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ミルナバの覚悟
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「今日はありがとうございました。また今度来ますね!」
ぎこちない雰囲気から一変して、最後は満面の笑みで挨拶をするベーラ。
「勘弁してくれよ、ここは子供の遊び場じゃないよ・・」
ミルナバはそんな彼女に気怠げにそう答えるのであったが、建前のような物言いでもあった。
それを察しているのかベーラはニッコリとした表情のまま「また来ますね」と、強調して言うのであった。
「・・・好きにしな・・。」
頬を掻きながら困り顔で言うミルナバであったが、自然と視線がベーラの持っていた水筒にいってしまう。
その視線を感じてベーラはクスクスと可愛らしく笑う。
「今度もレモネード持ってきますね」
「い、いや!?別にまた飲みたいなんてアタシは思ってないよ」
ベーラの言葉にしどろもどろになって弁論するミルナバ。
そんな様子を見てベーラは「わかりました」と、形だけの返事をするのであった。
ーーーーー
ギィィと椅子が軋むほどミルナバは背板にもたれ掛かる。
「はあぁぁ・・。」
その音と同じぐらいの音量でミルナバ大きくため息を吐く。
「えらく悩んでるじゃねえのか」
誰もいないはずのミルナバの店からそんな声が聞こえてくる。
「いい加減出てきたらどうだい?」
ミルナバは舌打ち混じりにそんなことを言い、手元に出してあった煙草に火をつける。
ミルナバが吐き出した煙の中から出てくるように巨躯の男が現れる。
短髪の金髪を触りながら、気味が悪い笑顔を向ける男はねだるようにミルナバに手のひらを差し出す。
ミルナバは短髪の男に煙草を一本差し出して火をつける。
「で?結局どうするつもりなんだ?」
「さあね」
「何だまだ決めてねえのか?あのガキは完全に黒だぜ?魔女の力の勝手がわからないウチにやるべきだろ?」
男の言葉にミルナバはため息を吐く。
「アタシも自分でびっくりしてるよ・・。まさか敵であるずの少女に情けをかけようとしているなんてね・・。」
ミルナバはそう言い、自分の本音を吐露する。
だが、男はその言葉を聞きご機嫌な様子で笑う。
「急に何だい?いきなり笑い出すなんて・・。」
「お前もそうやって心を痛められるんだと初めて知ったからな、つい笑っちまったよ」
肩を縦に揺らしながら笑う男にミルナバ苦笑する。
「アタシにだって心はあるんだよ・・。」
「全くだ。結構付き合いは長いのに、俺は全然お前のことを知ってなかったみたいだな」
許可もなしに男はレジカウンターにドカッと腰を下ろして、煙草の煙を吐き出す。
「・・俺はお前について行くぜ?」
ハッキリとした言葉を言わないミルナバに対して男はそっぽを向きながら、おもむろにそう言うのであった。
男は告白した者が返事を待つようにソワソワとした様子でミルナバの返事を待っていた。
予想外の言葉にミルナバは口元に手を当てて笑ってしまう。
「アハハハハ!」
ツボに入ったのか、ミルナバは膝を叩きながら笑い声を上げる。
「何だ急に・・。」
「コッチは地獄だよ?」
「昔から神様を冒涜してきたんだ。今更天国に行けるなんて思ってもねえよ」
ミルナバの言葉に男は苦笑する。
ミルナバは男の言葉を聞き、気合を入れるように頬を叩く。
「レンダ!準備が整い次第、例の書状を出したヤツの所に行くよ!」
ミルナバは立ち上がりながら、レンダと呼んだ男に笑みを向ける。
志を決めた晴れやかな顔のミルナバにレンダは静かに微笑むのであった。
ぎこちない雰囲気から一変して、最後は満面の笑みで挨拶をするベーラ。
「勘弁してくれよ、ここは子供の遊び場じゃないよ・・」
ミルナバはそんな彼女に気怠げにそう答えるのであったが、建前のような物言いでもあった。
それを察しているのかベーラはニッコリとした表情のまま「また来ますね」と、強調して言うのであった。
「・・・好きにしな・・。」
頬を掻きながら困り顔で言うミルナバであったが、自然と視線がベーラの持っていた水筒にいってしまう。
その視線を感じてベーラはクスクスと可愛らしく笑う。
「今度もレモネード持ってきますね」
「い、いや!?別にまた飲みたいなんてアタシは思ってないよ」
ベーラの言葉にしどろもどろになって弁論するミルナバ。
そんな様子を見てベーラは「わかりました」と、形だけの返事をするのであった。
ーーーーー
ギィィと椅子が軋むほどミルナバは背板にもたれ掛かる。
「はあぁぁ・・。」
その音と同じぐらいの音量でミルナバ大きくため息を吐く。
「えらく悩んでるじゃねえのか」
誰もいないはずのミルナバの店からそんな声が聞こえてくる。
「いい加減出てきたらどうだい?」
ミルナバは舌打ち混じりにそんなことを言い、手元に出してあった煙草に火をつける。
ミルナバが吐き出した煙の中から出てくるように巨躯の男が現れる。
短髪の金髪を触りながら、気味が悪い笑顔を向ける男はねだるようにミルナバに手のひらを差し出す。
ミルナバは短髪の男に煙草を一本差し出して火をつける。
「で?結局どうするつもりなんだ?」
「さあね」
「何だまだ決めてねえのか?あのガキは完全に黒だぜ?魔女の力の勝手がわからないウチにやるべきだろ?」
男の言葉にミルナバはため息を吐く。
「アタシも自分でびっくりしてるよ・・。まさか敵であるずの少女に情けをかけようとしているなんてね・・。」
ミルナバはそう言い、自分の本音を吐露する。
だが、男はその言葉を聞きご機嫌な様子で笑う。
「急に何だい?いきなり笑い出すなんて・・。」
「お前もそうやって心を痛められるんだと初めて知ったからな、つい笑っちまったよ」
肩を縦に揺らしながら笑う男にミルナバ苦笑する。
「アタシにだって心はあるんだよ・・。」
「全くだ。結構付き合いは長いのに、俺は全然お前のことを知ってなかったみたいだな」
許可もなしに男はレジカウンターにドカッと腰を下ろして、煙草の煙を吐き出す。
「・・俺はお前について行くぜ?」
ハッキリとした言葉を言わないミルナバに対して男はそっぽを向きながら、おもむろにそう言うのであった。
男は告白した者が返事を待つようにソワソワとした様子でミルナバの返事を待っていた。
予想外の言葉にミルナバは口元に手を当てて笑ってしまう。
「アハハハハ!」
ツボに入ったのか、ミルナバは膝を叩きながら笑い声を上げる。
「何だ急に・・。」
「コッチは地獄だよ?」
「昔から神様を冒涜してきたんだ。今更天国に行けるなんて思ってもねえよ」
ミルナバの言葉に男は苦笑する。
ミルナバは男の言葉を聞き、気合を入れるように頬を叩く。
「レンダ!準備が整い次第、例の書状を出したヤツの所に行くよ!」
ミルナバは立ち上がりながら、レンダと呼んだ男に笑みを向ける。
志を決めた晴れやかな顔のミルナバにレンダは静かに微笑むのであった。
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