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大学生.泰雅×同大学生.智喜

泰雅×智喜 ⑴

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「…1回、1万円って聞いたんですけど…」

大学の学食。
友達が講義へ行く中、俺はゆっくりご飯を食べていた。
実家から通っているけど母親はシングルで働いてるから、食事は適当に学食で食べる事が多い。

「……依頼?」

はい、泰雅たいが、1回1時間1万円で…
よく芸術学部のモデルをやっております。
みんなが知っている事だから、あえて丁寧に言わないけど。


俺の隣の椅子を握りしめる手が少し震えてる?
…小さくて可愛い。

「…僕の依頼でも、受けてくれますか?
あ、僕、林 智喜ともき。理工学部1年で…」

「あー隣の…学食こっちじゃ遠いよね?
俺の事探しに来たの?」

「はい…ここによく居るって聞いて…」

「俺も1年だし、敬語いらないけど。
…理工…って何かデッサンとかあるの?まぁ、個人でも趣味でもモデル代一緒だからこちらとしては何でもいいけど。」

「モデル代?…えっと……身体を1時間…自由な依頼に応えてくれるって…」


トモキ君。
どこかですれ違っていても気づかなそうな容姿。
かと思えば話すと…この雰囲気は何だろう…目をキラキラさせて話を顔全体で伝えて来る。
そして初対面でも落ち着いてて肝が座ってる感じ…震える手が嘘のよう。
その目や口が動くのも可愛いなトモキ君。

君は…もしかしてもしかすると、俺の事なんか勘違いしてるのかな…?


「動かず喋らず…
依頼に応えてポーズとって…
よく芸術学科から依頼受けるけど…」

手が椅子から離れてトモキ君の口元を隠した。隠しきれない目元や頬は赤く蕩けて…

「………っ!何でも無いです!なんか勘違いしてっ…すみませんでしたっ!」

後ずさりすして離れて行く彼から目が離せなかった。

俺は立ち上がり…
咄嗟に腕を掴んで引き止めた。


「引き受けます。その勘違い。
身体使って1時間。
トモキ君からの自由な依頼、引き受ける。」

「…え?…動かず喋らず…じゃ無くても?」

「うん。じゃ無くても。」

「…あ、いや、動かず喋らずでも!
お願いします!」

「…え?…じゃあ動かず喋らずで…
了解しました。」





週末の夜、約束の時間。
女の子としか来たことが無い、ラブホの近くで待ち合わせをした。

男から変な目で見られる事はあっても流されるような事はしないんだけど、今回トモキ君が余りにも可愛いから楽しみ。
どんな依頼か気になったし…えっちな事…かなり興味がある。

2度目に会った彼はやっぱり雰囲気が可愛い。
小走りに近づいて来ただけて表情が緩む。

「…ごめんなさいっ!チョット遅れちゃって…」

「いや?大丈夫。……じゃあ、行こうか。」

沢山走って来たのかな。
上着を手に持ち、Tシャツ1枚のトモキ君はシャツが肌に張り付いていて目のやり場に困る程。


「…トモキ君。きみー、俺の…どんな噂を真に受けてきたの?」

「噂…?」

いろんな噂話があるはず。
俺の派手な見た目のせいで、何人も恋人がいる、とか、芸能人と遊びまくってる、とか、男ともやる、とか………

「うん。
依頼してくる前に、耳に噂が入らなかった?」

「……ただ…
心理学科にいるタイガ君の存在は知ってて…
たまたま友達がタイガ君の話をしてて…」

「1回1万円って?」

「うん…ゴメン…勘違いしちゃって…」

「…けど…実際今からするし。
謝る事じゃないよ。」

だって、今回が楽しかったら、今度は俺がトモキ君に依頼するし。そしてその次は…どこまで楽しめるかな。


実際噂の半分くらいは真実で、遊びと言われるような付き合いばかりしてきた。
理由は自分でも分からない。
2.3度会うとなぜか息が詰まってくる。

合わないなって感じだすのは何なんだろう。

俺が冷めるのが早いのか…?




部屋に入ると、さぁやりましょう!ってエロさ。
大人のオモチャも目に入るし、照明はピンク……大きなベッド。


「えっと…依頼内容確認した方がいいかな?」

俺が先にソファに座ると、他に落ち着く所があるか見回して…ソファしか無いと諦めたのかトモキ君は俺から少しだけ離れて隣に座った。

「……えっと…
軽くでいいので……セッ…SEX…を…」

「……ぶっ…あ、ゴメン。軽く?軽くね。
普通のでいいんだよね?」

「はい。オーソドックスで…
あ、タイガ君は動かず喋らずでいいので…」

「……へぇ?」

俺を使って…男も抱けるかとか…そういう実験かな?
別に試されるのはいいんだけど、後ろ…使った事無いんだけどな…

「あ、お金は…」

「後でいい…」

「えっと……キスは…していい?」

「うん…」

真剣な顔でゆっくりと近づいてくる。
唇は凄いピンクだし肌もピンク…間近で見ると肌の綺麗さがよくわかる……

トモキ君の方が少し背が低くて全体的に華奢だけど、Tシャツの袖から見える腕、硬そうな筋肉が目の前にきて俺に覆い被さりキスを落としてきた。

ゆっくりと唇が離されたけど、瞳を合わせるとまたすぐ落ちてくる唇。
俺は舌を少し出して受け入れる。ゆっくりと。

…可愛いくせに、慣れているのか上手いのか…
キスだけで俺のは硬くなってきた。

「……やっぱりシャワー入っていい?
走って汗かいたから…」

俺の硬さに気付いたのか気付いてないのか…

「ん…早くね?
あ…俺も…入った方がいいよね…」

「タイガ君はいい。すぐ戻るから待ってて。」

言い終わらずに立ち上がり、浴室へ消えた。
…俺は確かにシャワー浴びてきたばかりだけど俺の後ろ使うんだったら洗っといた方が…?立ち上がり、浴室へ行くかベットで待つか…
うろうろして少し考えていたら、あっという間に戻って来た。

少し髪も濡れ、ガウンを纏って軽く紐で結んだ姿は可愛いというより妖艷…
目つきがさっきと違う。

「……何ウロウロしてるの?
帰りたくなっちゃった?帰さないけど。」

俺の首に両腕が巻き付いてきた。
正面から身体ごとくっついて、押されて、俺は少しずつ後ずさる。
後ろのベットにぶつかってもそのまま倒され、上に股がられた。

さっき硬くなっていた俺のモノがまだ少し硬さを保ったまま…
多分トモキ君のお尻に当たってる。
そう思うと余計に硬くなってきた。

ガウンの前が緩く開き、胸元が大分見えて脚も露わになっている。
開いている脚に両手を這わせ、視線も這わすと女の子より逞しいのに触り心地は最高かも…

「……萎えてないね?」

伏し目がちの顔と、囁きと一緒に唇が落ちてくる。
さっきよりも深く舌を絡めらとられ、ジュルジュルと音を立てて舌がトモキ君の口内へ引っ張られる。
気持ち良くてお尻に当たっているモノを、更に突き上げるように動かした。

…下着、履いてるのかな…

キスを繰り返し、腰も動かし、手は脚を軽く這わせながら中へと動かした。

「全く帰る気は無いんだけど…
トモキ君……慣れてる?俺に入れたいの?」

「ふっふ…何で?慣れてるとか…バレた?
慣れてる男だったらタイガ君
怖がって買われてくれないかな?と思って…」

「……どうだろ…慣れてても…
トモキ君が可愛いのは変わらないし…」

あ、また頬が赤くなった。
もっと蕩けさせたい……

「……蕩けさせたいなって…
まぁ今回じゃなくても……
とりあえず、トモキ君からの要求、全て応えようかと。
そもそも俺に入れるの?
動かず喋らずなんでしょ…?」

「…入れる?…どっちでもいいの?
ってか、僕の噂…
後で聞くとショック受けちゃうかな…」

「……うわさ…?」

「ポッキリ男喰いとか、ヤリケツとか…」

「なんだそれ。聞いた事無いし…
似合わない噂。」

「事実だけど?
1回だけやられるだけで満足なの。
だから今回も、1回だけ。
お金払えば手っ取り早いかなって。
1回SEXして、僕を受け入れたーとか、僕ともっと気持ち良くーとか、一時的な愛情の押し付け、大嫌い。
所詮突っ込む方は気持ち良ければ男も女も変わらなくて、最終的に男は遊びでしょ?」

「……なんか違う…」

「何?」

「……わかんない。
けど、既にトモキ君とは2回目も考えてた。
ねぇ?今回、俺、依頼受けたんだから、次はトモキ君が俺からの依頼受けて?」

「…断る。まだSEXしてないのに、こっちが萎えるからそんな話しないで。」


脚を伝い、トモキ君の前へ手を進めると、下着は無く直接モノの感触。
萎えると言った割には硬くてすべすべしてる。

「……ッ…」

優しく手で包んだだけで熱い吐息が上から漏れ、下からの眺めはガウンの紐を解くだけで絶景に変わった。
小さな胸の小さな突起もピンクで綺麗。
しゃぶりつくのを我慢なんて出来ずに上半身を起こして吸い付いた。

「……っ……ぁっ……僕のペースでっ…っ…」

「…ぇ?感じてりゅじゃん…
……2回目考えないなりゃ今回お金要りゃない…
しょの代わり、俺、動いていいりょね?」

「ッ…ぁっ……ん…気持ちイっ…」

ビクビクと感度が良い…跳ねる身体を逃さないように手で包んで上下したまま、お尻もホールドしつつ撫でて支える。
小さな突起は直ぐに膨らみ出して舌で転がし味わいやすい。
まだ入れて無いけど、下から突き上げる腰の動きが止まらない。

「……ッ……だめッ……
沢山感じちゃうッ…か、らッ…
同時にッ…はっ…だめっッ……」

跳ねる身体を少し浮かせたと思ったら…俺のズボン、下着を一気に下ろし、全部を露わにされたと同時に上からお尻を充てがわれ………入っ…

「………っっ!!」

突然キツキツな圧迫、しかもそれに耐えて悶えるトモキ君の下からの眺め。
全部持ってかれそうな所、声も出せずにどうにか耐えたけど…

「……ぇ…んっ!
な、にっ……?この…サイズ…っ…
あっ…?……あっりっ…えな…」

「……っ一気に…乗っかったまま…
入れちゃったのトモキ君でしょ…?
抜く?…キツすぎる…」

返事は無く…少しずつ慣らすようにお尻を上下に動かそうとしてるけど、その微妙な動きと表情が俺の理性を飛ばした。

入れたまま少し抱き抱え、トモキ君を背中からベットに下ろす。

上から見下ろすのも絶景だし、キツキツの後ろは俺が動かし易くなって腰で奥へ押し込む動きを止められない。

「………ぅッ…わッ!」

「…ッ…すっ…ご………なんだっけ?
…っ…突っ込むの方は…誰でも一緒?」

「…えッ…ッ…んッ……」

「男もっ…女も…気持ち良ければって……?
もしかして…逆じゃないの…?
遊びじゃ嫌なの?…ヤダって言って…?」

「…ッ…ヤ、ダっ……ダッメ……ヤっ……」


もうお互い感じ過ぎていて、限界を我慢しすぎて…トモキ君の返事………どっちだろう…






何度も達した。

会話しようとしても、拒否されてSEXに持ち込まれる。

休憩時間で済むわけもなく、2人で疲れ果てて朝までベットで眠りに落ちた。


隣でスヤスヤ眠る顔を眺めながら、蕩けた顔を思い出してにやけてしまう。

何気に頬や唇に振れると薄っすら開く瞳。

今こそ…ちゃんと話、出来るかな。

「ねぇ…もう10回会ってる分くらいヤッてると思うから、諦めて次も会おうね?」

「……考えとく……」

そう呟く顔は、また赤く蕩けていた。







「えっと……ただの食事だから…変に堅苦しくせずに…」

ラブホテルから朝帰りした日の夜、母に外食へと誘われ高級料理店の個室へ通されると、中に緊張した面持ちのトモキ君とトモキ君に少し似たおじさんが待っていた。

「「あ…?!」」

「あ、知ってる?同じ大学なのよね。」

「知ってるもなにも…」

「初めまして!タイガ君!
タイガ君は有名人なので!
僕の事は…誰かと勘違いしてるのかな?」

「あー…え?そう……かな…」

「もぅー…泰雅は適当だから…
…泰雅有名人?悪さしてたり…?」

「えっそんな!カッコいいので有名です!」

「本当だぁ…お母さんに似てて…
綺麗だねぇ…」

「お父さん!惚気てないで!」

「あぁ、初めまして。
さぁ座って?今日は…泰雅君のお母さんと仲良くさせて貰ってて…
その先も…子供達に了解を得たくて…
子供達が同じ大学だから私達知り合って、当初から一緒にご飯でも食べようかって…」


ひきつった顔のトモキ君。

俺達は俺達が知り合う前から繋がってたのか。


母とトモキ君のお父さんが楽しそうに話しているのを横目に相づちしながら、俺達は視線を交わす。

ふっ…
睨んだり赤くなったり忙しそうなトモキ君。


「…運命ですね…俺は4人で暮らすの、
とても楽しそうだと思う。」

ビックリする3人の顔。
けど話はトントン拍子で進んでいった。


トモキ君。
冷めやすいと思っていた俺が、きみに毎日会える事が楽しみでしょうがない。



きみに似た義父と、
俺に似た母と、
昨日から今朝にかけて
愛し合った同い年のきみと俺。



4人での生活が始まった。




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