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第一章
第一話~さくら日和
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満開の桜が始まりを告げることの象徴として捉えられることが多い。
だがしかし、よく考えてみてほしい。いくら桜であっても、咲かない桜には興味がない。
つまり、人とという生き物は満開の桜が見たいだけで、その過程なんてどうでもいいのだ
そんなことを考えながら、僕、佐藤ユタカは高校の入学式へと向かう。
まぁこうこうと言ってはみるものの、僕の場合は、特別支援学校の高等部だから
よくある青春ドラマのような希望に満ち溢れている展開の幕開けでは決してないのだ。
むしろ、障害者としてのレールに敷かれる訓練を受けるようなものだ。
だから僕はひとり、心に固く誓ったのだ。
障害というものを最大の武器にして、良くも悪くも障害者として利用できるものはなんでも利用してやろうとね
どうせ僕の人生にハッピーエンドは存在していない。
ならば現実的な範囲で自分で最善と思える生き方で妥協するしかない!!!
しょうもないことを考えていると、教室へと着いた。僕はどうやら、一年一組のようだ。
とはいうものの、軽度の障害者向けの特別支援学校ということもあり、一学年につきふたつのクラスしかないようである。
「えーっと、みんな揃ったかな?このクラスの担任の馬場秋成です 残念だったなー君たち、美人な新米教師じゃなくてーハハハ」
ちょっとうざいけど、ノリは良さそうで無難な感じの先生かな?雰囲気から察するに四十代半ばと言った所だろうか?まぁ、もとより美人な先生になんて期待していないのだ、なぜならば、どうせ特別支援学校に勤務している時点で僕たちに対して哀れみの感情しか抱いていないのだから
馬場先生の長い長いジョークマシマシな話を聞いていないようで聞いているフリをしているが、僕の目線は斜め前に釘付けだった。
黒髪ショートカットで整った清楚な顔立ち…完全に僕のタイプだ。
どうしよう、今からLINE聞いちゃう?いや、LINEはクーポン発券アプリなのだから、そんな友達交換の機能なはいはず?
というか、なんでこんなまともそうな女子がこの学校にいるわけ?僕はただただ、教室の窓から見える満開の桜よりも、視線ストーカーレベルで彼女に無我夢中になってしまっていた。
名前はなんて言うのだろうか… 彼氏はいるのだろうか…両親は優しい人なのだろうか… 好きな歌手はいるのだろうか…Twitterのidはなんだろうか…あらゆる疑問を頭の中で埋め尽くしているが、どこか自分を本能的に抑えてしまう…どうせ相手にされないという強い思いが…今までの経験からしてそうだ!騙されるなユタカ!
でも世界が終わる前に聞かせておくれよ!
そして、その後の入学式も彼女への目線で精一杯すぎて、頭に校長先生の長い話が全く入ってこなかった
いや、それは元々だろうか?
「よーし君たち!明日からの学園生活楽しもうな!早速明日はホームルームでいろいろ決めるからな!」
誰よりも張り切ってるのはこの馬場先生だろう…な だが馬場ちゃんすまねぇ、今俺はあの美女のことが気になりすぎて、何も考えられないのだから!!
帰りの父が運転する車内のこと、あまり有休をとらないサラリーマン金太郎なみに真面目な父が珍しく有休をとり、
くだらないジョークを連発している、というかなんでそんなニヤニヤしてるのん?
「ユタカ、お前、あの黒髪の子、いいなと思ってるだろ?」
さすがは僕の父親である、いたずらな表情でそう問いかけてくるが、年頃な僕はすかざす誤魔化した。
「だ、誰の事言ってるの?まだ名前も住所も知らないんだけど??」
あまりの慌てように住所というストーカー候補生のような単語を自然と吐き出してしまう自分が恥ずかしい。
「お父さんはお前の考えていることなんてな、手に取るようにわかるんだぞ?頑張って付き合えるといいな!やっぱり青春ってのにはこうね、恋愛がつきものだからな~」
父の持論を聞いているが、僕の頭にあるのは彼女の佇まいだけだった。
もし父が言うようにあの人とお付き合いできるなら、僕はもう死んでもいい!!とまでは言えない
だが、どうせそんな期待や妄想や希望は無駄なのである、期待するから裏切られるだけだ。
そんな淡い感情は自分の中で切り捨てて、希望に関してだけは誰よりもドライに生きているつもり。
その日の夜は祖父母も呼んで、そこそこ盛大に祝い、大好きなファーストフードのチキンとケーキを食べた。
相変わらず、野菜は食べない偏食ぶりに周囲はもう何も言わなくなった。
翌朝、睡眠は得意分野なはずの僕があまり眠れなかった。期待をしないと言い切ったくせに太陽という存在がおはようって言ってくれるまで、気になるあの子のことをずっと考えていたからである。僕、好きになってない?
いやなってないなってない、一目惚れなんてキーワードを使うのはナンパ師か美人局だけだから!
そして、今日から苦手な電車での通学だ。僕の住んでいる福島県の片田舎に位置する学校へまでは電車で約20分、
そこから徒歩で10分と、合計30分も苦手で苦痛な時間を過ごす。これぞ、苦手のハッピーセットか…
しかし本当に満開だな…桜…きれいなのは否定できないが、所詮こんなものは景色に過ぎない、そして花見という
口実を利用する大人たちの道具に過ぎない!!だから僕はどうしても桜が好きになれない
そして教室へ着いた僕はカバンをおろし、椅子に座る。
「えーっと、確か佐藤くんだったよな?よろしく!」
なにこのいけ好かないイケメン…!君みたいなイケメンはこんなところにいないで普通高校で生徒会長でもやっていてくださいよ…と思いたいところだが、僕レベルになるとわかってしまう…こんなテンプレートイケメンが爽やかな挨拶をしてきても、ここにいるというには何か理由があるということをね…
でもどうせ僕には彼がどんな事情があって、何を背負っているかなんて関係ないし、知る由もないのである。
「よ、よろしくね!」
テンプレート通りに無難な挨拶できちんとお返しをしておいた。
「俺は相田司!えーっと佐藤くんはどこから通ってるんだい?」
このいけ好かないイケメンのどうでもいい自己紹介を聞いていると、空気を読まずに距離感なんて概念を無視して
チャラそうな雰囲気の男が割って入ってきた。
「俺は大槻シゲル!マジよろしく!わからないことばっかだからさーいろいろ教えてくれよー!相田くん、めちゃくちゃ頼りになりそうだし!」
「そんなことないよ!みんなわからないのは同じだろ?お互いに助け合えばなんとかなるよ!」
なにこのうわべと馴れ合いをミックスしてホットケーキとして焼いたような味のない会話は…
というか僕の席の前で勝手になれ合うのやめてもらっていいっすかね?
というより僕は、昨日の美少女が気になって仕方がない…あっ!ちゃんといた!安心した…?というよりも僕が学校にちゃんと来る理由のひとつにはなってくれそうなものだ。まぁどうせ見てるだけで終わるけど!
「よーし!みんな自己紹介!をとその前に君たちの学園生活だからな~まずは学級委員ふたりを決めて、進行を任せようかな!まずはやりたい人いるぅ?」
馬場先生のノリノリなテンションについていける者は誰もおらず、ただただ沈黙が少しの間、そこに存在した。
というかさっきのイケメンバリバリ最強野郎がやってくれれば丸く収まるのに!!
「すみません先生、俺は部活のほうに専念してしたいので」
おいおいおいおいおいおいおい!イケメンくん!!!君は主人公タイプなんだから、やりますって言おうよ!
「そうか!じゃあ公平に割りばしくじ引きで決めるか!!」
クラスは全部で七人、そのうちのふたりか可能性としては低いほうだと思いたい。
そんなことを思いながら自分の番が来たので引いた。
…えっ?これってもしかしてあたり…いやこの場面においてはハズレでしょ!!!
どうしよう…僕の学園生活始まってもないけど終わった…どうしようさっきのチャラ男君と二人で
やることになったら!!!まさに光と闇の行方になってしまうよ!!
「…あの先生、私のこれそういうことですよね?」
その声の持ち主のほうを振り向くと、僕のお目当ての美少女だった…え、マジで!!!
こんな展開ある!!!夢じゃない…よね?理想の美少女と学級委員に任命されるなんて!!
それなんてラノベ?必要なのはリノベ?いや、リノベの意味は全く知らないけど…
「…はじめまして、佐奈田栞です…不束者ですがよろしくお願いします。」
彼女は確かに微笑んだ。愛想笑いだけど微笑んだ。その笑顔に僕はすべてを奪われ、
本当にかたまってしまった。
返すべきすこしの言葉を見つける余裕なんてなく、ただただ立ち止まっていた。
「…あ、あの…どうかされました?」
「あーいえ大丈夫です!佐藤ユタカです!よろしくお願いします!」
こうして僕の青春物語が幕を開けた???
だがしかし、よく考えてみてほしい。いくら桜であっても、咲かない桜には興味がない。
つまり、人とという生き物は満開の桜が見たいだけで、その過程なんてどうでもいいのだ
そんなことを考えながら、僕、佐藤ユタカは高校の入学式へと向かう。
まぁこうこうと言ってはみるものの、僕の場合は、特別支援学校の高等部だから
よくある青春ドラマのような希望に満ち溢れている展開の幕開けでは決してないのだ。
むしろ、障害者としてのレールに敷かれる訓練を受けるようなものだ。
だから僕はひとり、心に固く誓ったのだ。
障害というものを最大の武器にして、良くも悪くも障害者として利用できるものはなんでも利用してやろうとね
どうせ僕の人生にハッピーエンドは存在していない。
ならば現実的な範囲で自分で最善と思える生き方で妥協するしかない!!!
しょうもないことを考えていると、教室へと着いた。僕はどうやら、一年一組のようだ。
とはいうものの、軽度の障害者向けの特別支援学校ということもあり、一学年につきふたつのクラスしかないようである。
「えーっと、みんな揃ったかな?このクラスの担任の馬場秋成です 残念だったなー君たち、美人な新米教師じゃなくてーハハハ」
ちょっとうざいけど、ノリは良さそうで無難な感じの先生かな?雰囲気から察するに四十代半ばと言った所だろうか?まぁ、もとより美人な先生になんて期待していないのだ、なぜならば、どうせ特別支援学校に勤務している時点で僕たちに対して哀れみの感情しか抱いていないのだから
馬場先生の長い長いジョークマシマシな話を聞いていないようで聞いているフリをしているが、僕の目線は斜め前に釘付けだった。
黒髪ショートカットで整った清楚な顔立ち…完全に僕のタイプだ。
どうしよう、今からLINE聞いちゃう?いや、LINEはクーポン発券アプリなのだから、そんな友達交換の機能なはいはず?
というか、なんでこんなまともそうな女子がこの学校にいるわけ?僕はただただ、教室の窓から見える満開の桜よりも、視線ストーカーレベルで彼女に無我夢中になってしまっていた。
名前はなんて言うのだろうか… 彼氏はいるのだろうか…両親は優しい人なのだろうか… 好きな歌手はいるのだろうか…Twitterのidはなんだろうか…あらゆる疑問を頭の中で埋め尽くしているが、どこか自分を本能的に抑えてしまう…どうせ相手にされないという強い思いが…今までの経験からしてそうだ!騙されるなユタカ!
でも世界が終わる前に聞かせておくれよ!
そして、その後の入学式も彼女への目線で精一杯すぎて、頭に校長先生の長い話が全く入ってこなかった
いや、それは元々だろうか?
「よーし君たち!明日からの学園生活楽しもうな!早速明日はホームルームでいろいろ決めるからな!」
誰よりも張り切ってるのはこの馬場先生だろう…な だが馬場ちゃんすまねぇ、今俺はあの美女のことが気になりすぎて、何も考えられないのだから!!
帰りの父が運転する車内のこと、あまり有休をとらないサラリーマン金太郎なみに真面目な父が珍しく有休をとり、
くだらないジョークを連発している、というかなんでそんなニヤニヤしてるのん?
「ユタカ、お前、あの黒髪の子、いいなと思ってるだろ?」
さすがは僕の父親である、いたずらな表情でそう問いかけてくるが、年頃な僕はすかざす誤魔化した。
「だ、誰の事言ってるの?まだ名前も住所も知らないんだけど??」
あまりの慌てように住所というストーカー候補生のような単語を自然と吐き出してしまう自分が恥ずかしい。
「お父さんはお前の考えていることなんてな、手に取るようにわかるんだぞ?頑張って付き合えるといいな!やっぱり青春ってのにはこうね、恋愛がつきものだからな~」
父の持論を聞いているが、僕の頭にあるのは彼女の佇まいだけだった。
もし父が言うようにあの人とお付き合いできるなら、僕はもう死んでもいい!!とまでは言えない
だが、どうせそんな期待や妄想や希望は無駄なのである、期待するから裏切られるだけだ。
そんな淡い感情は自分の中で切り捨てて、希望に関してだけは誰よりもドライに生きているつもり。
その日の夜は祖父母も呼んで、そこそこ盛大に祝い、大好きなファーストフードのチキンとケーキを食べた。
相変わらず、野菜は食べない偏食ぶりに周囲はもう何も言わなくなった。
翌朝、睡眠は得意分野なはずの僕があまり眠れなかった。期待をしないと言い切ったくせに太陽という存在がおはようって言ってくれるまで、気になるあの子のことをずっと考えていたからである。僕、好きになってない?
いやなってないなってない、一目惚れなんてキーワードを使うのはナンパ師か美人局だけだから!
そして、今日から苦手な電車での通学だ。僕の住んでいる福島県の片田舎に位置する学校へまでは電車で約20分、
そこから徒歩で10分と、合計30分も苦手で苦痛な時間を過ごす。これぞ、苦手のハッピーセットか…
しかし本当に満開だな…桜…きれいなのは否定できないが、所詮こんなものは景色に過ぎない、そして花見という
口実を利用する大人たちの道具に過ぎない!!だから僕はどうしても桜が好きになれない
そして教室へ着いた僕はカバンをおろし、椅子に座る。
「えーっと、確か佐藤くんだったよな?よろしく!」
なにこのいけ好かないイケメン…!君みたいなイケメンはこんなところにいないで普通高校で生徒会長でもやっていてくださいよ…と思いたいところだが、僕レベルになるとわかってしまう…こんなテンプレートイケメンが爽やかな挨拶をしてきても、ここにいるというには何か理由があるということをね…
でもどうせ僕には彼がどんな事情があって、何を背負っているかなんて関係ないし、知る由もないのである。
「よ、よろしくね!」
テンプレート通りに無難な挨拶できちんとお返しをしておいた。
「俺は相田司!えーっと佐藤くんはどこから通ってるんだい?」
このいけ好かないイケメンのどうでもいい自己紹介を聞いていると、空気を読まずに距離感なんて概念を無視して
チャラそうな雰囲気の男が割って入ってきた。
「俺は大槻シゲル!マジよろしく!わからないことばっかだからさーいろいろ教えてくれよー!相田くん、めちゃくちゃ頼りになりそうだし!」
「そんなことないよ!みんなわからないのは同じだろ?お互いに助け合えばなんとかなるよ!」
なにこのうわべと馴れ合いをミックスしてホットケーキとして焼いたような味のない会話は…
というか僕の席の前で勝手になれ合うのやめてもらっていいっすかね?
というより僕は、昨日の美少女が気になって仕方がない…あっ!ちゃんといた!安心した…?というよりも僕が学校にちゃんと来る理由のひとつにはなってくれそうなものだ。まぁどうせ見てるだけで終わるけど!
「よーし!みんな自己紹介!をとその前に君たちの学園生活だからな~まずは学級委員ふたりを決めて、進行を任せようかな!まずはやりたい人いるぅ?」
馬場先生のノリノリなテンションについていける者は誰もおらず、ただただ沈黙が少しの間、そこに存在した。
というかさっきのイケメンバリバリ最強野郎がやってくれれば丸く収まるのに!!
「すみません先生、俺は部活のほうに専念してしたいので」
おいおいおいおいおいおいおい!イケメンくん!!!君は主人公タイプなんだから、やりますって言おうよ!
「そうか!じゃあ公平に割りばしくじ引きで決めるか!!」
クラスは全部で七人、そのうちのふたりか可能性としては低いほうだと思いたい。
そんなことを思いながら自分の番が来たので引いた。
…えっ?これってもしかしてあたり…いやこの場面においてはハズレでしょ!!!
どうしよう…僕の学園生活始まってもないけど終わった…どうしようさっきのチャラ男君と二人で
やることになったら!!!まさに光と闇の行方になってしまうよ!!
「…あの先生、私のこれそういうことですよね?」
その声の持ち主のほうを振り向くと、僕のお目当ての美少女だった…え、マジで!!!
こんな展開ある!!!夢じゃない…よね?理想の美少女と学級委員に任命されるなんて!!
それなんてラノベ?必要なのはリノベ?いや、リノベの意味は全く知らないけど…
「…はじめまして、佐奈田栞です…不束者ですがよろしくお願いします。」
彼女は確かに微笑んだ。愛想笑いだけど微笑んだ。その笑顔に僕はすべてを奪われ、
本当にかたまってしまった。
返すべきすこしの言葉を見つける余裕なんてなく、ただただ立ち止まっていた。
「…あ、あの…どうかされました?」
「あーいえ大丈夫です!佐藤ユタカです!よろしくお願いします!」
こうして僕の青春物語が幕を開けた???
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