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第2章 勇者大戦
寂れた村から人間の町へ
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傭兵供を皆殺しにした俺は、ゼラが俺に寄り添って来た事でようやく落ち着く事が出来た。
こちらにいた傭兵達はほぼスケルトンナイトとなり、新たな俺の軍勢となった。
ゼラに任せていた200人はどうやらゼラの養分となったみたいだ。
ほぼ夜明けと同時に村に着くことが出来たが、村の門の前には不機嫌そうなアヤハと青崎がこちらを見ながら待っていた。
ゼラは俺の首の後ろの方に隠れて出てこようとはしない……どうやら怒られるのは俺1人になりそうだな。
「どうして1人で戦いに行ったんですか! あれ程無理をしないでって言ったじゃないですか! 何でそんなに簡単に忘れるんですか! 」
「ケイスケ、私も戦いたかった。どうしてゼラと2人だけで行ったの? 」
激しい口調で責め立てる青崎と、言葉少なめながらじっとこちらも見つめてくるアヤハ。
周りの村人達も苦笑しながらこちらを見ているが、そんな暇があるなら俺を助けろと言いたい。
「今回は村人達を起こしたくなかったからな。それにお前達もいい寝顔で寝ていたし……最近野営ばかりだから多少はぐっすりと眠らせてやりたかったんだよ」
俺の苦しい言い訳に、青崎は顔を赤らめ、アヤハは抱きついて来る。
「そ、そういう言い訳は卑怯だと思います」
「ケイスケは優しい。でも次は連れて行って欲しい」
女というものは難しい……
「一応ここの事はバレてはいないと思うが気を付けておけ。魔王達の配下が来る可能性もあるしな」
「ははは。そんな暇な魔王様はいないさ。俺らはここでひっそりと生きてひっそりと死んでいく……そんな生活に慣れてしまっているしな。お前達との交流は子供達にとって良い経験になっただろう。感謝する」
こんな場所にある村だ、何かあれば誰も知らないまま滅びてしまう……そんな宿命を受け入れている村人達を俺は少しだけ気にしてしまう。
「俺が国を作るときには呼ぶからそれまでしっかりと生き抜く事だ。お前達ぐらいならその程度簡単な事だろう? 」
俺の言葉にマクスは驚き、子供達は目を輝かせる。
「おれ、魔王様の部下になれるのか?」
「やったー美味しいものがいっぱい食べれる」
「魔王様ばんざーい」
喜ぶ子供達に目をやりながらマクスはおれの近くまで来て小さな声で聞いてくる。
「おい。そんな事言ってもいいのか? 俺達はそれなりに事情がある奴ばかりだぞ? 」
「そのぐらい何でもないさ。それより俺の事を本当に怖がらない子供達だ。これだけ度胸があれば何でも出来るさ」
俺の返答に、無言で手を出して来るマクス。
俺はその手をしっかりと握り、再会の約束としたのだった。
《魔王よ……お前は自分の国を作るつもりなのか? 》
人間もどきの町へ戻る途中にユニコーンが馬上の俺に話しかけて来る。
「人間もどきと俺はどうやら相容れないようだからな……亜人やその他の奴らの国が1つぐらいあってもいいんじゃないか? それとも既に存在するのか? 」
《いや……今では獣人やドワーフなどの亜人の国の国は全て滅んでいるな。確かに1つぐらいはいいかもしれない……それで私達のような幻獣も受け入れてくれるのか?》
俺が国の事を口にすると、ユニコーンが幻獣についても言及してきた。
「そうだな……話が通じて、いきなり攻撃されなければ俺は問題無いと考えているぞ? 」
《あれは!乙女達が魔王に襲われていると勘違いしただけだ。昔の事を掘り返すとは……魔王として器が小さいぞ! 》
『魔王に成り立てなんでな……答えはそれで良いか? 」
《あぁ……我々幻獣もかなりの数が狩られてしまったからな。魔王のお主が国を作るなら、ついてくる者も出て来るだろう……》
「だと良いな……」
俺とユニコーンの他愛もない会話……しかし、それを実現させるためにはまだまだ先は長そうだ。
「ここからは俺が幻術をかけてユニコーンとバイコーンを普通の馬に、アヤハ達も人間に見えるようにする。青崎もそろそろ人間に戻れ。トバルとゼラは青崎の使い魔とするから気をつけろよ? 」
町まであと少しという所で俺は仲間達と街に潜入する為、幻術で仲間達を偽装する事にする。
「ケイスケはどうするの?」
アヤハは心配そうにこちらを見るが俺は頭を撫でてやり、俺の潜入する方法を教える。
「俺はアヤハの影に入っておくよ。アヤハはまだ指名手配をされてないしな。そういう訳で青崎、お前がこの連れのリーダーだ。ボロを出さないように頑張れよ」
「何それ聞いてないんですけど ⁈ 」
「今言ったからな。それじゃ潜入作戦開始だ」
俺は青崎の文句を聞く前に、アヤハの影に潜り込む。
(ダークリープ)の亜種になる魔法だが、どうやら影の中でも音は聞こえるようだ。
ある程度、罵詈雑言を言ってた青崎も諦めたのかみんなを指示しながら町の方へと向かっている。
さぁ、青崎の人間相手の交渉を見せてもらうとしよう……
こちらにいた傭兵達はほぼスケルトンナイトとなり、新たな俺の軍勢となった。
ゼラに任せていた200人はどうやらゼラの養分となったみたいだ。
ほぼ夜明けと同時に村に着くことが出来たが、村の門の前には不機嫌そうなアヤハと青崎がこちらを見ながら待っていた。
ゼラは俺の首の後ろの方に隠れて出てこようとはしない……どうやら怒られるのは俺1人になりそうだな。
「どうして1人で戦いに行ったんですか! あれ程無理をしないでって言ったじゃないですか! 何でそんなに簡単に忘れるんですか! 」
「ケイスケ、私も戦いたかった。どうしてゼラと2人だけで行ったの? 」
激しい口調で責め立てる青崎と、言葉少なめながらじっとこちらも見つめてくるアヤハ。
周りの村人達も苦笑しながらこちらを見ているが、そんな暇があるなら俺を助けろと言いたい。
「今回は村人達を起こしたくなかったからな。それにお前達もいい寝顔で寝ていたし……最近野営ばかりだから多少はぐっすりと眠らせてやりたかったんだよ」
俺の苦しい言い訳に、青崎は顔を赤らめ、アヤハは抱きついて来る。
「そ、そういう言い訳は卑怯だと思います」
「ケイスケは優しい。でも次は連れて行って欲しい」
女というものは難しい……
「一応ここの事はバレてはいないと思うが気を付けておけ。魔王達の配下が来る可能性もあるしな」
「ははは。そんな暇な魔王様はいないさ。俺らはここでひっそりと生きてひっそりと死んでいく……そんな生活に慣れてしまっているしな。お前達との交流は子供達にとって良い経験になっただろう。感謝する」
こんな場所にある村だ、何かあれば誰も知らないまま滅びてしまう……そんな宿命を受け入れている村人達を俺は少しだけ気にしてしまう。
「俺が国を作るときには呼ぶからそれまでしっかりと生き抜く事だ。お前達ぐらいならその程度簡単な事だろう? 」
俺の言葉にマクスは驚き、子供達は目を輝かせる。
「おれ、魔王様の部下になれるのか?」
「やったー美味しいものがいっぱい食べれる」
「魔王様ばんざーい」
喜ぶ子供達に目をやりながらマクスはおれの近くまで来て小さな声で聞いてくる。
「おい。そんな事言ってもいいのか? 俺達はそれなりに事情がある奴ばかりだぞ? 」
「そのぐらい何でもないさ。それより俺の事を本当に怖がらない子供達だ。これだけ度胸があれば何でも出来るさ」
俺の返答に、無言で手を出して来るマクス。
俺はその手をしっかりと握り、再会の約束としたのだった。
《魔王よ……お前は自分の国を作るつもりなのか? 》
人間もどきの町へ戻る途中にユニコーンが馬上の俺に話しかけて来る。
「人間もどきと俺はどうやら相容れないようだからな……亜人やその他の奴らの国が1つぐらいあってもいいんじゃないか? それとも既に存在するのか? 」
《いや……今では獣人やドワーフなどの亜人の国の国は全て滅んでいるな。確かに1つぐらいはいいかもしれない……それで私達のような幻獣も受け入れてくれるのか?》
俺が国の事を口にすると、ユニコーンが幻獣についても言及してきた。
「そうだな……話が通じて、いきなり攻撃されなければ俺は問題無いと考えているぞ? 」
《あれは!乙女達が魔王に襲われていると勘違いしただけだ。昔の事を掘り返すとは……魔王として器が小さいぞ! 》
『魔王に成り立てなんでな……答えはそれで良いか? 」
《あぁ……我々幻獣もかなりの数が狩られてしまったからな。魔王のお主が国を作るなら、ついてくる者も出て来るだろう……》
「だと良いな……」
俺とユニコーンの他愛もない会話……しかし、それを実現させるためにはまだまだ先は長そうだ。
「ここからは俺が幻術をかけてユニコーンとバイコーンを普通の馬に、アヤハ達も人間に見えるようにする。青崎もそろそろ人間に戻れ。トバルとゼラは青崎の使い魔とするから気をつけろよ? 」
町まであと少しという所で俺は仲間達と街に潜入する為、幻術で仲間達を偽装する事にする。
「ケイスケはどうするの?」
アヤハは心配そうにこちらを見るが俺は頭を撫でてやり、俺の潜入する方法を教える。
「俺はアヤハの影に入っておくよ。アヤハはまだ指名手配をされてないしな。そういう訳で青崎、お前がこの連れのリーダーだ。ボロを出さないように頑張れよ」
「何それ聞いてないんですけど ⁈ 」
「今言ったからな。それじゃ潜入作戦開始だ」
俺は青崎の文句を聞く前に、アヤハの影に潜り込む。
(ダークリープ)の亜種になる魔法だが、どうやら影の中でも音は聞こえるようだ。
ある程度、罵詈雑言を言ってた青崎も諦めたのかみんなを指示しながら町の方へと向かっている。
さぁ、青崎の人間相手の交渉を見せてもらうとしよう……
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