魔法なきこの世界で……。

幼少期

大人げない

　大の大人が喚き散らし、その息子がそれを抑えようとする。

　文章に起こすとなんとも滑稽な有様だが、その滑稽な事で俺の命は無くなる運命だった。

　今、領主代理人の家にて手足を縛られて拘束されている。そしてその様子を今の今まで喚き散らしていた領主がじっとみていた。その横にはその息子もいる。
　
　その時、扉が開いた。あの荷物持ちの少年が水を持って入ってくる。やはりふらふらだ。「お前は満足に水すら持ってこれないのか？」と、領主がその少年に凄んだ。その子は、泣きそうになりながら、部屋を出ていく。そんな様子を見て、酷いな、と考えた。

　そうしているうちにその情けない大人が口を開いた。

「ふん、全く混血の分際で、よくも私に触れたな。」

「お父様、この方が助けなければ、今貴方はここに居ないのですよ！」と即座にその息子が擁護してくれた。

　そんな中、俺自身は気が動転していたのだろうか。やはりコイツ馬鹿じゃないなーと考えていた。

「お父様、貴方様が不快な思いをしたことは分かりましたが、結果として何事も無く済んだのです。ですのでどうかこの方を許してあげてください。」
　
　自分の子供からそんなことを言われたら、ある程度は耳を貸すのだと思うのだが、「えぇい、うるさい！お前はどっか行ってろ。」と追い出してしまった。

　大人げねぇぇぇぇーーー！

　何だよこの情けなさすぎる大人は！

　そんなことを考えている時、その大人げなく情けないダメな大人がこう俺に告げた。

「貴様に決闘を申し付ける。期日は来週の休日だ。」

　30位になったいい歳こいた人間がついこの前10歳になった奴に喧嘩売ってんなよ。