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第6章:魔法学園 授業革命編
第194話 『その日、新薬を公開した』
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お昼前だけど、アリシアの膝枕でお昼寝をした私は、元気いっぱいで目を覚ました。ソフィーと添い寝をしたり、リリちゃんとママを両手に抱えたり、アリスちゃんを抱き枕にするのも楽しいし嬉しいけど、アリシアに甘えて眠るのがやっぱり私の原点ね。
気力も体力も回復した気がするわ。
そして皆の魔法の成果だけど、今日の練習によって『スコアボード』の表示威力が大きく向上したみたい。全員もれなく800くらいは叩き出しているし、優秀な子達は1500。
ソフィーやアリスちゃん。ココナちゃんの3人に加えて、先生達は2500に迫る勢いだとか。フェリス先輩が2600ちょっとだったし、そろそろ追いつくかしら? でも先輩も頑張ってるだろうし、追い抜くのは難しいでしょうね。通常のボール魔法では、限界の数値も近い事だし。
そんなこんなで昼食の時間。
昨日は学外でレストランに入ったけれど、今日はクラスの皆で学食だ。教室からではなく演習場から直接向かうので、他の生徒達より早く到着するんじゃないかしら。まだスカスカな時間のはずだし、これだけ大人数で一気にやって来ても、そこまで迷惑はかからないでしょ。
ここの学食だけど、学生全員が利用しているわけではないようで、昨日の私みたいにわざわざ学外で食べる人や、お弁当を作ってお庭で食べる人も居るみたい。
アリシアお手製のお弁当は美味しいけれど、やっぱり学校で食べるなら学食よね。せっかくなら、お弁当はピクニックやダンジョンの中とかで食べたいものだわ。
それにこの学校で、お庭でお弁当を食べる子達ってどうやら特別仲の良いお友達や、カップルが殆どみたいだし。邪魔しちゃ悪いものね。
ちなみにその中に先輩達はいないらしい。
どうやら生徒会室で食べる事が殆どみたいね。だから学食に現れることは滅多に……。
「やっほー、シラユキちゃん」
「こんにちはシラユキちゃん、ソフィア達も」
……うん。その滅多が今らしい。
「フェリス姉様? 珍しい……」
「ええ、先輩達がここに居るなんて珍しいですね。……もしかして私に用事ですか?」
「そうなの。昨日言っていた件、報告も兼ねてね」
「なるほどー。じゃあ一緒に食べましょう!」
「ありがとう!」
それから皆で学食の注文をして、食堂の一角を占有する。皆が皆、今日の魔法授業や今後のダンジョン探索の件で盛り上がる中、私達もフェリス先輩の持ってきた報告を聞いていた。
「という訳で、昨日シラユキちゃんが希望していた通り、部室の錬金釜を外に出す許可は得られたわ。我が部の顧問の先生も、外に持って行く事が頻繁にあって、その前例があったからか……それともシラユキちゃんの功績からか、あっさりと認められたわ」
「それは良かったです。使い終わったら綺麗な状態で返却するという要項が効いたのかもしれないですね」
「そうね……。あの釜も貴重な物だから……」
「素材は手に入れたので、今度増やしておきますね」
「……え?」
私の言葉にフェリス先輩がフリーズした。
ソフィーとアリスちゃんは、最早慣れたのか耳を傾けてはいるものの、食事の手を止めることはなかった。アリシアは言わずもがな。
逆にモニカ先輩は話について行けていないのかよく分かっていないみたいだった。
「? よく分からないですが、シラユキさんはすごいのです!」
「ココナちゃんは良い子ねー」
素直でカワイイ子は好きよ。撫で撫で。
「……はっ。シ、シラユキちゃん。そう言えば聞いていなかったのだけれど、外で使う理由を聞いても良いかしら。顧問の先生にも聞いたことがあるんだけど、あの人は芸術の為だとかよく分からないことを仰って……」
あの人は相変わらずね。芸術は爆発だとか平気で言っちゃう人だから。……単に錬金術で間違った素材を放り込むと、素材同士が反発しあって秘められた力に応じて反作用が起きるのよね。それが爆発という現象で返ってくる。
まあ錬金術の技術を進歩させる為には試行錯誤がいるわけで、爆発も錬金術の一部とも言える。なんなら、試行錯誤の末に新しい物を追い求めていく姿こそが、本物の錬金術師に必要な物だとも言える。
ちょっと常軌を逸してるところがあるけど、間違ったことはしていないのよね。
「その人の場合は外でなら爆発しても威力が分散して、自分が死ににくいからとか、怒られないからとか、素材を集めたその場で作れるからというのがありそうですけど。……まあ私の場合、簡単にいうと完成品が大きなものになり得るからですね。何メートルもある物を作ろうとすると、あの部室じゃ狭過ぎますし」
「今度は一体何を作る訳? というか錬金術って、そんな大きな物も作れちゃうの?」
「もう、ソフィーったら。スコアボードだって例の先生が作った物なんだし、前例があるじゃない」
「あ、ほんとね。確かにそうだわ」
「……ではシラユキ姉様、スコアボードを作られるのですか?」
アリスちゃんの目が輝いている。
「1セット壊しちゃったからねー。せっかくだから改良型を作るわ」
「改良型……!」
「今の素材なら……うん。各属性の中型魔石があるんだし、弱くても5万までの数値が測れる物を作れそうね」
「5万って……そこまで必要?」
ソフィーが呆れた様に言う。
「えー。でもソフィーだって、私の本気ランスが幾つ出せるのか、知りたいでしょ?」
「それはまあ……そうね」
「あと、1セットだけなんてことは言わないわ。誰でも気軽に使える様に、10セットは学園に配備したいし、宮廷魔術師達にも3セット、冒険者ギルドと盗賊ギルドにも1セットずつ配備してあげたいわ」
「流石はお嬢様です」
「えへー」
「シ、シラユキちゃん! 作ってるところ、私も見に行って良いかしら?」
私の計画を聞いた先輩が、興奮した様に身を乗り出した。
本当に好きなのね。
「良いですよー。他にも色々作るので見に来てくださいね。あ、折角ですし、この後の選択授業も調合で指導するのですが、一緒に受けます? 何だか最近は、2年も3年の先輩も関係なく、授業を受けに来ているみたいですし」
そうなのだ。あまりにも私の始めた調合の授業が先進的過ぎて、本来は1年生向けの調合選択授業のはずが、今では3年生よりも進んだ調合士の集まりと化していたのだ。
現在の参加者は闘技場での試合効果もあってか300人を超え、生徒や先生、教授だけでなく卒業したOBまで授業を受けにくる状態らしい。今まではマイナーな選択授業だったのに、今では一番人気の選択授業だ。
まあ授業内容だけじゃなくて、『シラユキちゃんが教えている』っていうキャッチフレーズがあるからかもだけど。
◇◇◇◇◇◇◇◇
そんなこんなで食堂での賑やかな談笑も終わり、調合用の教室にやってきた。毎回大人数がやってくるせいか、1つの教室では生徒が入りきらないので、いつの間にやら巨大なぶち抜きの教室へと変貌していた。
うーん、仕事が早い。
ここに並ぶのはヒヨッコの調合士の卵から、国お抱えのVIPな調合士まで。いろんな人材が私の教えを受けたいがために集まってるのね。
ふふ、滾るわぁ。
今この場にいる人達は授業のために集まってくれているけれど、いつかは私のカワイイ講座を受ける人たちがこれくらいの人数集まってくれることを夢見て、頑張りましょうか!
「はい、ではこんな感じでポーションは出来上がりまーす」
『おおおお!!』
『パチパチパチパチ』
いつも通りの作る工程を見せつつ、新顔の人だけでなく常連の人からも感動の声が上がる。誰からとなく送られた拍手は皆を巻き込み盛大な音の波となって私の満足感を刺激する。
うーん、いつ聞いても気持ちのいいものね。ただ、今日はこれだけじゃないわ。
片手を上げて拍手を止める。
「さて、今日は気分がいいので、追加で2つ。新レシピを紹介しまーす!」
『ざわざわ』
「はいはーい、静かにねー。まず1つ目だけど、真似していいのは調合スキルが10に到達した人だけがする様に。10に到達してない状態で挑んでもほぼほぼ失敗するからねー」
本当はMAXスキル25とかだから、最大乖離20のスキル5から作れるんだけど……失敗し過ぎても自信失くすだけだもんね。
「という訳でスキル10に到達してる人は手を挙げてー」
手が挙がったのは、先生や教授、古参のOB達と……初日から教えている子達だ。全員ではないけれど、うちのクラスも半数ほどは手を挙げている。
うんうん、皆頑張ってるのね。シラユキちゃん嬉しくなっちゃう。
「はい、じゃあ今手を挙げた子達は優先的に前の席にいらっしゃい。そうでない子も、後ろからちゃんと見ておく様にねー」
後ろの方で目を輝かせていた教授達がいそいそと前にやってくる。ふふ、皆子供みたいに目を輝かせて、カワイイんだから。
「それじゃ、今から教えるのは皆大好き『魔力回復ポーション』よ。とーってもお手軽で簡単なレシピだから、リト草と同じく気軽に採取してきてねー」
クラスの皆には、少し前から予告していたおかげもあってか、緊張は孕んでいたものの静かに傾聴していた。逆に初めて聞く人達には、特に素材の部分が寝耳に水だった様で、飛び上がって驚いてくれていたが。
ふふ。
いつも通りテキパキと工程を進め、さっくりあっさり『魔力回復ポーション』を完成させる。
あまりに簡単に出来上がるモノだから、皆目が点になっている。
「……はい、出来たわ。アレン先生、鑑定をお願いします」
「任せてシラユキちゃん。……間違いなく『魔力回復ポーション』。それも高品質な物だわ!」
『おおおお!!』
『パチパチパチパチ!』
さっきよりも大ボリュームの拍手が部屋に響き渡る。
「リト草の時もそうだったけど、それ以上に破格の内容だわ! こんなに素晴らしいレシピを簡単に公開してしまって、シラユキちゃんの懐は痛まないの?」
「ご心配ありがとうございます。でも私の懐なんかより、皆の魔法使用頻度をあげて成長に繋がった方が嬉しいですから。なので沢山作って安価で配って、皆が気軽に飲める薬として流通してくれれば言うことありません」
「シラユキちゃん……なんて出来た子なの……!」
「はーい。こんな風にリト草のポーションと同じように作れるから、気軽にチャレンジしてみてねー」
『はい、シラユキ先生!!』
先生と言われたのが嬉しくて、次々と飛んでくる質問を答えていく。そして質問が途切れたあたりで次のレシピの公開へと移った。
「はい、それじゃ次のレシピを公開しまーす。最低スキルは20! 20の到達者は手を挙げてー」
この域まで来ると、流石に生徒から手が挙がる者はいない。アリシアを除けば、一部の教授と古参のOBくらい……おや?
「アラン先生も20になったんですか?」
「ええ! シラユキちゃんがリト草の秘匿レシピを誰にでも公開して良いって言ってくれたから、昨日はすごい人が来てくれたのよん! それで先生も見本になるよう沢山作っていたら、昨日20に到達したの!」
元々改良前の回復ポーションのレシピで、上がり切ったという話だったし、多分16から18くらいだったんでしょうね。
「おめでとうございます、アラン先生」
「ありがとうシラユキちゃん! 先生これからも頑張るわねん!」
くねくねと喜ぶアレン先生を讃えるように、沢山の人たちが拍手を送った。世間一般的にはスキル20もあれば中級から上級の薬剤師扱いだものね。これから私がそのボーダーを下げていくんだけど。
だって、元々才覚があったとは言え、素材が満足に集まらない中、王都に到着するまでにアリシアも一桁台から20まで上げ切ったんだもの。
素材が潤沢にある今の環境なら、誰だって1ヶ月あれば20まで上げられちゃうでしょうね。
誰でも1ヶ月片手間に頑張れば中級職人になれるだなんて、チョロい世界だわ。口には出さないけどね。
……まあ、1週間でスキルが0から10に到達したクラスの面々は、もう気付いてるでしょうけど。
「さて、スキル20到達者は10人にも満たない訳だけど……。アレン先生を皮切りに、これからどんどん増えていくと思うわ。それだけ私のレシピは扱いやすくて簡単だもの。だから皆も、他人事のように思わずいつか作れるものとして聞いて欲しいわ。……さて、素材は2種のに比べればレア度がちょっと高めだわ。初心者には手が出し辛い部類かもしれないけど、その分作れればそれだけありがたがられるモノだから、是非頑張ってほしいわ」
「それで? 今回はどんな薬のレシピを公開してくれるの?」
ソフィーが気になるのか、急かすように催促をする。
「前置きが長くなってしまったかしら。そうね、今から教えるのは簡易版『スタミナポーション』よ」
『おおおお!!!』
前に詰めかけていた人や貴族から驚きの声が漏れる。逆に、平民出身だったり一部の貴族の子達はそれが何だか分からないみたい。
まあ前衛職が戦いに使う物である分、あまり知られていないのかもね。
「知らない人もいるみたいだし、簡単に言えば飲めば体力がほぼ無尽蔵に湧いてくる不思議なお薬ね。聞いたところによると、私のレシピは既存の素材を半分以下に圧縮したものになるわ。だからといって効果が落ちるってことはないから安心してね。その分、今までのに比べると手間暇が掛かるので、ちゃんとついてくるように。それじゃ、早速実践していくわ」
上級ダンジョンでアリシアに見せたように、魔法の力を駆使して作成していく。言葉で説明するために所々ゆっくりと見せたりしつつも、失敗することなく工程を進める。
「大事なのはこの部分、注ぎ込む魔力の質と量によって完成後の効果が異なるわ。効果が高すぎると一般受けしないから私は加減をするけど、皆は全力でするように」
そうして完成した薬品をアレン先生に見てもらう。
「確認するわ……。これは……『強走薬』ですって!? 学園外のダンジョンで、稀に出土すると言われる『スタミナポーション』の高性能品だわん!!」
『うおおおお!!!』
ああ、ちゃんと世界に知られてる薬品だったか。良かった、劇薬ではなかったみたいで。……うん、でも今の反応から見て、アレはお蔵入り決定ね。
そう頷いていると、アリシアが隣にやってきた。
うん? なになに?
「にゅ?」
よくわかってない私を見てアリシアは微笑み、何も言わずに自分の調合器具を教卓に並べ始めた。そして用意を始めたのは、先ほど私が作り上げた、『スタミナポーション』のレシピ……。
あ、そっか!
「ごめんアリシア、忘れてたわ」
「ふふ、思い出していただけたのですね」
「うん。……はい注目ー! 今の作り方に疑問を感じた人もいたでしょう。私のやり方は、水魔法と風魔法の魔法スキルがそれなりに必要となるわ。数値にすると……まあ50くらいね」
場が静まり返る。まあ、流石にこの域に達しているのはアリシアと……ワンチャンフェリス先輩くらいのものね。
「だから今度は、今の製法をなるべく魔法初心者でも扱えるようアリシアが開発した方法も教えるわ。という訳でアリシア、よろしくー」
「お嬢様、私が開発したというのにはとてつもない語弊が……」
「いいからいいからー」
そう言って訂正しようとするアリシアの背を押す。
アリシアなら時間さえあれば気付いていた事だもの。だからアリシアが考えたと言っても過言ではないわ。……過言かな? まあどっちでも良いわ!
「……ごほん。では、私なりに調整した『スタミナポーション』の製造方法を発表します。ただしここでも制作時間短縮のために魔法を使用しますが、魔法を一切使用しない工程も同時に説明しますのでご安心を」
アリシアは慣れた手つきで『メキメキ草』を包丁で微塵切りにし、魔力水で揉み解す。私はアリシアが発した一字一句を、余す事なく黒板に書き写して行く。
そして昨日とは違い、エキスと『メキメキ草』の残骸の分離はスムーズにこなしている。あれからイメージトレーニングは欠かさなかったようね。そして魔法を使わない方法として、コーヒーフィルターを代表とした、異物を取り除く調理器具などを使用する代案も出してくれた。
調理器具を使う発想は私にはなかったわね。
そして『生命の木の実』は包丁で微塵切りにした後、すり鉢を取り出してゴリゴリと潰して行く。昨日は途中でその存在を思い出したのよね。私は普段技能的にすり鉢なんて使わないから、これまた発想自体無かったわ。
そうして薬効エキスと粉末を混ぜ合わせ、1本の薬品が完成した。アレン先生にもしっかりと確認してもらい、正式に『スタミナポーション』として認めて貰うと、アリシアに盛大な拍手が送られる。
私のアリシアが褒められるととっても嬉しいわね。鼻高々だわ。
そしてアリシアへの質問ラッシュが終えたところで私の新薬レシピ発表は終了。質問内容は主に『魔力を込める』という方法についてが多かったけれど、これは私の魔法授業を受ければ簡単にわかるけど、それ前提である事に気付いたので反省。しっかりと伝えておいた。
その説明を終え、最後に私とアリシアにもう一度大きな拍手が送られた。
そのお返しに私は参加者全員が使えるように『魔力水』の塊を部屋の各所に設置して、あとは授業が終わるまでアリシアとイチャイチャし続けるのだった。
『ここでも休めたようで良かったわ』
気力も体力も回復した気がするわ。
そして皆の魔法の成果だけど、今日の練習によって『スコアボード』の表示威力が大きく向上したみたい。全員もれなく800くらいは叩き出しているし、優秀な子達は1500。
ソフィーやアリスちゃん。ココナちゃんの3人に加えて、先生達は2500に迫る勢いだとか。フェリス先輩が2600ちょっとだったし、そろそろ追いつくかしら? でも先輩も頑張ってるだろうし、追い抜くのは難しいでしょうね。通常のボール魔法では、限界の数値も近い事だし。
そんなこんなで昼食の時間。
昨日は学外でレストランに入ったけれど、今日はクラスの皆で学食だ。教室からではなく演習場から直接向かうので、他の生徒達より早く到着するんじゃないかしら。まだスカスカな時間のはずだし、これだけ大人数で一気にやって来ても、そこまで迷惑はかからないでしょ。
ここの学食だけど、学生全員が利用しているわけではないようで、昨日の私みたいにわざわざ学外で食べる人や、お弁当を作ってお庭で食べる人も居るみたい。
アリシアお手製のお弁当は美味しいけれど、やっぱり学校で食べるなら学食よね。せっかくなら、お弁当はピクニックやダンジョンの中とかで食べたいものだわ。
それにこの学校で、お庭でお弁当を食べる子達ってどうやら特別仲の良いお友達や、カップルが殆どみたいだし。邪魔しちゃ悪いものね。
ちなみにその中に先輩達はいないらしい。
どうやら生徒会室で食べる事が殆どみたいね。だから学食に現れることは滅多に……。
「やっほー、シラユキちゃん」
「こんにちはシラユキちゃん、ソフィア達も」
……うん。その滅多が今らしい。
「フェリス姉様? 珍しい……」
「ええ、先輩達がここに居るなんて珍しいですね。……もしかして私に用事ですか?」
「そうなの。昨日言っていた件、報告も兼ねてね」
「なるほどー。じゃあ一緒に食べましょう!」
「ありがとう!」
それから皆で学食の注文をして、食堂の一角を占有する。皆が皆、今日の魔法授業や今後のダンジョン探索の件で盛り上がる中、私達もフェリス先輩の持ってきた報告を聞いていた。
「という訳で、昨日シラユキちゃんが希望していた通り、部室の錬金釜を外に出す許可は得られたわ。我が部の顧問の先生も、外に持って行く事が頻繁にあって、その前例があったからか……それともシラユキちゃんの功績からか、あっさりと認められたわ」
「それは良かったです。使い終わったら綺麗な状態で返却するという要項が効いたのかもしれないですね」
「そうね……。あの釜も貴重な物だから……」
「素材は手に入れたので、今度増やしておきますね」
「……え?」
私の言葉にフェリス先輩がフリーズした。
ソフィーとアリスちゃんは、最早慣れたのか耳を傾けてはいるものの、食事の手を止めることはなかった。アリシアは言わずもがな。
逆にモニカ先輩は話について行けていないのかよく分かっていないみたいだった。
「? よく分からないですが、シラユキさんはすごいのです!」
「ココナちゃんは良い子ねー」
素直でカワイイ子は好きよ。撫で撫で。
「……はっ。シ、シラユキちゃん。そう言えば聞いていなかったのだけれど、外で使う理由を聞いても良いかしら。顧問の先生にも聞いたことがあるんだけど、あの人は芸術の為だとかよく分からないことを仰って……」
あの人は相変わらずね。芸術は爆発だとか平気で言っちゃう人だから。……単に錬金術で間違った素材を放り込むと、素材同士が反発しあって秘められた力に応じて反作用が起きるのよね。それが爆発という現象で返ってくる。
まあ錬金術の技術を進歩させる為には試行錯誤がいるわけで、爆発も錬金術の一部とも言える。なんなら、試行錯誤の末に新しい物を追い求めていく姿こそが、本物の錬金術師に必要な物だとも言える。
ちょっと常軌を逸してるところがあるけど、間違ったことはしていないのよね。
「その人の場合は外でなら爆発しても威力が分散して、自分が死ににくいからとか、怒られないからとか、素材を集めたその場で作れるからというのがありそうですけど。……まあ私の場合、簡単にいうと完成品が大きなものになり得るからですね。何メートルもある物を作ろうとすると、あの部室じゃ狭過ぎますし」
「今度は一体何を作る訳? というか錬金術って、そんな大きな物も作れちゃうの?」
「もう、ソフィーったら。スコアボードだって例の先生が作った物なんだし、前例があるじゃない」
「あ、ほんとね。確かにそうだわ」
「……ではシラユキ姉様、スコアボードを作られるのですか?」
アリスちゃんの目が輝いている。
「1セット壊しちゃったからねー。せっかくだから改良型を作るわ」
「改良型……!」
「今の素材なら……うん。各属性の中型魔石があるんだし、弱くても5万までの数値が測れる物を作れそうね」
「5万って……そこまで必要?」
ソフィーが呆れた様に言う。
「えー。でもソフィーだって、私の本気ランスが幾つ出せるのか、知りたいでしょ?」
「それはまあ……そうね」
「あと、1セットだけなんてことは言わないわ。誰でも気軽に使える様に、10セットは学園に配備したいし、宮廷魔術師達にも3セット、冒険者ギルドと盗賊ギルドにも1セットずつ配備してあげたいわ」
「流石はお嬢様です」
「えへー」
「シ、シラユキちゃん! 作ってるところ、私も見に行って良いかしら?」
私の計画を聞いた先輩が、興奮した様に身を乗り出した。
本当に好きなのね。
「良いですよー。他にも色々作るので見に来てくださいね。あ、折角ですし、この後の選択授業も調合で指導するのですが、一緒に受けます? 何だか最近は、2年も3年の先輩も関係なく、授業を受けに来ているみたいですし」
そうなのだ。あまりにも私の始めた調合の授業が先進的過ぎて、本来は1年生向けの調合選択授業のはずが、今では3年生よりも進んだ調合士の集まりと化していたのだ。
現在の参加者は闘技場での試合効果もあってか300人を超え、生徒や先生、教授だけでなく卒業したOBまで授業を受けにくる状態らしい。今まではマイナーな選択授業だったのに、今では一番人気の選択授業だ。
まあ授業内容だけじゃなくて、『シラユキちゃんが教えている』っていうキャッチフレーズがあるからかもだけど。
◇◇◇◇◇◇◇◇
そんなこんなで食堂での賑やかな談笑も終わり、調合用の教室にやってきた。毎回大人数がやってくるせいか、1つの教室では生徒が入りきらないので、いつの間にやら巨大なぶち抜きの教室へと変貌していた。
うーん、仕事が早い。
ここに並ぶのはヒヨッコの調合士の卵から、国お抱えのVIPな調合士まで。いろんな人材が私の教えを受けたいがために集まってるのね。
ふふ、滾るわぁ。
今この場にいる人達は授業のために集まってくれているけれど、いつかは私のカワイイ講座を受ける人たちがこれくらいの人数集まってくれることを夢見て、頑張りましょうか!
「はい、ではこんな感じでポーションは出来上がりまーす」
『おおおお!!』
『パチパチパチパチ』
いつも通りの作る工程を見せつつ、新顔の人だけでなく常連の人からも感動の声が上がる。誰からとなく送られた拍手は皆を巻き込み盛大な音の波となって私の満足感を刺激する。
うーん、いつ聞いても気持ちのいいものね。ただ、今日はこれだけじゃないわ。
片手を上げて拍手を止める。
「さて、今日は気分がいいので、追加で2つ。新レシピを紹介しまーす!」
『ざわざわ』
「はいはーい、静かにねー。まず1つ目だけど、真似していいのは調合スキルが10に到達した人だけがする様に。10に到達してない状態で挑んでもほぼほぼ失敗するからねー」
本当はMAXスキル25とかだから、最大乖離20のスキル5から作れるんだけど……失敗し過ぎても自信失くすだけだもんね。
「という訳でスキル10に到達してる人は手を挙げてー」
手が挙がったのは、先生や教授、古参のOB達と……初日から教えている子達だ。全員ではないけれど、うちのクラスも半数ほどは手を挙げている。
うんうん、皆頑張ってるのね。シラユキちゃん嬉しくなっちゃう。
「はい、じゃあ今手を挙げた子達は優先的に前の席にいらっしゃい。そうでない子も、後ろからちゃんと見ておく様にねー」
後ろの方で目を輝かせていた教授達がいそいそと前にやってくる。ふふ、皆子供みたいに目を輝かせて、カワイイんだから。
「それじゃ、今から教えるのは皆大好き『魔力回復ポーション』よ。とーってもお手軽で簡単なレシピだから、リト草と同じく気軽に採取してきてねー」
クラスの皆には、少し前から予告していたおかげもあってか、緊張は孕んでいたものの静かに傾聴していた。逆に初めて聞く人達には、特に素材の部分が寝耳に水だった様で、飛び上がって驚いてくれていたが。
ふふ。
いつも通りテキパキと工程を進め、さっくりあっさり『魔力回復ポーション』を完成させる。
あまりに簡単に出来上がるモノだから、皆目が点になっている。
「……はい、出来たわ。アレン先生、鑑定をお願いします」
「任せてシラユキちゃん。……間違いなく『魔力回復ポーション』。それも高品質な物だわ!」
『おおおお!!』
『パチパチパチパチ!』
さっきよりも大ボリュームの拍手が部屋に響き渡る。
「リト草の時もそうだったけど、それ以上に破格の内容だわ! こんなに素晴らしいレシピを簡単に公開してしまって、シラユキちゃんの懐は痛まないの?」
「ご心配ありがとうございます。でも私の懐なんかより、皆の魔法使用頻度をあげて成長に繋がった方が嬉しいですから。なので沢山作って安価で配って、皆が気軽に飲める薬として流通してくれれば言うことありません」
「シラユキちゃん……なんて出来た子なの……!」
「はーい。こんな風にリト草のポーションと同じように作れるから、気軽にチャレンジしてみてねー」
『はい、シラユキ先生!!』
先生と言われたのが嬉しくて、次々と飛んでくる質問を答えていく。そして質問が途切れたあたりで次のレシピの公開へと移った。
「はい、それじゃ次のレシピを公開しまーす。最低スキルは20! 20の到達者は手を挙げてー」
この域まで来ると、流石に生徒から手が挙がる者はいない。アリシアを除けば、一部の教授と古参のOBくらい……おや?
「アラン先生も20になったんですか?」
「ええ! シラユキちゃんがリト草の秘匿レシピを誰にでも公開して良いって言ってくれたから、昨日はすごい人が来てくれたのよん! それで先生も見本になるよう沢山作っていたら、昨日20に到達したの!」
元々改良前の回復ポーションのレシピで、上がり切ったという話だったし、多分16から18くらいだったんでしょうね。
「おめでとうございます、アラン先生」
「ありがとうシラユキちゃん! 先生これからも頑張るわねん!」
くねくねと喜ぶアレン先生を讃えるように、沢山の人たちが拍手を送った。世間一般的にはスキル20もあれば中級から上級の薬剤師扱いだものね。これから私がそのボーダーを下げていくんだけど。
だって、元々才覚があったとは言え、素材が満足に集まらない中、王都に到着するまでにアリシアも一桁台から20まで上げ切ったんだもの。
素材が潤沢にある今の環境なら、誰だって1ヶ月あれば20まで上げられちゃうでしょうね。
誰でも1ヶ月片手間に頑張れば中級職人になれるだなんて、チョロい世界だわ。口には出さないけどね。
……まあ、1週間でスキルが0から10に到達したクラスの面々は、もう気付いてるでしょうけど。
「さて、スキル20到達者は10人にも満たない訳だけど……。アレン先生を皮切りに、これからどんどん増えていくと思うわ。それだけ私のレシピは扱いやすくて簡単だもの。だから皆も、他人事のように思わずいつか作れるものとして聞いて欲しいわ。……さて、素材は2種のに比べればレア度がちょっと高めだわ。初心者には手が出し辛い部類かもしれないけど、その分作れればそれだけありがたがられるモノだから、是非頑張ってほしいわ」
「それで? 今回はどんな薬のレシピを公開してくれるの?」
ソフィーが気になるのか、急かすように催促をする。
「前置きが長くなってしまったかしら。そうね、今から教えるのは簡易版『スタミナポーション』よ」
『おおおお!!!』
前に詰めかけていた人や貴族から驚きの声が漏れる。逆に、平民出身だったり一部の貴族の子達はそれが何だか分からないみたい。
まあ前衛職が戦いに使う物である分、あまり知られていないのかもね。
「知らない人もいるみたいだし、簡単に言えば飲めば体力がほぼ無尽蔵に湧いてくる不思議なお薬ね。聞いたところによると、私のレシピは既存の素材を半分以下に圧縮したものになるわ。だからといって効果が落ちるってことはないから安心してね。その分、今までのに比べると手間暇が掛かるので、ちゃんとついてくるように。それじゃ、早速実践していくわ」
上級ダンジョンでアリシアに見せたように、魔法の力を駆使して作成していく。言葉で説明するために所々ゆっくりと見せたりしつつも、失敗することなく工程を進める。
「大事なのはこの部分、注ぎ込む魔力の質と量によって完成後の効果が異なるわ。効果が高すぎると一般受けしないから私は加減をするけど、皆は全力でするように」
そうして完成した薬品をアレン先生に見てもらう。
「確認するわ……。これは……『強走薬』ですって!? 学園外のダンジョンで、稀に出土すると言われる『スタミナポーション』の高性能品だわん!!」
『うおおおお!!!』
ああ、ちゃんと世界に知られてる薬品だったか。良かった、劇薬ではなかったみたいで。……うん、でも今の反応から見て、アレはお蔵入り決定ね。
そう頷いていると、アリシアが隣にやってきた。
うん? なになに?
「にゅ?」
よくわかってない私を見てアリシアは微笑み、何も言わずに自分の調合器具を教卓に並べ始めた。そして用意を始めたのは、先ほど私が作り上げた、『スタミナポーション』のレシピ……。
あ、そっか!
「ごめんアリシア、忘れてたわ」
「ふふ、思い出していただけたのですね」
「うん。……はい注目ー! 今の作り方に疑問を感じた人もいたでしょう。私のやり方は、水魔法と風魔法の魔法スキルがそれなりに必要となるわ。数値にすると……まあ50くらいね」
場が静まり返る。まあ、流石にこの域に達しているのはアリシアと……ワンチャンフェリス先輩くらいのものね。
「だから今度は、今の製法をなるべく魔法初心者でも扱えるようアリシアが開発した方法も教えるわ。という訳でアリシア、よろしくー」
「お嬢様、私が開発したというのにはとてつもない語弊が……」
「いいからいいからー」
そう言って訂正しようとするアリシアの背を押す。
アリシアなら時間さえあれば気付いていた事だもの。だからアリシアが考えたと言っても過言ではないわ。……過言かな? まあどっちでも良いわ!
「……ごほん。では、私なりに調整した『スタミナポーション』の製造方法を発表します。ただしここでも制作時間短縮のために魔法を使用しますが、魔法を一切使用しない工程も同時に説明しますのでご安心を」
アリシアは慣れた手つきで『メキメキ草』を包丁で微塵切りにし、魔力水で揉み解す。私はアリシアが発した一字一句を、余す事なく黒板に書き写して行く。
そして昨日とは違い、エキスと『メキメキ草』の残骸の分離はスムーズにこなしている。あれからイメージトレーニングは欠かさなかったようね。そして魔法を使わない方法として、コーヒーフィルターを代表とした、異物を取り除く調理器具などを使用する代案も出してくれた。
調理器具を使う発想は私にはなかったわね。
そして『生命の木の実』は包丁で微塵切りにした後、すり鉢を取り出してゴリゴリと潰して行く。昨日は途中でその存在を思い出したのよね。私は普段技能的にすり鉢なんて使わないから、これまた発想自体無かったわ。
そうして薬効エキスと粉末を混ぜ合わせ、1本の薬品が完成した。アレン先生にもしっかりと確認してもらい、正式に『スタミナポーション』として認めて貰うと、アリシアに盛大な拍手が送られる。
私のアリシアが褒められるととっても嬉しいわね。鼻高々だわ。
そしてアリシアへの質問ラッシュが終えたところで私の新薬レシピ発表は終了。質問内容は主に『魔力を込める』という方法についてが多かったけれど、これは私の魔法授業を受ければ簡単にわかるけど、それ前提である事に気付いたので反省。しっかりと伝えておいた。
その説明を終え、最後に私とアリシアにもう一度大きな拍手が送られた。
そのお返しに私は参加者全員が使えるように『魔力水』の塊を部屋の各所に設置して、あとは授業が終わるまでアリシアとイチャイチャし続けるのだった。
『ここでも休めたようで良かったわ』
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1/19の20時の投稿で他サイトで投稿中のものに追いつきます。以後隔日で20:01頃投稿予定です。
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