上 下
342 / 357
一般常識を学ぼう

受付での出来事

しおりを挟む
「ギルドカードの取り消しって、そう簡単に出来るもん??」
「いや…本人がする時以外は、違反などを繰り返して取り消される事はあっても
一人の人の一存でどうこう…って事はそうそう無いな…」
「まったく、無知な元娘で申訳ない…
ギルドに貴族側から出来るのは、依頼する事ぐらいだ
小娘一人がどう喚こうが、誰も動揺すらしないと言うのに…
何故そこまで影響力があるという幻想を抱いているのやら…」

元父親は深くため息をつき、一枚の紙を取り出し何やら書き始める
すぐに書き終え、その紙を手に取ると
紙は薄く光を放ち、粒子のごとく消えてしまった

(ぇ…今のって…一体…?)

予想外の出来事に驚き言葉を失うユウキ

「こういう事を見るのは初めてだろうな…」

驚いているユウキを見て察したのか、元父親はフッと笑った

「今のは、女神様に家名が変わったりする時などに伝える儀式…みたいなものだ
まぁ、儀式と言うには簡素だが、コレをする事によってステータスに反映されるんだ
君みたいな年齢の子どもには、あまり目にする機会のない事だ
驚くのも無理はない…」
(そうなんだ…僕くらいの年齢なら驚いても可笑しくはなかったんだな…)

そんな会話を応接室でしている頃…
ギルドの受付で大声が響き渡っている
それに対して、驚く…という人は意外だがいなかった
まぁ、日常些細な喧嘩などはあるので、慣れている…とも言うべきか…

「だから!ユウキとかいう子どものギルドカードを取り消しなさい!!
あんな仕事もまともに出来ない子どもにギルドカードなんて必要ないわ!
一生与えるべきじゃないわよ!!」
「それなら、何処がまともに仕事が出来ていないのか、教えてくれないかい?」

受付嬢のリーダーであるアリアが事の対応をしていた
アリアも今回の依頼の事情を知っており
何があったのかなども、報告を受けている
まぁ、いつも通りだが、冷静に話を聞く

「あの子ども、護衛の癖に護衛対象の私にケガをさせたのですよ!?
護衛として、あるまじき行為ですよね!」
「護衛というのは、あくまで命を守る…というための任務であって
かすり傷一つつけない…という任務ではないからねぇ
少なくとも命はあるんだから、任務は達成になる
ケガした事を落ち度と訴えるのであれば
まずは前提として、護衛対象が冒険者の指示に従っていた場合のみ考慮はされるが
今回はかすり傷…重症で命に関わっていたわけでも無いし
何より指示に従っていないので、対象外になるねぇ」
「貴族の私を守るっていう名誉ある事させてもらってるんだから
指示に従っていなくても、ケガ一つさせずに守るのが普通でしょ!?」

冷静に事実を述べられ、更に逆上したレミールはお得意の持論を叫ぶが
それで動揺する…わけもなく

「貴族であろうが、冒険者に依頼して守ってもらっているのであれば
指示に従ってもらわなければ困るわ
無知というのが、外に出たら一番命取りだからねぇ」
「そんな話、どうでも良いわ!
とにかく、ユウキという子どものギルドカードを取り消しなさい!
これは命令よ!貴族の私に従わない…なんて言わないわよねぇ?」

従わせる自信があるのか、ニヤリと笑うレミール
それに対してアリアは…

「えぇ、従わないわよ
ギルドと貴族は同等の立場なのを知らないのかい?
どちらかを従わせるなんて出来ないのよ」
「っ!!私はルクセル家の者よ!
大貴族でも逆らうって言うの!!?」

何としてでも従わせたいのだろう
アリアはやれやれ…と首を振り…

「それでは、ルクセル家の者であるという証拠を見せて貰いましょう?」
「えぇ!見なさい、私のステータスを!」

そう言って、レミールは自信満々に自分のステータスを見せる
アリアは、見せられたステータスをじっくりと見てから…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

鑑定能力で恩を返す

KBT
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。 彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。 そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。  この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。  帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。  そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。  そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。

緑の魔法と香りの使い手

兎希メグ/megu
ファンタジー
ハーブが大好きな女子大生が、ある日ハーブを手入れしていたら、不幸な事に死亡してしまい異世界に転生。 特典はハーブを使った癒しの魔法。 転生した世界は何と、弱肉強食の恐ろしい世界。でも優しい女神様のおかげでチュートリアル的森で、懐いた可愛い子狼と一緒にしっかり準備して。 とりあえず美味しいスイーツとハーブ料理を振る舞い、笑顔を増やそうと思います。 皆様のおかげで小説2巻まで、漫画版もアルファポリス公式漫画で連載中です。 9月29日に漫画1巻発売になります! まめぞう先生による素敵な漫画がまとめて読めますので、よろしくお願いします!

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

チート転生~チートって本当にあるものですね~

水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!! そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。 亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。

収納持ちのコレクターは、仲間と幸せに暮らしたい。~スキルがなくて追放された自称「か弱い女の子」の元辺境伯令嬢。実は無自覚チートで世界最強⁉~

SHEILA
ファンタジー
生まれた時から、両親に嫌われていた。 物心ついた時には、毎日両親から暴力を受けていた。 4年後に生まれた妹は、生まれた時から、両親に可愛がられた。 そして、物心ついた妹からも、虐めや暴力を受けるようになった。 現代日本では考えられないような環境で育った私は、ある日妹に殺され、<選択の間>に呼ばれた。 異世界の創造神に、地球の輪廻の輪に戻るか異世界に転生するかを選べると言われ、迷わず転生することを選んだ。 けれど、転生先でも両親に愛されることはなくて…… お読みいただきありがとうございます。 のんびり不定期更新です。

あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。

▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ...... どうしようΣ( ̄□ ̄;) とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!! R指定は念のためです。 マイペースに更新していきます。

処理中です...