異世界でもうちの娘が最強カワイイ!

皇 雪火

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第4章:魔法学園 入学準備編

閑話4-3 『次期領主のとある一日』

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 初老の執事が、馬車から降りてきた2人に頭を下げる。

「お帰りなさいませ、坊っちゃま、お嬢様」
「ああ、ただいま爺や」
「ただいま戻りましたわ、ダナン」

 ダナンと呼ばれた執事はニッコリと微笑み、2人の纏う空気感から状況を察する。

「その様子からして、試験の方は無事、良い結果だった様ですね」
「うむ。心配をかけたな」
「とんでもございません。坊っちゃまやお嬢様ほどの腕があれば、最前線のSクラスに入れましょうとも! それよりも……」
「申し訳ありません、執事長。私の腕が半端なせいで、ご心配をおかけしました」

 若い執事の男が頭を下げる。

「ダンよ、謝るべきは私にでは無い。従者であるお主を心配してくださった坊っちゃまやお嬢様に対してだ」
「良い、ダナン。ダンは十分に努力してくれた。そもそも、幼い頃から専属教師に見てもらっていた僕と、途中から始めたダンとでは差があって当然なんだ」
「そうですわ。ダンはそんな中、よくここまでついて来てくれました」
「……はっ」
「しかし、そんな差も彼女の前ではあってない様な物だと分かったがな」
「そうですわね……」

 とある少女のことを思い出し、三者三様に溜息をこぼす。

「その事で、坊っちゃまに報告が」
「調べはついたのか」
「はい。それに加えて緊急性の高いものがあります」
「分かった、話は執務室で聞こう。ダン、着替えの準備を」
「畏まりました」


◇◇◇◇◇◇◇◇


「それでは、報告を聞こうか」
「はい、。彼女に関するご報告は全部で3点ございます」

 紅茶を淹れたダンは、主人とその妻の前に杯を置き、ダナンの後ろへと控えた。紅茶を一口付け、館の主人である少年は口を開いた。

「うむ。その1つは緊急性が高い物だったな。それから聞いておこうか」
「はっ。陛下直筆のサインで、招待状が届いております。おそらくは領地の件。それと、かの少女に対する接し方の説明もあるかと」
「なるほど……。公爵令嬢と親友と呼び合うほどの仲なのだし、がこの一件に関与していないはずがない、か。それで、期日は?」
「今晩に、とのこと」
「分かった。返事用の手紙を書く。ダン」
「はっ。こちらに」

 ダンから手渡された紙に、招待状に参加する旨のサインを書く。招待状に封をし、手紙を受け取ったダンは急ぎ支度をする。

「では私は、これを届けて参ります」
「待つんだダン。その役目は別の者にやらせよう。これから聞く彼女のことは、お前も関わることになるだろうからね」
「そうよ。それに、彼女はこちらの身分なんて気にしないわ。例えダン君が一歩引いた所で、彼女は気にせず関わってこようとするだろうから、話は聞いておきなさい」
「旦那様、奥様……。分かりました、然るべき者に引き継ぎをして参りますので、暫しお待ち下さい」

 ダンは一礼し、部屋から早足で出て行く。

「旦那様、宜しいのですか?」
「良いも何も、彼女はそう言う人なんだ。それに、これから彼にはダナンの後を継いでもらうつもりだ。いつまでも小間使いの真似事をさせるわけにもいかない。側仕えとして、あいつには期待しているんだ」
「ありがとうございます、旦那様。しかし、私はまだまだ現役でいるつもりですよ」
「うむ、頼りにしているよ。ダナン」

 しばらくした後、引き継ぎを終えたダンが部屋へと戻り、今度は主人の呼びかけにより、彼の背後へと控える。
 それを確認したダナンは、自身が集めた彼女の話を始めた。

「……この話、ダンはどう思う」
「はっ。僭越ながら申し上げますと、彼女ならやりかねないかと」
「ふっ、僕も同意見だ。アリー、君はどうだ」
「そうね、あれほどの魔法技量の持ち主なんですもの。それくらい出来てもおかしくありませんわ。あれほどの技量に加え、美貌とカリスマまでお持ちなんですもの。本来、同じ女として嫉妬してしまってもおかしくは無いはずなのに、不思議とそんな感情は微塵も持ちませんでしたの。彼女の、全てを包み込む様なあの空気が、そうさせているのかもしれませんわね。決して他人に心を開かないと言われていたソフィア様が、あれほど懐かれるのも納得ですわ」
「いつになく饒舌だね、アリー」
「貴方こそ、さっきから笑顔でしてよ。立場とか力関係とか打算とか、そんなの関係なしに、彼女の事を気に入っていらっしゃるでしょう?」
「ははっ、そうだね。確かに僕は彼女のことが気に入っているよ。あ、でも一番愛しているのは君だからね、アリー」
「あら、それは嬉しいわね」
「僕には君しかいないからね」
「それは私もよ」

 見つめ合う2人を見て、控えていた者達が視線を交わす。
 そして立場の弱い方が、渋々と言った表情で頷いた。

「……おほん! お2人共、その続きは今夜にでもお願いします」
「……0点だな」

 不慣れなツッコミに、立場の強い方が顔を顰めながらそう吐き捨てた。主人達はそれを見て苦笑した。

「今お伝えした事柄は、例の少女が直前に立ち寄った街での活躍となります。それも得られた内容は表面上の一部だけでしたし、それ以前での活躍や王都に来てどのような形で王家に取り入ったかは不明です」
「その点は、今晩の招待である程度は明らかになることだろう。ご苦労だったな、ダナン。情報を集めて来てくれた者達を労ってやってくれ」
「承知致しました、旦那様」
「では王城に行く準備をしようか」
「なら、彼女に貰った香水を使うべきですわね。あなたもダンも、そう言うのには疎いんですから、適当に付けて行ったらダメですわよ」
「分かった。こう言うことは女性の分野だ。僕からとやかくは言わないよ」
「お手数をおかけします、奥様」
「任せなさい。王城でも恥ずかしく無いように仕立て上げますわ」

 そう言った婦人は、るんるん気分で香水を取り出し、メイドも呼んで2人に似合う組み合わせを考えるのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇


「以上がことの顛末だ」
「……そんな」

 王城のとある一室。呼び出しを受けた3人の少年少女達は、衝撃的なその内容に言葉を失った。
 告げられた真実はあまりにも重く、その若い双肩に強くのしかかってくる。

「父も、兄も。行方が知れなくなった理由が、そんな野望のために利用されていただなんて……!」
「奴に利用された貴族は、軒並みその首輪を着けられていた。それは説明した通り精神を操るものでな、装着していた時間が長ければ長いほど、己を取り戻すにも時間がかかるらしい」

 グッと涙を堪える若き領主の姿に、陛下や周りの重鎮達は、なんとも言えない表情となった。
 そんな空気感をぶち壊すように、1人の闖入者がドアを大きく開いてやって来た。

「こんばんはー!」
『!?』


◇◇◇◇◇◇◇◇


 ちょっとした相談事があったから、日が落ちてから王城に突撃したんだけど、途中で警備のために巡回していたミカちゃんとこの子達に出会って、ついつい話込んじゃったわ。
 でも途中でここに来た目的を思い出して、陛下がいるこの部屋まで案内して貰ったの。うーん、アリシアと別れて来ちゃったけど、やっぱりストッパー役が居ないとダメね、私。

 お話しするだけだからって心配するアリシアを置いて来ちゃったけど、やっぱり連れてくるべきだったかも。

 それにしても、こんな時間にも関わらず警備に勤しんでるだなんて。彼女達も大変だわ。

 ミカちゃんの隊にはカワイイ子が多い。
 というか、なんなら全員カワイイから、もしもこの夜勤でお肌にダメージが入ったりしたら勿体無いわ。
 そんなの世界の損失よ!
 だから、案内してくれた御礼も兼ねて、精油をプレゼントしてあげた。勿論、その子達だけにではなく、第二騎士団の人数分をドッサリと手渡しした。

 大量生産したのはもうかれこれ1週間ほど前だけど、その数日の間に、結構いろんな子達から使った感想とかがもらえたのよね。それで実は、精油が肌荒れ対策に有効だと言うのが分かったの。
 なので早速、クラス発表の後にもう一度使わせて貰ったのよね、錬金釜。だからあの精油は出来たてホヤホヤ。まあマジックアイテムである以上、消費期限とか特にないはずなんだけど。

 騎士団は高給取りなだけあってか、皆私用のマジックバッグは持っていたから、どっさり渡しても問題なかったのは助かったわ。その時いっぱい感謝されちゃったから、嬉しくなってついお返しのキスをしてしまったけれど、ミカちゃんの物に手を出しちゃった扱いにならないかな??
 それだけがちょっと心配。

「あれ、ヨシュア君達だー」
「シ、シラユキさん……?」

 そんな事を思いながら扉をくぐれば、見覚えのある子達!
 きっと陛下はいつものメンバーでお話ししてるんだろうなって思ってたけど、そこにはお昼頃にお別れしたばかりの、ヨシュア君、アリエンヌちゃん。それから従者のダン君の姿が。

 こんな所で何してるんだろ??

「……大事なお話中だったかしら?」
「いや、話なら粗方済んだところじゃよ」
「そうなの?」

 でもヨシュア君達、皆表情が硬いわね。

「あ、皆して彼らをいじめてたんじゃないわよね?」

 その言葉に、大人達は慌てて否定した。

「いやいや、そんなことはしとらんよ。先日君に頼んだ首輪の被害者に彼らの親族がいたんじゃ。それを説明しておったんじゃよ」
「あー……。それって、グラード家の?」
「うむ。前当主と次期当主じゃな」
「そっかぁ、それは大変……。あれ、それじゃあもしかして、ヨシュア君の今の立ち位置って……」
「うむ。血が優先される以上、まがりなりにもグラード家の当主じゃな」
「ほへー」

 テストの時はなんて言い回しをしていたけど、当主が居ないんじゃヨシュア君はあの時点で当主の役を演じなければならなかったのね。
 だからなのかしら、をしてる理由は。

 私はヨシュア君に駆け寄り、その顔を突いてあげることにした。

「つんつん」
「……シラユキさん? 何を……」
「ヨシュア君が似合わない顔してるから」
「似合わないって、何が?」

 ああもう、もしかして自覚なかったのかしら。
 貴方今、とっても強張った顔をしているのよ?

「ねえヨシュア君、今日帰ってから一度でも鏡を見た? ひっどい顔してるわよ、今の貴方」
「!?」
「領主として、グラード家の当主として、気張らなくちゃいけなかったのかもしれないけど……。そんな顔をしたって周りは心配になるだけだわ」
「……そんなに酷い顔をしているかな、僕は」
「ええ。貴方ってもしかして、家に帰るたびそんな顔をしていたの? そんなのアリエンヌちゃんやダン君が可哀想だわ。家にいる時、ちゃんと彼らの表情を見てあげれてる? ……そんな余裕、無いわよね。だからこうなってるのよね」

 ヨシュア君がチラリと、隣に座って泣きそうな顔をしているアリエンヌちゃんや、居た堪れない表情のダン君を見遣った。

「……! す、すまない。僕が不甲斐ないばかりに。心配をかけてしまった……」
「わ、私は平気ですわ。それよりもお辛いのはヨシュア様なのです。その痛みに比べたら、私なんて全然……」
「はいダメダメ! そう言う顔がダメなのよ!」

 謝るヨシュア君のほっぺをぷにぷにツンツンする。

「「えええ!?」」

 ダメ出しされ驚く2人と、出遅れて喋れなかった1人が驚いた顔でこちらを見る。
 カワイイわね。でもダメダメ。似合わないんだからダーメ!

「ヨシュア君は普段通りの顔の方がカッコ良くて好きよ」
「!?」
「アリエンヌちゃんも、普段の顔つきの方が抱きしめたくなるくらいカワイらしくて好きだわ。そんな顔をしてちゃ、勿体ないわよ」
「はう!」

 2人は顔を赤らめ、悶え始める。
 あーん、もうカワイイ! 2人まとめてキスしたらダメかしら??

 そう思ってニヨニヨしていると、ダン君が駆け寄り耳打ちして来た。

「シラユキ様、お戯れはその辺りでお願いします」
「お戯れだなんて心外ね。私は本気で言ってるわよ?」
「いえ、そうではなく……。学園では正常に見えるように心掛けておられましたが、お二人共心身はボロボロの状態でして、シラユキ様の仰る通りとても酷いお顔をされておりました。それについては私達執事が至らぬ故、シラユキ様にはお手数をおかけしました。しかし、グラード家は現在ヨシュア様以外におられぬのもまた事実なのです。ですから」
「ストップ。ちょっと待って」
「え? あ、はい」

 ダン君から聞き捨てならない事を聞いてしまったので、陛下をジト目で睨む。

「陛下。まさかあの事、まだお伝えしていらっしゃらないんですか??」
「え!? あ、いや、その……な? 言おうとはしたんじゃよ? ただ、タイミングがその……」
「タイミング?」
「……シラユキちゃんが急に来たから、その、のう?」
「え……」

 衝撃の内容に、一瞬固まってしまう。

「……?」

 自分を指さすと、陛下達がうんうんと頷いた。

 ……。
 私、やっちゃった?

 私とヨーゼフ陛下とのやり取りの意味がまだ理解出来ていない彼らに対し、ヨーゼフ陛下は出来るだけ優しい口調で告げた。

「おほん。話が途切れてしまったが……安心して欲しい。首輪の被害にあった彼らじゃが、皆、命に別条はないのだ。復帰するまでに少々時間がかかる、というだけでな」
「……ほ、本当ですか!?」
「うむ。だから、彼らが戻るまでは、引き続きお主には領主代行として頑張ってほしい」
「っ! ……あ、ありがたきお言葉。感謝致します、陛下!」
「感謝致しますわ、陛下!」

 むむ。どうやら、本当に間の悪いタイミングで来ちゃったみたい。
 しょんぼり。


◇◇◇◇◇◇◇◇


 父上も、兄上も無事だった。本当によかった。
 そう思うと、自然と笑みが溢れ出す。……ああ、学園では誰にも心配させまいと仮面をつけていたけれど、今からは家でも、心から笑うことが出来そうだった。
 そうしていると、妻の……。いや、婚約者の顔がハッキリと見える。久しぶりに彼女の表情を見た気がする。今までどれだけ、彼女に心配をかけていたんだろうか。

「心配かけたね、アリー」
「本当ですわ。でも、謝るのは私だけにですの?」
「ああ。ダンも、すまなかった」
「いえ。おかえりなさいませ、ヨシュア様」
「うん。シラユキさんも、ありが……え?」

 僕が不甲斐ないせいで心配をかけてしまったし、その上首輪の件では家族を助けてくれた命の恩人でもある少女。そんな彼女は、今、所在なげにポツンと佇んでいた。
 まるで今にも泣き出しそうな、そんな表情で……。

「うう、私、余計なことしちゃった? 私が割って入らなければ、心配事は無くなっていたはずだし、あんなに偉そうなこと言われる筋合いは無いよね……」

 少女の両目から大粒の涙が溢れ始める。

「ううっ。ううー……!」
「い、いかん! ツヴァイ!!」
「はっ!」

 どこからともなく、綺麗な女性が現れ、シラユキさんを抱き止めた。

「シラユキ様、落ち着いてください」
「でも、でも! 私が邪魔しちゃったから、皆困ってたんでしょ?」
「いいえ、違います。シラユキ様があまりにも可愛らしくて、それで困っているのです。決してシラユキ様が何かしてしまったわけではありませんよ」
「ぐすっ……ぐすっ……」

 なんだ、この感情は。
 彼女が泣いている。ただそれだけで胸が締め付けられる思いだ。は居ても立ってもいられず、彼女の元へと駆け寄った。
 その時の僕達には、彼女の悲しみを止めることしか頭になかった。

「シラユキちゃん、大丈夫じゃよ。ワシらは怒ってないからの」
「ぐすっ……ほんとう?」
「ああ、本当じゃとも!」
「それよりも、シラユキさんが僕の父と兄を助けてくれたんだよね。それだけじゃなく、諸悪の根源もやっつけてくれたと聞いた。本当にありがとう、心から感謝している。僕が君に思う感情はこの感謝の念だけさ。僕達は怒っていないし、ただ君には笑っていて欲しいんだ」
「そうですわ。シラユキさんこそ、涙は似合いませんわ。笑ってる貴女が一番可愛いと思いますの!」
「ほんとう……?」

 全員でうんうんと頷く。その時、僕達の心は1つだった。
 そこに大人も子供も関係無かった。

「……わかった、なきやむ」

 目を擦る彼女を見て、ほっと一息つく。

「シラユキ様、今日はお疲れでしょう? 私と一緒に、アリシア様の所へ帰りましょう」
「うん、わかった。皆、またね、バイバイ」

 手を振ると、彼女達は手を繋いで出て行った。

「……あ、そうだ。えっとね、ツヴァイも香水つけてくれたの?」
「あ、はい。仕事柄あまり香りを付けるわけにもいきませんが、自然な香りを少量でしたら、違和感がないかと思いまして」
「良いわね。とっても良いわ。私、それだけで嬉しくなっちゃったもん!」
「それは良かったです」

 そんな会話をしながら、彼女達は遠ざかっていき、扉が閉まる。
 それと同時に、誰からともなくため息が出た。それは僕だったかもしれないし、陛下だったかもしれない。誰がため息をしたか認識出来ないくらいに、あの現象に消耗させられていた。

「あれがシラユキちゃんの癇癪か。話には聞いていたが壮絶じゃな」
「あれは一種の兵器ですね。この私ですら、彼女を甘やかすことしか頭にありませんでした」

 そう零すのは厳格で知られるザナック宰相様。彼ですら耐えられないのなら、僕達に耐えられるわけがないよね。

「しかし、良くやったぞヨシュア君。彼女を泣き止ませた事は称賛に値しよう」
「あ、ありがとうございます?」

 何だか微妙なことで褒められた気がしないでもないが、彼女にずっと泣かれてしまった場合を考えると、止められて良かったとも思う。

「さて、君達は彼女とこれから同じクラスになるのだったな。君たちも西側の人間だから、ある程度彼女に関しての噂も耳にしていただろうが……。良い機会だ。彼女がどれほどの活躍をして、どれほど王国に利益を齎す存在なのか、理解してもらおうではないか」

 アリーと顔を見合わせ、頷く。

「……望む所です。彼女は僕達の友人である前に、恩人でもあります。感謝するにも、まずは彼女のことを深く知らなくては」
「覚悟は出来ておりますわ」
「良かろう。そしてこの話をするからには、今後は一蓮托生じゃ。この話を良くない者に知られれば、必ず彼女にちょっかいをかけ、機嫌を損ねてしまうだろう。彼女の実力ならやられる心配はないが、逆にやりすぎて我々にも飛び火したり、最悪国を出て行ってしまう可能性がある。十分に注意する必要があるぞ、良いな」
「「「はっ」」」

 そこで聞いた話は、執事長であるダナンにのみ共有することを許されたが、あまりにも突飛な内容であり、彼女の実力を知っていなければ与太話だと思ってしまいそうな内容ばかりであった。
 僕達の個人的な恩人ではなく、王国全体の恩人だったなんて、シラユキさんはとても大きな人だったんだな……。
 そんな彼女に、僕達は一体どのようにして恩を返していけば良いのだろうか……?

 彼女のお陰で肩の荷は下りたけれど……。誰に聞くのが良いんだろうか。
 ソフィアリンデ様も仲良くされているそうだけど、まだ出会って間もないはず。……そうだ、今聞いた話によれば、彼女のご家族が初等部に入られたとか。アリー達に相談して、今度一緒に聞きに行こうかな。
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