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弟子入り
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私の名前はミリアンヌ・ジュデム。
歳は九歳(あと少しで十歳になるのだけど)。
好きな食べ物は甘いものと、チキンカツ。
嫌いな食べ物はパプリカ。
そんな私には憧れの人がいるの!
それは、ベーラ・マルキスちゃん。
彼女は同じ村の友達の妹だけど、私よりしっかりしていて、何よりも可愛い!
そして、彼女の正体は・・。
ーーーーー
「何で私だってわかったの?」
ベーラちゃんの言葉に私はどこから話すべきか悩んだ後に、レーネの方に目を向ける。
「いつだっけ?」
「タナレスクの森でフェニと出会った日の夜だったと思う・・。」
レーネの言葉にますます分からなさそうな顔に私は笑ってしまう。
「レーネちゃんが何か隠しているようだったからベーラちゃんと別れたあとに問い詰めたの」
「ミリアンヌのクッキーに・・勝てなかった」
私がポケットから紙包に入ったクッキーをレーネに渡しながら当時の再現をさりげなく見せる。
その様子にベーラの顔が青ざめる。
「じ、じゃあ何故魔女について調べて探そうとしていたの?」
と、同時に口元をヒクヒクと痙攣させベーラが質問をする。
「ベーラちゃんに直接言って欲しかったからかな・・。」
私はそう言い、ベーラちゃんに身の丈を話す。
「ベーラちゃんが魔女様だってことを隠したがっているのは気づいていたの。だから、ベーラちゃんの・・魔女様のことを調べればベーラちゃんのことが分かると思ってて・・。」
私が申し訳なさそうにそう言うと、ベーラちゃんが私の手を握る。
「そうだったんだ・・。そうとは知らずに私ったら自分のことばっかで・・。」
私の言葉を聞き、ベーラちゃんが悲しそうな顔をする。
そんな顔を見て私は彼女の手を握り返す。
「ずっと隠しててごめんね」
申し訳なさそうに謝るベーラちゃんに私は首を横に振る。
「でもそれは私が魔女様としてのベーラちゃんと仲良くなりいっていう、ずるい考えがあったからなの。だから謝る必要なんてないよ」
私はベーラちゃんに気にしなくていいよという風な笑顔を向ける。
「むしろね、隠してて嬉しかったわ。じゃないとベーラちゃんとこんなに仲良くなってなかったもの。だから魔女様がどうとかもういいの・・。」
そして私はベーラちゃんに伝えたい本当のことを言う。
「こんな私と友達になってくれてありがとう・・。これからも私とずっと友達でいてね・・。」
「・・・うん・・ずっと友達だよ・・。」
ベーラちゃんは申し訳なさと嬉しさで顔をくしゃくしゃにして私に抱きつく。
ベーラちゃんの温もりはとても優しく温かかく、ずっとこのままで居たいほどだったが・・、
「・・レーネも入れて」
と、私たちの密着したところを無理矢理こじ開けて入ってくるレーネにその雰囲気を壊さられる。
「フフフ。もちろんレーネちゃんもずっと私の友達だよ・・。」
「・・ならいいの・・。」
ベーラちゃんの言葉に赤面のレーネは狭い場所に入り込んだ猫のようにうっとりとしていた。
「もう!レーネちゃんたら・・。」
と、言いつつ私の頬もレーネちゃんの仕草を見てきっと緩まっているのだろう。
しばらく、その余韻に浸っていると、ベーラちゃんが私の方を向いて質問をする。
「あ、そういえばこの人たちを誰が捕まえたの!?それに家に移った火の消化も・・。」
と、聞いてくるのが私にはとてもおかしく感じた。
ベーラちゃんは私たちの横で縛られている王国騎士たちのことを不思議に思っているのだろう。
この子は本当に鈍感なんだなあ・・。
「私とレーネちゃんが捕まえたのよ」
「どうやって?あまりこんなことは言いたくないけど、あんな屈強な男の人たちをミリアンヌちゃんたちが・・。」
私は見せた方が早いと感じ、咳払いでベーラちゃんの言葉を切る。
「勿論これで私たちが捕まえたのよ!」
その言葉を合図にレーネちゃんと二人で手を水をすくう形にする。
私の手のひらからは黒い雲のようなふわふわした物体が浮かび上がり、レーネちゃんの方は水が手のひらから湧くように溢れてくる。
ベーラちゃんは目を丸くして目を瞬かせる。
「二人とも、ま、魔法を使えるの!?」
「まあね」
「レーネ・・凄い?」
「凄いし・・。何で魔法を使えるの!?」
そんなベーラちゃんを見て私はベーラちゃんの耳に触れる。
突然のことにベーラちゃんは恥ずかしそうであったが、私は触れた手に魔力を込める。
「伝導文字」
「こ、これは・・。」
「これはこの魔法を使っている人と心に思ったことを伝えることのできるものなの。今私たちの師匠とこの魔法を共有しているの」
「・・・師匠?」
ベーラちゃんは思い当たる節がないのか、眉間に皺を寄せる。
が、頭に直接話しかけられるようなその魔法によってベーラちゃんは驚きの声を上げる。
『コレを使って話すのは初めてだよね?』
『こ、この声はフェニ!?』
ベーラちゃんの驚く声を聞いて、私はベーラちゃんの手を引く。
「そういうことだから詳しい話は私の家でしよう!」
ベーラちゃんには驚きっぱなしだった私は初めて目を白黒にして困惑するのを見て嬉しくなってしまっていたのであった。
歳は九歳(あと少しで十歳になるのだけど)。
好きな食べ物は甘いものと、チキンカツ。
嫌いな食べ物はパプリカ。
そんな私には憧れの人がいるの!
それは、ベーラ・マルキスちゃん。
彼女は同じ村の友達の妹だけど、私よりしっかりしていて、何よりも可愛い!
そして、彼女の正体は・・。
ーーーーー
「何で私だってわかったの?」
ベーラちゃんの言葉に私はどこから話すべきか悩んだ後に、レーネの方に目を向ける。
「いつだっけ?」
「タナレスクの森でフェニと出会った日の夜だったと思う・・。」
レーネの言葉にますます分からなさそうな顔に私は笑ってしまう。
「レーネちゃんが何か隠しているようだったからベーラちゃんと別れたあとに問い詰めたの」
「ミリアンヌのクッキーに・・勝てなかった」
私がポケットから紙包に入ったクッキーをレーネに渡しながら当時の再現をさりげなく見せる。
その様子にベーラの顔が青ざめる。
「じ、じゃあ何故魔女について調べて探そうとしていたの?」
と、同時に口元をヒクヒクと痙攣させベーラが質問をする。
「ベーラちゃんに直接言って欲しかったからかな・・。」
私はそう言い、ベーラちゃんに身の丈を話す。
「ベーラちゃんが魔女様だってことを隠したがっているのは気づいていたの。だから、ベーラちゃんの・・魔女様のことを調べればベーラちゃんのことが分かると思ってて・・。」
私が申し訳なさそうにそう言うと、ベーラちゃんが私の手を握る。
「そうだったんだ・・。そうとは知らずに私ったら自分のことばっかで・・。」
私の言葉を聞き、ベーラちゃんが悲しそうな顔をする。
そんな顔を見て私は彼女の手を握り返す。
「ずっと隠しててごめんね」
申し訳なさそうに謝るベーラちゃんに私は首を横に振る。
「でもそれは私が魔女様としてのベーラちゃんと仲良くなりいっていう、ずるい考えがあったからなの。だから謝る必要なんてないよ」
私はベーラちゃんに気にしなくていいよという風な笑顔を向ける。
「むしろね、隠してて嬉しかったわ。じゃないとベーラちゃんとこんなに仲良くなってなかったもの。だから魔女様がどうとかもういいの・・。」
そして私はベーラちゃんに伝えたい本当のことを言う。
「こんな私と友達になってくれてありがとう・・。これからも私とずっと友達でいてね・・。」
「・・・うん・・ずっと友達だよ・・。」
ベーラちゃんは申し訳なさと嬉しさで顔をくしゃくしゃにして私に抱きつく。
ベーラちゃんの温もりはとても優しく温かかく、ずっとこのままで居たいほどだったが・・、
「・・レーネも入れて」
と、私たちの密着したところを無理矢理こじ開けて入ってくるレーネにその雰囲気を壊さられる。
「フフフ。もちろんレーネちゃんもずっと私の友達だよ・・。」
「・・ならいいの・・。」
ベーラちゃんの言葉に赤面のレーネは狭い場所に入り込んだ猫のようにうっとりとしていた。
「もう!レーネちゃんたら・・。」
と、言いつつ私の頬もレーネちゃんの仕草を見てきっと緩まっているのだろう。
しばらく、その余韻に浸っていると、ベーラちゃんが私の方を向いて質問をする。
「あ、そういえばこの人たちを誰が捕まえたの!?それに家に移った火の消化も・・。」
と、聞いてくるのが私にはとてもおかしく感じた。
ベーラちゃんは私たちの横で縛られている王国騎士たちのことを不思議に思っているのだろう。
この子は本当に鈍感なんだなあ・・。
「私とレーネちゃんが捕まえたのよ」
「どうやって?あまりこんなことは言いたくないけど、あんな屈強な男の人たちをミリアンヌちゃんたちが・・。」
私は見せた方が早いと感じ、咳払いでベーラちゃんの言葉を切る。
「勿論これで私たちが捕まえたのよ!」
その言葉を合図にレーネちゃんと二人で手を水をすくう形にする。
私の手のひらからは黒い雲のようなふわふわした物体が浮かび上がり、レーネちゃんの方は水が手のひらから湧くように溢れてくる。
ベーラちゃんは目を丸くして目を瞬かせる。
「二人とも、ま、魔法を使えるの!?」
「まあね」
「レーネ・・凄い?」
「凄いし・・。何で魔法を使えるの!?」
そんなベーラちゃんを見て私はベーラちゃんの耳に触れる。
突然のことにベーラちゃんは恥ずかしそうであったが、私は触れた手に魔力を込める。
「伝導文字」
「こ、これは・・。」
「これはこの魔法を使っている人と心に思ったことを伝えることのできるものなの。今私たちの師匠とこの魔法を共有しているの」
「・・・師匠?」
ベーラちゃんは思い当たる節がないのか、眉間に皺を寄せる。
が、頭に直接話しかけられるようなその魔法によってベーラちゃんは驚きの声を上げる。
『コレを使って話すのは初めてだよね?』
『こ、この声はフェニ!?』
ベーラちゃんの驚く声を聞いて、私はベーラちゃんの手を引く。
「そういうことだから詳しい話は私の家でしよう!」
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