人影があった。
「おはようございます。フレデリク・タイラー教授、クヌー・スティラーさん。」
中に居たのはこの研究室の室長のフレデリク・タイラー教授とその助手のクヌー・スティラーさんだった。
「あぁ、おはよう。入学式に行っていたのか?」
「えぇ」
教授は「そうか」とだけ答え、奥の席に着いた。
「ところで、これの試乗はもうしたのか?」
教授は部屋の真ん中にある、機械を指差した。
そこには、我々が開発した原動機付き二輪車が天井からかけてある。
「いえ、まだです。」
「やっと完成したんだ。誰か乗ってみてよ。」
そう言われて、俺たち三人はその二輪車を持って外に出た。
「それじゃあ、いくぞ!最初はグージャンケンポン!ちくしょう!」
「それじゃあローゼンが乗れ!」
「ちくしょう嫌だァァァ。」
教授がそんなに試走が嫌か、と小声で言った。
勿論、嫌である。何せ、これに積んでいる原動機は今までの実験で10回は暴走した。
あの時はこの原動機が天井から吊るされていたから良かったものの、人が乗ってみている時に暴走されたらたまったもんじゃない。
それでも俺は強制的に二輪車に乗らされ、渋々、原動機のスイッチを入れ、クラッチを握り、キックスターターを蹴った。
モーターは勢いよく排ガスを吐き出す。白い排煙がまるで畳んだ翼のように俺の周りを囲んだ。
そして、教授とクヌーさん、アムレットとギルデが離れたのを確認した後、俺はクラッチを握る手を緩め、アクセルを回した。
前にゆっくりと進みながら俺は段々とクラッチを握る手を緩め、それに合わせてアクセルを回す。
やっと、二輪車は前に走り出した。
周りを囲んでいた白い排煙は後ろに流れていく。
それはまるで鳥が翼を広げ飛ぼうとしている様だった。
後ろの方から「おぉ」という声が聞こえてくる。
俺はギアを入れ替え、スピードを上げていく。
俺の髪は後ろに流れ、服も、靴も、何もかもが後ろに流れていく。
もう世界中の誰もが俺に追いつけないような気がした。
今、俺が一番速い気がした。
突然原動機の音が変わった。原動機は狂ったような高音を出している。
その刹那に二輪車のスピードは一気に上がった。
さっき迄の二倍も三倍も速い。
一気にアムレットとギルデの姿が見えなくなる。
そして、俺はそのまま森に突っ込む。
俺はギアを最遅に切り替えた後、必死にクラッチを握り、フロントブレーキとリアブレーキを効かせてもスピードは落ちない。
森の木々が俺の体にあたっていく。
俺は急いで原動機のスイッチを切る。
その時、森の中に煉瓦でできたトンネルがあるのを見つけた。
そのまま俺はそのトンネルの中に突っ込んでいった。
と言っても期待度はかなり低く、予算も何も足りていない。
その期待度を象徴するように我々の研究室は七階建ての第二棟の七階の端にひっそりとある。
俺たち三人はもうボロボロになった外階段を登っていく。中の階段は少し前に穴が空き、建築科の研究室が修繕工事をしている。
そして、五階に辿り着いて、研究室の中に入る。中には人影があった。
「おはようございます。フレデリク・タイラー教授、クヌー・スティラーさん。」
中に居たのはこの研究室の室長のフレデリク・タイラー教授とその助手のクヌー・スティラーさんだった。
「あぁ、おはよう。入学式に行っていたのか?」
「えぇ」
教授は「そうか」とだけ答え、奥の席に着いた。
「ところで、これの試乗はもうしたのか?」
教授は部屋の真ん中にある、機械を指差した。
そこには、我々が開発した原動機付き二輪車が天井からかけてある。
「いえ、まだです。」
「やっと完成したんだ。誰か乗ってみてよ。」
そう言われて、俺たち三人はその二輪車を持って外に出た。
「それじゃあ、いくぞ!最初はグージャンケンポン!ちくしょう!」
「それじゃあローゼンが乗れ!」
「ちくしょう嫌だァァァ。」
教授がそんなに試走が嫌か、と小声で言った。
勿論、嫌である。何せ、これに積んでいる原動機は今までの実験で10回は暴走した。
あの時はこの原動機が天井から吊るされていたから良かったものの、人が乗ってみている時に暴走されたらたまったもんじゃない。
それでも俺は強制的に二輪車に乗らされ、渋々、原動機のスイッチを入れ、クラッチを握り、キックスターターを蹴った。
モーターは勢いよく排ガスを吐き出す。白い排煙がまるで畳んだ翼のように俺の周りを囲んだ。
そして、教授とクヌーさん、アムレットとギルデが離れたのを確認した後、俺はクラッチを握る手を緩め、アクセルを回した。
前にゆっくりと進みながら俺は段々とクラッチを握る手を緩め、それに合わせてアクセルを回す。
やっと、二輪車は前に走り出した。
周りを囲んでいた白い排煙は後ろに流れていく。
それはまるで鳥が翼を広げ飛ぼうとしている様だった。
後ろの方から「おぉ」という声が聞こえてくる。
俺はギアを入れ替え、スピードを上げていく。
俺の髪は後ろに流れ、服も、靴も、何もかもが後ろに流れていく。
もう世界中の誰もが俺に追いつけないような気がした。
今、俺が一番速い気がした。
突然原動機の音が変わった。原動機は狂ったような高音を出している。
その刹那に二輪車のスピードは一気に上がった。
さっき迄の二倍も三倍も速い。
一気にアムレットとギルデの姿が見えなくなる。
そして、俺はそのまま森に突っ込む。
俺はギアを最遅に切り替えた後、必死にクラッチを握り、フロントブレーキとリアブレーキを効かせてもスピードは落ちない。
森の木々が俺の体にあたっていく。
俺は急いで原動機のスイッチを切る。
その時、森の中に煉瓦でできたトンネルがあるのを見つけた。
そのまま俺はそのトンネルの中に突っ込んでいった。
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