異世界でもうちの娘が最強カワイイ!

皇 雪火

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第6章:魔法学園 授業革命編

第203話 『その日、火急の知らせを受けた』

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 演習場はフィールドの効果もあってか非常に賑やかな空間となった。その為か、ナンバーズの報告を受け急遽陛下や王妃ママ達もやって来て、王城から訓練風景を眺めている。
 あの人達もこの装置を使ってみたいと言ってるらしいけど、優先順位はきちんと理解してくれているらしく、今回は大人しいわね。

 なんでも、王妃ママ達は陛下に前回の突撃がバレたらしく、こってりと叱られたらしかった。
 これで大人しく謙虚に動いてくれるだろう。とは陛下の談。

 そんなお偉いさんすら集まり始めた今回の顔合わせ。結論から言うと大成功。
 決戦も決闘も大人気で、どちらのフィールドも順番待ちが起きるほどだった。特に決闘の方は、対人でも2人。対魔物だと1人ずつでしか捌けない上に、こちらを使いたがる猛者が思いの外多いから、混みっぷりが酷かったわ。大人気のアトラクションばりに列が出来ていたのよね。
 これでは満足の行く修行が出来ないと判断して、仕方なく今ある在庫を全開放。演習場には2種のフィールドが3つずつ設置されることとなった。
 決して素材は軽くないけど……私、身内には甘いのよね。

 だけどこのフィールド、困ったことに1つ1つが結構な広さを要求するのよね。学園の決闘場を丸々占有するくらいには。
 それが2種の合計6個も設置されるとなれば、演習場が埋まってしまうのもやむ無しだわ。これじゃあ、普段の用事で演習場が使えないじゃない。
 今後はこれらを誰かにまとめて管理させて、普段は撤去させるとか、副団長さん達1人1人に預けるとか。うん、ミカちゃんと要相談ね。

 大盛況なフィールドだけど、魔物を呼び出すシステムにはとある問題点があった。それは、装置の操作者が倒したことのある魔物でないと呼び出すことが出来ないため、戦ったことのない相手を戦うには、別の誰かに呼び出してもらう必要があるのだ。
 そう言う訳で、神丸が無茶を言ってくる。

「シラユキよ。某にとって強敵と思える相手を出してくれないか」

 いや知らないけど。
 アンタにとってどの程度が強敵足り得るかなんて、私に分かる訳ないじゃん。

 ……いや待てよ? こいつ、私や黒竜との激戦を経て、奥の手の在庫、持ち合わせてなかったわよね? なら、濁龍剣があれば勝てて、それがないと苦戦必至の相手を考えれば……ああ。いくつか思いついてきたわ。アレなら満足するかも。

 と思ったところで、別の妙案が思い浮かんだ。
 神丸は後回しね。

「アンタの注文は後ね。ちょっと待ってなさい」

 第二騎士団用のランク4武器の製造が終わって、暇していた所なのよね。丁度良かったわ。
 選考を無事に終えたママ達のところへ突撃する。

「ママー」
「なあに、シラユキちゃん」
「メンバーは決まったみたいね」
「ええ、なんとかね」
「はいっ。シラユキちゃんのご家族は、私が必ずお守りします!」

 敬礼するのは第一副団長、サフランちゃん。
 彼女も貴族の子女で、確か伯爵家の子だったかな。副団長さん達の中でも一番お話しするから覚えている。やはりと言うかまぁ、順当な結果に落ち着いたわね。
 第二騎士団の部隊は、それぞれ役割が異なる為、それらを束ねる部隊長や副団長は、それぞれに特化した強さを持っている。

 第一部隊は攻守共に長けた騎士の集まり。
 第二部隊は攻撃に長けた騎士や戦士の集まり。
 第三部隊は防御に長けた騎士や戦士の集まり。
 第四部隊は第一から第三に振り分けされる前の予備部隊。
 第五部隊は盗賊ギルドには劣るが情報収集を行う部隊。
 第六部隊は補給や物資調達を担う部隊。
 第七部隊は魔道具が主体の魔法部隊。
 第八部隊は魔道具を使わない魔法部隊。

 サフランちゃんは確か、第一と第四。それから第五部隊を管轄していたかな? 副団長の任に就くには、それぞれの部隊で部隊長の経験を積まねばならない。
 つまり副団長は、騎士としての戦闘能力だけではなく、様々な経験をしてきたエキスパートだ。その中でもサフランちゃんは、近接戦闘特化型ね。

「早速で悪いんだけど、サフランちゃんを含めた6人パーティーで戦えるか検証をしたいと思うの。私が魔物を呼び出すから、順番に倒して行ってもらえる?」
「承りました!」
「分かったわ。どう立ち回れば良いかしら」
「このパーティーのリーダーはママよ。ママの判断に任せるけど、私の意見が聞きたいの?」
「ええ、お願い出来るかしら」

 ママの頼みとあらば応えないわけにはいかないわね!

「そうね。今までの4人の時や、ココナちゃんも交えて5人で戦う時は、まずは数を減らす為に出会い頭で倒したりしてきたと思うの。魔力温存のために近接戦闘をしつつ立ち回っているとも聞いているけど、基本はやっぱり魔法で接敵即殲滅でしょ? だけど、それで戦えていたのは皆の魔法攻撃力が高いおかげだわ。これは一撃さえ入れられば敵を倒せる、そんな相手だけにしか通用しない戦法よ。これから臨む中級ダンジョンでは段々通用しなくなって行くわ。だから、盾役にある程度任せる方法を覚えていくべきね」
「殲滅力は落としてでも、安心安全に戦おうってことね」
「そういう事よソフィー。サフランちゃんの技量は見せてもらった?」
「ええ。副団長さん達には『ステータスチェッカー』を使って貰ったんだけど、総戦闘力が横並びだったから多対一の立ち回り技術を見せて貰ったの。ゴブリン3体は皆さん綺麗に捌いていたんだけど、ウルフ混合にしたりウルフ3体にするとやっぱり苦戦されていらしたの。でもその中でもサフランさんが一番安全に捌き切っていたわ」
「少し危ないところもありましたが、一番安心して見ていられました」
「恐縮です。これからも精進いたします」
「期待していますよ」
「はっ! ありがとうございます、姫様!」

 カワイがりすぎてよく忘れるけど、アリスちゃんはやっぱりお姫様なのよね。
 ここに来て衝撃を受けたんだけど、実を言うと第二騎士団の中では、アリスちゃんって結構人気があるみたい。カワイイし、儚くてか弱い感じが庇護欲をそそられるんだとか。今までは表舞台に立たなかったから、どんな子なのかも知られていなかったみたいなのよね。
 決闘の日に、その容姿と腕前、努力家である事が周知されて、大人気になったと。

「貴女達もです。今回のことで折れる事なく、これからも精進するように。貴女達が立派な剣へと成長する事は、私だけでなく、シラユキ姉様の望むところなのですから」
「「「はっ!」」」

 おー。アリスちゃんが立派に王女様してる。
 凛々しい感じのアリスちゃんもカワイイなぁ。……キスしたらダメかな?

「お嬢様、それは終わってからにしましょう」
「はぁい」

 仕方ない、今は立ち回り修行が先ね。
 早速サフランちゃんにはママのパーティに入ってもらう。

 最初はママとソフィーにそれぞれパーティ編成オーブを渡していたけれど、それだとメンバーの確認に手間が増えるからって事で、今はママをトップにした6人パーティになっているのよね。
 構成は前衛の『騎士』。中衛の『レンジャー』『巫女』。後衛の『魔術士』『魔術士』『魔法使い』。ちょっとどころかかなり魔法攻撃寄りだけど、学園の中で見れば割とまともな編成なのよね。

 ちなみにシラユキちゃんパーティーは、ミカちゃんを入れたら前衛に『騎士』『侍大将』。中衛に『ローグ』。最後にオールラウンダーの『グランドマスター』。
 こっちは物理主体だけど私とアリシアで前衛後衛どちらもこなせるから、特に問題はないわね。火力は申し分ないと思うし、欲を言えばバッファーが欲しいところかな。
 バッファーと言えば……。ふむ。

「お嬢様?」
「あ、ごめん。それじゃ始めるよー」

 アリシアによって現実へと引き戻された私は、早速話を聞いて開けてくれた『決戦フィールド』で設定を動かす。まず最初は、初心者ダンジョンで最弱のゴブリンを最多の6体から。
 ゴブリンが湧くと同時に、サフランちゃんはその巧みなスキル捌きで魔物達の注目を一気に集め、敵愾心を上昇させる。それによりサフランちゃんのところに、ゴブリンの群れは雪崩れ込むように集まった。

 6体集まったところで所詮ゴブリンはゴブリン。彼女はダメージを受ける事なく、そのままママの支援によりチクチクと数を減らし、攻勢一転。数匹となったゴブリンに対し、彼女は自らの力だけで殲滅して見せた。

 ふむふむ。やっぱり守るだけの騎士ではなく、攻撃力としてもきちんとした役目を持った、強みのある子ね。
 この戦闘スタイルはミカちゃんと同じものだわ。

「ゴブリン相手なら、もうママと2人だけで魔力を完全に温存した戦いが出来そうね。じゃあ次、ウルフー」

 ウルフ6体に関しては事前に取り決めが出来ていたのか、それともサフランちゃんの立ち回りを見ていたからか、迎え撃つ準備は万端だった。ウルフはその出現と同時に、襲い掛かる4本のランス魔法を避けられず、その数を2体にまで減らす。
 あとは敵愾心を利用して立ち回るサフランちゃんを援護する形で、先程の射手4人が前に出て殴りに参加し始めた。そしてママは危ない場面を後方から弓と魔法で援護し、ウルフも無事、無傷で撃破。

「おっけー。じゃあ次はママ、弓だけでウルフ集団倒してもらえる? 最大の6体を呼ぶわ」
「はーい」

 時たま第二騎士団の訓練に参加したり、タイムアタックをソロでクリアしてみせた事で、第二騎士団の中でママの実力を知らない人はいないわ。それでも訓練中の実力や噂ではなく、実際に戦う場面をその目で見た人はいないだろうと思って、やらせてみる。
 案の定、周りの誰もが手を止めてママの動きに注目していた。当の本人は集中して気づいていないみたいだけど。

『グルルル』
『ガウッ、ガウッ!』
「……ふっ!」

 出現した直後の隙だらけのタイミングではなく、駆け出し散らばったウルフを相手に、ママは圧倒的な速射で2体ずつ綺麗に撃ち抜いていく。
 うんうん、戦っているママは格好良くてカワイイわ。惚れ惚れしちゃう。好き好き!

「ふぅ……終わったわ。ふええ!?」
『パチパチパチパチ!!』

 集中を解いたママが、ようやく自分の注目具合を理解して驚くと同時に、周囲から尊敬の念が込められた拍手が飛び交った。
 ママが褒められて悪い気はしないわ。むしろ超嬉しい。
 その賞賛は騎士だけでなく、フェルディナント少年騎士団や、王城のテラスから覗く陛下達からも贈られていた。

「はわわ」

 あわあわしているママを見るのは楽しいけど、まだまだ予定は残っている。心を鬼にして次の準備に取り掛かった。
 戦いとなると、やっぱりそこはママ。一瞬で気を引き締めて気持ちを切り替えて戦いに臨んだわ。

 中級ダンジョンで平然と出てくる、初心者ダンジョンのボス複数体や、大型種と。問題なく捌いて行った所で、本日のメインディッシュを召喚する。

「リリちゃん」
「はいなの」
「最近は減ってきたけど、それでもやっぱりまだ夢に出てくるんでしょう? 荒療治で悪いけど、この方法で克服しましょう。良いわね?」
「……! うん、わかったの。リリ頑張るね!」
「頑張って!」

 リリちゃんは私が何を呼び出すのかすぐさま理解して、意思表示をしてくれた。そこでママとアリシアも気付く。
 アリシアは心配そうに彼女達を見つめ、ママは気合のこもった表情で矢をつがえた。

「それじゃあ行くね。マンイーターの幼生体を2体よ!」
『ギギギギ』
『キシャー!』


◇◇◇◇◇◇◇◇


 リリちゃんは見事、トラウマを克服することが出来た。
 なんならリリちゃんからお代わりを要求して来るくらい。

 リリちゃん、強くなったわね……!

 そうして待たせていた神丸にはきっちりとマンイーターの成体を3ウェーブにしてお届けしてあげた。
 1、2ウェーブは1匹ずつだったからなんとか戦えていたようだけど、3ウェーブ目の2体になると苦戦をし始め、体力が50%になったところで強制終了。

 今回のフィールドなんだけど、魔物との模擬戦においては私の独断と偏見で、管理者権限を設定して敗北条件に体力50%を設定している。
 
 これはまあ、訓練のための場でトラウマになったりしないための措置でもあり、現実で50%も体力を削られれば、その時点で危険であるからだ。
 それを身体に覚えさせるためにもこの設定にしている。

 神丸からはまだ戦えると戦闘狂らしいお言葉を頂戴したが、きっちりお説教で返した。


◇◇◇◇◇◇◇◇


 そうして初顔合わせの訓練から、数週間が経過した。

 フィールドを用いた訓練は毎日のように行われた。パーティ編成オーブの数に限りがあるため、そこから溢れた居残りメンバーが、それを使って訓練に精を出している。

 彼ら第二騎士団のパーティは、私とアリスちゃんの希望通り、教会所属の『神官』達と、更にはルグニドの指導を受けて生まれ変わった魔法師団から派遣された『魔術士』と合流し、3組織が合同で中級ダンジョンへと潜っている。
 そうしていくつかのパーティはクリアする事にも成功。その結果中級ダンジョンの素材は私の所だけでは処理しきれないほどに溢れ、余剰分が市場に流れているわ。



 そして私の指導を受けた『紡ぎ手』達は、期待通りの仕事をしてくれた。おかげで、学園の生徒達に満遍なく魔法の技術を広げて行くことに成功した。
 その『紡ぎ手』は講習会に来ていた最初の5人だけでなく、追加の呼びかけで集まった第二期のメンバーも含まれていた。
 彼らは『魔道の御手』から離反した人達で、このままそこで燻っていても未来はないと判断してくれたのだろう。その考えを後悔させないためにも、私は全力で応えてあげたわ。

 人数が増えたことにより一度に見れる相手も増加し、1日に新生する『魔法使い』や『魔術士』の数も大幅に増えた。
 それどころか、この技術を使って今まで諦めていた『紡ぎ手』の試練も、挑戦して突破する人が何人も現れたことが一番大きな出来事だったかも。



 王城では、シラユキちゃん率いる上級ダンジョン攻略組3人と、ママが表彰のために招かれ、盛大に歓待を受けた。
 シラユキちゃん達は、長年封印を余儀なくされていた上級ダンジョンの突破に加え、黒竜の討伐を成し遂げた事。更にはシラユキちゃん個人に対してさまざまな分野の発展に寄与した事も、まとめて表彰をして貰った。

 ママは勿論、新しい称号の発見と獲得の栄誉に対する物だ。
 沢山の人から受ける賛辞と、様々な種類の視線に晒されてママは困惑しっぱなしだったけど、不躾な視線については根本からピンポイントに『威圧』を飛ばして黙らせた。
 私の家族に手を出したらどうなるか、視線の主も思い出したのだろう。ソイツはすごすごと観客の影に隠れて消えた。

 歓待パーティーでは国内だけでなく国外からも来賓があり、シラユキちゃんをよく知らない人達から絡まれるという珍事件も起きたりしたけど、それはまた別の話。



 また、この数週間の間に、ママ達のパーティは中級ダンジョンをクリアすることに成功している。流石に初心者ダンジョンの時のように1日に何度も周回したりはしていないけど、闇属性マップを引いた時はなるべく往復をしてくれているみたい。
 編成の職業や、そもそもの事で安定度が上がったみたいね。

 シラユキちゃんのパーティも、最終的に6人のメンバーで上級ダンジョンを回っている。今のメンバーになってからは週に2、3回のペースでクリアしているわ。本当は毎日でも入りたいところだけど、メンバーの体調や予定。更には溢れた素材の処理なんかで、このくらいのペースが限界というのが本音だ。
 残念だけどあれ以来名持ちの黒竜とは出逢えていない。けど、普通の赤竜とは1度だけ戦えたので、竜眼の補充が出来たのは喜ばしいことだったわね。
 まあ、ただの赤竜程度に剥製は勿体無いので、落として持ち帰った頭は、余すことなく素材に還元したわ。



 学園についても、かなりの変化が起きた。
 1番の変化は魔法科だ。まず魔法技術が広まったことで、魔法の授業については全体の見直しが決まった。内容や知識もだけど、先生や教授、学園長達も含めて皆が生徒達と同じ魔法のスタートラインに立ったばかりなんだもの。
 その結果、魔法授業は今のところ何をするか未定となり、自習時間へと成り果ててしまった。クラスもFからSの間に存在していた溝も、ほぼ無くなったと言って良い。
 全てが平等とは言えないが、ある程度は横並びになったと見て良いだろう。

 だからと言って実力主義の制度が無くなったわけではなく、今でもまだ、Sクラスは元のメンバーのまま過ごしている。
 そしてAクラス以下は、AクラスとBクラスの2つに統合された。『学園の判断基準』という曖昧なものでクラスが割り振られていたが、今では完全に学年テストで上位に君臨した者が順番に、上のクラスから割り振られる仕組みとなった。
 横並びになったとは言え、シラユキちゃんから直接教えてもらってる子達が、そうでない子達に負けるわけにはいかないものね。

 使われた魔道具は当然、シラユキちゃん印の『スコアボードV4(全)』を使用している。学園順位については、当然一位がシラユキちゃんで、二位は順当に成長したココナちゃん。三位はアリスちゃんで、四位はソフィーだ。
 ちなみに上級ダンジョンを周回して成長したシラユキちゃんの前に、8万点の上限値を叩く事は難しい事ではなかった。
 



 それから、大事なデートの件だ。
 ソフィーとだけ楽しむのはナンセンスだと思ったし、シラユキちゃん自身納得いかなかったので、皆とも個別デートを敢行した。流石に休みの日に全日デートとまでは行かなかったけれど、放課後のデートくらいでちょうど良かったと思う。
 ソフィーとも休日の午前中の、3、4時間程度だったしね。

 デートをしたのはアリシア、ママ、リリちゃん、アリスちゃん、ココナちゃん。
 いつも通りの顔をする子もいれば、2人っきりにしか見せないような顔をする子も居て、とっても……とーっっっっっても!! 楽しかったわ!

 えへへ、また行きたいな、デート。今度は丸一日デートしたいわね。勿論お泊まりコースで!
 あ、あとリディに、イングリットちゃんともデートをしたいわ。実は他の子達のように誘いたかったんだけど、間が合わなくてまだ行けてないのよね。でも、彼女達のことは婚約者達も認めてくれてるし、男がつかない内に手を出さなきゃね!



 そんなこんなで、楽しくも忙しい充実した毎日を送ったシラユキちゃん。レベルもそうだけど、一部の生産スキルも大幅に成長した。
 鍛治スキルが46→51。
 調合スキルは27→47。
 錬金術スキルが32→44。

 このスキル帯になると、多少の無茶と、全ロストの危険性に目を瞑れば、超絶便利な魔道具の数々を生み出すことが可能となってくる。現時点でも素材が揃っていて実行可能な物もあるから、機を見ては手を出して行きたいところね。



 そうして今日は、王城へとやって来ていた。
 理由としては、この半月で決闘の日に報告していた事業や目標、作成アイテムなどにある程度の目処が立ったので、次のステップに進むためにもホウレンソウをしにやって来たのだ。

「陛下、こんにちはー」
「おお、シラユキちゃん。よく来たのぅ!」

 応接室に入ると、すっごいニコニコした陛下が出迎えてくれた。陛下ったらご機嫌ね。
 まあ最近は王妃ママ達と頻繁に中級ダンジョンに潜っては暴れていると聞くし、楽しくて仕方がないみたい。

 ザナックさんは、当初陛下がダンジョンに入ることは乗り気では無かったらしいんだけど、ダンジョンに潜った直後の陛下を見て、考えを改めたみたい。どうやら陛下は、ダンジョン突入の前と後では、お仕事に対するモチベーションに天地の差があるらしく、入った直後から数日の間は処理能力も桁違いに向上しているらしい。
 数日に一回、数時間ダンジョンに潜ったロスが、大幅に取り返せるくらいには。
 そうなってくると、ザナックさんも楽しんだ方が良いと判断したみたいで、学生時代に戻ったかのように、楽しんでいるみたい。

 メンバーは陛下、ザナックさん、王妃ママ達3人の5人。そこに日替わりで第一騎士団の人や、お義父様も入ったりしてるみたい。
 ストレス発散で暴れているのは陛下やザナックさん達だけではなくて、やっぱり王妃ママ達も思う存分にはっちゃけているみたい。しかもダンジョンでの戦いはお淑やかさが求められる普段との差からか、アドレナリンがドバドバ出ていて、ダンジョンから出ても中々興奮が冷めないらしい。
 そのお陰か、ダンジョンから戻った日は夜もお盛んだとか。新しい御子が得られるかもだなんて、ありがたいようなそうでもないような情報を、よく本人達の口から耳にしている。

 まぁ、程々にね?

 陛下との世間話もそこそこに、本題へと移る。

「それで今日はどうしたんじゃ?」
「はい、今日はですねー。これからの……うん?」

 何だか外が騒がしいわね。
 と言うよりかはが廊下から聞こえてくる。

 最近は頻繁に会うようになったおかげで、彼女が慌てて飛び込んで来る機会も減ったと思っていたんだけど……。急ぎの用事なのかしら?
 彼女以外にも複数の足音が聞こえるわ。

「レディーはいるかい!」
「ここよー」
「おおレディー、君の友人を名乗る子が現れてね。お客さんだ」
「ミカエラ様、まさかたったそれだけで通したのですか?」
「はは、アリシア。そんなはずが無いだろう。私も馬鹿では無い。レディーの知名度が上がって以降彼女の友人を名乗る不逞の輩は何人も現れたからね。きっちり審査はしたさ」

 あら、そんな事があったのね。
 これが有名税ってやつかしら?

「ただの友人止まりなら無視したのだが、珍しくもエルフの子供だったからね。その上、レディーの抱き枕も経験したと言うでは無いか! 私ですらまだ経験した事がないと言うのに」

 エルフで、抱き枕?
 それって……1人しかいないじゃない!

「もしかしてカープ君!?」

 私がそう呼ぶと、懐かしい顔ぶれが部屋に入って来た。

「「お久しぶりです、シラユキさん!」」
「ご無沙汰しています」

 カープ君だけではなく、守り人姉弟のイースちゃんとキース君まで。彼らがどうして王都に?
 ……まさか。

「エルフの集落に何かあったの!? まさかまた、邪竜とか毒竜が現れたとか」
「あ、いえ! 森は至って平和です。シラユキさんのおかげでシェルリックスの街とも交易が始まりまして、村も賑やかになりましたし、大きなトラブルは起きていません」
「それは良かったわ。でも、それならどうして王都に?」

 エルフの集落での活躍は、陛下達も私達やナンバーズ、ギルドからの報告で理解している。その為茶々を入れずに黙って見守ってくれている。

「それが……。シラユキさんはご存知かと思いますが、村にはエルフの王国と繋がる転移陣があるんです」
「ええ。半年に一度、各村から長老が集まって会議をするために使うのよね」
「はい。その転移陣を使って、各村に緊急の通達が届きました。『王国に正体不明の集団が強襲。複数の砦が落とされ、陥落の危険有り。至急転移陣を破壊し、結界の準備を!』と」
『!?』
「シラユキさん、こんな事を頼むのは勝手だと思います。ですがどうか、僕達の故郷を助けてくれませんか!」

 ……どうやら、ゆっくりしている場合じゃなさそうね。

『アリシアの故郷が危ないわ!』
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