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第2章 勇者大戦
寂れた村と魔王様
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子供達に簡単な食事を摂らせると落ち着いた所為か涙目になってくる子供達。
面倒だがアヤハ達が助けるつもりなのでどうにかして親元に返すとしよう。
「ユニコーンとバイコーンは比較的小さい子達を優先して乗せるんだ。青崎は身動きが取れない奴を乗せていけ。歩ける奴は幻獣について歩くんだ。俺は後方警戒、アヤハとトバルで先行偵察……ゼラは子供達を守る事を最優先だ」
俺の指示にビクビクしながらもいった通りに行動をしていく子供達。
中心にゼラがいる事でどんな敵にでも多少は耐えることが出来るだろう。
子供達の記憶を頼りに森の奥へと進んでいくが、この森の魔力の所為で中々魔力探知が役に立たない。
「アヤハとトバルの力が頼りだ。無理をするなとは言わんが無茶だけはするなよ? 」
頼られたアヤハとトバルが喜びながら頑張った結果、空中からの探索により、ようやく獣人の村へと着きそうだ。
「やったー! 村が見えてきた! 」
「やっとお家に帰れるー ! 」
「とうちゃーん、かーちゃーん! 」
村が見えるようになった所為か元気になっていく獣人の子供達。
ただ1人、俺に懐いた所為か俺の背中で寝ている無口な少女だけが未だ起きずに寝たまま運ばれている。
「お前達そこで止まるんだ! ……アレスにピリ、トゥガもいるのか ⁈ ち、ちょっとそこで待っててくれ! 確認の為の人をそちらに送るからそのままでいてくれ」
村に続く道を歩いて村まで進んでいると、木で出来た塀のような囲まれた村の全体像が見えてくる。
200人前後の魔力を感じ取る事が出来た所で、村と道の境にある小屋のような所から1人の獣人がこちらに走って来るのを感じ取る。
男は最初は警戒していたようだが、子供達の姿を見た途端、小屋の方に戻っていった。
「お前ら。さっきの奴の事を知っているか? 」
「うん! 村の警備をしているバテルさんだよ。村でも5本の指に入る強さだって父ちゃんが言ってた! 」
……あの程度で村で有数の強さなのか、これだと中級以上の魔物が現れたら全滅しそうだな。
そんな事を考えていると、物凄い勢いで走って来る大人の獣人達が見えてくる。
「アレス! どこほっつき歩いていたんだい! あれほど村から出るなと言ったのに! 」
「ピリ~無事で良かった。心配したのよ~」
「トゥガ……大丈夫のようだな。この方々に助けてもらったのか?」
子供達と親との再会に、涙を浮かべる青崎……熊の姿の所為で大人達から警戒されている事をどうやら分かっていないようだ。
「貴方方が我々の子供達を救ってくれたのか? 」
先程トゥガと呼ばれた子供の親が俺に向かって話しかけてくる。
「そうだ。このアヤハ達が子供達を見つけてな……俺はそれを手伝っただけだ」
この村で1番魔力を感じる目の前の男を前に俺は少し違和感を覚える。
「それよりもこの村には獣人以外にも人間もどきや亜人の魔力を感じるがどうなっているんだ? 」
俺の言葉に動揺する大人達。
「ここは捨てられた者達が来る『滅びの村』だ。どんな種族だろうと問題さえ起こさなければ受け入れている。それより子供達を助けてくれてありがとう。お礼に粗末な飯だが食べていって欲しい」
少し陰りのある笑みを浮かべながら自傷気味の言葉で迎え入れようとする男に、俺は少しだけ感心して俺の事を少しだけ話す事を決める」
「良いのか? そんなに簡単に俺を受け入れて? これでも俺はオルハナ王国の首都を滅ぼし、国際冒険者ギルドに敵視され全世界に指名手配されている魔王と呼ばれる男だぞ?」
俺の言葉にその場にいた村の大人達の顔色が一気に青褪めていく。
そんな中、俺の背で寝ていたはずの少女が意外な言葉を言ってくる。
「魔王のくせに人情家。困った亜人達を見捨てられない。だからここまでこの子達を連れて来た」
その言葉に目の前の男は驚き、周りの大人達も多少冷静になっていく。
「圭介さん。どうしてそんな意地悪な事を言うんですか! 圭介さんは襲われなければ何もしないでしょ? 」
「ケイスケはいい人。親を失った私とずっと一緒にいてくれる」
「この人は顔は怖いですけどいい人ですよ! ちょっと慣れるのに時間が掛かりますけど…」
「あー! だー! 」
青崎達の俺に対する弁護に、少しだけありがたく感じながらもこの村に国際冒険者達が来る可能性を考えればここにいるべきではない事を俺は自覚している……しかし、
「おい、起きているなら早く降りろ。トゥガの父親。こいつの家族は何処だ? 早く迎えに来させろ」
未だに迎えの来ないこいつの親に一言文句を言おうと考えたのだが、トゥガの父親はきょとんとした顔でこちらに答えて来る。
「いえ……その子は村の子ではありませんが…てっきり貴方達の仲間かと思っていました」
その言葉に青崎達仲間全員が俺の背中の獣人の子供に視線を向ける。
「初めまして魔王様。三大魔王が1人ゼレルア様の部下でアーミシュと言います。魔王様の背中は心地良いですね」
背中にもたれ掛かる獣人の子供の信じがたい挨拶に俺は少しだけ自分の甘さを後悔したのだった。
面倒だがアヤハ達が助けるつもりなのでどうにかして親元に返すとしよう。
「ユニコーンとバイコーンは比較的小さい子達を優先して乗せるんだ。青崎は身動きが取れない奴を乗せていけ。歩ける奴は幻獣について歩くんだ。俺は後方警戒、アヤハとトバルで先行偵察……ゼラは子供達を守る事を最優先だ」
俺の指示にビクビクしながらもいった通りに行動をしていく子供達。
中心にゼラがいる事でどんな敵にでも多少は耐えることが出来るだろう。
子供達の記憶を頼りに森の奥へと進んでいくが、この森の魔力の所為で中々魔力探知が役に立たない。
「アヤハとトバルの力が頼りだ。無理をするなとは言わんが無茶だけはするなよ? 」
頼られたアヤハとトバルが喜びながら頑張った結果、空中からの探索により、ようやく獣人の村へと着きそうだ。
「やったー! 村が見えてきた! 」
「やっとお家に帰れるー ! 」
「とうちゃーん、かーちゃーん! 」
村が見えるようになった所為か元気になっていく獣人の子供達。
ただ1人、俺に懐いた所為か俺の背中で寝ている無口な少女だけが未だ起きずに寝たまま運ばれている。
「お前達そこで止まるんだ! ……アレスにピリ、トゥガもいるのか ⁈ ち、ちょっとそこで待っててくれ! 確認の為の人をそちらに送るからそのままでいてくれ」
村に続く道を歩いて村まで進んでいると、木で出来た塀のような囲まれた村の全体像が見えてくる。
200人前後の魔力を感じ取る事が出来た所で、村と道の境にある小屋のような所から1人の獣人がこちらに走って来るのを感じ取る。
男は最初は警戒していたようだが、子供達の姿を見た途端、小屋の方に戻っていった。
「お前ら。さっきの奴の事を知っているか? 」
「うん! 村の警備をしているバテルさんだよ。村でも5本の指に入る強さだって父ちゃんが言ってた! 」
……あの程度で村で有数の強さなのか、これだと中級以上の魔物が現れたら全滅しそうだな。
そんな事を考えていると、物凄い勢いで走って来る大人の獣人達が見えてくる。
「アレス! どこほっつき歩いていたんだい! あれほど村から出るなと言ったのに! 」
「ピリ~無事で良かった。心配したのよ~」
「トゥガ……大丈夫のようだな。この方々に助けてもらったのか?」
子供達と親との再会に、涙を浮かべる青崎……熊の姿の所為で大人達から警戒されている事をどうやら分かっていないようだ。
「貴方方が我々の子供達を救ってくれたのか? 」
先程トゥガと呼ばれた子供の親が俺に向かって話しかけてくる。
「そうだ。このアヤハ達が子供達を見つけてな……俺はそれを手伝っただけだ」
この村で1番魔力を感じる目の前の男を前に俺は少し違和感を覚える。
「それよりもこの村には獣人以外にも人間もどきや亜人の魔力を感じるがどうなっているんだ? 」
俺の言葉に動揺する大人達。
「ここは捨てられた者達が来る『滅びの村』だ。どんな種族だろうと問題さえ起こさなければ受け入れている。それより子供達を助けてくれてありがとう。お礼に粗末な飯だが食べていって欲しい」
少し陰りのある笑みを浮かべながら自傷気味の言葉で迎え入れようとする男に、俺は少しだけ感心して俺の事を少しだけ話す事を決める」
「良いのか? そんなに簡単に俺を受け入れて? これでも俺はオルハナ王国の首都を滅ぼし、国際冒険者ギルドに敵視され全世界に指名手配されている魔王と呼ばれる男だぞ?」
俺の言葉にその場にいた村の大人達の顔色が一気に青褪めていく。
そんな中、俺の背で寝ていたはずの少女が意外な言葉を言ってくる。
「魔王のくせに人情家。困った亜人達を見捨てられない。だからここまでこの子達を連れて来た」
その言葉に目の前の男は驚き、周りの大人達も多少冷静になっていく。
「圭介さん。どうしてそんな意地悪な事を言うんですか! 圭介さんは襲われなければ何もしないでしょ? 」
「ケイスケはいい人。親を失った私とずっと一緒にいてくれる」
「この人は顔は怖いですけどいい人ですよ! ちょっと慣れるのに時間が掛かりますけど…」
「あー! だー! 」
青崎達の俺に対する弁護に、少しだけありがたく感じながらもこの村に国際冒険者達が来る可能性を考えればここにいるべきではない事を俺は自覚している……しかし、
「おい、起きているなら早く降りろ。トゥガの父親。こいつの家族は何処だ? 早く迎えに来させろ」
未だに迎えの来ないこいつの親に一言文句を言おうと考えたのだが、トゥガの父親はきょとんとした顔でこちらに答えて来る。
「いえ……その子は村の子ではありませんが…てっきり貴方達の仲間かと思っていました」
その言葉に青崎達仲間全員が俺の背中の獣人の子供に視線を向ける。
「初めまして魔王様。三大魔王が1人ゼレルア様の部下でアーミシュと言います。魔王様の背中は心地良いですね」
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