異世界でもうちの娘が最強カワイイ!

皇 雪火

文字の大きさ
上 下
247 / 252
第7章:エルフ王国 救出編

第226話 『その日、いっぱい食べた』

しおりを挟む
 ミルちゃんを抱き枕にして数日。私達はエルフの国へと戻って来ていた。実際はシラユキちゃんが寝たまま起きないので、アリシアに抱えてもらいながら、カピバラに乗って帰って来たんだけど。

 まさか目覚めたら、エルフ達のお城の中で、またまた数日経過しているとは思わなかったわ。

「眠り姫シラユキちゃんね!」
「起きて早々そんな冗談が言えるなら、平気そうね」

 様子を見に来ていたミーシャとお話しながら、数日ぶりのご飯をバクバクと食べる。
 なんだか、前回もそうだったけど、お腹が空いて仕方がない。

 もぐもぐ。

「誰もキスして起こしてくれなかったのは残念だわ」
「最初の方、またうなされてたのよ? そんな気には誰もなれなかったんでしょ」
「え、そうなの?」
「でも、また『封魔の指輪』を外したら落ち着いたわ。やっぱり次からは、寝るときは外しておきなさいな。ま、アンタの近くには絶対誰かいるだろうから、気付いた人が勝手に外してくれるだろうけど」
「ほぇー」

 やっぱり力を抑える機能が余計な負担を感じちゃってるのか……。
 なら、方向性を変えて光らない様にするだけの効果に変えていこうかな。そしたら大丈夫でしょ。『神聖魔法』の輝きだけを抑える方法、と言うのは、ちょっと考えたことないから難しそうだけど。
 やってやれない事はないはず!

 もぐもぐもぐ。

 ちなみに、私が抱き枕にしちゃったお姫様ことミルちゃんは、私のお気に入り認定されたとかで、エルフの王国へとついて来ちゃったらしい。扱いは客人として。
 なんでも、他国には素材を要求したけど、ミルちゃんの国にはミルちゃん自身を要求した形になってるみたい。うんまぁ、抱き枕としては申し分ない抱き心地だったわ。良い感じに引き締まった肉体なのに、出るところは出ていて素晴らしい肉感だったわ。

「まるで生贄みたいでやーねー」
「アンタが食べちゃうからでしょ」
「えー。食べてないよー?」
「キ、キスとかしたじゃない」
「ほっぺにチューくらい、挨拶でしょ」
「アンタは……、いや。アンタの周りではそうかもしれないけど、神聖視している特別な存在からキスされたら、挨拶とは思わないでしょ。これからは気をつけなさい」
「えぇー?」

 なんて面倒な。良いじゃない、挨拶くらい。

 もぐもぐもぐもぐ。

「じゃあ、ミーシャは身内だから、チューしていいの?」
「……あんた、私の事好きなの?」
「好きー!」
「……そ、そう」

 もぐもぐもぐもぐもぐ。

「って、どんだけ食べるのあんた」

 けぷ。

 そう言われると、お腹が膨らんだ気がして来たわ。

「むぅ……。ごちそうさま!」
「はい、お粗末様でした」

 アリシアが作ってくれた具沢山スープ、鍋ごと平らげた気がする。

「アリシア、美味しかったよー」
「良かったです。お嬢様、口元が」
「んにゅんにゅ」

 アリシアに甲斐甲斐しくお世話されて、シラユキちゃんご満悦。
 さて、お腹いっぱいになったし眠気も取れた。そろそろ行動開始しようかな。

「ツヴァイー」
「はっ」

 現れたツヴァイを手招きし、抱きしめて匂いを嗅ぐ。

「あっ、シラユキ様……」
「んふっ。ねえツヴァイ、シルヴァちゃんとお話ししたいから、呼んできてもらえるー?」
「承知しました。しばしお待ちを!」

 そう言って元気に返事をした彼女は、今度はしっかりと扉から出て、外で待機していた騎士さんと一緒に駆けて行った。

「ツヴァイさんも何の疑問も抱かず行っちゃったけど、しれっと女王様呼び出すなんて、普通じゃないわよ」
「あー、そうかもねー」
「お嬢様ですから」
「……それで、何の話をするの?」
「うん、そろそろ『精霊の森』へ行こうかなって」


◇◇◇◇◇◇◇◇


「おお、盟友殿。もう大丈夫なのかえ? 先日のようにまた眠ってしまったりはしないだろうか」
「ん-、わかんないけど、たぶん大丈夫だよ。成長した力に、身体が馴染むのに時間がかかってるみたい」
「そうか……。この国は、盟友殿のおかげで活気に満ちておる。そなたの気が済むまで、ゆっくりしていってくれ。そして帝国の件のみならず、妾からの頼みを叶えてくれて、国民の誰もが感謝しておる。本当にありがとう」

 シルヴァちゃんが言っているのは、精霊ちゃん達の事だ。
 実は、この地にいる精霊達は、帝国に向かう前に、そのほとんどを中位精霊へとランクアップをさせていた。何匹か下位精霊のままだったので心残りではあったんだけど、その子達は眠ってる間にミーシャが済ませてくれたみたい。

 それで、今やこの国にいる全ての精霊が中位精霊となっていた。その数なんと83体。私が来るまでは13体しかいなかったのを考えると、この国の加護は何倍にも膨れ上がった事だろう。

 国を囲む森には薬草を始めとした資源が溢れるように出現し、作物の実りは質も量も向上。更には世界樹ユグドラシルにも、いくつか実がなったという。実は起きた瞬間、精霊ちゃん達から分けて貰っていた。
 たった数日でこれなのだ。これ以降、この国は末永く繁栄していく事だろう。

「どういたしまして!」
「ふふ、このような奇跡の所業を、事も無げにやってのける。本当に盟友殿は桁違いじゃの」
「それよりもシルヴァちゃん」
「なんじゃ?」

 彼女を手招きして、抱き寄せて膝に乗せる。
 うーん、ミニマムなロリ女王様、カワイイなぁ。すんすんすりすり。

「全く、盟友殿は仕方がないのぅ」

 シルヴァちゃんはされるがままと言った様子で、アリシアはニコニコ笑顔。ミーシャは呆れ顔だ。

「でね、シルヴァちゃん。そろそろ『精霊の森』に行きたいんだけど、いいかな?」
「うむ、わかった。『護り人』達にはすでに伝えてある。其方が連れて行きたいと思う者を、いつでも好きに連れて行くといい」
「えへ。シルヴァちゃんありがとー」

 お礼にキスを……あ。改めて見ると、シルヴァちゃんの耳、小ぶりでカワイイ……。んちゅっ。

「ひょあっ!? こ、これ、耳はやめんか!」
「えへへー」
「お、お前たちも見てないで助けっ! んひゃっ」

 アリシアはその様子を楽しそうに見守り、巻き込まれたくないミーシャは明後日の方を向いていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~

芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。 駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。 だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。 彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。 経験値も金にもならないこのダンジョン。 しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。 ――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

Free Emblem On-line

ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。 VRMMO『Free Emblem Online』 通称『F.E.O』 自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。 ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。 そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。 なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?

ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚 そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

処理中です...