異世界でもうちの娘が最強カワイイ!

皇 雪火

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第7章:エルフ王国 救出編

第224話 『その日、久々に外の空気を吸った』

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「むにゃ……?」

 目を覚ますと、アリシアが見守ってくれていた。

「お嬢様、おはようございます」
「アリシア? アリシアだー」

 彼女が私の看病で寝不足になってないか、ちょっと心配だったけど……。
 疲れはなさそうね。

「アリシアー」
「はい、お嬢様」
「えへへ」

 久しぶりに感じるアリシアの温もりに、甘える様にゴロゴロ喉を鳴らして頬擦りをする。すると、アリシアは優しく抱きしめてくれた。
 えへ、大好きー!

「お嬢様、お腹は空いていませんか?」
「ん……ぺこぺこ」
「では、一緒に食べましょう」

 アリシアに甲斐甲斐しくお世話されながら食事を摂る。病み上がりということもあり優しい味のスープだった。けど、それを平らげても飢えは満たされなかった。なんだかがっつり目の物も食べたくなってきたので、世界樹ダンジョンで得た動物肉のソテーも作ってもらう。でも、それすらもペロリと平らげる。
 この姿になって、食事量は一般的な女の子って感じになってたはずなんだけど、今日はちょっと腹ペコなシラユキちゃんだ。いっぱい食べるシラユキちゃんもカワイイから、ありかな?
 太ったりしないかちょっと心配。

 でも髪も伸びないし、食べても食べてもスタイルは変わらない。ワンチャン、太る心配も無いのかも? もしそうなら、シラユキちゃんボディーは不変がすぎるわね。ある意味もう人間ではないかも。

「美味しかったー。えへ、アリシアのご飯好きー」
「ああ、お嬢様……。お嬢様が元気になられて、本当に良かった」
「心配かけてごめんね。あの後は大丈夫だった?」
「はい、戦いではこちらへの被害はほぼなく」
「違うわ。アリシアが、大丈夫だった?」

 今は見えないけど、気絶から目を覚ました時のアリシアは憔悴しきっていた。
 これからもレベルアップはしたいけど、なるべくアリシアを心配させたくないな。

「……お嬢様は、倒れられてからしばらくの間、ずっとうなされていたんです。あんなお姿のお嬢様は初めてで、取り乱してしまいまして……。ただ、ミーシャ様の機転で、苦しいのは『封魔の指輪』が原因なのではと仰られたのです。指輪を外されてからは、お嬢様の苦しみも同時に緩和されたようでした」
「そっか」

 急激な成長に身体が馴染むために必要な力を、あの指輪が抑え付けていたんだもんね。そりゃ苦しむか……。そして今、抑えるもののなくなった例の力は、溢れんばかりに身体を覆っている。
 ちょっと眩しいかも。

「お嬢様の苦しみの原因を特定できなかったことが不甲斐ないのです。主人の状況を察せないなどと、これではメイド失格です」
「アリシアったら、そんなの気に病む必要は無いわ。私だって今回のは初めての事象だったんだから、わからないことだらけよ。それよりも私は、目覚めて一番にアリシアがいてくれたことが、何より安心出来たわ」
「お嬢様……!」
「そう言えば今日は、朝の挨拶されてないわねー?」
「あっ……。はい、おはようございます、お嬢様」

 それから小一時間ほど。ずーっとアリシアと啄みあっていた。


◇◇◇◇◇◇◇◇


 アリシアとひたすらイチャイチャしたあと、眠ってしまったアリシアを置いてテントの外へと出た。

「んー? ここは、えーっと」

 天幕がいっぱいある?
 見覚えのない景色にキョロキョロしていると、見知った顔がやってきた。

「シラユキ様っ!」
「あ、ツヴァイだー。ちゅーしよ、ちゅー」
「あっ、んんっ」

 駆け寄ってきた彼女を抱きしめて思いっきりキスをする。数秒もしない内に真っ赤に茹で上がった彼女が愛おしくて、さらに愛で倒した。

「い、いつも以上に元気なようですね」
「いっぱい寝たしね!」
「ふふ、そうですね。シラユキ様、女王様がお呼びです。中央に行きましょう」

 ツヴァイに連れられて連合軍の陣営を進む。

「なんで起きてるってわかったのー?」
「今、女王様の護衛をミーシャ様が務めているんです。あの方が召喚している神獣様が、目覚めたと告げられました。ただ、ミーシャ様が本調子になるまで2時間くらいかかるから、ゆっくりさせようと仰られたので、このタイミングになりました」
「イフリート……モエモエね? 契約繋がりで感知できたのかしら」

 それにしても2時間か。確かに、1時間くらい食事をして、1時間くらいキスしてたかも。
 ナイス時間調整ね!

 でも、まだ足りないわ。

「ツヴァイー」
「なんでしょう」
「今ね、とーっても飢えてるの」
「えっと……?」
「ぬくもりに飢えてるの」
「は、はい」
「シルヴァちゃんのお話が終わったら、ベッドでお話しない?」
「ア、アリシア様は……?」
「1時間で眠っちゃったわ」
「わ、わかりました。お手柔らかにお願いします……」
「えへー」

 ツヴァイの手をにぎにぎしながら、共に歩み女王様のいる中央の天幕へ入った。
 そこでは、女王様の他に各国の要人達もいて、お話の最中だったらしい。私の登場に彼らの視線が私へと集中した。

「こんにちはー」
「おお、盟友殿!」

 女王様……ううん、シルヴァちゃんが嬉しそうに立ち上がった。

「あれが、例の戦乙女殿か」
「後光が見えるぞ……」
「美しい……」
「おお、神よ」

 ……あ、指輪つけるの忘れてた。
 あれ? そう言えば話には出たけど、指輪、何処に行ったんだろ。

 ゴソゴソとマジックバッグを探すも見当たらない。テントに置いて来ちゃったかな?

「目覚めたばかりの中、呼び立ててしまってすまないのじゃ」
「良いのよー。私とシルヴァちゃんの仲でしょー」

 シルヴァちゃんに手招きされ、彼女の隣に座る。
 すると、反対側に座っていたミーシャが声をかけてきた。

「おはよ。元気そうね」
「おかげさまでー」
「ほら、コレ。返すわ」

 ミーシャの手には『封魔の指輪』があった。

「あ、ミーシャが持ってたのね。ありがと」
「ん。けど、身体に負担がかかるのなら、それつけるのやめておいた方が良いわよ」
「レベルアップの時だけだと思うけど……うーん。ちょっと代案考えとくわ」

 とりあえず装着すると、みるみるうちに光が収まって行った。
 その光景を各国の要人達が拝むように見つめていた。

 これで普通の人として、会議にも参加できるでしょ!

『手遅れだと思うわよ、マスター』
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