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青年期

ペニシリン

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「カビたパンなんて何に使うんですか?」

 俺が様々な器具を用意していると、エラが不思議そうに聞いてきた。

「これから、あの病気の治療薬を作るんだよ。」

 エラはどことなくポカンとした。

「かびたパンなんかで治療薬なんて作れるんですか?」

 本当に不思議そうに聞いてきた。

「まぁ、なんでも試してみる以外に方法はないさ。」

 そう言って前に自分で作った白衣を着た。

 今から作るのはペニシリンだ。ペニシリンは世界で初めて作られた抗生物質だ。そして、そのペニシリンはパンなどに生えるアオカビから抽出することが出来る。

 まず最初にパンに生えている青いカビだけをナイフで丁寧に取っていった。

「本当は培養したもので作るけど今は一刻を争うため、このままで……。」

 その後、蒸留水の中に入れて、しばらくかき混ぜた。ペニシリンは水溶性のため、これでこの水の方に溶けていく。

 20分ほどかき混ぜた後、次には油をその中に注ぎ入れた。これでペニシリン以外の不純物と、ペニシリンとに分ける。

 上に浮いた油を捨てる。

「本当は活性炭があればいいんだけどな。」

 この後、炭を使ってイオン化したペニシリンを炭に吸着させる。

 普通、このような吸着剤として炭は普通の炭を700℃以上の高温で反応させた、活性炭を使うけど、この家にはそんな高温を出せる器具ない。

 仕方なく、普通の木炭をいれ、またかき混ぜる。しばらくかき混ぜた後、濾過して炭だけを取り出す。

「この後は確か……。」

 その取りだした炭に酢を加える。これにより炭に吸着した不純物は溶けだしてくるが、酸性物質のペニシリンは溶け出さない。

 この後、この炭をさらに濾過し、重曹を溶かした重曹水に入れる。こうすることによって重曹水の方にペニシリンが溶けだしてくる。

「よし、これで出来た。」

 こうしてできた液体を瓶の中に注ぎ込む。できた液体を瓶詰めにした後、エラの方に向いて、こう呟いた。

「これで、両親を救えるかもしれない。」
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