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第5章:魔法学園 入学騒乱編
第130話 『その日、クラス説明があった』
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「進学組は知っている事だろうが、今年は珍しく編入生がSクラスに入っているので、この魔法学園の説明からしよう」
モリスン先生は面倒臭そうにそう言った。
「まずこの魔法学園は、複数の学科から成り立っている。君達も所属している魔法学科。調合や錬金術などの薬品を生成する調合学科。そして最後に、前線に立ち、俺達魔法使いを守るための騎士科となる。そちらにも君達の様に編入生として途中入学するものはいるが、特別授業でもない限り関わることはあまり無いだろう。そして授業に関してだが、初等部と同様に基礎授業と専門授業に分かれている。専門授業は選択式となっていて、基本的にどの授業を選択しても構わないが、いくつか必修単位となっている授業が存在する。タイミングは任せるが、必ず1度は出席し、教授から認可をもらっておく様に」
そういえば、私は普通にここを魔法学園と呼んでいたけど、他にも学科があったわね。そして魔法科も、正式名称ではなくて本来は魔法学科だったと。……まあそこはどうでも良いか。
とりあえず授業は必須の物以外は何を選んでも良いってことね。いろんな授業に顔を出して、教えてる環境とか質とか見て回らなきゃ。
その後も授業に関する注意事項をつらつらと説明され、ウトウトしてきたところでモリスン先生が手を叩く。
「では次に昇級制度に関してだ。最初の昇級テストは一ヶ月後に行われる。その日のテストで、目標に定められた点数を維持出来れば変動なし。目標に到達出来なければ、点数によって下位クラスに落とされることもある。また、突出した点数を叩き出せる者が現れれば上位のクラスに移動もありうる為、今回Aクラスに落とされた者達は躍起になる事だろう。君達も、うかうかしているとAクラスに落ちる可能性もある。鍛錬は怠らないように」
「はーい、ここまでで質問はありますかー?」
一度Sクラスになったからって、ずっとSって訳じゃないのね。まあその子の努力次第で、実力が落ちたり高まったりするわけだし、これは良い教育環境だと思うわ。入学してすぐにその試験があるなんて、生徒たちをやる気にさせるのが上手いのね。
それにSクラスだけは教師が2人もいるっていう特別措置がされてるみたいだし、なるべく良い環境を手放さないように生徒達は頑張るわけか。……まぁ、その環境が本当に素晴らしく洗練されたモノだったら、ここまで魔法技術が落ち込むことはないと思うけど。
とにかく、いくつか知りたいことはあるし聞いておこうかしら。
シュピッと手を挙げてみる。
「はーい。えっと貴女が主席のシラユキちゃんね。我が校は貴女のような優秀な人がもっと成長出来るよう、環境を整えているわ。何が聞きたいの?」
「まず一番下のEクラスですけど、そこでもしテストで失敗したら、退学になるんですか?」
私の質問にクラスがざわめいた。
あれ、そんなに変な事聞いた?? ソフィーもなんだか訝しむ顔をしてるし。
「え、えっとぉ。そうね、まず学校は才能の可能性がある子達を見捨てたりはしないわ。いつか才能が開花して、素晴らしい力を見つけられる可能性があるもの。ただ、自ら辞めていく子達は止められないわね」
……それってつまり、自主退学は認めてるって事かしら??
ソフィーも明らかに不機嫌そうな雰囲気を纏ってるし、もしかしたら地雷ワードだったのかも。
「ほ、他に! 他に質問はあるかしら?」
そんなソフィーの雰囲気を感じ取ったのか、イシュミール先生が慌てて話題を締め括った。
それじゃあもう1つ。
「はい先生」
「はい、シラユキちゃん」
「Sクラスもそうだけど、各クラスに定員はあるのかしら?」
「それは設定されていないわねー。下限も上限も無いわ。卒業する時にSクラスが0人で、AクラスとBクラスも数人だなんて年もあったほどだものー」
「ふぅん? でも私達編入組が来た事で、元々Sクラスに入る予定の子達はAクラスに回されてしまったと思うのですが、そこは何故ですか?」
「そこは申し訳ないけれど学園側の都合ねー。初等部から進学してきた彼らの実力は、結局のところ初等部で判断された点数が全てだものー。実際にその生徒は、本当にこのクラスでやっていける実力があるのか。そういった見極めをするためには直接見極めるしかないの。だから、各クラス均等に割り振る必要があるのよー」
なるほど、教師は埋もれた原石を見逃さないために見張る役目もあるのか。
本来は実力が突出しているはずのSクラスなのに、AクラスからEクラスまでと比べても、どこも人数差が存在しないことに違和感があったのよね。
「ならつまり、元々Sクラス内定が決まっていた彼らも、相応しい実力があったからとかではなく、ただ上から数えた方が早かっただけ、ということなんですね」
「そ、それは……」
「イシュミール先生!」
この先はマズイ発言だと判断したのか、モリスン先生が割って入った。
「それ以上はいけませんよ」
「あっ、ごめんなさい……。今のは聞かなかったことにー」
やっぱり、私のCHRパワーは便利なのかも。普通なら聞いても答えてくれなかったり、誤魔化されそうな内容でもハッキリと答えてくれるんだもの。
聞かれた方は何でも答えたくなっちゃうから、たまったもんじゃないけど。
「止めたところで手遅れかと。皆察したと思いますので」
進学組に、ショックを受けた子達が何人か見えた。でも、ソフィーは特に気にしていないわね。流石にお父さんが理事長だし、その辺の仕組みは知っていたのかな?
うーん、でもこんな事を話した事で後々問題になったらイシュミール先生が可哀想だし、私の方で庇っておきましょうか。
「それに、何も隠さなくて良いと思いますよ? だって、本当に実力があるのなら一月後のテストの時に学園側に示せばいいだけなんですもの。そうでしょ、ソフィー」
「……まぁ、そうね。ひと月もあれば前回の点数くらい、大きく超えてみせるつもりだわ」
自信満々にソフィーは答えた。実際、彼女は頑張っているわ。私と出会う前と今とでは、全然違う結果を出せるだろう。
「この魔法に関わる世界は、爵位なんて関係ない、完全な実力主義よ。忖度やお情けでSクラスに入ったとしても、結局そこに本当の実力を証明出来ない人は蹴落とされていくだけ。宮廷魔導士や魔法師団を含め、魔法を使った仕事に将来就きたいのなら、過去の自分をどんどん乗り越えていく気概がなきゃ」
「そうね。向上心を忘れなければ来月になっても堂々とSクラスであると言い張れるわ」
立ち上がり、クラスの皆を見回す。
「あなたたち、まさか繰り上がりやお情けのSクラスで満足していたりはしないわよね? 自己鍛錬を欠かさなければ、入学テストよりも魔法の腕は伸ばせるはずよ。分からないことがあったら、いつでも聞きにいらっしゃい。皆で来月も、Sクラスに残るわよ!」
『はい、シラユキさん!!』
編入生組が元気よく返事をしてくれた。
進学組や先生達はポカンとしているけど。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「それでは、これより会議を始めましょう。どうでしたか皆さん、新入生の様子は」
大きな円卓を囲むのは、過去に魔法学園を卒業した者達。今年の魔法学科1年生を担当している教師達と、学園長だった。
「我がクラスの生徒達は、燃えに燃えていた。編入生が全員Sクラスに入った関係で、蹴落とされた者達で溢れているのだからな」
そう答えるはAクラスを受け持った教師。
「こっちは普通だったかな。まあ特別良くはないが、上から数えた方が早い分まだ心に余裕があるんだろう」
「こちらも似たようなものですね。Sクラスを考えなければ平均的なレベルですから」
そう答えたのはBクラスとCクラスの教師。
「こっちも安心しきってたぜ。最下位は免れたからか面目は保てるってな。そんな悠長にしてると、ころっと転がり落ちるぞと脅しといたが。ははは!」
そう答えたのはチャラそうな外見をした、教師とは思えない風貌をしたDクラスの教師。
「はぁー。あんた達は良いわね、平和で。私なんてとんだ貧乏くじよ。うだつの上がらない連中なのは毎年のこととしても、今年はアレがいるのよ。あんな腫れ物に気を使って、心労で倒れるとか考えると、今から気が滅入るわ。……はぁ、さっさと自主退学してくれないかしら」
最後の言葉は愚痴るように小さく呟いたが、学園長の耳にはしっかりと届いたようだった。
「イザベル君、それは誰のことを言っているのかね? いや、相手が誰であったとしても、その発言は教師としてあってはならないものですね」
「あっ、学園長……。も、申し訳ありません……」
「ま、まあでも、イザベルの気持ちは分かるぜ? Sクラスにはあんな点数を叩き出した天才がいるんだからよ。同世代にあんなのが現れちゃ、周りからは比較されるだろうしEクラスの連中が卑屈になるのも頷けるってもんだ。教室でもその女の噂で持ちきりだったしな」
「それは確かに。うちのクラスも話題の中心は彼女でしたね。……ですが、間近でそれを見せられる他のSクラスの生徒は、萎縮してしまうのではないでしょうか。強すぎる光は、それだけ影を生みますからね。そこの所、どうでしたかモリスン先生」
表には出さないが、イザベルの発言に同意しているからか、彼女を庇うように話題を逸らすCクラスとDクラスの教師。対してSクラスを任されたモリスンは、先程までいたクラスの様子を思い浮かべる。
「……彼女の凄さは、魔法の腕や美貌に目が行きがちだが、俺としては人心を掌握する術を身に付けている点を評価したい。その姿はまるで、常日頃から上に立ち、部下を鼓舞する事に長けているように感じている。既にクラスの過半数は彼女に付き従っていたように感じた」
「……それは、編入生の全員が、あの女子生徒に従っていると言うことか?」
「いや、編入生だけではない。少なくとも、ソフィアリンデ様も従っているように見えた」
「なっ、ソフィアリンデ様が? 仮にも公爵家の令嬢が、魔法の腕で負けたのですよ? 大人しく付き従うわけが……」
「いや、彼女とソフィアリンデ様は親友の間柄らしい。つまり、何らかの事情があり互いの力を認め合ったのだろう。俺から見ても、彼女達の関係は良好だった。特に問題はないだろう。それから……」
「モリスン先生、その先は私がー」
そう制したのはイシュミール。彼女は申し訳なさそうに学園長へと頭を下げる。
「申し訳ありません、学園長先生。その彼女に、学園初期のクラス分け制度の内情を、話してしまいました」
「ああ、構いませんよ。聡明な彼女のことです、言わなくても気付いていたことでしょう。それに、一部の進学組には知られている事ですし、この学園に在籍していれば誰もが薄々気付き始めることです。それを知ったショックで実力を落とすようでは、元よりSクラスを維持することが出来ないでしょう」
「確かに、今回もSクラスから落ちた生徒達のほとんどは、AクラスからBクラス程度の実力しか持ち合わせていませんでしたね……」
「だが、その判断も結局は初等部で出された結果に過ぎない。初等部と高等部では授業の質が違う。もしかしたら、そんな彼らの中から、本物の実力者が現れるかもしれない。俺たちはそんな芽を見逃さずに、きちんと育ててやれば良い」
そう締めくくったモリスンに対し、教師達は生暖かい目で見つめる。
「ふふ、モリスン先生には美味しいところを取られてしまいましたな」
「全く、いつもこれくらい真摯に取り組んでくれたら、生徒達からも人気が出そうなのに……」
「ホントですねー。でも、これがモリスン先生ですよー」
「ハハッ、ちげえねえや。うっし、俺らも気合い入れるぞ!」
「うむ、負けていられんな。今期の最優秀クラス賞は我がAクラスが貰う!」
「何を言っているんだ、貰うのは当然うちのBクラスだ!」
ワイワイと自分のクラスのことで盛り上がる彼らを他所に、ただEクラスの教師だけが、不服そうな顔でモリスンを睨んでいた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
会議が終わり、解散と言うところで、俺とイシュミールは学園長に呼び止められていた。
「それで学園長先生、お話とは一体……? や、やっぱり私が……」
ヘマしたことを叱られてしまうのではないかとイシュミールは怯えるが、俺は要件を察した。やはりあの少女は、学園長も認める何かがあるようだ。
「俺達だけを残したということは、やはりあの生徒に関してだな?」
「ええ、その通りです。率直な感想を聞かせてください。お二人からみて、彼女はどう映りましたか?」
Sクラスに入れるほどの才を持つ生徒の中には、必ず1人は何かしらのオーラを放っている。だが今年の連中は粒揃いだ。
今まで何人もの生徒を見てきたが、過去一番強いオーラを放っていたのは、最年少で第一魔法師団の師団長に任命された、ルグニドだろうか。入学してきた彼を見たときは、歴史に名を遺すほどの逸材となるだろうと睨んでいた。
そんな彼に勝るとも劣らない者が少なくとも3人。そして、その中でもあの少女の輝きは、別格だった。
彼女のオーラは一般生徒達も感じただろう。今朝の代表挨拶を聞いた者達は、皆彼女の言葉に勇気と感動を覚えたはずだ。高貴さの中に、彼女の慈愛と正義を感じさせる内容だった。
ルグニドの輝きを喩えるならほんのりと光る『ライトボール』程度なのに対し、彼女は煌々と輝く太陽のような輝きだと言えよう。代表挨拶では、後光を幻視してしまうほどだった。
もし彼女が、編入生にして歴代最高得点を叩き出したという事前情報がなければ、自分の目を疑っていただろう。彼女からは、それほどの強者の風格を感じたのだ。
「……一言で言うと、なぜ生徒として入ったのか不思議でならない。それほどの輝きだった」
普遍的な感想しか口に出来なかったが、彼女を語るには情報が足りなさすぎる。
「とっても綺麗な子でしたねー。あれだけ可愛いと、嫉妬するのが馬鹿らしく思えるほどですー。あと言い訳に聞こえてしまいますけど、彼女とお話していると何でも話したくなってしまいました……」
「私もたいして気にしていませんから、イシュミール先生もあまり気負わないでください」
「ありがとうございますー」
うむ。今にして思えば、あの生徒なら口にするまでも無く解っていた事だろう。だが、同級生たちに発破を掛ける為に、あえて口にしたのだと思う。
「さて、早速本題に入りましょうか。彼女が壊した『スコアボード』ですが、実際どの程度の威力があったのか、つい先ほど計測結果が届きました」
「ほう、内部の計測器が生きていたのか」
「ええ。ソシエンテ教授が頑張ってくれました。他の教授は壊れている為正しくないと計測結果に疑問を呈していましたが、ソシエンテ教授は実際に彼女を見ていますからね。その結果を本物であると議論していましたが……」
ソシエンテのジジイが?
「その議論は結局平行線に終わりましたが……さて。その計測結果伝える前に、以前に出された最高記録と比較しておきましょうか。君たちも覚えているでしょう、ルグニド君の事です」
「ああ、彼ですかー。あの子は天才でしたねー。教えたことはどんどん吸収していきますし、卒業するころには教えていない事まで出来るようになっていて……。本当に手間のかからない子でした」
彼の出した記録……。ああ、確かに彼もあの得点を出していたな。
そして実際の内部値は確か……。
「ルグニド君が出した最高得点は、『ハイファイア』の9999。そして実際の内部値は、カウンターが一周していた為、1万と1892点でした」
「おお……! いつ聞いても凄いですね!」
「だが、ルグニドをもってしてもあの『スコアボード』を破壊するには至らなかった。彼女の魔法は一体どれほどの……」
「……6種の機器の内、紫の『スコアボード』は内部の魔法回路が完全にショートしていました。痕を見る限り、最低でも4,5回はカウンターが回っていた形跡があったそうです。詳細は不明でした」
「「なっ!?」」
4,5回だと……? 精鋭オークを倒せるとされている5500点の10倍ほどの威力ではないか。そのようなもの、原形を留めていたこと自体奇跡ではないか。
「ちなみにその雷の『スコアボード』には、『ハイサンダー』が用いられました。それに関してはソシエンテ教授とフェリスフィア君が証人となってくれています」
「テスト結果には6種のランスの同時発動と記載があったが、『ハイサンダー』も使われていたのか」
「ええ。正しくは『ウィンドトルネード』『ハイサンダー』『ファイアーウォール』も使って見せてくれていますよ。それも無詠唱でね」
「「……」」
高位魔法を無詠唱、だと?
そんなもの、9999点よりも、もっと評価すべき点ではないか!?
「最後に5種の内無事だったのは風と氷の『スコアボード』でした。それぞれ2回はカウンターを回っておりますので、2万と4千点ほどでした。細かい数字や、他の『スコアボード』はバラバラに分解していたり溶けていたりで、原形を留めていなかったので不明ですが……恐らく同じくらいの威力はあったのでしょう」
「末恐ろしいが……その情報を俺たちに伝えて、あんたは何を期待している?」
「そうですね。彼女の魔法体系はすでに完成されていると言って良いでしょう。国外から来たようですし、この学園で教えている魔法とは違う点もあるかもしれません。ですから、もし彼女が予期せぬアクションを起こすようなら、叱ったりせずにまずは話を聞いてあげてください。もしかすれば、私達も成長出来るかもしれませんから」
アクションね……。
「ふっ。それは、今朝の宣戦布告の事か?」
「ははは、あれは想定外でした。きっと、あれとはまた違う事件が起きるかもしれません」
「やれやれ……。とんだ問題児が入ってきたものだ。だがまあ、任せておけ。俺は最後まで見捨てたりはせん。そして、馬鹿なことをするようなら叱ってやる」
「モリスン先生は頼もしいですね」
「私も頑張りますー。まずはお友達から始めましょうー」
「そう言う事ではないと思うんだが」
「はは、良いんですよ。イシュミール先生はそれで」
今期は面白い奴が入って来たな。
それにしてもソシエンテのじじい、今年は筆記試験担当だったはず。なんで魔法試験の会場に居るんだよ。……ったく、この後問い詰めてみるか。
モリスン先生は面倒臭そうにそう言った。
「まずこの魔法学園は、複数の学科から成り立っている。君達も所属している魔法学科。調合や錬金術などの薬品を生成する調合学科。そして最後に、前線に立ち、俺達魔法使いを守るための騎士科となる。そちらにも君達の様に編入生として途中入学するものはいるが、特別授業でもない限り関わることはあまり無いだろう。そして授業に関してだが、初等部と同様に基礎授業と専門授業に分かれている。専門授業は選択式となっていて、基本的にどの授業を選択しても構わないが、いくつか必修単位となっている授業が存在する。タイミングは任せるが、必ず1度は出席し、教授から認可をもらっておく様に」
そういえば、私は普通にここを魔法学園と呼んでいたけど、他にも学科があったわね。そして魔法科も、正式名称ではなくて本来は魔法学科だったと。……まあそこはどうでも良いか。
とりあえず授業は必須の物以外は何を選んでも良いってことね。いろんな授業に顔を出して、教えてる環境とか質とか見て回らなきゃ。
その後も授業に関する注意事項をつらつらと説明され、ウトウトしてきたところでモリスン先生が手を叩く。
「では次に昇級制度に関してだ。最初の昇級テストは一ヶ月後に行われる。その日のテストで、目標に定められた点数を維持出来れば変動なし。目標に到達出来なければ、点数によって下位クラスに落とされることもある。また、突出した点数を叩き出せる者が現れれば上位のクラスに移動もありうる為、今回Aクラスに落とされた者達は躍起になる事だろう。君達も、うかうかしているとAクラスに落ちる可能性もある。鍛錬は怠らないように」
「はーい、ここまでで質問はありますかー?」
一度Sクラスになったからって、ずっとSって訳じゃないのね。まあその子の努力次第で、実力が落ちたり高まったりするわけだし、これは良い教育環境だと思うわ。入学してすぐにその試験があるなんて、生徒たちをやる気にさせるのが上手いのね。
それにSクラスだけは教師が2人もいるっていう特別措置がされてるみたいだし、なるべく良い環境を手放さないように生徒達は頑張るわけか。……まぁ、その環境が本当に素晴らしく洗練されたモノだったら、ここまで魔法技術が落ち込むことはないと思うけど。
とにかく、いくつか知りたいことはあるし聞いておこうかしら。
シュピッと手を挙げてみる。
「はーい。えっと貴女が主席のシラユキちゃんね。我が校は貴女のような優秀な人がもっと成長出来るよう、環境を整えているわ。何が聞きたいの?」
「まず一番下のEクラスですけど、そこでもしテストで失敗したら、退学になるんですか?」
私の質問にクラスがざわめいた。
あれ、そんなに変な事聞いた?? ソフィーもなんだか訝しむ顔をしてるし。
「え、えっとぉ。そうね、まず学校は才能の可能性がある子達を見捨てたりはしないわ。いつか才能が開花して、素晴らしい力を見つけられる可能性があるもの。ただ、自ら辞めていく子達は止められないわね」
……それってつまり、自主退学は認めてるって事かしら??
ソフィーも明らかに不機嫌そうな雰囲気を纏ってるし、もしかしたら地雷ワードだったのかも。
「ほ、他に! 他に質問はあるかしら?」
そんなソフィーの雰囲気を感じ取ったのか、イシュミール先生が慌てて話題を締め括った。
それじゃあもう1つ。
「はい先生」
「はい、シラユキちゃん」
「Sクラスもそうだけど、各クラスに定員はあるのかしら?」
「それは設定されていないわねー。下限も上限も無いわ。卒業する時にSクラスが0人で、AクラスとBクラスも数人だなんて年もあったほどだものー」
「ふぅん? でも私達編入組が来た事で、元々Sクラスに入る予定の子達はAクラスに回されてしまったと思うのですが、そこは何故ですか?」
「そこは申し訳ないけれど学園側の都合ねー。初等部から進学してきた彼らの実力は、結局のところ初等部で判断された点数が全てだものー。実際にその生徒は、本当にこのクラスでやっていける実力があるのか。そういった見極めをするためには直接見極めるしかないの。だから、各クラス均等に割り振る必要があるのよー」
なるほど、教師は埋もれた原石を見逃さないために見張る役目もあるのか。
本来は実力が突出しているはずのSクラスなのに、AクラスからEクラスまでと比べても、どこも人数差が存在しないことに違和感があったのよね。
「ならつまり、元々Sクラス内定が決まっていた彼らも、相応しい実力があったからとかではなく、ただ上から数えた方が早かっただけ、ということなんですね」
「そ、それは……」
「イシュミール先生!」
この先はマズイ発言だと判断したのか、モリスン先生が割って入った。
「それ以上はいけませんよ」
「あっ、ごめんなさい……。今のは聞かなかったことにー」
やっぱり、私のCHRパワーは便利なのかも。普通なら聞いても答えてくれなかったり、誤魔化されそうな内容でもハッキリと答えてくれるんだもの。
聞かれた方は何でも答えたくなっちゃうから、たまったもんじゃないけど。
「止めたところで手遅れかと。皆察したと思いますので」
進学組に、ショックを受けた子達が何人か見えた。でも、ソフィーは特に気にしていないわね。流石にお父さんが理事長だし、その辺の仕組みは知っていたのかな?
うーん、でもこんな事を話した事で後々問題になったらイシュミール先生が可哀想だし、私の方で庇っておきましょうか。
「それに、何も隠さなくて良いと思いますよ? だって、本当に実力があるのなら一月後のテストの時に学園側に示せばいいだけなんですもの。そうでしょ、ソフィー」
「……まぁ、そうね。ひと月もあれば前回の点数くらい、大きく超えてみせるつもりだわ」
自信満々にソフィーは答えた。実際、彼女は頑張っているわ。私と出会う前と今とでは、全然違う結果を出せるだろう。
「この魔法に関わる世界は、爵位なんて関係ない、完全な実力主義よ。忖度やお情けでSクラスに入ったとしても、結局そこに本当の実力を証明出来ない人は蹴落とされていくだけ。宮廷魔導士や魔法師団を含め、魔法を使った仕事に将来就きたいのなら、過去の自分をどんどん乗り越えていく気概がなきゃ」
「そうね。向上心を忘れなければ来月になっても堂々とSクラスであると言い張れるわ」
立ち上がり、クラスの皆を見回す。
「あなたたち、まさか繰り上がりやお情けのSクラスで満足していたりはしないわよね? 自己鍛錬を欠かさなければ、入学テストよりも魔法の腕は伸ばせるはずよ。分からないことがあったら、いつでも聞きにいらっしゃい。皆で来月も、Sクラスに残るわよ!」
『はい、シラユキさん!!』
編入生組が元気よく返事をしてくれた。
進学組や先生達はポカンとしているけど。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「それでは、これより会議を始めましょう。どうでしたか皆さん、新入生の様子は」
大きな円卓を囲むのは、過去に魔法学園を卒業した者達。今年の魔法学科1年生を担当している教師達と、学園長だった。
「我がクラスの生徒達は、燃えに燃えていた。編入生が全員Sクラスに入った関係で、蹴落とされた者達で溢れているのだからな」
そう答えるはAクラスを受け持った教師。
「こっちは普通だったかな。まあ特別良くはないが、上から数えた方が早い分まだ心に余裕があるんだろう」
「こちらも似たようなものですね。Sクラスを考えなければ平均的なレベルですから」
そう答えたのはBクラスとCクラスの教師。
「こっちも安心しきってたぜ。最下位は免れたからか面目は保てるってな。そんな悠長にしてると、ころっと転がり落ちるぞと脅しといたが。ははは!」
そう答えたのはチャラそうな外見をした、教師とは思えない風貌をしたDクラスの教師。
「はぁー。あんた達は良いわね、平和で。私なんてとんだ貧乏くじよ。うだつの上がらない連中なのは毎年のこととしても、今年はアレがいるのよ。あんな腫れ物に気を使って、心労で倒れるとか考えると、今から気が滅入るわ。……はぁ、さっさと自主退学してくれないかしら」
最後の言葉は愚痴るように小さく呟いたが、学園長の耳にはしっかりと届いたようだった。
「イザベル君、それは誰のことを言っているのかね? いや、相手が誰であったとしても、その発言は教師としてあってはならないものですね」
「あっ、学園長……。も、申し訳ありません……」
「ま、まあでも、イザベルの気持ちは分かるぜ? Sクラスにはあんな点数を叩き出した天才がいるんだからよ。同世代にあんなのが現れちゃ、周りからは比較されるだろうしEクラスの連中が卑屈になるのも頷けるってもんだ。教室でもその女の噂で持ちきりだったしな」
「それは確かに。うちのクラスも話題の中心は彼女でしたね。……ですが、間近でそれを見せられる他のSクラスの生徒は、萎縮してしまうのではないでしょうか。強すぎる光は、それだけ影を生みますからね。そこの所、どうでしたかモリスン先生」
表には出さないが、イザベルの発言に同意しているからか、彼女を庇うように話題を逸らすCクラスとDクラスの教師。対してSクラスを任されたモリスンは、先程までいたクラスの様子を思い浮かべる。
「……彼女の凄さは、魔法の腕や美貌に目が行きがちだが、俺としては人心を掌握する術を身に付けている点を評価したい。その姿はまるで、常日頃から上に立ち、部下を鼓舞する事に長けているように感じている。既にクラスの過半数は彼女に付き従っていたように感じた」
「……それは、編入生の全員が、あの女子生徒に従っていると言うことか?」
「いや、編入生だけではない。少なくとも、ソフィアリンデ様も従っているように見えた」
「なっ、ソフィアリンデ様が? 仮にも公爵家の令嬢が、魔法の腕で負けたのですよ? 大人しく付き従うわけが……」
「いや、彼女とソフィアリンデ様は親友の間柄らしい。つまり、何らかの事情があり互いの力を認め合ったのだろう。俺から見ても、彼女達の関係は良好だった。特に問題はないだろう。それから……」
「モリスン先生、その先は私がー」
そう制したのはイシュミール。彼女は申し訳なさそうに学園長へと頭を下げる。
「申し訳ありません、学園長先生。その彼女に、学園初期のクラス分け制度の内情を、話してしまいました」
「ああ、構いませんよ。聡明な彼女のことです、言わなくても気付いていたことでしょう。それに、一部の進学組には知られている事ですし、この学園に在籍していれば誰もが薄々気付き始めることです。それを知ったショックで実力を落とすようでは、元よりSクラスを維持することが出来ないでしょう」
「確かに、今回もSクラスから落ちた生徒達のほとんどは、AクラスからBクラス程度の実力しか持ち合わせていませんでしたね……」
「だが、その判断も結局は初等部で出された結果に過ぎない。初等部と高等部では授業の質が違う。もしかしたら、そんな彼らの中から、本物の実力者が現れるかもしれない。俺たちはそんな芽を見逃さずに、きちんと育ててやれば良い」
そう締めくくったモリスンに対し、教師達は生暖かい目で見つめる。
「ふふ、モリスン先生には美味しいところを取られてしまいましたな」
「全く、いつもこれくらい真摯に取り組んでくれたら、生徒達からも人気が出そうなのに……」
「ホントですねー。でも、これがモリスン先生ですよー」
「ハハッ、ちげえねえや。うっし、俺らも気合い入れるぞ!」
「うむ、負けていられんな。今期の最優秀クラス賞は我がAクラスが貰う!」
「何を言っているんだ、貰うのは当然うちのBクラスだ!」
ワイワイと自分のクラスのことで盛り上がる彼らを他所に、ただEクラスの教師だけが、不服そうな顔でモリスンを睨んでいた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
会議が終わり、解散と言うところで、俺とイシュミールは学園長に呼び止められていた。
「それで学園長先生、お話とは一体……? や、やっぱり私が……」
ヘマしたことを叱られてしまうのではないかとイシュミールは怯えるが、俺は要件を察した。やはりあの少女は、学園長も認める何かがあるようだ。
「俺達だけを残したということは、やはりあの生徒に関してだな?」
「ええ、その通りです。率直な感想を聞かせてください。お二人からみて、彼女はどう映りましたか?」
Sクラスに入れるほどの才を持つ生徒の中には、必ず1人は何かしらのオーラを放っている。だが今年の連中は粒揃いだ。
今まで何人もの生徒を見てきたが、過去一番強いオーラを放っていたのは、最年少で第一魔法師団の師団長に任命された、ルグニドだろうか。入学してきた彼を見たときは、歴史に名を遺すほどの逸材となるだろうと睨んでいた。
そんな彼に勝るとも劣らない者が少なくとも3人。そして、その中でもあの少女の輝きは、別格だった。
彼女のオーラは一般生徒達も感じただろう。今朝の代表挨拶を聞いた者達は、皆彼女の言葉に勇気と感動を覚えたはずだ。高貴さの中に、彼女の慈愛と正義を感じさせる内容だった。
ルグニドの輝きを喩えるならほんのりと光る『ライトボール』程度なのに対し、彼女は煌々と輝く太陽のような輝きだと言えよう。代表挨拶では、後光を幻視してしまうほどだった。
もし彼女が、編入生にして歴代最高得点を叩き出したという事前情報がなければ、自分の目を疑っていただろう。彼女からは、それほどの強者の風格を感じたのだ。
「……一言で言うと、なぜ生徒として入ったのか不思議でならない。それほどの輝きだった」
普遍的な感想しか口に出来なかったが、彼女を語るには情報が足りなさすぎる。
「とっても綺麗な子でしたねー。あれだけ可愛いと、嫉妬するのが馬鹿らしく思えるほどですー。あと言い訳に聞こえてしまいますけど、彼女とお話していると何でも話したくなってしまいました……」
「私もたいして気にしていませんから、イシュミール先生もあまり気負わないでください」
「ありがとうございますー」
うむ。今にして思えば、あの生徒なら口にするまでも無く解っていた事だろう。だが、同級生たちに発破を掛ける為に、あえて口にしたのだと思う。
「さて、早速本題に入りましょうか。彼女が壊した『スコアボード』ですが、実際どの程度の威力があったのか、つい先ほど計測結果が届きました」
「ほう、内部の計測器が生きていたのか」
「ええ。ソシエンテ教授が頑張ってくれました。他の教授は壊れている為正しくないと計測結果に疑問を呈していましたが、ソシエンテ教授は実際に彼女を見ていますからね。その結果を本物であると議論していましたが……」
ソシエンテのジジイが?
「その議論は結局平行線に終わりましたが……さて。その計測結果伝える前に、以前に出された最高記録と比較しておきましょうか。君たちも覚えているでしょう、ルグニド君の事です」
「ああ、彼ですかー。あの子は天才でしたねー。教えたことはどんどん吸収していきますし、卒業するころには教えていない事まで出来るようになっていて……。本当に手間のかからない子でした」
彼の出した記録……。ああ、確かに彼もあの得点を出していたな。
そして実際の内部値は確か……。
「ルグニド君が出した最高得点は、『ハイファイア』の9999。そして実際の内部値は、カウンターが一周していた為、1万と1892点でした」
「おお……! いつ聞いても凄いですね!」
「だが、ルグニドをもってしてもあの『スコアボード』を破壊するには至らなかった。彼女の魔法は一体どれほどの……」
「……6種の機器の内、紫の『スコアボード』は内部の魔法回路が完全にショートしていました。痕を見る限り、最低でも4,5回はカウンターが回っていた形跡があったそうです。詳細は不明でした」
「「なっ!?」」
4,5回だと……? 精鋭オークを倒せるとされている5500点の10倍ほどの威力ではないか。そのようなもの、原形を留めていたこと自体奇跡ではないか。
「ちなみにその雷の『スコアボード』には、『ハイサンダー』が用いられました。それに関してはソシエンテ教授とフェリスフィア君が証人となってくれています」
「テスト結果には6種のランスの同時発動と記載があったが、『ハイサンダー』も使われていたのか」
「ええ。正しくは『ウィンドトルネード』『ハイサンダー』『ファイアーウォール』も使って見せてくれていますよ。それも無詠唱でね」
「「……」」
高位魔法を無詠唱、だと?
そんなもの、9999点よりも、もっと評価すべき点ではないか!?
「最後に5種の内無事だったのは風と氷の『スコアボード』でした。それぞれ2回はカウンターを回っておりますので、2万と4千点ほどでした。細かい数字や、他の『スコアボード』はバラバラに分解していたり溶けていたりで、原形を留めていなかったので不明ですが……恐らく同じくらいの威力はあったのでしょう」
「末恐ろしいが……その情報を俺たちに伝えて、あんたは何を期待している?」
「そうですね。彼女の魔法体系はすでに完成されていると言って良いでしょう。国外から来たようですし、この学園で教えている魔法とは違う点もあるかもしれません。ですから、もし彼女が予期せぬアクションを起こすようなら、叱ったりせずにまずは話を聞いてあげてください。もしかすれば、私達も成長出来るかもしれませんから」
アクションね……。
「ふっ。それは、今朝の宣戦布告の事か?」
「ははは、あれは想定外でした。きっと、あれとはまた違う事件が起きるかもしれません」
「やれやれ……。とんだ問題児が入ってきたものだ。だがまあ、任せておけ。俺は最後まで見捨てたりはせん。そして、馬鹿なことをするようなら叱ってやる」
「モリスン先生は頼もしいですね」
「私も頑張りますー。まずはお友達から始めましょうー」
「そう言う事ではないと思うんだが」
「はは、良いんですよ。イシュミール先生はそれで」
今期は面白い奴が入って来たな。
それにしてもソシエンテのじじい、今年は筆記試験担当だったはず。なんで魔法試験の会場に居るんだよ。……ったく、この後問い詰めてみるか。
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