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一般常識を学ぼう

平常心

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「確かにお前は強い
きっと、アレンや俺…ニールよりもずっと…
だけどな、それは戦闘をしている時のステータスだろ?
だったら…」
「なっ?!」

ドサッという音と共に、ユウキの視界には森木々と夜空
そして、キールの顔という3点セットしか見えなくなった

「ちょっと、ビックリするじゃん…
んでもって重いからどいてくれない?」

手は相手の手で押さえられ、足は全体重…とまではいかないが
体重をかけられて、動けない状態になっているが
ユウキは冷静にキールに降りるよう求めたのだった

「いや…この状況で、ヤバいって顔色変えろよ!!?」
「別に…ほら、いざとなったら、攻撃して戦闘中にでもすれば…」
「普通に考えて、今の状況でどうやって戦闘モードにするつもりだよ…
非戦闘ステータスじゃ、俺の手を振りほどく事すら難しいだろ」
「んっ…(…う~ん、それは確かに…)」

ちょっと力を入れても、動こうと身を動かしても抜け出せる感じはしない
そこは男女の差…というか、大人と子どもの差…とも言えるが…

「こうなったら、お前はどうすることも…」
(転送魔法はレアらしいから…使わないように…
そうなると…うん、コレなら大丈夫かなぁ~
風魔法発動…)

魔法を発動させたと同時に、イメージは相手の体を優しく浮き上がらせるもので…

「うわっ!?何だこれ?!」
「ん~?風魔法の一種」

ユウキの狙い通り、キールを引き剥がす事に成功した

「攻撃魔法じゃないから、戦闘中にもならないし?
つまり、戦闘中でなくても何とか出来るっていう証明ってとこかな」
「…はぁ…そうかよ…ったく、忠告はしたからな…」
「うん、そういう事も想定に入れておくよ
あと、キールが必死に止めるから、変身系とかの姿を偽るのもやめとくよ
(気が向いたら使うかもだけど…)」
「(まぁ、コイツの想定の中に入ってればいいか…)
今回は、それで良しとしておくか…」

というか、それで良しとする他なかった
パニックやら慌てて対処出来ないかと思えば
戦闘ステータスにならずとも、何とかしてしまったのだから
そんなこんなをしながら、交互に軽い仮眠をとったり話をしながら夜明けを待った

「お、そろそろ夜が明けるな…」

辺りが少しずつ明るくなっていき、暗闇が少なくなっていく
早朝なので、何の音もしない…静かな朝

「ふぁ~…ん~…ちょっと寝不足…かも…」
「まぁ、そりゃ街の外だからな…安心して爆睡…
ってわけにもいかないからな~
とりあえず、家帰ったら寝ないとだな」
「ヤダ」
「…いや、お前今眠そうに欠伸したじゃん!?」
「確かに寝不足だけど、別に問題ないよ
やらなきゃいけないこともやりたいことも
一杯あるから寝るなんて勿体ない!」
「いや、そーだけど…
初めて野営したんだし、休息は必要だぞ」
「……まぁ、気が向いたら…」
(うん…コレ絶対寝ないよな…)

気が向いたら…という事は、気が向かなければ寝ない…
そう言っているようだった
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