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第4章:魔法学園 入学準備編

第122話 『その日、貴族の子達を視てあげた』

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 ――舞台は再び、筆記試験直後へと遡る。

 最後の『魔法学』の提出が終わったところで、盛大にため息が出た。最近レベルが急激に上がった事で、またもや感情の振れ幅が制御出来ていなかったりするのかも。ちょっと……ちょーっとばかりイライラが顔を出しちゃったわ。
 ぷりぷりと怒るシラユキちゃんはカワイイと思うけど、不機嫌にキレ散らかすシラユキちゃんはカワイくない。ちょっと気を付けないと。
 幸い、試験中だったこともあり周囲の皆は答案用紙と睨めっこしていた。
 私の不機嫌な顔は見られていないと思う。

「はい、皆さんお疲れ様でした。これにて筆記試験は終了となります。この後は学園内を見て回っても構いませんし、明日の試験会場である演習場にて、魔法の練習をしても構いません。それから、学食を開放していますから、利用することも可能です」

 答案用紙を回収したモニカ先輩は、そう言って教室を出て行った。皆……貴族の子達も平民の子も、テストの重圧から解放され、のびのびとテストの内容やその出来映えに一喜一憂したりしていた。

「それじゃ、テストの直後で疲れてるかもしれないけど、皆。このまま食堂で英気を養ってから演習場へ行きましょ。ヨシュア君達も、時間があるなら参加して良いからね」
「そう言うことなら、是非参加させてもらおうかな。この前興味深い話も耳にしたことだしね」
「ほむ?」

 なんだろう。私の事かな??


◇◇◇◇◇◇◇◇


 食堂に関しては、流石貴族の区域に建つ校舎なだけはあり、品質は銀貨1枚から7、8枚クラスの料理が平然と出て来てるにも関わらず、学生は無料で利用出来るようだった。
 私達はまだ、試験中の身ではあるけれど、今日と明日の内は学生(仮)ということで免除して貰っているらしい。その心意気に感謝して、皆で美味しく頂いた。

 その後、皆で演習場にやって来ると、その広さに各々が驚きの声をあげていた。私も、ちょっとばかり驚いて見せた方がカワイ気があるんだろうけど、ゲームでは散々お世話になったからなぁ。新鮮味が無いわね……。
 1人別視点でうんうん唸っていると、隣から声がかかった。

「そういえばシラユキさん、筆記テストですが、出来はいかがでした?」
「うん? んー……まあまあ、かなぁ」
「そうなのですか? あの様に盛大にため息をついていたんですもの。心配ですわ」

 あら、アリエンヌちゃんに聞かれちゃってたのね。

「そうねぇ、出題者の性格が悪い気がして、ちょっと思うところはあったけど……。自己採点をするに、半分は出来ていたんじゃないかしら?」

 『歴史』は言わずもがな。『薬学』と『数学』は満点。『作法』と『魔法学』は、出来て半分、悪くて0点と言ったところだろう。
 随分極端な結果だけど、自己採点で言えばちょうど中間だ。

「そうなのですか!? シラユキさんは社交性だけでなく、勉強も出来ますのね……」
「あれ?」

 今のところに褒める要素あった? 半分しか出来てないと言ったのよ??

「満点の半分なんて、決して褒められた評価じゃないと思うんだけど……」
「そんな事はありませんわ。問題の半分以上は高等部で習うものばかりなのです。初等部から順当に上がって来た者でさえ、3割も答えられないと聞きますわ」
「ええ……。そんな難しくしてどうするのよ……」
「編入生に求められているのは学力ではなく魔法力なのです。ただ、今後は初等部からの進級者の方々と並んで授業を受ける事になりますから、差が出過ぎて家の恥にならぬ様、事前に勉強をして来ています。その最終確認という名目のようです。後はやはり……」

 チラリと級友、もとい一部の子達を漠然と見る。視線の先にいたのは平民組だった。

「彼らとの、その……。点数で格差を見せつけるためだと思います」
「はぁん、器の小さいことをするのね。当人の勉強への頑張りがあったからこその知識だとは思うけど、それを環境がない人に自慢したって無意味なことだわ」
「環境という特権は、昔から貴族のステータスですから。特に上位の貴族や古い貴族などは……。あ、いえ。この話は忘れてくださいまし」

 周囲をキョロキョロと見て、他には誰もいないことを確認して安堵する。ううん、上流貴族の存在に本気でビビってるわね。重症だわ。
 男爵家だし、一番下の立場じゃあ肩身が狭いのかな? まるで……そう。失礼でも働いたら一発アウトで社会から爪弾きにされそうなくらいの、怯えっぷりでもあるけど。陛下に今度聞いてみよっかな。

 まあとにかく、平民は下に見るべしって意向があるらしいけど、そんな空気、私がぶっ壊してやるわ。ここにいる彼らもそれが正しいとは思っていない今だからこそ、毒されてしまう前に気をつけなきゃ。
 まずは級友達から目を離さないように心掛けましょうか。

 ……あれ? でも……。

「ねえアリエンヌちゃん。もし私たちが全員合格したとして、その後一緒のクラスになれるの?」
「いえ、流石にそれは難しいかと。初等部からの繰り上がりの方々と一緒になるわけですが、そこでまずがされます。簡単に言うと実力順ですね」

 うっ、初っ端から級友達と離れ離れになっちゃう可能性が……!

「ですが、そもそも編入生が全員合格など、前代未聞な事なのです。今回、彼らがシラユキさんにどう教わったところで、たった1日では元々の実力が……。いえ、ごめんなさい。そんな顔をしないでくださいまし」
「ううん、分かったわ。貴族の常識で言えば不可能って事ね。そこで確認なんだけど、あなた達貴族と従者達は、全員合格ラインは満たしているのね? 専属の家庭教師から事前にお墨付きをもらったとかで」

 その言葉に、周囲にいた子達が肯定の意を示す。

「それじゃ、皆の得意な魔法を見せてもらっても良いかしら?」

 普通ならここで、お前のから見せろよという空気にもなる物だと思うんだけど、皆大人しく素直に従ってくれた。毒されていない彼らはカワイげがあって良いわね。このくらいの子達なら、『貴族』という枠組みも捨てたもんじゃないんだけど。
 ただ従者の子達は、主人格である貴族組が何も言わないから、渋々従っている節はあるけど。

 ああ、彼らも例に漏れず、何を言ってるのか知らないけど、カワイらしく呪文詠唱をしてるわね。ふふっ。

「『ファイアーランス』」
「『ウィンドランス』」

 まず見せてくれたのはヨシュア君とアリエンヌちゃん。魔力量や形状、完成速度とか……。まあ色々突っ込みたいところはあるけど、一応ランスとしてのは保てているわね。
 初めてランス系の魔法を見たんだろうか。平民組からは歓声のようなものが上がる。

 続いて残りの貴族組および従者達は、ランスはまだ覚えていないみたいだけど、得意な属性の『ボール』系魔法を披露してくれた。形はまぁ、一応球体だった。出来の悪い泥団子みたいな感じ?

「うん、ありがとう。皆頑張ったのね」

 こんな劣悪な環境下で。

 そう褒めると、皆褒められ慣れてるはずなのに、照れた顔を見せてくれる。うんうん、初々しくてカワイイわ。

「それじゃぁ、一番上のクラスって具体的にどのレベルで入れるの?」
「そうだね、僕達のようなランス以上の魔法……とまでは行かなくても、それに準ずるレベルの魔法の出来であれば入れるんじゃないかな」

 うーん、全員最上位クラスは難しいかも? と思ったけど、それに準ずるレベルの魔法ってなんだろう? 判断するのは貴族なんだから、気にするのはとか? もしかして、実戦では何の役にも立たないとか??

『パチンッ』

 指を鳴らし、『ファイアーボール』を生み出す。いつもの『灼熱の紅玉』などでもなく、ただの『ファイアーボール』だ。

「えっ?」
「今、どこから……まさか無詠唱!?」
「いえ、それも凄いけど……す、素晴らしいまでの完成度だ」
「美しい……」
「もはや芸術だ……!」

 最初は無詠唱で出て来た『ファイアーボール』に驚くも、今度はそのに夢中になっている。
 つまりは、そう言うことよね。こんな真円を描いた球体を生み出すように、たくさん練習させられて来たんだろう。
 して、ただただ見栄えだけを求め続けた虚構の技術。それが彼ら、『魔法使い』の実力を下げ続けた大元の病巣なのかも……。

「これさえ出来て仕舞えば、最上位クラスに入れちゃうの? ランスなんて無くても?」
「あ、ああ! 間違い無いよ、こんな美しい『ファイアーボール』を僕は見たことがない!」

 ヨシュア君が珍しく興奮している。まだ出会って数時間だけど、大人びていた少年だったはずが、今は魔法に夢中の子供の姿だ。
 カワイイわね。

「確認だけど、魔法の評価には見た目が入っているのよね? それってそんなに重要なの?」
「はい、とても重要なんです。魔法を評価される際、いくつかの項目があるのですが、見た目の美しさは他より2倍配点が高いのですわ」

 2倍かぁ。そりゃ他を頑張っても美しさで負けちゃったら、ライバルとは目も当てられないポイント差になっちゃうでしょうね。

「あなた達のボール魔法を見る限り、私に教わる必要がありそうだけど、今は平民組の子達を優先してあげたいから……。そうね。簡単にだけどあなた達のボール魔法の精度だけを上げましょうか。勿論、ヨシュア君とアリエンヌちゃんも参加して良いわよ」
「本当ですか!?」
「宜しいんですの!?」
「良いの良いの。ホイっと」

『パチンッ』

 『ファイアーボール』だけでなく、。『風』『水』『土』のボールを無詠唱で生み出す。

『わあー!』

 拍手が巻き起こる。ただのボール4種なのに、本当カワイらしいわね。そして、従者組から飛んでくる視線の種類が変わった。どうやら認めてもらえた様ね。

「まずコレが、あなた達が参考にする魔法の完成形態よ。今までどんな風に教えられたのか知らないけど、今はそれを忘れなさい。これを参考にし、この形状を目指して、この形状を自分の中でもイメージして、『ボール』系魔法を使うの。さあ、自分のペースでやってご覧なさい」

 それぞれが深呼吸をして、自分が目指すべき目標を見据え、ゆっくりとだが魔法を練り上げる。
 出てきた『ボール』系魔法は、先ほどと比べると多少は丸くなった気がする。やっぱり参考に出来るものが無かったのね。

 ここからする授業はちょっとした荒技だ。
 アリシア達家族に魔法を教える過程で見つけた、新しい技術。多分、ゲーム中でこの技術は知ったとしても真似出来なかったかも知れない。この世界が現実だからこそ通用する技法ね。

「これからあなた達の魔法を、私が直接調整します。その間も可能な限り魔法を維持しつつ、その状態から私の魔法に近づけるように不要な部分を取り除いたり、凹みを修正していきなさい。特に優秀そうなヨシュア君とアリエンヌちゃんは最後に回すから、しっかり維持しなさいね」
「「はいっ!」」

 2人に比べれば、その他の子達は正直どんぐりの背比べだ。誰から見ても大差はないだろう。
 となれば最初の方針通り、から見ていきましょうか。まずは従者組の1人、ダン君ね。

「まずは貴方ね。これからダン君の魔法に直接触れるけど、驚いて維持する力を手放さないようにね」
「え? 『ファイアーボール』ですよ? それに触れるだなんて、火傷してしまいます!」
「平気よ、きちんと対策すれば多少熱い程度で済むから。ホラ、行くわよ」

 有無を言わさず『ファイアーボール』に手を添える。勿論魔力を手の周りに纏わせた形でだ。
 このまま強く握ってしまえば弾け飛んでしまう。そんなか弱い魔法を、両手で優しく包み込む。そうして陶芸のように、おにぎりを作るように、ボールを回転させながら余計な部分を削ぎ落とし、千切れ飛んだ破片は凹みに補填し、余った部分は握り潰す。
 次第に『ファイアーボール』は、見事な真球を描き出した。

 この技法の良いところは、その魔法は術者の魔力だけで出来上がっているという事だ。私の魔力は一切関与していないため、その魔法の操作権も意識も、所有者は術者のままなのだ。

 なので実際、自分の魔力がどう動き、どんな形状に収めれば丸く収まるか、身を持って経験できる。
 取り急ぎ、見栄えを良くするためだけの技法だ。だからリリちゃんやママにはこの教えは使わない。何故なら丸くする工程は本人の努力によって勝手についてくるものだ。
 それを私が横から茶々を入れたりしたくないし、自分で出来るようになれば自信にも繋がる。まあでも、丸くするというのは威力には関係が無いから、本当に見栄えだけで何の価値もない。つまりは自己満足の領域なのだ。

 だから私が、この場で彼らに教えてもそこまで影響はないはず。

 よし、自分への言い訳終わり!

「どう、ダン君。自分の魔力がどう動けば、どう維持されれば、どう展開すれば、綺麗な真球を描けるか分かった?」
「……は、はい。なんとなくですが……」
「なんとなくではダメね。そのボールを維持し続けて、体に覚え込ませなさい。その感覚をハッキリと掴めるまで、魔法を解除する事は許しません、良いですね?」
「は、はい!」

 その調子で、順々に魔法の添削をしていき、最終的には彼ら全員の魔法が、真球を描いた状態で維持されていた。

 声を出す余裕もないのか、皆肩で息をし、額には汗が滲んでいる。

「よし、全員ちゃーんと真ん丸を描いているわね。皆、その状態の魔法を肌で覚えたかしら?」

 全員が同時に頷きを返す。

「よし、では全員あの目標に向かって魔法を放って」

 ここは演習場だ。おあつらえ向きに、人型の人形が壁に何体も並んでいる。彼らの放つ魔法は、形を崩す事なく目標へと命中した。
 うん、一応ちゃんと命中させる訓練は積んできているようね。

「そして今の感覚を忘れないうちに、最初から自分で真ん丸なボールを出してご覧なさい!」
『はい!!』

 再び魔法を詠唱し、『ボール』系魔法の準備に入る。順番待ちと言うか、私の講義を受けるために待ってもらっていた平民組の子達も、固唾を飲んで見守っていた。

『ボボボボッ!』

 一斉に10個近い『ボール』系魔法が出現した。大きさは不揃いながらも、その形状は見事に真球を描いていた。
 まぁよーく見ると、所々で属性の余波が漏れ出ていたりして完璧ではないけれど、貴族連中が求める見栄とやらには達したでしょ。

「はい、皆ちゃんと出来たわね。本番は明日だけど、コレで満足しないでいつでもこの状態を出せるように練習しなさい。さらに言えばそれ以上の威力と大きさを維持しつつその形状を描けるように腕を磨くことを忘れずに。良いわね?」
『はい!!』
「よろしい。ではこれにて、貴方たちの講義は終了します。お疲れ様」
『ありがとうございました!!』

 皆が頭を下げる。
 まるで私、教師になったみたいね。そういう意味では、手間の掛からない良い子達だったわ。

 見栄え魔法が使えた子達は、とっても嬉しそうに自分で作り上げた魔法を見て、感慨深く目を輝かせている。中には、涙ぐんだり、実際に泣いちゃってる子もいる。
 そ、そんなに嬉しいんだ……。私には理解出来ない感覚ね……。でもカワイイからシャッター切っておこう。

 ヨシュア君やアリエンヌちゃんは、そんな彼らを称賛し合い、そのまま私の方にやって来た。今度はヨシュア君の従者であるダン君も連れて。

「シラユキさん、この度は本当にありがとうございました」
「僕達にこんな素晴らしい技法を授けてくれるなんて……。間違いなく僕達は全員、最優秀クラスに入れるよ」

 ああ、あの完成度さえあれば最優秀に入れちゃうのか。意外とちょろいわね。
 ヨシュア君から握手を求められたので応じる。すると、彼は急接近して、耳打ちをしてきた。

「やっぱり、あの噂は君だったんだね。フラリと現れては魔法を授ける天上の女神様は」
「え、なにその呼び名」
「西方地域で噂になっていたんだ。ここ1ヶ月の間に、魔法の素養のあるなしに関わらず、魔法を教えて回る美しい銀髪の女神の噂が。その女神様は信じられないほどに美しく、とてつもない量の魔法知識と、大海より深い慈しみを持っているとね。噂の中には、美しいエルフの女性を随伴しているとか、魔法の素養がないと言われるドワーフですらその恩恵にあやかった。なんて、眉唾の噂も流れてきていたけど……。この分なら本当かもしれない」
「へー、そんな風に言われてたんだ」

 女神かぁ。それってつまり、カワイイよりかは綺麗という意味で付けられたのかしら? それだとちょっと嬉しさ半減なんだけど……。でもまぁ、ダサイよりかは全然良いわね。

「あ、勘違いしないで欲しいんだけど、僕達はこの情報を言いふらすつもりもないし、君に迷惑をかけたいわけでもない。実を言うと、一度会ってみたいなと思っていたんだ。まるで物語からそのまま現れたかのようで、不思議なエピソードだったから」

 アリエンヌちゃんやダン君もうんうんと頷いている。周りの様子を見るに、この話を知っているのは西方貴族のこの2人とその関係者だけみたいね。

「まあその件は遅かれ早かれ衆知の事実となるでしょうし、別段秘密にしたいわけでも隠す気もなかったから、怒ってなんていないわ。むしろそんな風に噂になっていたことを知れて嬉しいもの。でも、そうね……2人も気づいていると思うけど、エルフもドワーフの件も全て事実よ。エルフに関してはすぐに紹介出来ると思うけど、魔法知識を隠匿するような連中には目障りだと思うの。早い段階でバレると面倒だから、もう少しの間秘密にしてくれると嬉しいわ」
「「「はい!」」」

 改めて3人と握手をし、ハグをする。ヨシュア君とダン君は照れ臭そうだったのがまたカワイらしい。

「先程までは失礼な態度を取ってしまい、申し訳ありませんでした。シラユキさんほどの技術と知識があれば、彼らも立派な魔法使いとして入学試験を突破出来る事でしょう」
「そうだね。僕達は先に彼女から魔法の扱いを教えてもらったけれど、彼女はこの国の誰にも負けないほどに魔法の知識に精通している。御伽噺に出てくるような伝説級の魔法使いだ。皆も明日の試験には不安があるかも知れない。……でも! 彼女の教えを受ければきっと大丈夫だ! 僕達は全員、誰1人欠けずに入学出来ると信じているよ」

 平民組にそう声をかけるのは、貴族や従者の子達。
 先程まで、別の世界の人間だと思っていた子達から、激励の言葉が齎される。それを聞いた彼ら平民組も、少なからず闘志の炎が吹き上がった事だろう。

「うん!」
「待っててね、すぐ追いつくから!」
「油断してると追い抜いちゃうぜ!」
「ああ、皆の到着を待ってるよ!」

 おー、皆青春してるなぁ。
 と、この場を動かした銀髪の女神様は、その光景をニコニコと見守っていた。

『良い子達じゃない!』
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