異世界でもうちの娘が最強カワイイ!

皇 雪火

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第5章:魔法学園 入学騒乱編

第167話 『その日、戦いが始まった』

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 闘技場。その中央リングでは、舞台の上に立ったフェリス先輩と、生徒会の人かな? 2人が1つのマイクを共有して司会進行していた。
 やっぱりゲームと同じで、あるよねーマイク。始業式の時は無かったから、それなりに声を張って答辞を読み上げていたけど……。あの場には無かった以上、アレも貴重なものなのかな。この場ですら1個しかないんだし。

 本来、司会の相方であるはずのモニカ先輩は、闘技用リングの外、観客席の下にある空間の端っこに設置された実況席らしき場所で、大人しく縮こまっていた。
 借りて来たネコみたいに大人しくしていて、なんだか哀愁さえ漂っている。まるで首には『反省してます』というプレートが吊り下げられている様な光景が、幻視してしまえるようだった。
 勢い余ってフェリス先輩との約束を破っちゃった訳だし、本来は自業自得なんだろうけど、なんだかちょっと可哀想。私を心配してくれた面もあるはずだし……。
 あと、しょぼくれてるモニカ先輩もカワイイわね。

『皆さんこんにちは! 司会進行役兼、実況を担当するのはこのボク、生徒会所属新聞部部長キャサリン・グリモアールでーす!』

 フェリス先輩の隣にいた女子生徒、キャサリン先輩って言うのね。快活そうで気持ちの良さそうな人ね。それに貴重なボクっ子再び!
 新聞部かぁ。そういえば学び舎の廊下や、寮にも『学内新聞』なるものが貼ってあったなぁ。よく読んでなかったけど、今度目を通しておこうかな。

『皆さん開始を今か今かと、お待ちのことでしょう! まるでお預けを食らっているワンちゃんみたいですね! ボクもそんな感じです!!』

 中々言うわねあの子。ゲーム中でも学内では見なかったわ。

『さあて、主にボクが我慢出来ないので、早速お呼びしましょう! 赤の入場口をご覧ください、学園関係者だけでなく、一般の方でもこの人の噂はご存知でしょう。入学試験にて異例の成績を叩き出し、破壊不能と言われていた魔法測定器を破壊した生徒のことを! 彼女は入学してまだ1週間しか経っていませんが、既にその才能は余すことなく発揮されています。彼女に関わった人達は、誰しもが彼女の生き方や知識に感服し、生徒だけでなく一部の教師、教授からも熱烈な歓迎を受けています。そんな彼女は今日、これから大人数を相手にたった1人で戦いを挑むようです! 皆さま、盛大な拍手でお迎えください。魔法科1年Sクラス生徒、シラユキ選手です!』
『ワアアアア!!』

 キャサリン先輩の紹介に合わせて入場を果たす。すると、割れんばかりの拍手と声援に迎えられた。

 闘技場の客割り振りは、私から見て右手が王族の閲覧席。その周囲に貴族の席があり、貴族の外側には学園生の高等部組と初等部組に分かれている。
 反対に左側は、学園生の領域にだいぶ侵食されているが、一般人枠の席となっている。

 王族席や貴族席は静かな方だったが、学園側と一般席の方からは熱烈な声援が聞こえて来ていた。
 学園側はSクラスの友人達は勿論の事、クラスや学年、学科を問わずに主に女子生徒達を中心に発せられていた。一部、被害に遭っていた男子生徒からも、少なくない声援が届いている。

 そして初等部の方からも、凄まじい数の声援が響いていた。理由はわからないけど、何故か応援用の垂れ幕や団扇まで用意されている。すごい盛り上がりようね! リリちゃんやアーネちゃんが頑張ってくれたのかしら。とっても嬉しいわ!
 でも、垂れ幕や団扇に書かれている『SOO』ってなんの略称だろ? シラユキちゃん、お……お淑やかなお姉様。鬼カワイイお姉様、とか……?? ううん、わかんにゃい。

 そして左の一般席から届いていたのは、聖職者らしき集団からだった。明らかに異彩を放っているわね。付近にはイングリットちゃんや孤児院の子達、リディにカーラさんもいる。
 応援に来てくれるのは嬉しいけど、あの聖職者軍団、この場で神様呼ばわりはしないでしょうね? 

『王都に来たばかりとは思えないほどの沢山の声援、流石の人気ですねー! では彼女が今回の戦いに賭けた内容を、改めて確認していきましょう!』

 そうしてキャサリン先輩が、私がベットした内容と、私が定めたルール、それから調子に乗っている貴族達にお灸を据える為、陛下や大人達が考え出して後から追加されたぶっ飛んだ契約の内容を説明し始めた。
 相手側にふっかける為、私もそれ相応の権利やなんやらを賭けの対象に組み込まれているんだけど、それもまあ、私が勝てば良いだけの話だ。私が最初に定めたルールが変わっていなければ問題はない。ただ、中には思わず吹き出してしまいそうな制約なんかも含まれていて、笑いそうになるのをグッと堪える必要もあった。
 その制約全てが、参加者全員の負債となる訳ではなくて、一部地域出身を名指しする様な形で制約が盛り込まれているんだけど……。それにしてもこんな制約を私にも相手にも賭けるなんて。大人って汚いわねー。

 そう言う目でチラリと、観客席にいる陛下を見遣ると、気付いた陛下は申し訳なさそうに『すまん』と言っていた。この距離だと聞こえないけど、表情と口の動かし方からして、多分そう言ったんだろう。
 まあ私自身何も支払う必要は無いんだし、損はしないから良いけどね。

 そうして離れた距離で陛下と、目線やポージングでやりとりをしていると、陛下の隣から美女が顔を覗かせた。それも1人ではなく複数人。
 そっか、あれが王妃様。陛下に夢中で気付かなかったけど、最初からいらっしゃったのね。史実ではまともに謁見する前には既に亡くなっていたり、行方不明だったりで会えてなかったから何だか不思議な感覚。
 そう思っていると、陛下が何かを言うと同時に彼女達が笑顔でこちらを見た。ちょっとギラついた視線も混じってるけど、なんの話をしてるんだろ? まあでも、夫婦仲は悪くなさそうね。とっても楽しそうだし。それと、陛下の右隣の人、あの病弱そうな儚い感じにあの顔つきは……。
 あの人がアリスちゃんのお母様ね!? ふわあ、美人カワイイ。色素以外はもう全部そっくりね。
 あ、こっち見た。そして微笑んでくれた。ひょわー!

 破壊力すごいー!
 私もシラユキちゃんスマイルで反撃よ! バチコーン★

 そんな感じで王妃様達ともにこやかな笑顔合戦を繰り広げてる間に、ルールの説明が終わっていた。

『以上が青組の参加選手の紹介でしたー!』

 それどころか、対戦相手の紹介も終わっていた。何なら、紹介された貴族のボンボン連中が、10メートル近い位置までやって来ていた。気付かなかったわ。
 観客席からはブーイングの嵐が飛んでいるようだったけど、王妃様とのに夢中で、それも気付かなかったわ。

 相手側は完全にアウェーだろうなぁ。ブーイングの理由だって、たった1人のか弱い美少女を相手に、集団で戦いを挑んでいるんだもの。仕方がないわよね。

『そして、皆様もお気付きでしょうが、あちらの集団が、彼らが呼んだ助っ人の皆さんでーす!』

 ルールで聞いてはいただろうに、その異様な陣容に観客は静まり返った。だって、私に同時に挑む人数でさえ44人もいるのだ。魔法科23名、騎士科12名、調合学科9名。
 その連中のほとんどが最大募集の5名で参加して来たのだ。つまりは44✖️5の200人ちょい。それがずらりと向こうの陣営にいるのだ。中々圧巻ね。

『本来は神聖な決闘に他人が水を差すなんて真似出来ないんですけど、今回は特例です! 挑戦者のシラユキ選手たっての希望により、弱い者いじめはしたくないとのことでこの決闘ルールが採用されたようです!』

 司会の解説により、一部の観客席から失笑が漏れ出る。それが耳に届いたのかは知らないが、お相手は不機嫌そうに顔を歪めるのだった。
 けど、不名誉な誹りなど当然という顔で、冷静にこちらを見つめる集団があった。彼らは他の連中とは一味違うようね。
 もしかして、神丸はこの中の誰かに拾われたのかしら?

『いやー、それにしても圧巻ですね! 流石にこれだけ人数がいると1対1では日付が変わってしまいますので、対戦人数も特殊です! 赤組シラユキ選手1人対、青組は最大60人の戦いを5回行います! この数字だけ見ても凄いことですが、一体今からどんな戦いが起こるのか、誰にも想像が出来ませーん! 戦いにすらならず、青組の一方的な蹂躙劇で終わってしまうのか、それともシラユキ選手がたった1人でこの状況を覆してみせるのか! 見ものですねー!』

 これから一体なにが始まるかって?

 大惨事対戦よ。

『この状況に圧倒されて、観客の皆様も心配になったようですね。そのお気持ちは痛いほどにわかります。本来であれば、私は彼女を止めるべき立場にいるでしょう。ですが、当の本人はどう思っているのでしょうか? 挑戦者のシラユキ選手、この勝負に勝算はありそうですか?』

 キャサリン先輩からマイクを受け取ったフェリス先輩が、質問を投げかけてきた。先輩の言葉に、何か思うところがあったのだろうか。対戦相手の何人かはニヤニヤし始めた。
 …… きっとこいつらが襲撃者の元締め連中ね。この人数が怖くて仕方ないだろうとか、そんな感じの事を考えているのかしら。

 それにしても、フェリス先輩もモニカ先輩経由で話を聞いてるはずだし、分かって聞いてるわね? 彼女からは心配の感情が微塵も感じられないんだもの。
 ふふ、良いわ。私はビビっていない事を見せてあげようかしら。

『勝算? この程度の連中を相手にそんなもの必要ありません』

 そう言ってフェリス先輩からマイクを受け取り、唖然とする連中を無視して観客へ振り返る。そしてアピールをするように手を広げた。

『私の事をよく知らない観客の皆さんからしてみれば、この戦いは一見私が酷い目に遭う、痛ましい物となる。そう心配していらっしゃることでしょう。ですが、これから起きるのはその逆です。学園で調子に乗った貴族のボンボン共が、これ以上悪さをしない様に躾けを行いますので安心して見守っていてください。そして、皆さんの中では常識となっている、貧弱な魔法についても触れておこうと思います。一部の人はこう思っている事でしょう。『魔法なんて、長ったらしい詠唱をしておいて、出てくるのは見た目ばかりを拘った、威力のないゴミみたいなものだ』と。『せいぜい倒すのが面倒なスライムを狩る時に役立つ程度の、戦略性のない貴族のおもちゃだ』と』

 私の発言に気を悪くしたのか、一部の貴族関係者からブーイングが起きたが、無視した。

『その考えは、まったくもって同意します。私からしてみれば、この学園で教えている魔法は……いえ、この国が魔法だと言い張っているものは、チンケなお遊戯会の様なものです。そんな連中が数十人、束になって魔法を放とうともまるで脅威に思えません。ですが、今から私がお見せするものはそれとは別物。真の魔法とは何なのかを、皆さんにお見せしたいと思います。今までこの学園が、そして大事な知識だと思い込んで、大事に大事に秘匿して来た貴族達の浅ましい考えが、どれだけ無駄で、無意味な物を量産してしまったのか。それをこの場で知らしめましょう。そして彼らには、身をもって知ってもらいます。本当の魔法とはどういったものを指すのかを。……さて、これ以上司会の邪魔をするのも悪いですし、マイクはお返ししますね、先輩』
『はい。シラユキ選手、ありがとうございました。対戦相手の方にも、本来は決意表明を語って貰うところなのですが、人数が多いので、代表として1人にお願いしましょう』

 フェリス先輩の皮肉が輝いているわね。
 そして代表としてマイクを持ったのは、どこかで見たことのある男だった。

 ……うん。どこかで、というか学園内でなんだけど、正直口上も見た目もパッとしないし、カワイくないから全然記憶に残っていないのよね。シラユキちゃんの頭脳明晰な脳には、ステータスの影響かまだまだ知識や記憶を詰め込めそうな気がするんだけど、コレにわざわざ枠を取るのは勿体無いわよね。うん、やっぱ思い出せないし、覚えなくてもいいや。

 男性優位な国の法律だから今まで無茶もして来られたんだろうし、そのつもりで威勢のいいことをなんか言ってるみたい。けど、私の耳には言葉として伝わってこなかった。
 うん、いいかな。

 とりあえずまだかかりそうだったので、ソレに対する興味を失った私は、手鏡を取り出して身だしなみチェックをするのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇


 はぁ、鏡に映るシラユキちゃん、最高にカワイイ。見惚れちゃうわ。何時間でも見ていられる。
 その微笑みが向けられているのが、私というのもポイントが高い。シラユキちゃんがシラユキちゃんを見つめる。ううん、なんていうのかしらこの感覚。幸せを言葉にするのって難しいわよね。

「そこの可愛いシラユキちゃん?」
「はい! ……あれ?」

 呼ばれた気がしたので顔をあげてみると、困り顔の先輩がそこにいた。マイクはキャサリン先輩の手元にあって、電源も切っているみたいだった。

「もう始まるわよ。準備は出来てる?」
「あ、はい。名乗りは終わりました?」

 対戦相手をチラ見すると、60人もいる第一陣が反対側に並んで立っていて、イライラしたような顔でこちらを見ていた。

「名乗りが終わっても、シラユキちゃん鏡に夢中になっていたのよ? いくら声をかけても戻ってこなかったから、景品の紹介をして時間を潰す事にしたわ。結果的にお客さんは盛り上がったから良いけど……ダメよ? これから試合なんだから、ボーっとしたら」
「ご、ごめんなさい」
「良いわ。それじゃ、所定の位置に立って。装置を起動するから」
「はーい」

 先輩に指示された通りの場所に立ち、周りの様子を伺う。先輩の言う通り、観客達はとても盛り上がっていて、試合の開始を待ち侘びているようだった。
 先輩達が上手く繋いでいてくれたのね。司会力の高さが窺えるなぁ。

 先輩が慣れた手つきで装置を動かし、私と対戦相手の目前に『対戦』の文字と、『同意する』『同意しない』の選択肢浮かび上がる。
 この選択肢は互いの陣営の代表者にのみ表示されるので、全員が押す必要はないシステムだ。双方が『同意する』を押し込むと、機械的な女性の声でルールの復唱がされる。

『対戦設定、赤1名、青60名。……死亡判定、体力0。……勝利設定、片方の陣営の全滅。……退避場所、規定値。ダメージ表記、有効……以上の設定で、問題ありませんか』

 再び現れた『同意する』を押し込むと、闘技場のリングは薄く透明な皮膜に覆われた。

『それではただいまより、4月8日決闘第一試合。開始します!!』


◇◇◇◇◇◇◇◇


「総員展開! 相手は集団戦に弱い! 魔法を使われる前に囲んでしまえ!」
『さあ始まりました決闘第一試合! 赤組のシラユキ選手、様子見なのか動く様子がありません! 対して青組の集団は広く展開! シラユキ選手を囲み、四方から攻め立てるつもりのようです!』

 ついに始まってしまったわ、シラユキちゃんの戦いが。リスフィーを挟んだ向こう側の席では、実況役としてキャサリンが、いつものハイテンションで頑張っている。あーいや、アレはいつも以上に楽しそうね。
 本来は私もサポートするべきなんだろうけど、気不味くてリスフィーの方を見れない……。

「モニカ」
「っ!」

 リスフィーが、マイクに声が入らないよう、小声で話しかけてきた。

「貴女がシラユキちゃんに嫉妬したのは分かってる。それが原因で自制が効かなかったのは残念だけど、理解はしてるつもり。けれど、私も注意したけど、マリア様からも念押しされていたはずでしょう。シラユキちゃんはとっても強いから手を出すなって。勝てない戦いを挑むなんて貴女らしくないわ」
「リスフィー……」
「何が貴女の判断を鈍らせたの」

『さあ、青組は全員が魔法詠唱をしているようです! 半数近くは詠唱が終わり、魔力を詰め込み威力を高めているのでしょう! 魔法が出現しても放つ様子はありません! そして、そんな光景を前にしてもシラユキ選手は微動だにしません! 様子見という段階を超えていますが、大丈夫でしょうか!? ……おおっとぉ!? シラユキ選手、また興味を失ってしまったのかぁ!? 視線を明後日の方に向けて、その綺麗な髪を弄り始めたぁー!! 普段からどんな手入れをして、その髪を維持しているのか非常に気になりますねー!!』

 の感情を思い出していると、キャサリンの声が気になり顔を上げる。すると、キャサリンの言う通りシラユキちゃんはすでに半分飽きているような……。完全に、対戦相手を視界から外していた。
 集団を相手に戦う時、相手に魔法使いがいる場合、絶対に視線を外してはならないと戦術系の授業では毎回のように口すっぱく注意されている。

 今この学園で主流となっている魔法は、シラユキちゃんの言う通り発動に時間がかかる。だから、避けようと思えば避けれるのだ。術者を目視出来ていて、いつでも動ける状態であれば。
 けれど、視界外からの攻撃となると別だ。いつ飛んでくるかわからない威力の高い攻撃ほど恐ろしいものは無い。その為視界を外すと言うのは非常に危険な行為だった。見えないものは避けようがない。
 集団戦では前衛の誰もが後衛の位置関係を気にするものだもの。発動は遅くても威力は本物。当たっただけで致命傷を負ってしまうので、どんなに実戦で使い物にならないと言葉を並べても、危険度までは下がらないわ。

 だと言うのに彼女は呑気に髪をイジイジしている。戦う気があるのか心配になるレベルね。

「くっ……舐めるな!!」
「おい待て! 挑発に乗るな!!」

 その姿に、我慢出来なかった生徒がいたようで、一斉発射を待たずして一人の生徒が『ファイアーランス』を発動。助っ人の者達も主人に従いボール魔法を放った。
 放たれた魔法は横から見ているからこそ目で追うことが出来たけど、対面していた場合は即刻回避行動を取らねば直撃するほどの速度だった。

 でも彼女は、重心を軽くずらす程度で飛来する魔法を回避してみせた。

『ドガッ! ドドドッ!』

 魔法がシラユキちゃんの背後にある結界へと激突し、3桁から4桁の数値が表示される。今までに無い機能ではあるが、誰もその数値のことを気にしていなかった。
 あまりに自然な動きに、私達も、観客も、魔法を放った本人でさえ、驚き言葉を失っていた。

『す……すごーい!! シラユキ選手、とても鮮やかかつ華麗な動きで魔法を回避しましたー!! そして今、表示されたと思いますが、回避された魔法が結界に激突した際に、数字が表示されましたね! あれが今回発見された新機能スコア機能でーす!!』

 キャサリンがかかさず新機能の解説をするが、話を聞いていた人ははたしてどれ程いただろうか。次第に事態を飲み込み始めたものから驚きの声が上がり、爆発的な歓声へと繋がった。

「モニカ、あんな動き出来る?」
「……無理よ。来るとわかってさえいればなんとかなるけど、あんな直撃コースに来た魔法なんて、避けれる気がしないわ。だって、飛翔速度がボールの数倍と言われるランスの魔法よ?」

 魔法は、狙ったとこに中々飛ばないものだ。
 命中率が6割を超えれば先生から褒められるくらい、精度がよくない。シラユキちゃんに魔法を習ったリスフィーは、ほぼ百発百中となっている事から、シラユキちゃんは外すこと無く真っ直ぐに飛ばせられるのだろう。
 けど、彼らは違う。真っ直ぐ飛ぶことすら稀なのだ。そんな魔法を視界に収めず、ギリギリで回避してみせるなんて、不可能よ。どの方向に飛んでいくか、術者ですら分かっていないんだから。

「そうね、確かに普通は回避できないわ」

 リスフィーが、私の知らないシラユキちゃんの事を考えているんだろう。懐かしむ顔をしてる。

「……リスフィーには話したけど、シラユキちゃんが襲撃された日の事よ。あの時彼女は、襲われた事に酷く怯える様子だったの。演技だって言っていたけど、私にはようにしか見えなかったの。アリシア姉さんでさえ、心から心配していたのよ。だから、疑ってしまったの。彼女は本当は弱い子なんじゃないかって。魔法の実力が本当にあったとしても、実戦には慣れていないんじゃないかって」
「……だから、それを確認する為に喧嘩を売ったの?」
「あんな大人数を前に平然としているのも、数が多すぎて感覚が麻痺しちゃってるのかと思ったのよ。でも、杞憂だったみたいね」
「シラユキちゃん、演技力がとんでも無く高いらしいわ。自分の心でさえ騙し通してしまえるほどだって。アリシア姉様がそう言っていたわ」

 凄まじい回避能力を見せた彼女は、未だに自分の髪を気にしていた。

「じゃあアレも、演技だって言うの?」
「どうかしら? でも、終わったらちゃんと謝るのよ」
「ええ……そうするわ」
「シラユキちゃんは良い子だから、きちんと説明すれば分かってくれるわ」

 その会話を隣で聞いていた、キャサリン。
 真新しい出来事や女子達の噂が大好物な彼女は、真面目に実況をしつつも、とても面白そうな話題に聞き耳を立てていた。
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