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第6章:魔法学園 授業革命編
第187話 『その日、取引をした』
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王妃様達に魔法の基礎知識を詰め込み、3人とも満足の行くレベルで行使が出来る様になった段階で、お昼休みのチャイムがなる。
授業中に1時限目や2時限目のチャイムが鳴ったけど、誰一人として中断することなく魔法の鍛錬を続けてくれていた。
それもこれも、ストレスなく魔法を扱える様になった感動と、スムーズにスキルが成長していく悦びによって脳汁がドバドバ出たからと言うのが1つ。そしてもう1つが、低レベル帯においては最強の支援とも言えるシラユキちゃんの『自動MP回復(周囲全体)』のおかげだろう。
編入組には伝えていたけど、進級組には教えていなかったので、不思議に思う子達が出て来たところでカミングアウトした。彼らは驚きながらもシラユキちゃんだからと言うことで納得していたけど、教授や先生達にとっては爆弾発言だったみたい。
すっごい剣幕で詳細を教えてほしいと詰めかけて来たけど、他の子達に魔法を教えている最中だったし「内緒でーす」の一言で納得させた。
でもそっか、やっぱり魔法の授業で1番のネックは、生徒達の魔力枯渇か。ソフィー達に学ばせた様に、自己回復の技法を持っていれば大丈夫だけど、そもそも魔力を知覚すらままならない状況だからこそ、授業を必要としているのよね。
その辺りも今後何とかしていかなきゃ。忘れないうちにメモにでも残しておこう。
「はい、それじゃ皆お疲れ様! 今日で基礎は理解できたと思うから、あとは各々で修練に励みなさい。スキルが10に達したら他の属性に手を出しても良いけど、雷と氷だけは難易度が高いから、他の4属性を制覇してからにする様に。良いわね?」
『はい!』
「よろしい。では解散! ヨシュア君と先生はこっち来てー」
やって来た彼らに、今日はシラユキちゃんはこのまま帰ること。
調合に関しては、今日の練習で水魔法を安定して使える人が増えたから皆にお願いをしたいことを伝えた。更に、練度の低い水魔法を使うことで薬効が溶け出す時間は伸びる分難易度は上がるけど、それが練習にもなるし知識にもなるから試してみる様にとも伝える。
モリスン先生も、調合学科の授業では私が既に先生として活躍していること。更には調合学科の学園長やアラン先生から、私が授業に出なくても出席扱いとする破格の待遇を受けている事を知っているので、特に何も言われなかった。
彼らが離れたところで、ソフィーとアリスちゃん、ココナちゃんがやってくる。
「シラユキ」
「なあに?」
「その用事は私もついて行った方がいい?」
「ううん、平気よ。悪いけど、皆のお世話をお願いね」
「わかったわ。ちゃんと、私も調合を完璧に仕上げてみせるんだから」
「頑張ってね」
それぞれをハグで応援して、お別れする。
アリシアと2人っきりになったところで影からナンバーズが現れる。
「エイゼル、返答は」
「すぐに向かうとの事でした」
エイゼルの答えに満足し、アリシアと腕を組む。
「よし。それじゃ、行きましょアリシア」
「はい、お嬢様」
皆が食堂に向かう中、私達は私服に着替えるため学生寮へと向った。
……着替えると言っても、アリシアはいつでもどこでもメイド服なので、着替えが必要なのはシラユキちゃんだけだけど。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「シラユキちゃん!」
着替えを終えた私達は、道すがら聞き覚えのある声に呼び止められた。
今回は王城へ向かうのではなく、市街地に向かうので、素直に高等部側の門を目指していたんだけど、まさかこっちのルートでも見つかるだなんてね。
振り向くとそこには、笑顔の眩しいフェリス先輩がいた。
「あら先輩、こんにちはー」
「こんにちはシラユキちゃん。お出かけの所呼び止めちゃって申し訳ないわ。少し時間を頂けるかしら?」
「良いですよ、多少遅れたところで問題はありませんから。それで、どうされました?」
「私もお話ししたいことはあるけれど、まずはこっちからね」
そう言ってフェリス先輩が退くと、現れたのは半ば隠れていたモニカ先輩。
「ごめんなさい!!」
「えっ」
モニカ先輩は目が合うとすぐに、勢いよく頭を下げた。
何のことだか分からない私は、混乱した。
「ど、どうしたんですか、モニカ先輩。何に対して謝っているんです?」
「……決闘の日、喧嘩腰になってしまった事よ」
「……?」
……あ、ああ~。
そう言えばそんな事も、あったような、なかったような~。
そういえばモニカ先輩とは喧嘩腰になっちゃったんだっけ。うん、思い出した。
シラユキちゃん、あの日から幸せな感情に包まれてたから、正直今の今まで忘れていたと言うか。何ならあの日少し下がったモニカ先輩の評価も、知らぬ間に元通りになっていたわ。
きっと怒涛の幸せイベントのおかげで、その日の悪い流れ全部記憶から消え去って、リセットされちゃっていたのね。
そんな風に自分の記憶を掘り返していると、黙っている私の空気から更に頭を下げた先輩から、謝罪の言葉が漏れる。
「言い訳に聞こえるかもしれないけれど、先週悪漢に襲われた時に見せたシラユキちゃんの怯える姿が、私の目には戦う力のないか弱い存在なんだと思わせたの。あれも周囲を騙す為の演技だと説明を受けたけど、情けないことに私もすっかり騙されてしまったわ。本当にごめんなさい……」
それはつまり、か弱い私がカワイ過ぎて、庇護欲を掻き立てられたって事よね? なら仕方ないわね、カワイイシラユキちゃんに騙されたのなら……。
判決、無罪!
「わかりました、受け入れます」
「本当に? ありがとう、シラユキちゃん」
「私も売り言葉に買い言葉でしたし、あの件はお互い様という事で手打ちにしましょう」
本当は忘れていたんだけど、言わずが花かな。
アリシアには当然看破されてるんだろうけど。
「シラユキちゃんはあんなに強いのに、本当におくびにも出さない良い子なのね」
「それってカワイイって事ですか?」
「ふふ。ええ、とっても」
「えへー」
褒められちゃった。
「シラユキちゃんには許してもらえたけど、私はリスフィーとの約束を破ってしまった訳だし、何か償いをしたいわ。シラユキちゃん、私に手伝える事、何かないかしら」
「あー……それなら幾つかあるんですけど」
「何でも言って。出来る事なら全部するわ」
「それじゃあお言葉に甘えて。えっとですねー」
考えていたお願い事を説明する。モニカ先輩は、その内容に驚きこそすれ、二つ返事で了承してくれた。
「色々とやりたい事はあっても、信頼出来る実力者って中々いなかったので、助かります」
「これくらいお安い御用よ」
「あ、それと……だいぶ先のお話になるんですけど。錬金術で作る製品で、実験台になって欲しいモノがあります」
「じ、実験!?」
今までの笑顔はどこへやら。モニカ先輩は警戒する様半歩下がった。
……言い方が悪かったかな?
でも実験だしなぁ。
「それってどういうモノか教えてもらえるのかしら……」
「はい。詳細は直前になりますが、成功すればモニカ先輩は幸せ間違いなしですね!」
「怪しい裏路地の露天商みたいな台詞ね……」
「ふふ。先輩、ちょっとこちらへ」
アリシアにスキルと聞き耳禁止を言い渡し、モニカ先輩を校舎の陰まで連れて行く。どこに耳があるかわかったもんじゃないしね。
更には『アースウォール』と『ウィンドウォール』で物理的な壁と音を遮断する不可視の壁の二重防壁を作る。
この計画が漏れては色々と大変だもの。
「げ、厳重なのね」
「それくらい秘儀中の秘儀ですから」
一度呼吸をして間を置く。
「先輩は、フェリス先輩と……結婚したいですか?」
◇◇◇◇◇◇◇◇
モニカ先輩との密談を終え、アリシアと私服デートを楽しむ。と言っても、学校の選択授業をソフィー達に任せて遊び呆けてる訳ではなく、とある場所へと一直線に向かっていた。
目的地に到着すると、燕尾服の男性と目が合う。彼は私達の到着を待っていた様で、恭しく頭を下げた。
「シラユキ様、アリシア様。この度は御来店、誠にありがとうございます。お連れ様が中でお待ちです。当店自慢のランチセット、どうかごゆるりとご堪能ください」
ここは全部屋個室の料理店。王都の中でも一際グレードの高いお店ではあるが、シラユキちゃんの財源的には何の問題もない。と思う。
だってお財布は完全にアリシア任せだから、今一体いくら貯蓄があるのかさっぱりなのだ。ギルドや陛下からの報酬も、先日の公爵家から支払われた魔法書の代金も、全部シラユキちゃん完全ノータッチ。
他の人ならまだしも、アリシアならば無駄遣いなんてしないだろうし、問題ないと思っている。使うにしても食材や消耗品くらいのもので、それ以外買い物してる姿は見たことがないもん。
そんな彼女から財布を借りるのは、月に一度アリシアに例のお給料を手渡しする時くらいだ。
前に確認した時は、目を疑うくらいの大金貨や白金貨が混在していた。ママが見たら卒倒するレベルの。
だから今回の食事も、散財ではないと思いたい。
「お嬢様、何一つ心配されることはありません」
店員に店の一番奥へと案内される傍ら、アリシアにそっと耳打ちされる。アリシアがそう言うなら、問題なさそうね。うん。
扉を開けると、こちらに背を向けて座る、先客がいた。
靴ではなく草履を履き、一張羅は草臥れた着物、腰には愛刀、高級な洋風の店では一際浮き立つその姿は珍妙そのもの。個室ではなく普通のお店だったなら、きっと注目の的だったわね。見た目の奇異性だけでなく、その強さが原因で。
ナンバーズからの情報によると、あの戦いで色んな貴族が彼に声をかけるため、彼の泊まる宿に突撃されたみたいだけど、彼はそれらを全て突っぱねているらしい。
そう言う誰かの下につくのって、苦手そうだもんねー。かくいう私も苦手だけど。命令とかされたくないわ。
「やっほー神丸。待たせたかしら」
「おお、女王か。お主とはゆっくり語り合いたいとも思っておったしな。その上、奢りと聞いたからには馳せ参じぬ訳にはいかん。待たされるのも一興よ」
「相変わらずね神丸。男なら、ここは今来たばかりと気を使うものよ」
「む、そうなのか? 女子は面妖な言い回しを望むのだな……」
「ふふ、ほんとよね」
店員に従い奥の席へと着座すると同時にナンバーズを呼ぶ。
「お呼びでしょうか」
「せっかくだからあなた達も食べていきなさい。いつも携帯食だと味気ないでしょ」
ドライは戸惑う様にエイゼルの顔色を伺うが、ツヴァイは即座に行動した。
「ご馳走になります、シラユキ様」
そう言ってツヴァイはアリシアとは逆側の、私の隣に座る。ツヴァイは良い子ねー。なでなで。
「神丸殿。相席、良いだろうか」
「おお、エイゼル殿か。女王が許すのであれば、某は構わぬぞ」
「では失礼して」
神丸の呼び出しに、さっきエイゼルへお使いを頼んだんだけど、この互いを認め合っているかの様な大人の空気感……。あんた達、絶対一悶着あったでしょ?
ツヴァイやドライだと腕前的に無理があっただろうし、人選は間違っていなかったようね。ふふん。
「んじゃ俺も。いやあ、まさか俺達にも奢ってくれるなんて、俺達の主人は太っ腹だなぁ!」
その瞬間、場の空気が凍った。
「……は?? 誰が太ってるって? ぶっ殺すわよ?」
『威圧』『重圧』『剣圧』の三重奏がドライを襲う。
部屋が軋み、窓ガラスはガタガタと悲鳴をあげる。
「「「ドライ!!」」」
「ひっ、す、すいません! 懐が広いって意味っす! 他意はありません!!」
「……なら良いのよ。それなら最初からそう言いなさい」
「「「「ほっ……」」」」
ドライは戦々恐々といった様子だが、神丸は愉快そうにカラカラ笑っている。そしてまるで関係のない店員さんは、とばっちりを受けた様で、心なしか足が震えている様に見えた。
「という訳で店員さん。おすすめのランチセット、6人前お願いね」
「はいっ、ただいま!」
店員さんが出て行くのを見守り、改めて内緒話を始める。
神丸をここに呼び出したのは、他の人の耳に入れないためだ。
「さ、食事が来る前にお話を済ませちゃいましょうか」
「うむ。それで、今日は何用なのだ女王よ」
「いやー、ちょっと神丸と取引しようかなーと思って」
「ほう、女王が某と? 請け負うかは報酬次第ではあるが、前回ほど金には困っておらんぞ。かの男からは、負けたというのにたっぷりと餞別を貰ったのでな」
「そうなんだ? レオン君は金払いが良いのね」
この言い方からして、前払いのお金とは別にももらっているみたいね。
「まあ私が提示するのは金銭じゃないわ。私でないと出来ないことを提示するつもりよ」
「……聞こう」
「今から幾つか選択肢を提示するから、どれか1つでも良いし、複数でも構わないわ。その代わり、複数選ぶ様ならそれ相応に働いてもらうけど」
一呼吸置く。
神丸もそうだけど、皆、私がどんな条件を出すのか気になるみたいね。エイゼルはいつもの能面みたいな無表情だけど、視線はしっかりこちらへと向けられている。
「1つ目。私との再戦権利よ。それもただの再戦権利では無いわ。私の用意出来る最高の環境での戦いを保証する」
「環境、であるか。具体的にはどの様な?」
「神丸の故郷にも、闘技場にあった様な対戦型のフィールドはあった?」
「うむ。名称は多少違うが、『三式』という」
「『決戦戦場三式』?」
「うむ。流石女王だな、存じておったか」
「お嬢様、それはどの様な……?」
「簡単に言えばコッチで言う『V』がそのまま向こうでは『式』と言われてる様なものね。王国はV2。だから、和国の方が性能は1段階上と言うことね。神丸も、慣れてるタイプと比べて型落ちだと動きにくかったでしょ?」
Vの値に応じて、参加者のステータス反映具合にも誤差が生じる。言うなれば、高レベルや高ステータスを持っている人を、バージョンの低い魔道具では再現しきれないのだ。
しかもそれが『決戦シリーズ』であれば参加人数も膨大。感覚のズレは参加人数によって加速度的に増加する。
「多少の違和感があったが、それは女王も同じことであろう。ハンデとは思わぬさ」
と神丸は言うが、普段から本気を出さないシラユキちゃんにとって、あの程度大した枷では無かった。
うん、やっぱりフェアでは無い。
「ちょっと先になるけど、素材が集まればV4からV5を作る予定なのよね。それも、集団戦用の『決戦』型ではなくて、個人戦闘用の『決闘』型をね。1対1の集中型だからV4以上となれば誤差なんてなくなるし、便利な機能も付けられるのよね」
「造る……? 女王はあの道具を生み出す知識を有しておるのか!?」
「ええ。という訳でコレが1個目ね。2個目は貴方の道具の事よ」
「某の?」
「そ。決闘の時に特別製の『海神水』を使ったでしょ? 確か4本くらい使っていたかしら。あれって無限に用意出来る様な代物じゃ無いでしょ。補充するには故郷に一度戻らないといけないレベルで」
「『海神水』まで知っておるとは。やはり女王も扱えるのだな」
口にはしないけど、神丸が言っているのは『神命濁流術』の事よね。勿論使えるわ。あの流派、格好良いもの。
まあ、今の私じゃせいぜい肆之太刀から伍之太刀までが限度だけど。……うーん、発動を要するスキル値的に『濁龍剣』はギリギリ打てるかな?
「再戦も心くすぐられるが、女王の言う通り『海神水』は切実な問題ではあった。女王には敗れはしたが、あの技は某の切り札ゆえな。旅の最中で使ったこともあり、今手元にあるのはたったの4本でな。心許なかったのは確かだ」
「その『海神水』を提供してあげる。時間はかかるけど、10本以上用意することも可能よ」
「おお……!」
まあ私が使わせちゃったからには、補填をするのも吝かではなかったのよね。ただ、無償で渡すには神丸は惜しい人材だし。手伝って貰えれば万々歳。
けど、もし断られても難癖つけて渡すつもりではあったのよね。死なれちゃ困るし。
「そして最後。3個目はこのアイテムの譲渡ね」
そう言って、懐から光り輝く液体入りの瓶を取り出す。
「これは……!!」
それは先日作ってしまった、シラユキちゃん印の超性能な聖水だった。
「あんたって、侍の技術を用いた妖魔払いとかもしていたのよね? それなら、コレがどれだけの一品かは見ればわかるでしょ?」
「……うむ。今までの選択肢も非常に魅力的だったが、これは群を抜いて欲しい。何でも言ってくれ女王よ、これが手に入るなら、某は何でもしよう」
「あら、そう?」
まさかここまで食いつくとは。なんならコレ……今手元で扱いに困ってる割に数だけは沢山あるから前払いにポンと手渡ししようか事前まで悩んでたのに。
そっか、この聖水。神丸からしてもそれほどの逸品なのね。扱いには気をつけよう……。
「それで、某に何をさせたいのだ?」
「うん、それはねー……」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「……ん? はぁ!?」
「何だ急に素っ頓狂な声を上げて。はしたないぞ」
シラユキに頼まれた通りに、調合の授業の手伝いをしていたソフィアは、飛び込んできた情報に目を疑った。
「……あの子、何やってんのよ」
呟きはグレンに届くことはなく、代わりに近くで同様に驚いていたアリスの耳に届いていた。
「まあ何でも良いが。それよりもソフィア、こちらにも『ウォーターボール』を回してくれ。俺では水は出せんからな」
「……グレン兄様。シラユキ姉様に教わったんですから、それくらい自分で何とかしてください」
「ア、アリス? それは無茶じゃないか?」
「そうでしょうか?」
「俺は火と土と風を使っていたから、水はまだ手が出せていないんだぞ。先程手ほどきを受けたとは言え、すぐに用意出来るわけが……」
「……知りません」
シラユキにフラれて少し己を見直したとは言え、まだ俺様態度が見え隠れするグレンに、アリスは冷たくあしらう。そんな事よりもアリスは、ソフィアと同じく更新されたパーティーリストを見て、混乱の只中にいた。
シラユキ姉様は、一体何をしているのでしょう。
授業中に1時限目や2時限目のチャイムが鳴ったけど、誰一人として中断することなく魔法の鍛錬を続けてくれていた。
それもこれも、ストレスなく魔法を扱える様になった感動と、スムーズにスキルが成長していく悦びによって脳汁がドバドバ出たからと言うのが1つ。そしてもう1つが、低レベル帯においては最強の支援とも言えるシラユキちゃんの『自動MP回復(周囲全体)』のおかげだろう。
編入組には伝えていたけど、進級組には教えていなかったので、不思議に思う子達が出て来たところでカミングアウトした。彼らは驚きながらもシラユキちゃんだからと言うことで納得していたけど、教授や先生達にとっては爆弾発言だったみたい。
すっごい剣幕で詳細を教えてほしいと詰めかけて来たけど、他の子達に魔法を教えている最中だったし「内緒でーす」の一言で納得させた。
でもそっか、やっぱり魔法の授業で1番のネックは、生徒達の魔力枯渇か。ソフィー達に学ばせた様に、自己回復の技法を持っていれば大丈夫だけど、そもそも魔力を知覚すらままならない状況だからこそ、授業を必要としているのよね。
その辺りも今後何とかしていかなきゃ。忘れないうちにメモにでも残しておこう。
「はい、それじゃ皆お疲れ様! 今日で基礎は理解できたと思うから、あとは各々で修練に励みなさい。スキルが10に達したら他の属性に手を出しても良いけど、雷と氷だけは難易度が高いから、他の4属性を制覇してからにする様に。良いわね?」
『はい!』
「よろしい。では解散! ヨシュア君と先生はこっち来てー」
やって来た彼らに、今日はシラユキちゃんはこのまま帰ること。
調合に関しては、今日の練習で水魔法を安定して使える人が増えたから皆にお願いをしたいことを伝えた。更に、練度の低い水魔法を使うことで薬効が溶け出す時間は伸びる分難易度は上がるけど、それが練習にもなるし知識にもなるから試してみる様にとも伝える。
モリスン先生も、調合学科の授業では私が既に先生として活躍していること。更には調合学科の学園長やアラン先生から、私が授業に出なくても出席扱いとする破格の待遇を受けている事を知っているので、特に何も言われなかった。
彼らが離れたところで、ソフィーとアリスちゃん、ココナちゃんがやってくる。
「シラユキ」
「なあに?」
「その用事は私もついて行った方がいい?」
「ううん、平気よ。悪いけど、皆のお世話をお願いね」
「わかったわ。ちゃんと、私も調合を完璧に仕上げてみせるんだから」
「頑張ってね」
それぞれをハグで応援して、お別れする。
アリシアと2人っきりになったところで影からナンバーズが現れる。
「エイゼル、返答は」
「すぐに向かうとの事でした」
エイゼルの答えに満足し、アリシアと腕を組む。
「よし。それじゃ、行きましょアリシア」
「はい、お嬢様」
皆が食堂に向かう中、私達は私服に着替えるため学生寮へと向った。
……着替えると言っても、アリシアはいつでもどこでもメイド服なので、着替えが必要なのはシラユキちゃんだけだけど。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「シラユキちゃん!」
着替えを終えた私達は、道すがら聞き覚えのある声に呼び止められた。
今回は王城へ向かうのではなく、市街地に向かうので、素直に高等部側の門を目指していたんだけど、まさかこっちのルートでも見つかるだなんてね。
振り向くとそこには、笑顔の眩しいフェリス先輩がいた。
「あら先輩、こんにちはー」
「こんにちはシラユキちゃん。お出かけの所呼び止めちゃって申し訳ないわ。少し時間を頂けるかしら?」
「良いですよ、多少遅れたところで問題はありませんから。それで、どうされました?」
「私もお話ししたいことはあるけれど、まずはこっちからね」
そう言ってフェリス先輩が退くと、現れたのは半ば隠れていたモニカ先輩。
「ごめんなさい!!」
「えっ」
モニカ先輩は目が合うとすぐに、勢いよく頭を下げた。
何のことだか分からない私は、混乱した。
「ど、どうしたんですか、モニカ先輩。何に対して謝っているんです?」
「……決闘の日、喧嘩腰になってしまった事よ」
「……?」
……あ、ああ~。
そう言えばそんな事も、あったような、なかったような~。
そういえばモニカ先輩とは喧嘩腰になっちゃったんだっけ。うん、思い出した。
シラユキちゃん、あの日から幸せな感情に包まれてたから、正直今の今まで忘れていたと言うか。何ならあの日少し下がったモニカ先輩の評価も、知らぬ間に元通りになっていたわ。
きっと怒涛の幸せイベントのおかげで、その日の悪い流れ全部記憶から消え去って、リセットされちゃっていたのね。
そんな風に自分の記憶を掘り返していると、黙っている私の空気から更に頭を下げた先輩から、謝罪の言葉が漏れる。
「言い訳に聞こえるかもしれないけれど、先週悪漢に襲われた時に見せたシラユキちゃんの怯える姿が、私の目には戦う力のないか弱い存在なんだと思わせたの。あれも周囲を騙す為の演技だと説明を受けたけど、情けないことに私もすっかり騙されてしまったわ。本当にごめんなさい……」
それはつまり、か弱い私がカワイ過ぎて、庇護欲を掻き立てられたって事よね? なら仕方ないわね、カワイイシラユキちゃんに騙されたのなら……。
判決、無罪!
「わかりました、受け入れます」
「本当に? ありがとう、シラユキちゃん」
「私も売り言葉に買い言葉でしたし、あの件はお互い様という事で手打ちにしましょう」
本当は忘れていたんだけど、言わずが花かな。
アリシアには当然看破されてるんだろうけど。
「シラユキちゃんはあんなに強いのに、本当におくびにも出さない良い子なのね」
「それってカワイイって事ですか?」
「ふふ。ええ、とっても」
「えへー」
褒められちゃった。
「シラユキちゃんには許してもらえたけど、私はリスフィーとの約束を破ってしまった訳だし、何か償いをしたいわ。シラユキちゃん、私に手伝える事、何かないかしら」
「あー……それなら幾つかあるんですけど」
「何でも言って。出来る事なら全部するわ」
「それじゃあお言葉に甘えて。えっとですねー」
考えていたお願い事を説明する。モニカ先輩は、その内容に驚きこそすれ、二つ返事で了承してくれた。
「色々とやりたい事はあっても、信頼出来る実力者って中々いなかったので、助かります」
「これくらいお安い御用よ」
「あ、それと……だいぶ先のお話になるんですけど。錬金術で作る製品で、実験台になって欲しいモノがあります」
「じ、実験!?」
今までの笑顔はどこへやら。モニカ先輩は警戒する様半歩下がった。
……言い方が悪かったかな?
でも実験だしなぁ。
「それってどういうモノか教えてもらえるのかしら……」
「はい。詳細は直前になりますが、成功すればモニカ先輩は幸せ間違いなしですね!」
「怪しい裏路地の露天商みたいな台詞ね……」
「ふふ。先輩、ちょっとこちらへ」
アリシアにスキルと聞き耳禁止を言い渡し、モニカ先輩を校舎の陰まで連れて行く。どこに耳があるかわかったもんじゃないしね。
更には『アースウォール』と『ウィンドウォール』で物理的な壁と音を遮断する不可視の壁の二重防壁を作る。
この計画が漏れては色々と大変だもの。
「げ、厳重なのね」
「それくらい秘儀中の秘儀ですから」
一度呼吸をして間を置く。
「先輩は、フェリス先輩と……結婚したいですか?」
◇◇◇◇◇◇◇◇
モニカ先輩との密談を終え、アリシアと私服デートを楽しむ。と言っても、学校の選択授業をソフィー達に任せて遊び呆けてる訳ではなく、とある場所へと一直線に向かっていた。
目的地に到着すると、燕尾服の男性と目が合う。彼は私達の到着を待っていた様で、恭しく頭を下げた。
「シラユキ様、アリシア様。この度は御来店、誠にありがとうございます。お連れ様が中でお待ちです。当店自慢のランチセット、どうかごゆるりとご堪能ください」
ここは全部屋個室の料理店。王都の中でも一際グレードの高いお店ではあるが、シラユキちゃんの財源的には何の問題もない。と思う。
だってお財布は完全にアリシア任せだから、今一体いくら貯蓄があるのかさっぱりなのだ。ギルドや陛下からの報酬も、先日の公爵家から支払われた魔法書の代金も、全部シラユキちゃん完全ノータッチ。
他の人ならまだしも、アリシアならば無駄遣いなんてしないだろうし、問題ないと思っている。使うにしても食材や消耗品くらいのもので、それ以外買い物してる姿は見たことがないもん。
そんな彼女から財布を借りるのは、月に一度アリシアに例のお給料を手渡しする時くらいだ。
前に確認した時は、目を疑うくらいの大金貨や白金貨が混在していた。ママが見たら卒倒するレベルの。
だから今回の食事も、散財ではないと思いたい。
「お嬢様、何一つ心配されることはありません」
店員に店の一番奥へと案内される傍ら、アリシアにそっと耳打ちされる。アリシアがそう言うなら、問題なさそうね。うん。
扉を開けると、こちらに背を向けて座る、先客がいた。
靴ではなく草履を履き、一張羅は草臥れた着物、腰には愛刀、高級な洋風の店では一際浮き立つその姿は珍妙そのもの。個室ではなく普通のお店だったなら、きっと注目の的だったわね。見た目の奇異性だけでなく、その強さが原因で。
ナンバーズからの情報によると、あの戦いで色んな貴族が彼に声をかけるため、彼の泊まる宿に突撃されたみたいだけど、彼はそれらを全て突っぱねているらしい。
そう言う誰かの下につくのって、苦手そうだもんねー。かくいう私も苦手だけど。命令とかされたくないわ。
「やっほー神丸。待たせたかしら」
「おお、女王か。お主とはゆっくり語り合いたいとも思っておったしな。その上、奢りと聞いたからには馳せ参じぬ訳にはいかん。待たされるのも一興よ」
「相変わらずね神丸。男なら、ここは今来たばかりと気を使うものよ」
「む、そうなのか? 女子は面妖な言い回しを望むのだな……」
「ふふ、ほんとよね」
店員に従い奥の席へと着座すると同時にナンバーズを呼ぶ。
「お呼びでしょうか」
「せっかくだからあなた達も食べていきなさい。いつも携帯食だと味気ないでしょ」
ドライは戸惑う様にエイゼルの顔色を伺うが、ツヴァイは即座に行動した。
「ご馳走になります、シラユキ様」
そう言ってツヴァイはアリシアとは逆側の、私の隣に座る。ツヴァイは良い子ねー。なでなで。
「神丸殿。相席、良いだろうか」
「おお、エイゼル殿か。女王が許すのであれば、某は構わぬぞ」
「では失礼して」
神丸の呼び出しに、さっきエイゼルへお使いを頼んだんだけど、この互いを認め合っているかの様な大人の空気感……。あんた達、絶対一悶着あったでしょ?
ツヴァイやドライだと腕前的に無理があっただろうし、人選は間違っていなかったようね。ふふん。
「んじゃ俺も。いやあ、まさか俺達にも奢ってくれるなんて、俺達の主人は太っ腹だなぁ!」
その瞬間、場の空気が凍った。
「……は?? 誰が太ってるって? ぶっ殺すわよ?」
『威圧』『重圧』『剣圧』の三重奏がドライを襲う。
部屋が軋み、窓ガラスはガタガタと悲鳴をあげる。
「「「ドライ!!」」」
「ひっ、す、すいません! 懐が広いって意味っす! 他意はありません!!」
「……なら良いのよ。それなら最初からそう言いなさい」
「「「「ほっ……」」」」
ドライは戦々恐々といった様子だが、神丸は愉快そうにカラカラ笑っている。そしてまるで関係のない店員さんは、とばっちりを受けた様で、心なしか足が震えている様に見えた。
「という訳で店員さん。おすすめのランチセット、6人前お願いね」
「はいっ、ただいま!」
店員さんが出て行くのを見守り、改めて内緒話を始める。
神丸をここに呼び出したのは、他の人の耳に入れないためだ。
「さ、食事が来る前にお話を済ませちゃいましょうか」
「うむ。それで、今日は何用なのだ女王よ」
「いやー、ちょっと神丸と取引しようかなーと思って」
「ほう、女王が某と? 請け負うかは報酬次第ではあるが、前回ほど金には困っておらんぞ。かの男からは、負けたというのにたっぷりと餞別を貰ったのでな」
「そうなんだ? レオン君は金払いが良いのね」
この言い方からして、前払いのお金とは別にももらっているみたいね。
「まあ私が提示するのは金銭じゃないわ。私でないと出来ないことを提示するつもりよ」
「……聞こう」
「今から幾つか選択肢を提示するから、どれか1つでも良いし、複数でも構わないわ。その代わり、複数選ぶ様ならそれ相応に働いてもらうけど」
一呼吸置く。
神丸もそうだけど、皆、私がどんな条件を出すのか気になるみたいね。エイゼルはいつもの能面みたいな無表情だけど、視線はしっかりこちらへと向けられている。
「1つ目。私との再戦権利よ。それもただの再戦権利では無いわ。私の用意出来る最高の環境での戦いを保証する」
「環境、であるか。具体的にはどの様な?」
「神丸の故郷にも、闘技場にあった様な対戦型のフィールドはあった?」
「うむ。名称は多少違うが、『三式』という」
「『決戦戦場三式』?」
「うむ。流石女王だな、存じておったか」
「お嬢様、それはどの様な……?」
「簡単に言えばコッチで言う『V』がそのまま向こうでは『式』と言われてる様なものね。王国はV2。だから、和国の方が性能は1段階上と言うことね。神丸も、慣れてるタイプと比べて型落ちだと動きにくかったでしょ?」
Vの値に応じて、参加者のステータス反映具合にも誤差が生じる。言うなれば、高レベルや高ステータスを持っている人を、バージョンの低い魔道具では再現しきれないのだ。
しかもそれが『決戦シリーズ』であれば参加人数も膨大。感覚のズレは参加人数によって加速度的に増加する。
「多少の違和感があったが、それは女王も同じことであろう。ハンデとは思わぬさ」
と神丸は言うが、普段から本気を出さないシラユキちゃんにとって、あの程度大した枷では無かった。
うん、やっぱりフェアでは無い。
「ちょっと先になるけど、素材が集まればV4からV5を作る予定なのよね。それも、集団戦用の『決戦』型ではなくて、個人戦闘用の『決闘』型をね。1対1の集中型だからV4以上となれば誤差なんてなくなるし、便利な機能も付けられるのよね」
「造る……? 女王はあの道具を生み出す知識を有しておるのか!?」
「ええ。という訳でコレが1個目ね。2個目は貴方の道具の事よ」
「某の?」
「そ。決闘の時に特別製の『海神水』を使ったでしょ? 確か4本くらい使っていたかしら。あれって無限に用意出来る様な代物じゃ無いでしょ。補充するには故郷に一度戻らないといけないレベルで」
「『海神水』まで知っておるとは。やはり女王も扱えるのだな」
口にはしないけど、神丸が言っているのは『神命濁流術』の事よね。勿論使えるわ。あの流派、格好良いもの。
まあ、今の私じゃせいぜい肆之太刀から伍之太刀までが限度だけど。……うーん、発動を要するスキル値的に『濁龍剣』はギリギリ打てるかな?
「再戦も心くすぐられるが、女王の言う通り『海神水』は切実な問題ではあった。女王には敗れはしたが、あの技は某の切り札ゆえな。旅の最中で使ったこともあり、今手元にあるのはたったの4本でな。心許なかったのは確かだ」
「その『海神水』を提供してあげる。時間はかかるけど、10本以上用意することも可能よ」
「おお……!」
まあ私が使わせちゃったからには、補填をするのも吝かではなかったのよね。ただ、無償で渡すには神丸は惜しい人材だし。手伝って貰えれば万々歳。
けど、もし断られても難癖つけて渡すつもりではあったのよね。死なれちゃ困るし。
「そして最後。3個目はこのアイテムの譲渡ね」
そう言って、懐から光り輝く液体入りの瓶を取り出す。
「これは……!!」
それは先日作ってしまった、シラユキちゃん印の超性能な聖水だった。
「あんたって、侍の技術を用いた妖魔払いとかもしていたのよね? それなら、コレがどれだけの一品かは見ればわかるでしょ?」
「……うむ。今までの選択肢も非常に魅力的だったが、これは群を抜いて欲しい。何でも言ってくれ女王よ、これが手に入るなら、某は何でもしよう」
「あら、そう?」
まさかここまで食いつくとは。なんならコレ……今手元で扱いに困ってる割に数だけは沢山あるから前払いにポンと手渡ししようか事前まで悩んでたのに。
そっか、この聖水。神丸からしてもそれほどの逸品なのね。扱いには気をつけよう……。
「それで、某に何をさせたいのだ?」
「うん、それはねー……」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「……ん? はぁ!?」
「何だ急に素っ頓狂な声を上げて。はしたないぞ」
シラユキに頼まれた通りに、調合の授業の手伝いをしていたソフィアは、飛び込んできた情報に目を疑った。
「……あの子、何やってんのよ」
呟きはグレンに届くことはなく、代わりに近くで同様に驚いていたアリスの耳に届いていた。
「まあ何でも良いが。それよりもソフィア、こちらにも『ウォーターボール』を回してくれ。俺では水は出せんからな」
「……グレン兄様。シラユキ姉様に教わったんですから、それくらい自分で何とかしてください」
「ア、アリス? それは無茶じゃないか?」
「そうでしょうか?」
「俺は火と土と風を使っていたから、水はまだ手が出せていないんだぞ。先程手ほどきを受けたとは言え、すぐに用意出来るわけが……」
「……知りません」
シラユキにフラれて少し己を見直したとは言え、まだ俺様態度が見え隠れするグレンに、アリスは冷たくあしらう。そんな事よりもアリスは、ソフィアと同じく更新されたパーティーリストを見て、混乱の只中にいた。
シラユキ姉様は、一体何をしているのでしょう。
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