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6 おもしれー女は攻略対象から逃げられない

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「レイア・フォルキンス失格! きっ、君! 早く魔法を解いてやりなさい!」

「えっ? 初級魔法なので先生達で解除可能ですよ~それでは私先を急ぎますのでじゃっ!」

「まっ、待ちなさい! さっきの炎も中々消え·····って! もういないし!」

いいいいやっほおおおおおお!!!
復讐してやったぜざまぁみろ!!
凄いっ! 前まで出来なかったことが出来るようになってる!
色々応用しようとしたけど、魔力が足りなくて出来なかったんだよね!
自分の作った魔法も他の人達に打ち消されたけど、今回は先生達も消せないって!
なんかもう、涙出てくるなぁ!

「よしっ思い切ってやってみよう!」

魔力を込めて大きな魔法陣をイメージする

「流星の灯火!!」

ミザイ樹海を燃やそうとした時と同じ規模で魔法を撃つ。
空から降り注ぐ隕石に生徒達は大混乱。
何人かはこれに押しつぶされたり、火が自分について悲鳴をあげてリタイアしている。

「ヒール! ヒール!」

「大丈夫かエリス!」

「うん、びっくりしたぁ急に隕石の火が服に燃え移るんだもん」

·····あれって確か、王子と勇者の友達の子だよね。
うわぁ·····私の魔法を直ぐに消しちゃうとか凹むわぁ·····
やっぱり、魔力が戻っても私より強い子はいるってことだよね。
分かってはいたけど、滅茶苦茶悔しいな。

「ねぇ、アラン。本当に私とペア組んでよかったの?」

「いいんだよ、最後に俺ら二人で残って時間切れ狙えばいいんだから」

「確かに時間制限はあったけど·····私戦闘面では期待できないよ? アランの足でまといになるんじゃ·····」

「ならねえよ! お前の回復魔法は世界一だ!」

·····なんでこんなところでラブコメしてるんですか。
というかセコイな·····勇者の末裔。
女の子の好感度もあげて優勝しようだとかセコイな。

「デモンズ・ゲート」

魔獣を召喚して彼らを襲わせる。
ちなみにこの魔獣はミザイの森にいる魔獣らしい、グギュリエ様が言ってた。

「きゃああああ!! なにこれえええ!!」

「怯むな! やるぞエリス!」

はい、2人で頑張ってくださーい。
二人だけの時間なんかぶっ壊してやる。
これは授業ですよ? 真面目にやってくださーい。

「まったく、これがバトルロワイヤルってこと忘れてんじゃないの?」

「同感だ」

「·····!?」

気配がしなかった後ろから声が聞こえたので思い切り振り返る。
そこには見覚えのある少年が呆れた様子で佇んでいた。

げぇええええ!! 王子じゃん!!
金髪にエメラルドの瞳! その整った顔立ち!
さっき瀕死にした女の婚約者じゃん!

「全く、あのバカには1回灸を据えてやらんとな」

まっずい!婚約者をぶっ倒したなんて知られたらこの男の反感も買う! どうしよう、さっきの女の子と違ってこっちは本物の王子だし!

「あぁ、挨拶が遅れたな、俺の名前はカイル・シンソフィアこの国の王子だ」

「ごっごごごご御機嫌よう殿下、結崎あいらと申します」

ぺこりとスカートをつまんで、挨拶した。

「そういうのはいい、ここでは普通の生徒だろ? まぁ、それはそれとして、そなたの戦術は如何なものかと思うぞ」

「へっ、いっ、いやー」

「あの二人には思うところがあるが、仮にも俺の親友だ、そいつらを危ない目に合わせたお前は許しておけん」

·····まじですか。
確かこの人、首席の人じゃなかったっけ·····まだ開始して30分しか経ってないのに! 
逃げなきゃ、逃げないと私上位に食い込めない!

「すみませんでしたー!!」

「逃げるな! ギガ・フォイア!!」

ひいいっ! 初級魔法でその威力!? 強すぎじゃないですか!
交わした炎の弾は大きな木を一瞬で灰にした。

「とりあえず魔獣と遊んでて! デモンズ・ゲート!」

「そうはさせるか!」

「ぎゃっ!」

いてて! せっこ! 魔法陣キャンセルとか王子のすることじゃない!
あいつ、サーベルを私に突きつけてきたんだけど!?
どっから武器取りだしたんだよ!

「すまんな、剣術は紳士のたしなみなんだ」

「ははっ、紳士が格下の相手するぅ!?」

「·····笑わせるなよ外道、あれだけの事をして置いて謙虚になるなよ、頭とち狂ってるのか?」

こっ、こえええええ!!!
やばいよ! 王子と思えない顔だよ!
めっちゃ怒ってない!? それかこいつをどう料理してやろうかって顔じゃない!?

「仮にも俺の婚約者を再起不能にしてるんだ、手加減は無用だろう」

ひええええっ!! さっきの戦い見られてた!!

「いっ、言っときますけど、先に殺しかけてきたのは貴方の婚約者ですから!」

「·····あぁ、知ってるよ。昨日楽しそうに最下位のゴミを排除しましたわなんて俺にすり寄ってきたからな」

·····あのクソ尼!

「彼女の素行は許されるものでは無い、そうそうに始末しないといけないと考えていたのだが·····君のおかげで婚約破棄できそうだ、自分が馬鹿にしてた人間にこっぴどく負ける弱者は俺の婚約者に相応しくないとな」

いい性格してるなーこの王子。

「ははは、お役に立てたのならご光栄です、それなら今は見逃して欲しいんですけど·····」

「そんな面白い奴逃がすわけないだろ」

いやーこの王子ハンターか何かですか!?
不敵な笑みを浮かべる腹黒王子にロックオンされた私。
とりあえず、生き残りたいので逃げようと思います。
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