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第2章 勇者大戦

歓迎と侵略と蹂躙と…

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 アヤハの倒した魔物やゼラの格納していた魔物の処理された肉によって、村は大きな賑わいをみせる。

「凄いなあんたら。こんな魔物の肉の量見たことがないぜ! 」

「このお肉、ちゃんと処理されてて素晴らしいわ。これならすぐに調理できそう! 」

「うめー!この肉食ったことがない旨さだ! 」

 既にあちこちで焼かれている肉の音と脂の匂いが村人達を魅了し、ゼラの必死な肉捌きによってあちこちで料理も作られている。



「悪いな。こんなに食糧を色々出してもらって……」

「かまわん。俺達はよく食べるし、その周りで物欲しそうな顔をされると飯が不味くなるしな」

 俺の言葉に苦笑するトゥガの父親……名前はマクスと言うそうだ。

「それにしても、三大魔王に目を付けられるとはこれから大変そうだな」

 子供達の肉を争うように食べる所を見ていると、マクスからそんな話しを振られてくる。

「まぁ…色々やったし仕方がない。それよりもいいのか? そんな男を村に入れたなんて人間どもの噂になったらこの村自体が危険じゃないのか? 」

 どうやら自作の酒を飲んでいるマクスに尋ねてみるがマクスは笑いながら気にしてない様子だ。

「ここまで来るのにどれだけ危険か知ってるだろ? あいつらはそこまでして俺達をどうにかしようなんて考えないさ……ここの奴らはみな捨てられた奴ばかりだしな」

 マクスの耳は片方が半分ほど欠けており、体にもいくつもの刀傷が見た目で分かるほどついている。

 それでも今は村人達と陽気に笑いながら酒を飲んでいる。

 そんな世間から見放された村の人々はそれでも楽しそうにこの宴を楽しんでいたのだった。



「ゼラ、起きているか? 」

 大量の酒や食べ物で行われた宴会は、村にいる人々と、俺を除く仲間達を心地良い眠りへと誘っているようだ。

 しかし、俺の魔力感知に大人数の忌々しい人間もどきの魔力が反応した瞬間、俺の心に暴れるような炎が燃え上がり、俺の僅かな休憩が終わりを告げた事を教えてくれる。

 どうやらゼラも起きていたようで、俺の言葉に反応し、俺の肩までやってくる。

「どうやら俺達だけが起きているようだ。あまり子供達に見せたくない状況になるだろうし、二人きりで夜のデートと洒落込むか? 」

 俺の冗談にゼラはただでさえ紅い体を真紅として、俺の肩で暴れ出す……どうやらかなり嬉しいようだ。



「なら奴らを地獄へと落としに行こうか! 」






 俺とゼラは二手に分かれ、それぞれの攻撃に巻き込まれないようにする。

 俺の魔法もそうだが、今のゼラは本体が凄いことになっている。



 どうやら俺の方に向かって来ている人間もどきは100人程度のようだ。

 ゼラの方にはその倍は向かっているようだが、俺はゼラの心配などする必要はない。

 寧ろ敵の方に同情してしまう……それ程の力を持つゼラの方からすでに悲鳴と怒号が聞こえてくる。

「な、何だ? 向こうで何が起こっている? 」

 一人の男の叫び声のお陰で、大体の敵の位置が分かることになり、俺はその愚かな者達に永遠の眠りを与える為、自分の影よりスケルトン・ナイトの大群を呼ぶ。

 カタカタと骨を鳴らし、剣をを震わせながら現れるスケルトン・ナイト達は、生者への怨念を露わとし人間達へと襲いかかる。

「ぐはっ! 馬鹿なアンデットだと ⁈  」

「凄い数のアンデットだ! 灯を出せ! この闇夜だとこちらが不利だぞ! 」

 俺の周りで多くの悲鳴が上がり、剣戟の音が聞こえ始める。

 俺はさらにスライムの分体のを多数放ち、逃げ出そうとする者や戦えなくなった人間もどきをその場で捕食させ、新たなスケルトン・ナイトへと変えていく。



 ゼラの方はこちらよりもより凄惨な戦場と化している。

 亜空間に格納された本体を出現させたゼラの体長は既に500mを超えている。

 その『紅い波』とほぼ同じ体で、人間もどきを吸収していく様は奴等にとっては地獄に等しいはずだ。

 たまに魔法がゼラへと向けられるがそれすらも吸収して襲いかかるのだから手に負えない。

 しばらくすると向こうからはゼラの這いずる音しか聞こえなくなる。


 こちらも剣戟の音がほとんどしなくなり、人間もどきの呻き声も刻一刻と減っていく中、1人だけ逃げようとしていた男をミスリルの糸で四肢を切り裂き俺の前へとスケルトン・ナイトに運ばせている。

「な、何でてめえみたいな化け物がこんな所にいるんだ ⁈  」

 自分の身に起こったことを理解出来ず、ただ俺に叫ぶ男に俺は落胆し闇魔法の(メアーズ)を使い洗脳した上で全ての情報を抜き取っていく。

 どうやらこいつらは国際冒険者ギルドに雇われただけの冒険者のようだ。

 目的は国際冒険者ギルドの冒険者達の捜索だったようだが、俺がほぼスケルトン・ナイトにした為こんな所にまで捜索しに来たようだ。

 ただ、捜索の途中にこの村のことを知ったようで略奪をする為こちらに向かって来たようだ。

「やはり人間もどきはどいつもこいつも屑だらけだな。お陰で俺の『憤怒』も機嫌が良くなったよ」

 全てを話し、頭の中が廃人とかした男を俺は無造作に燃やし尽くす。

 どうやら竜の炎が『憤怒』によって自由に扱えるようになったみたいだ。



 血に染まる森の中で俺は紅く染まった視界で月を見上げながら、沸き起こる歓喜に身を委ねるのだった……
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