異世界でも男装標準装備～性別迷子とか普通だけど～

一般常識を学ぼう

ダメージ

（前と同じ武器だな…
て、事は攻撃力上問題はねぇと思うけど…
てか、２人同時に相手にしたら、攻撃力って加算なのか…？）

今まで、ブラウンボアの群れの中で、何体も同時に相手にはしてきたが
相手の攻撃力が小さいので、ダメージを受けた覚えはない
今回も、計算上は攻撃でダメージは受けないはずではあるが…

（…これさ、もし、２人に増えても攻撃力それぞれだったら
加勢する意味ないよな…）

自然に、１人で相手にならないから…と２人に増えたが
それぞれ自分の攻撃力しか効果が無いのであれば
ゲアルよりもレベルも装備の物も弱いレアルは
何の加勢にすらなっていない事になる

（…ん～…どっちだ…？
僕のダメージ見て推し量る事も出来んしなぁ…）

もし、それぞれ自分の攻撃力しか発揮されなかった場合でも
２人の攻撃力が合算になった場合でも、ユウキのダメージは０なのだ
なので、どちらか…という事が分からない

（誰かに聞けたらなぁ…）

どうやって検証しようか考えている間
２人が待ってくれるわけもなく…これ幸いと攻撃を仕掛けてくる
勿論、難なく２人の頭上を越えて回避した

「（あ…いるじゃん、知ってそうな人）
ねぇミナミ、２人合同になった場合って、攻撃力は合算？
それとも、個々に発揮されんの？」
「えと、基本的には、個々に発揮されるよ！
ただ、例外として、完全に同じタイミングで攻撃がヒットした場合にのみ
合算になるよ！」
「なるほどね…ありがとー」

ユウキはにこやかにミナミにお礼を言い
視線を２人に向ける
２人で息を合わせて攻撃しようとしているのだろう
「いくぞ！」と声をかけている
しかも、大声で…
目の前に標的がいるにも関わらず

（魔獣相手には、それでもいいかもしれねぇけどさ…）

今回相手はユウキだ
紛れも無く人間である…何を言っているのかも分かる
なのに、タイミングを合わせる言葉を発したら
いつ攻撃を仕掛けるのか、丸分かりだ
そんな感じで繰り出された攻撃は、勿論簡単に避けられる

「よっけんじゃねぇよ！」
「いや、むしろ避けられないと思っている辺りがオカシイと思うんだけど…」

当たらない事に苛立ったレアルが叫ぶが
普通、攻撃がくると分かって、何もしない人はいないだろう

「さっさと当たってくたばれ！」
「当たらないから、くたばらないよねぇ～残念～
（ていうか、当たってもくたばらねぇけど…）」

当たろうが当たるまいが結果は変わらないのだが
２人同時の攻撃なら何とかなると思っているゲアルは
さっさと当たれと言う始末
というか、さっさと当てれば良いだけの話だが…
何故か避けている側が悪い…みたいな言い方だ

（えーっと…兄の方は前と同じだったから
僕が攻撃加えると、２５０のダメージ…
２回攻撃しても１００とちょっとHP残るから問題ないよねぇ～）

いい加減避けるだけというのも飽きたユウキは
考えがまとまった瞬間、攻撃に転じる
避けてばかりいた人物がいきなり攻撃してくるとは思っていなかった２人
同じように「いくぞ」と声をかけた瞬間に
ユウキが向かって来て、大慌てしたのは言うまでも無い

「なっ…なんでいきなりっ？！」
「お、お…お、れにたてついたら…あ、あにきがっ」
「避けるの飽きた、それに反撃しないなんて一言も言ってない」

２人の中では、勝手にユウキを甚振るという妄想があったが
ユウキの中では２人を蹴散らす予定だったのだ
２人の妄想に付き合ってる暇はないし
そもそも２人に負けてミナミを連れて行かれては困る
まぁ、２人の中にどれだけその事が残っているかは分からないが…

「はっ！」
「ぐぁっ！？」
「うぎゃっ！」

武器も装備せず、ゲアルの腹に一発…
そして、レアルに回し蹴りを入れる
何とか踏みとどまりながらも数歩後ずさり、お腹をおさえているゲアルの上に２５０
呆気なくふっ飛ばされ、柵に激突したレアルの上に３００という数字が表示される

「うそ…」
「なにその数字…」
「わしの目が…おかしくなったんかいのぉ…」

周りの人は、思わぬ数字に驚き、そして自分の目を疑う
ミナミも、こんな数字が出るとは思っておらず
周りの人と一緒に驚いた反応を見せた

（弟の方HPいくらだっけ…？
まぁHP０になっても、町中だから、死ぬ事は無いけどな…）

一方のユウキは、周りのそんな反応など気にせず
もう一度攻撃を加えた時の事を考えていた
ココなら、すぐに手当ても出来るから死亡する…という事にはならないだろう…
と思いながら、レアルのHPを確認する

（あら…HP５００しかなかったのか…もう、残り２００だ…
上手く力抜かないと０だけど…ま、いっか）

HP０になってもすぐに死なないと知ったユウキは
手加減しよう…とは思わなかった
それもそうだろう、向こうは武器まで使っているのだ
手加減してやろう…などとは思えない