異世界でもうちの娘が最強カワイイ!

皇 雪火

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第6章:魔法学園 授業革命編

第198話 『その日、取材に応じた』

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「アリシア、写真見せてー」
「はい、こちらです」

 『魔法カメラ』を受け取り、アリシア一押しというシラユキちゃんの写真を見る。
 するとそこには、普段自覚なしで私が見せている自然体の笑顔を見せる、最強カワイイシラユキちゃんがいた。

「最高にカワイイ……」
「はい、とっても」

 アリシアと2人でうっとりとしていると、話を聞いていた皆がやってきた。

「なになに?」
「新しい道具ー?」
「ああそうね、これじゃ皆見れないわよね。アリシア、印刷ボタンを押してレンズをこの紙の中央に押しつけて」
「承知しました」

 アリシアが指示通り紙に印刷をすると、シラユキちゃんの最高カワイイ笑顔が印刷された。

『可愛い……』

 皆がそう呟くと、私とアリシアはうんうんと頷いた。

「この最高カワイイシラユキちゃんの写真が欲しい人は挙手。……あー、全員ね」

 紙を挙手した人数分より取り出してアリシアに印刷してもらう。そして配り終えたところで、貰えなかった1名が可愛らしく唇を尖らせた。

「シラユキちゃん、僕も欲しかったんだけど」
「利用内容によるわね、?」
『!?』

 珍入者に驚き、全員がその人物から飛び退く。
 アリシアも気付いていなかったようで、警戒が一歩遅れたようだった。ナンバーズも慌てて天井付近で臨戦態勢を取るも、手振りで警戒解除を促す。

「あちゃー……ごめんね。警戒させるつもりはなかったから、覗き見で済ませるつもりだったんだけど、つい気になっちゃって」
「ドアの鍵を閉めてるからって、天井から入ってくるのははしたないですよ、先輩」
「やっぱり覗いてたのはバレてたんだ。すごいね、シラユキちゃん」

 まあフルオープンの欠陥構造にしたのは私が悪いんだけども。侵入者対策も含めて、やっぱり早めに閉めておかないとね。

「……キャサリン。あとでお説教ね」
「うげっ」

 凄みのある笑顔でフェリス先輩が宣告した。私にとっては優しくてカワイイ先輩だけど、怒ると怖そうだなぁ。

「それで、何に使うつもりですか?」
「来週発行の学園新聞に!」
「却下」
「ええー! こんなに可愛く撮れてるなら、皆に見せた方が……ひょえっ!?」

 何人かの鋭い視線を受けて、キャサリン先輩が身をよじった。
 まあカワイイという言葉はありがたく受け取るとしても、これをそのまま載せるのはナンセンスね。

「新聞部のコピー機は、モノクロかしら」
「勿論カラー対応さっ!」
「モノクロだったらお説教だったけど、それでもナンセンスだわ。私のとびっきりカワイイ笑顔の写真は、気安くばら撒いて良い物ではないのよ」
「そっかー、残念だけどシラユキちゃんがそう言うなら諦めるね。そ、それじゃ僕はここで……!?」

 瞬時に近づき、キャサリン先輩の。その瞬間キャサリン先輩の身体がビクンと震えて固まった。

「まあまあ、せっかく来たんだからゆっくりして行きなさいな」
「ど、どうして……」

 どうしてソレ影踏みを知っているのかって顔ね。それは勿論シラユキちゃんだもの。でも、それを口外したりなんてしないわ。

「まあそれは良いじゃない、今そこは重要ではないわ。それよりも、新聞についてお話ししましょ。ソフィー達から聞いてるけど、私のこと、キャサリンちゃんは取材をしたかったんでしょ?」
「……うん、わかったよ。を押さえられると僕はどうしようもなくなるし、シラユキちゃんがその気になってくれてる内に色々と聞いちゃおうかな!」
「ふふ、物分かりの良い子は好きよ。アリシア、警戒はしなくて良いわ。彼女は敵じゃないから」
「……承知しました。お茶をご用意しますね」
「うん。あ、シャッターチャンスがあったらバシバシ撮ってね」

 先程アリシアに甘えていた時に使っていたソファーに座り、キャサリンちゃんとはテーブルを挟んで向かい合う。
 今は甘やかしたい気分だし、膝の上にリリちゃん。両隣にココナちゃんとアリスちゃんを侍らせて撫で回す。

「早速見せつけてくるねー」
「今はこういう気分なのよ」
「……まあいいや。それじゃ早速聞いてくね。まずはお名前から」
「最強カワイイシラユキちゃんよ」
「職業は?」
「秘密」
「強さは?」
「世界……と言いたいところだけど、今はまだ王国最強」
「学園に入った目的は?」
「目標達成に1番の近道だと感じたから」
「目標って何かな?」
「とある素材の採取。あとオマケであらゆる分野の革命」
「そっちがオマケなんだ……これは予想外の返答だね」
「無償の奉仕に喜びを感じる人間と思ってた?」
「うんまあ、ちょっとねー」

 まあ否定はしないわ。皆が成長していくのは見ていて好きだし、喜んでもらえると私も嬉しいもの。でもそれはメインではない。

「じゃ、ズバリ聞くけど、その素材って何かな?」
「一部は錬金術や鍛治、調合で作れるから、まあ結局は作れない魔物素材よね。3つあるんだけど1つは盗賊ギルドにお願いしているわ。もう1つは当てがあるけど、まだ私の実力じゃ取りに行けないわね」
「シラユキちゃんの実力で行けないって、どんな相手なの!?」
「上位の個体名持ちの龍よ」
「伝説レベルじゃん……。当てがある時点で凄いし、倒すつもりってのもまたやばいね」
「最後の1つはキャサリンちゃんに情報収集をお願いしようかなって思ってたの」
「ぼ、僕? 僕もそれなりに情報収集はお手のものだと自負してるけど……ごめんね。魔物についてはあんまり詳しくないんだー」
「『ヴラドブラッド』なんだけど」

 瞬間、キャサリンちゃんを包む空気の色が変わった。いや、正確にはように調整されてるわね。
 おかげで膝の上のリリちゃんも、怯えたりしていないわ。ただ、言葉の持つ感情までは抑えきれていないから、皆違和感を感じていそうだけど。

「……何処でそれを。いや、あんな芸当影踏みが出来る時点で、タネは割れてるってことね?」
「安心なさい。私がそれを口外する事はないわ。メリットがないし、デメリットしかないもの。ただ協力してもらえないと、取らなくても良い相手から奪ってしまう危険性があるじゃない?」
「……なるほどね。それで僕を通してってことか」
「そうそう。無駄な争いはごめんだもの」

 私達の間でのみ意思の疎通ができた。この場にいる他の誰も、この話にはついて来れていない。

「分かった。そう言う事なら、が近場に来たら教えるよ。それで良いかな?」
「よろしくお願いするわ」
「おっけー。それじゃ、この話はおしまい! こんなの新聞には載せられないしね」

 キャサリンちゃんが纏っていた警戒の雰囲気が消える。元通りの明るい女の子だ。

「じゃあ皆が気になってるところ行っちゃおうかなー。ぶっちゃけ、今シラユキちゃんには一体何人の婚約者がいるの?」
「んー。……ふふっ、少なくとも3人ではないわね」
「うわ、やっぱり? そんな雰囲気はしていたんだよねぇ……」

 本当なら正確な人数を、とも思ったけど、小雪を含めた人数になるからアリシアやソフィーからあとで詰め掛けられる気がしたのよね。うん、良い感じに誤魔化せたわ。

「それじゃあ次はー」
「まだあるんですか?」

 ソフィーが若干うんざりげに口を出した。その表情からは、早く帰って欲しそうな感情が読み取れる。

「当然じゃないですかー。皆、突然現れたシラユキちゃんが気になってしょうがないんですよ。結構多方面から、ボクの新聞を楽しみにしてるって、声が集まってますからね!」
「ふぅん、それはありがたいわね。でも1度で全て聞くのは勿体無いと思わない? こう言うのは焦らしつつ、何回かに分けてするものじゃないかしら」
「ふむ……たしかに! シラユキちゃんはこう言うことにも見識があるんだね。じゃあ、最後に1つだけ! これは一番聞いてほしいと要望の多かった物なんですけど、シラユキちゃんの生産スキルを可能な限り教えて下さい!」
「鍛治スキルが46、調合スキルは27、錬金術スキルが32ね」
「す、すっごい高いんですね。全部ベテランの域じゃないですか! 特に鍛治なんて玄人レベルですよ!?」
「そうねー、ドワーフの鍛冶場を数日ほど借りっぱなしにしたりもしたしねー」

 彼らは元気にしてるかしら。また火酒とか馬鹿なことしてなきゃ良いけど。

「まあでも、スキル値はあまり参考にしないほうが良いわね」
「どうしてです?」
「成長期だからね。記事にしている頃にはまたきっと、変動しているわ」
「上昇志向の塊ですねぇ。シラユキちゃんはどれほどの高みを目指してるのか掴めませんね」
「何言ってるの。当然、最大値の100よ」
『……』

 ほぼ全員が唖然としたが、構わず私はお茶を飲む。その所作が優雅だったためか、アリシアはすかさずシャッターを切るのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇


 変な空気になったところで取材はお開き。
 キャサリン先輩はフェリス先輩に首根っこを掴まれてドナドナされて行った。合間合間にオイルの作り方を教えていったつもりだけど、コツを掴むにはもう少し時間がかかりそうだし、先輩にはあと何回かレクチャーしてあげなきゃね。
 あと、モニカ先輩の魔法指導をフェリス先輩にはお願いしようかと思ってたんだけど、伝え損ねちゃったわね。それはまた今度でいっか。

 それから先輩の錬金釜は、しばらくの間このアトリエに置きっぱなしにすることになった。先輩にも扉の鍵は渡しておいたし、好きに使ってくれる事だろう。

「宜しかったのですか、お嬢様。あの方に写真をお渡しして」
「良いのよ、優雅に紅茶を飲む私が一面を飾るなら、アリだと思ったし。それに、学園新聞以外で使わないことを誓う誓約書も書かせたしね」
「信頼出来るのですか?」
「大丈夫よ。あの制約を破る事は、彼女のポリシーに反するわ」
「そうね、あの先輩は行動力の塊のような人だから、色々なところに首を突っ込んでは顰蹙を買っていたり嫌われたりしているけど、新聞に関わることだけは誠実よ。絶対に嘘は書かないし、新聞で交わした約束は違わない。それだけは、学園の全員が信用しているわ」
「そう言う事でしたら……」

 アリシアも納得してくれたみたい。
 膝の上のリリちゃんと、もたれ掛かるココナちゃんを撫で回しつつ、上を見ると満天の星空だ。
 取材が始まる段階で、既に夕日が差し込んでいたけれど、時間が経つのも早いわね。お腹も空いてきたし、そろそろお開きにしましょうか。

「明日は休みだし、皆私の部屋に泊まっていきなさい」
「良いの?」
「良いのです?」
「私達皆家族だもの。遠慮する必要はないわ」
「わーい!」
「は、はいなのです!」

 2人のカワイイ生き物を抱きしめて、全力で愛で倒した。

「最近は部屋に集まってはパーティーばかりね。嫌じゃないけど」
「賑やかで楽しいのは良いことではありませんか。ソフィア姉様」
「……そうね。以前までの生活とは、比べ物にもならないくらいだわ」
「2人とも、思い出に浸かるのもいいけど、悲しい顔は似合わないわ」
「「リーリエママ……」」
「ママのところにいらっしゃい」

 そういってママが姉妹を抱きしめる。私もママに抱きしめられたいけど、それは後ね。今はめいいっぱいこの子達を可愛がろう。


◇◇◇◇◇◇◇◇


 そうしてのんびりとした時間を過ごしたのち、皆を部屋に招待して楽しい時間を過ごした。途中、ダンジョンの話から素材、調合の話へと移り変わり、皆で調合をする事になったのは想像していなかったけれど。
 でも、リリちゃんやママにもその内教えたいと思っていたからちょうど良かったわ。

 ポルトを出てすぐの頃、私とアリシアが調合する風景を間近で見て来たからか、2人の飲み込みは早かった。あっという間にスキルは2まで上昇し、幾つかは作成を成功させていた。
 追加で教える必要がないくらいにはマスターしてしまったので、あとは反復練習をするだけだと伝えると、リリちゃんからカワイらしいお願いがあった。

「えっとね、リリね、あの時飲んだ甘い回復薬が欲しいの」
「あー、以前のアレね」

 洞窟で、リリちゃんのピンチから救った、甘く味付けをした回復薬。元々苦味が抑えられたレシピではあるけれど、どうせなら美味しく飲んでもらいたいと思って調整した物なのよね。
 思えばあれも、元のレシピをアレンジした、改変レシピになるのよね。だからこそ、作成難易度はちょっと高い。ある程度スキルが育っていないと、味も質もガタガタになるだろう。

「あれを作ろうとすると、やっぱりスキルは15くらい欲しいところね。効果はさておき、味が変になっちゃいそう……。それくらい微調整が難しいレシピだから」
「そうなんだ……。あのね、またお守りに欲しいなって。良いかな?」
「勿論よー。幾つ欲しい? 今は素材が潤沢にあるから、何本でも良いわよ!」
「じゃ、じゃあ5本ちょうだい」
「おっけー! 皆も欲しかったら言ってね」
「怪我した時の保険で何本かは持ち歩いてるけど、そんなに美味しいの?」
「美味しいと言うわけではないわ。ただ、苦味を抑えて甘味を追加したから飲みやすいってだけよ。あと、苦味は薬効成分でもあるから、多少回復量は落ちるわね。といっても差としては微々たるものだけど」

 一度に大量に作り、回復薬として瓶に5つ分詰め込んだら、残りはコップに注いで行く。

「はいリリちゃん」
「ありがとうお姉ちゃん!」
「気になる子はこれで味見してみてね」

 皆気になったのか、順番に回し飲みしていく。

「甘い回復薬……頭が混乱するわね」
「そうですね、でも思っていた以上に飲みやすいです」
「シラユキさん、これは蜂蜜ですか?」
「ええ、それとルミラムネの実の果汁ね」
「はわー、すごいのです。とっても飲みやすいのです」
「これから神聖魔法も学んでいくとしても、やっぱり保険は大事よね。効果もそうだけど、いざと言うときに苦い思いをするよりは美味しい方が飲みやすいわ。シラユキちゃん、ママにも2つほど貰えるかしら」
「私も欲しいわ」
「私もです」
「ココナも!」

 思っていたより好評だったので、結局1人につき2瓶ずつ渡すのだった。アリシアは何も言わなかったけど、欲しそうな顔をしていたのでちゃんと手渡ししたわ。

『ジュース感覚で飲んじゃったりしないかしら』
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