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青年期

結婚

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 朝、目が覚めると、自分の部屋のベッドの上にいた。

 頭が少しぼーっとしている。そして体が少し痛かった。

 そして、横を見ると、クリスが寝息を立てながら寝ていた。

 しかも、一糸纏わぬ姿で……。





「ねぇ、ルイス。朝ごはん、なぁに?」

 台所で、朝食を用意していると、食卓についているクリスがそう呼びかけてきた。

「今日はパンと、豆のスープ。」

 出来上がったスープを器によそって、食卓に出す。そして、クリスと向かい合うように席についた。

「なんか結婚しても全然変わらないね。」

 クリスがそうパンをかじりながら呟く。

 俺がクリスにプロポーズしてからもう一週間になる。

「確かに……。」

 実際、結婚しても大して変わってない。元々家族みたいに一緒に生活していたからだろうか。

 強いて変わったことと言うなれば。書店の店主が俺になった事と、クリスが俺の部屋で寝るようになった事と、あとは……。

「おはようございます、ルイスさん。」と、エラが部屋に入ってきた。寝起きだからか、目を擦っている。

「それと、クリスさん。朝からいちゃつかないでください。目障りです。」と、かなりきつい口調で言った。

 変わったことはエラがクリスに対してきつく当たるようになったことぐらいだろうか……。

 エラが席について、朝食を食べ始める。みんなが食べ終わると、俺は食器を片付け始めた。

 クリスは寝間着から着替えたあと、実家のパン屋に向かった。結婚したあともクリスは実家のパン屋で働いている。

 食器を片付け終えると、エラが着替えてきて戻ってきた。見れば、いつも着ている白いシャツではなく、花がらのツーピースを着ている。

「ルイスさん、その、似合ってますか。」

 やけにもじもじしながら、そう聞いてくる。

「あぁ、よく似合っているよ。」

 俺の言葉を聞くと、少し嬉しそうに微笑んだ。

「それにしても、もう店開けていいの?まだ休んでても大丈夫だけど……。店を開けるのはエラが完全に元気になってからでもいいし……。」

 両親がなくなってからまだ書店は開けてない。一応理由として店の前に貼ったポスターには諸事情と書いていたが、実際は両親の死のショックから立ち直れていなかったからである。

 特にエラはなかなか立ち直れなかった。

「えぇ、私がしっかりしないと、ルイスさんを守れなさそうなので。」

 俺は守ってもらう側なのかと、心のなかで少し笑ってしまった。こんなことが言えるのだからもう大丈夫なのかもしれない。

「わかった。店を開けてくるよ。」

 そう言って、鍵を開けてこようとした時、エラに服の裾を掴まれた。後ろを見るとエラがうつむいている。

「ルイスさん、私はあなたにとってどんな人ですか?自分の奴隷?守る妹?それとも気が置けない友達?もしくはただの居候?それとも……。」

 そこで、エラの言葉は止まった。ずっと、口を動かそうとしているが、うまく声にならない。

「それとも……。邪魔者ですか?」
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