魔法なきこの世界で……。

幼少期

この世界について

　「なぁ、なんでルイスの中身が俺だってわかったんだ？」
　
　母親たちが雑談している中、俺は彼女に聞いた。いや、本当に彼女といって良いのかわからない人に聞いた。
　
「だって、美人で可愛い幼なじみを持つのが夢だって、よく言っていたからだろ！」

　と、本当に全く俺の気持ちを察していない答えが帰ってきた。

　ちくしょー！心が男の俺好みの美少女って。ちくしょぉぉぉぉぉ！

　「それでさ、この世界についてどう思う？」

　と、未だに悔しがっておる俺に聞いてきた。気持ちを少し落ち着かせて、

「正確な年代などは分からないが、多分科学技術とかは10世紀ぐらいのレベルじゃないかな。本とか調べてみてもそうっぽいし。」と答えた。
　
　実際、家で売りに出されている本を確認したところ、ロングボウが主な武器になっていたり、銃や大砲がまだ開発されていないなどがわかった。これはまだ火薬が伝来していないことの何よりの証左である。火薬がヨーロッパに伝来したのは十字軍が持ち帰ったからだ。

　「なるほど、暗黒時代だな。」

　と麗しき美少女は冷静につぶやく。結構かわいいんだけどなぁ。こいつ。
　
　確かに、中世ヨーロッパは別名暗黒時代とも言われてる。これは戦乱や悪天候、ペストによって資料があまり残されていないことが理由なのだが……。

「なぁこの世界にペストって流行ると思うか？」

「どうだろ？でもこの世界ではやったら間違いなくこの世界の暗黒時代になるね。」

　そう彼女が告げた後、場の空気が凍ってしまった。