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第1章:港町ポルト編
第021話 『その日、身も心もホクホクになった』
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「はぁー、ホクホク」
奴の金庫には、さすが貿易を総括する闇ギルド! と言いたくなる量のお宝が詰まっていた。
大量の金貨に、多様な属性の魔石達。と言ってもほとんどは小型で、中型は数個程度だったけど。まぁこの世界の人たちの戦闘力では、中型でもお宝に違いない。
そして極め付けはマジックバッグ(中)! しかも見た目は肩掛け鞄タイプ。今までのマジックバッグ(小)は、簡単に入るサイズをまとめると50キロ~400キロと言ったところか。
初期の1個に、道具屋での購入品、そしてオークの集落で得た遺品の計3個。内容量はそれぞれが200キロ、100キロ、80キロくらいね。
それが今回の(中)は一気に800キロ! これは儲け物だったわね。あとは細々とした宝石類に、この大陸では珍しい異国の素材、例の御方からの指示書多数。と言ったところね。
ルンルン気分で地下の牢屋へと向かった。道すがら、シェリーにボコられたと思しき奴らが転がっているが、加減されなかったのか見ていて痛々しい。
目的のメアリースが目前に迫っているのだ。余計なことを考える暇がないのだろうし、そんなシェリーを邪魔する奴が悪い。
「到着ーっと」
シェリーもリリちゃんも、囚われの人達とお話をしているみたい。
牢屋の中には子供達もいるし、メアリースはシェリーの前にいる彼女ね。
……胸が凄く大きい!!!
この大きさは狙われても致し方なしね。うん、納得。
あら? もしかして開けられないのかしら?
「シェリー、どうしたの?」
「ああ、シラユキか。どうやらカギがないようなんだ。ここにいた連中は持っていないみたいだし、しまったな。気絶させる前に問いただすべきだった。無理に壊してトラップがあっても敵わんしな……」
「それならちょうど良いのがいるわ」
後ろについてきているゴーレムもどきを見やる。
「ここの鍵はどこに?」
「ここにあります」
腰のポーチ……恐らくマジックバッグから鍵を取り出した。ああ、まだ何か持ってるのね。あとでそのポーチも貰っておきましょうか。
「トラップはあるかしら?」
「かぎをつかえばもんだいありません」
「らしいわ」
鍵を掴み、シェリーに投げ渡す。
「ああ、助かる」
鍵を使い扉を開け、シェリーは全員の手錠を外していった。子供達はリリちゃんを交えて抱き合っているし、囚われの女性たちも泣いて喜んでいる。
……うん、最初に運ばれるだけあって、みんな綺麗でカワイイわね。少しくらいならお触りしても良いかしら?
『フラッ』とそちらに吸い寄せられそうになったが、呼び止められてしまう。
「シラユキ、今日は本当にありがとう。私たちの命を救ってくれたばかりか、ここの鎮圧も手伝ってくれた。君なしでは彼女たちを救出することはできなかっただろう」
「あら、良いのよ。元々私にとってもメリットがあったし、オークから助ける事が出来たのは偶然よ」
「君ならそう言うと思っていたよ。その上で厚かましいことをお願いするようで申し訳ないのだが、彼女の首輪はなんとか出来るだろうか?」
「うん?」
シェリーの視線の先、メアリースの首輪を見る。黒い靄が漂っているわね。どれどれ……さっきのと同系統かな?
*********
名前:呪いの沈黙の首輪
効果:装着者の声を封じる。
呪われており、未装着状態で触れると強制装着される。外すには専用の鍵が必要となる。
*********
「ふぅん……あの首輪の鍵はどこ?」
「あのおかたがおもちです」
「そ」
そんなことだろうと思ったわ。つまり、今ここにはないわけだ。
でも、文字化けした『隷属の首輪』に比べたら、生易しい物で良かったわね。呪われてるけど。
「『浄化』『魔法解除』」
黒い靄が消え、同時に『カチッ』と音が鳴る。彼女の首から取り外してみせると、メアリースは驚いた顔をしていた。
「浄化に魔法解除まで……貴女は聖女様ですか?」
「聖女じゃなくても浄化は出来るわ」
『魔法解除』は『浄化』と同じく神聖魔法の一つで、要求される魔法スキル値は55。
聖女と賢者、精霊使い、大賢者専用の魔法だ。4つもあると専用感はあんまりないけど。
オークの集落を吹き飛ばした後、寝てるシェリー達に回復や『浄化』をかけていたらスキルが上がり使えるようになった。
効果は文字通り『魔法効果を解除する』というもので、『人工で作られた魔法』及び『魔道具』がその対象となる。
魔道具の解除には『作成者のDEX、INT、MNDを上回る』という要求がされるが、今の私には苦ではない。
全てを下回れば失敗し、どれかが上回れば確率で成功するが、失敗すると一時的にステータス減少のペナルティが起きる。全て上回れば失敗はなくなる。
今のところ2回連続で成功しているが、恐らくあの御方のステータスを現時点で超えているのだろう。この先のことを考えると、とても安心できた。
「メア。シラユキは色々と規格外でな。言っていることは本当なのだろうが、細かく確認すると常識の違いに打ちのめされるぞ。込み入った話はまた今度にしよう。な?」
「え、ええ……わかったわ」
「あ、この首輪面白そうだから貰ってもいいかしら?」
「む。何に使うか知らないが、悪用はするなよ」
「しないわよ。それに黙らせるなら、ココで塞ぐわ」
「……ッ!」
自分の唇をツンツンする。先ほどの一幕を思い出したのか、シェリーが顔を背けた。カワイイ反応するわね。
メアリースは不思議そうな顔をしている。
「シェリー、どうしたの?」
「……なんでもない」
「フフッ」
それにしても彼女がメアリースね。おっとりとした顔付きなのに、大層な武器をお持ちで……!
これは男を惑わす凶器ね。そりゃあの御方とやらに目を付けられるわよね。
私だって今、すごく触りたいもの!
そんな揺れる凶器を凝視していると、ふと隣から視線を感じた。ニヤニヤしたシェリーだった。
シェリーは視線が合うと、彼女はメアリースの背後に回り込む。
「さて、メアリース。シラユキにはとても返しきれない借りが出来てしまったな?」
「え、そ、そうね。感謝してもしきれないくらいよ。私にできることなら何だってサポートしてあげたいわ」
「ん? 今何でもするって言ったよね?」
両手をワキワキとさせる。
飢えた獣の前で『何でもする』は禁句なのよ?
「あ、はい。私にできることであればですが……」
「だ、そうだぞ? シラユキ」
「それじゃあ遠慮なく!」
「え、ええっ? シラユキさん? ま、待ってくださ……ひゃあああ!!」
しばらく凶器に埋もれた。
◇◇◇◇
「うーん、メアのコレを枕にしたい。けど、シェリーのお尻も捨てがたい。でも、リリちゃんを抱き枕にしたい……」
堪能し終えたが、まだ両手は掴んだままだ。うん、名残惜しすぎて手放せない。
メアリース……ううん、メアって呼んでいいんだって。
メアは顔を真っ赤にしつつも、こちらに身を委ねている。不思議なことに初対面なのに嫌がられないせいか、遠慮なく揉んでしまった。
仕方ないよね。魔性の凶器なんだもの。なんだか周囲の女性達からの視線が熱い。
冷たいよりはいいけれど、なんで熱いのかしら?
「……さっきから欲望駄々洩れだぞ、シラユキ。戦いが続いたせいで、興奮が冷めないのか?」
「というよりは、一度操られて吹っ切れたというか、なんというか……」
「ふむ……後遺症では、ないのだな?」
「その心配はないわ。試してみる?」
「っ!? きょ、今日はもういい!」
「フフッ」
名残惜しいがそろそろみんなを帰らせよう。私もなんだかんだで疲れちゃったし。
メアを立たせると、シェリーが何かに気付いたようだ。
「む? 上が騒がしいな……。この騒ぎだ。誰かが通報したか」
「ああ、領主軍がやっときたのね。呼んでも全然来ないし、遅すぎて忘れていたわ」
「シラユキが呼んだのか? いつの間に……」
私は天井に指をさして説明する。
「ほら、氷の柱を作り出したでしょ? あれ、屋根を突き抜けて空高くまで伸ばしたのよ。街全体から見えるようにね。……夕日に照らされてさぞかし目立ったことでしょうね」
「……なるほど、あの柱にはそんな意味も込められていたのか。そう考えると、確かに遅かったな」
「まあこいつらが、街に対して結構根深く刺さっていたから。手続きに時間がかかったのかもしれないわね」
「かも、しれんな。やれやれ、コレは後始末も大変そうだ。……よし! 全員一列に並んで私についてこい! 子供たちは真ん中へ。シラユキは殿を頼む」
「任せて」
その後屋敷を出たところで、屋敷を包囲し警戒していた領主軍と鉢合わせするも、シェリーとメアの2人は顔が広く、トラブルもなく話が進んだ。
結局ゼルバは、一旦メアが預かることとなり、ギルドの牢屋に入れておくとのこと。
領主軍から事情聴取を受けることになったが、シェリーとメアの二人が率先して受けるとのことで、私は今日の所は帰って休んでいいそうだ。クエスト完了かしら?
囚われていた女性達や子供たち、リリちゃんも一度ギルドに寄ってから帰宅するとのことで、リリちゃんと離れるのはお互いに、非常に惜しんだ。なので、明日の適性審査の後に会う約束をしてお別れした。
「魔法使いになるから、応援しててね!」
リリちゃんカワイイ。応援しているわ、心からね。
長引きそうなシェリーには泊っている宿は伝えておいた。用事があれば明日にでも連絡があるだろう。
というか一番暴れまわったの私だし、呼ばれないなんてことは絶対ないわね。最悪朝一で呼び出される可能性だってある。
……今日は早く帰って寝よう。
そのまま買い物もせず、ロイヤルに直帰した私は、夕食やお風呂も早めに切り上げ、ベッドに飛び込んだ。
「今日は本当に、色々あったなぁ……。イベントてんこ盛りだったなぁ……。こんなに濃ゆい一日は、もうきっとないわぁー。はあぁ、疲れたぁ……むにゃ」
心地よい微睡に落ちていく。
こうして私の、長い長い1日は、ようやく終わりを迎えた。
『そのセリフはフラグっていうのよ、マスター』
奴の金庫には、さすが貿易を総括する闇ギルド! と言いたくなる量のお宝が詰まっていた。
大量の金貨に、多様な属性の魔石達。と言ってもほとんどは小型で、中型は数個程度だったけど。まぁこの世界の人たちの戦闘力では、中型でもお宝に違いない。
そして極め付けはマジックバッグ(中)! しかも見た目は肩掛け鞄タイプ。今までのマジックバッグ(小)は、簡単に入るサイズをまとめると50キロ~400キロと言ったところか。
初期の1個に、道具屋での購入品、そしてオークの集落で得た遺品の計3個。内容量はそれぞれが200キロ、100キロ、80キロくらいね。
それが今回の(中)は一気に800キロ! これは儲け物だったわね。あとは細々とした宝石類に、この大陸では珍しい異国の素材、例の御方からの指示書多数。と言ったところね。
ルンルン気分で地下の牢屋へと向かった。道すがら、シェリーにボコられたと思しき奴らが転がっているが、加減されなかったのか見ていて痛々しい。
目的のメアリースが目前に迫っているのだ。余計なことを考える暇がないのだろうし、そんなシェリーを邪魔する奴が悪い。
「到着ーっと」
シェリーもリリちゃんも、囚われの人達とお話をしているみたい。
牢屋の中には子供達もいるし、メアリースはシェリーの前にいる彼女ね。
……胸が凄く大きい!!!
この大きさは狙われても致し方なしね。うん、納得。
あら? もしかして開けられないのかしら?
「シェリー、どうしたの?」
「ああ、シラユキか。どうやらカギがないようなんだ。ここにいた連中は持っていないみたいだし、しまったな。気絶させる前に問いただすべきだった。無理に壊してトラップがあっても敵わんしな……」
「それならちょうど良いのがいるわ」
後ろについてきているゴーレムもどきを見やる。
「ここの鍵はどこに?」
「ここにあります」
腰のポーチ……恐らくマジックバッグから鍵を取り出した。ああ、まだ何か持ってるのね。あとでそのポーチも貰っておきましょうか。
「トラップはあるかしら?」
「かぎをつかえばもんだいありません」
「らしいわ」
鍵を掴み、シェリーに投げ渡す。
「ああ、助かる」
鍵を使い扉を開け、シェリーは全員の手錠を外していった。子供達はリリちゃんを交えて抱き合っているし、囚われの女性たちも泣いて喜んでいる。
……うん、最初に運ばれるだけあって、みんな綺麗でカワイイわね。少しくらいならお触りしても良いかしら?
『フラッ』とそちらに吸い寄せられそうになったが、呼び止められてしまう。
「シラユキ、今日は本当にありがとう。私たちの命を救ってくれたばかりか、ここの鎮圧も手伝ってくれた。君なしでは彼女たちを救出することはできなかっただろう」
「あら、良いのよ。元々私にとってもメリットがあったし、オークから助ける事が出来たのは偶然よ」
「君ならそう言うと思っていたよ。その上で厚かましいことをお願いするようで申し訳ないのだが、彼女の首輪はなんとか出来るだろうか?」
「うん?」
シェリーの視線の先、メアリースの首輪を見る。黒い靄が漂っているわね。どれどれ……さっきのと同系統かな?
*********
名前:呪いの沈黙の首輪
効果:装着者の声を封じる。
呪われており、未装着状態で触れると強制装着される。外すには専用の鍵が必要となる。
*********
「ふぅん……あの首輪の鍵はどこ?」
「あのおかたがおもちです」
「そ」
そんなことだろうと思ったわ。つまり、今ここにはないわけだ。
でも、文字化けした『隷属の首輪』に比べたら、生易しい物で良かったわね。呪われてるけど。
「『浄化』『魔法解除』」
黒い靄が消え、同時に『カチッ』と音が鳴る。彼女の首から取り外してみせると、メアリースは驚いた顔をしていた。
「浄化に魔法解除まで……貴女は聖女様ですか?」
「聖女じゃなくても浄化は出来るわ」
『魔法解除』は『浄化』と同じく神聖魔法の一つで、要求される魔法スキル値は55。
聖女と賢者、精霊使い、大賢者専用の魔法だ。4つもあると専用感はあんまりないけど。
オークの集落を吹き飛ばした後、寝てるシェリー達に回復や『浄化』をかけていたらスキルが上がり使えるようになった。
効果は文字通り『魔法効果を解除する』というもので、『人工で作られた魔法』及び『魔道具』がその対象となる。
魔道具の解除には『作成者のDEX、INT、MNDを上回る』という要求がされるが、今の私には苦ではない。
全てを下回れば失敗し、どれかが上回れば確率で成功するが、失敗すると一時的にステータス減少のペナルティが起きる。全て上回れば失敗はなくなる。
今のところ2回連続で成功しているが、恐らくあの御方のステータスを現時点で超えているのだろう。この先のことを考えると、とても安心できた。
「メア。シラユキは色々と規格外でな。言っていることは本当なのだろうが、細かく確認すると常識の違いに打ちのめされるぞ。込み入った話はまた今度にしよう。な?」
「え、ええ……わかったわ」
「あ、この首輪面白そうだから貰ってもいいかしら?」
「む。何に使うか知らないが、悪用はするなよ」
「しないわよ。それに黙らせるなら、ココで塞ぐわ」
「……ッ!」
自分の唇をツンツンする。先ほどの一幕を思い出したのか、シェリーが顔を背けた。カワイイ反応するわね。
メアリースは不思議そうな顔をしている。
「シェリー、どうしたの?」
「……なんでもない」
「フフッ」
それにしても彼女がメアリースね。おっとりとした顔付きなのに、大層な武器をお持ちで……!
これは男を惑わす凶器ね。そりゃあの御方とやらに目を付けられるわよね。
私だって今、すごく触りたいもの!
そんな揺れる凶器を凝視していると、ふと隣から視線を感じた。ニヤニヤしたシェリーだった。
シェリーは視線が合うと、彼女はメアリースの背後に回り込む。
「さて、メアリース。シラユキにはとても返しきれない借りが出来てしまったな?」
「え、そ、そうね。感謝してもしきれないくらいよ。私にできることなら何だってサポートしてあげたいわ」
「ん? 今何でもするって言ったよね?」
両手をワキワキとさせる。
飢えた獣の前で『何でもする』は禁句なのよ?
「あ、はい。私にできることであればですが……」
「だ、そうだぞ? シラユキ」
「それじゃあ遠慮なく!」
「え、ええっ? シラユキさん? ま、待ってくださ……ひゃあああ!!」
しばらく凶器に埋もれた。
◇◇◇◇
「うーん、メアのコレを枕にしたい。けど、シェリーのお尻も捨てがたい。でも、リリちゃんを抱き枕にしたい……」
堪能し終えたが、まだ両手は掴んだままだ。うん、名残惜しすぎて手放せない。
メアリース……ううん、メアって呼んでいいんだって。
メアは顔を真っ赤にしつつも、こちらに身を委ねている。不思議なことに初対面なのに嫌がられないせいか、遠慮なく揉んでしまった。
仕方ないよね。魔性の凶器なんだもの。なんだか周囲の女性達からの視線が熱い。
冷たいよりはいいけれど、なんで熱いのかしら?
「……さっきから欲望駄々洩れだぞ、シラユキ。戦いが続いたせいで、興奮が冷めないのか?」
「というよりは、一度操られて吹っ切れたというか、なんというか……」
「ふむ……後遺症では、ないのだな?」
「その心配はないわ。試してみる?」
「っ!? きょ、今日はもういい!」
「フフッ」
名残惜しいがそろそろみんなを帰らせよう。私もなんだかんだで疲れちゃったし。
メアを立たせると、シェリーが何かに気付いたようだ。
「む? 上が騒がしいな……。この騒ぎだ。誰かが通報したか」
「ああ、領主軍がやっときたのね。呼んでも全然来ないし、遅すぎて忘れていたわ」
「シラユキが呼んだのか? いつの間に……」
私は天井に指をさして説明する。
「ほら、氷の柱を作り出したでしょ? あれ、屋根を突き抜けて空高くまで伸ばしたのよ。街全体から見えるようにね。……夕日に照らされてさぞかし目立ったことでしょうね」
「……なるほど、あの柱にはそんな意味も込められていたのか。そう考えると、確かに遅かったな」
「まあこいつらが、街に対して結構根深く刺さっていたから。手続きに時間がかかったのかもしれないわね」
「かも、しれんな。やれやれ、コレは後始末も大変そうだ。……よし! 全員一列に並んで私についてこい! 子供たちは真ん中へ。シラユキは殿を頼む」
「任せて」
その後屋敷を出たところで、屋敷を包囲し警戒していた領主軍と鉢合わせするも、シェリーとメアの2人は顔が広く、トラブルもなく話が進んだ。
結局ゼルバは、一旦メアが預かることとなり、ギルドの牢屋に入れておくとのこと。
領主軍から事情聴取を受けることになったが、シェリーとメアの二人が率先して受けるとのことで、私は今日の所は帰って休んでいいそうだ。クエスト完了かしら?
囚われていた女性達や子供たち、リリちゃんも一度ギルドに寄ってから帰宅するとのことで、リリちゃんと離れるのはお互いに、非常に惜しんだ。なので、明日の適性審査の後に会う約束をしてお別れした。
「魔法使いになるから、応援しててね!」
リリちゃんカワイイ。応援しているわ、心からね。
長引きそうなシェリーには泊っている宿は伝えておいた。用事があれば明日にでも連絡があるだろう。
というか一番暴れまわったの私だし、呼ばれないなんてことは絶対ないわね。最悪朝一で呼び出される可能性だってある。
……今日は早く帰って寝よう。
そのまま買い物もせず、ロイヤルに直帰した私は、夕食やお風呂も早めに切り上げ、ベッドに飛び込んだ。
「今日は本当に、色々あったなぁ……。イベントてんこ盛りだったなぁ……。こんなに濃ゆい一日は、もうきっとないわぁー。はあぁ、疲れたぁ……むにゃ」
心地よい微睡に落ちていく。
こうして私の、長い長い1日は、ようやく終わりを迎えた。
『そのセリフはフラグっていうのよ、マスター』
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