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一般常識を学ぼう

リスク

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『あと、ダメな理由がもう一つある
というか、こっちの方が重要なんだが…』
「重要な方を後出しにすんなよ」

神様の告知の順番に文句を言うユウキ
しかし、それをものともせず話を続ける神様
何度も会話をして、ユウキのツッコミにも慣れてきたのだろう
実際、いちいち反応したりダメージを受けていたら話が進まない

『今回は、魂の回復に一役買ったが
毎回同じ効果が得られる保証はない』
「…それって、回復しねぇ事もあるって事か?
でも、さっき効果が薄れるって言ってただろ?
それと、あんま変わらなくね?」
「いや、かなり変わるよ
同じ効果を得られる保証はない…つまり違う効果になる事がある
そして、その効果が魂に影響を及ぼす可能性がある
それが例えば魂を消耗させる効果になったとしたら?」
「!!?」
『ホントに、君は察しが良いね~
そういう事、魂に影響が出るが良い影響だけとは限らない
確かに、強化魔法…みたいに魔法をかけてもらう事で
魂の回復を早める効果も期待できる、それはメリットだけど
逆に消耗させてしまう危険性もある』

メリットも大きければ、デメリットも大きい
いわゆる、ハイリスクハイリターンといった所だろうか
上手くいけば、大きなメリットだ
だが、上手くいかなければ…

「狙って魔法をかける事って可能なの?」
『攻撃や、命中とか具体的な効果は狙えるが…
今回は魂に干渉する効果だからな…
相手の魂の状態に上手く合わせられないと、なかなか難しいなぁ』
「そっか…(まぁ、相手の状態なんて、分からねぇしなぁ…)」
「くそぉ…せっかく魂の回復早められるかと思ったのに…
んな、上手くいかなかった時のデメリットもデカすぎる…」

下手をすれば、逆に悪化する事もあるのだ
これ以上悪くなるという事は、何としても避けたい

「ん?…『相手の状態に上手く合わせられないと難しい』…って言ったよね?」
『あぁ、言ったぞ』
「確かに言ってたけど、それがどうしたんだ?」

確認をとると、ユウキは「ふーん」と呟いて何かを思いついたらしくニヤリと笑った
その意図が分からないキョウヤと神様は首を傾げる…
まぁ、神様が首を傾げているかは見えていない2人には分からないが…

「相手の状態に合わせるのは難しくても、自分の状態に合わせるのは簡単だろ?」
「はぁ?お前が自分に魔法かけてどーすんだよ
俺の状態に合わせられねぇと意味ねぇじゃんか」

全く見当違いの反論に、ユウキはため息をつく
そう、すっかり忘れているのだ
とっても大事な事を…

「僕がキョウヤに魔法をかけるんじゃなくて、キョウヤが自分に魔法をかけるんだ
そうしたら、自分の魂の状態を見て変えられるだろ?」
「…ぇ?」
『なるほど…そういえば、ユウキばかりが魔法を使うので忘れておったが
キョウヤもユウキと同じくらいに純度が高かったな』
(忘れるなよ…って、まぁ、本人が忘れてたからしゃーねぇか…)
「いや、俺魔法ほとんど使った事ねぇから!!
そんな奴が魔法かけた方が危ないだろ!!
リスク高まる予感しかしねぇよ!!」

確かにキョウヤが言う事も一理ある
そんな急に言われても、初心者がそんな魂に影響がある事を出来るだろうか
いや、出来ないだろう…
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