ダークファンタジーの魔法少女、異世界スローライフで日常を知る

タカヒラ 桜楽

文字の大きさ
上 下
31 / 37

弟子入り

しおりを挟む
 私の名前はミリアンヌ・ジュデム。
 歳は九歳(あと少しで十歳になるのだけど)。
 好きな食べ物は甘いものと、チキンカツ。
 嫌いな食べ物はパプリカ。

 そんな私には憧れの人がいるの!

 それは、ベーラ・マルキスちゃん。
 彼女は同じ村の友達の妹だけど、私よりしっかりしていて、何よりも可愛い!

 そして、彼女の正体は・・。


 ーーーーー

 「何で私だってわかったの?」

 ベーラちゃんの言葉に私はどこから話すべきか悩んだ後に、レーネの方に目を向ける。

 「いつだっけ?」
 「タナレスクの森でフェニと出会った日の夜だったと思う・・。」

 レーネの言葉にますます分からなさそうな顔に私は笑ってしまう。

 「レーネちゃんが何か隠しているようだったからベーラちゃんと別れたあとに問い詰めたの」
 「ミリアンヌのクッキーに・・勝てなかった」

 私がポケットから紙包に入ったクッキーをレーネに渡しながら当時の再現をさりげなく見せる。
 その様子にベーラの顔が青ざめる。

 「じ、じゃあ何故魔女について調べて探そうとしていたの?」

 と、同時に口元をヒクヒクと痙攣させベーラが質問をする。

 「ベーラちゃんに直接言って欲しかったからかな・・。」

 私はそう言い、ベーラちゃんに身の丈を話す。

 「ベーラちゃんが魔女様だってことを隠したがっているのは気づいていたの。だから、ベーラちゃんの・・魔女様のことを調べればベーラちゃんのことが分かると思ってて・・。」

 私が申し訳なさそうにそう言うと、ベーラちゃんが私の手を握る。

 「そうだったんだ・・。そうとは知らずに私ったら自分のことばっかで・・。」

 私の言葉を聞き、ベーラちゃんが悲しそうな顔をする。
 そんな顔を見て私は彼女の手を握り返す。

 「ずっと隠しててごめんね」

 申し訳なさそうに謝るベーラちゃんに私は首を横に振る。

 「でもそれは私が魔女様としてのベーラちゃんと仲良くなりいっていう、ずるい考えがあったからなの。だから謝る必要なんてないよ」

 私はベーラちゃんに気にしなくていいよという風な笑顔を向ける。

 「むしろね、隠してて嬉しかったわ。じゃないとベーラちゃんとこんなに仲良くなってなかったもの。だから魔女様がどうとかもういいの・・。」

 そして私はベーラちゃんに伝えたい本当のことを言う。

 「こんな私と友達になってくれてありがとう・・。これからも私とずっと友達でいてね・・。」
 「・・・うん・・ずっと友達だよ・・。」

 ベーラちゃんは申し訳なさと嬉しさで顔をくしゃくしゃにして私に抱きつく。
 ベーラちゃんの温もりはとても優しく温かかく、ずっとこのままで居たいほどだったが・・、

 「・・レーネも入れて」

 と、私たちの密着したところを無理矢理こじ開けて入ってくるレーネにその雰囲気を壊さられる。

 「フフフ。もちろんレーネちゃんもずっと私の友達だよ・・。」
 「・・ならいいの・・。」

 ベーラちゃんの言葉に赤面のレーネは狭い場所に入り込んだ猫のようにうっとりとしていた。

 「もう!レーネちゃんたら・・。」

 と、言いつつ私の頬もレーネちゃんの仕草を見てきっと緩まっているのだろう。
 
 しばらく、その余韻に浸っていると、ベーラちゃんが私の方を向いて質問をする。

 「あ、そういえばこの人たちを誰が捕まえたの!?それに家に移った火の消化も・・。」

 と、聞いてくるのが私にはとてもおかしく感じた。
 ベーラちゃんは私たちの横で縛られている王国騎士たちのことを不思議に思っているのだろう。

 この子は本当に鈍感なんだなあ・・。

 「私とレーネちゃんが捕まえたのよ」
 「どうやって?あまりこんなことは言いたくないけど、あんな屈強な男の人たちをミリアンヌちゃんたちが・・。」

 私は見せた方が早いと感じ、咳払いでベーラちゃんの言葉を切る。

 「勿論これで私たちが捕まえたのよ!」

 その言葉を合図にレーネちゃんと二人で手を水をすくう形にする。

 私の手のひらからは黒い雲のようなふわふわした物体が浮かび上がり、レーネちゃんの方は水が手のひらから湧くように溢れてくる。

 ベーラちゃんは目を丸くして目を瞬かせる。

 「二人とも、ま、魔法を使えるの!?」
 「まあね」
 「レーネ・・凄い?」
 「凄いし・・。何で魔法を使えるの!?」

 そんなベーラちゃんを見て私はベーラちゃんの耳に触れる。
 突然のことにベーラちゃんは恥ずかしそうであったが、私は触れた手に魔力を込める。

 「伝導文字テレパス・コード
 「こ、これは・・。」
 「これはこの魔法を使っている人と心に思ったことを伝えることのできるものなの。今私たちの師匠とこの魔法を共有しているの」
 「・・・師匠?」

 ベーラちゃんは思い当たる節がないのか、眉間に皺を寄せる。
 が、頭に直接話しかけられるようなその魔法によってベーラちゃんは驚きの声を上げる。

 『コレを使って話すのは初めてだよね?』
 『こ、この声はフェニ!?』

 ベーラちゃんの驚く声を聞いて、私はベーラちゃんの手を引く。

 「そういうことだから詳しい話は私の家でしよう!」

 ベーラちゃんには驚きっぱなしだった私は初めて目を白黒にして困惑するのを見て嬉しくなってしまっていたのであった。




 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

1001部隊 ~幻の最強部隊、異世界にて~

鮪鱚鰈
ファンタジー
昭和22年 ロサンゼルス沖合 戦艦大和の艦上にて日本とアメリカの講和がなる 事実上勝利した日本はハワイ自治権・グアム・ミッドウエー統治権・ラバウル直轄権利を得て事実上太平洋の覇者となる その戦争を日本の勝利に導いた男と男が率いる小隊は1001部隊 中国戦線で無類の活躍を見せ、1001小隊の参戦が噂されるだけで敵が逃げ出すほどであった。 終戦時1001小隊に参加して最後まで生き残った兵は11人 小隊長である男『瀬能勝則』含めると12人の男達である 劣戦の戦場でその男達が現れると瞬く間に戦局が逆転し気が付けば日本軍が勝っていた。 しかし日本陸軍上層部はその男達を快くは思っていなかった。 上官の命令には従わず自由気ままに戦場を行き来する男達。 ゆえに彼らは最前線に配備された しかし、彼等は死なず、最前線においても無類の戦火を上げていった。 しかし、彼らがもたらした日本の勝利は彼らが望んだ日本を作り上げたわけではなかった。 瀬能が死を迎えるとき とある世界の神が彼と彼の部下を新天地へと導くのであった

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

主役の聖女は死にました

F.conoe
ファンタジー
聖女と一緒に召喚された私。私は聖女じゃないのに、聖女とされた。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

異世界に来ちゃったよ!?

いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。 しかし、現在森の中。 「とにきゃく、こころこぉ?」 から始まる異世界ストーリー 。 主人公は可愛いです! もふもふだってあります!! 語彙力は………………無いかもしれない…。 とにかく、異世界ファンタジー開幕です! ※不定期投稿です…本当に。 ※誤字・脱字があればお知らせ下さい (※印は鬱表現ありです)

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

処理中です...