26 / 37
客人
しおりを挟む
私はあの後、ヴェンタレスを家に招いてしまっていた。
というのも、先程のいざこざを見ていた両親が、二人きりにはさせないと言ったため危害を加えない証として私の家で話をすることになったのだ。
「随分と趣きのある家ですね、お邪魔しますよ」
ヴェンタレスは父よりも頭ひとつ大きく、父の背格好で設計された家の扉を暖簾を潜るように入室するのであった。
交戦の意志がないことを示すためにヴェンタレスは鎧を外しており、ラフなパンツと、ワイシャツ姿であるが、村にいる男性とは違う男性の色香が醸し出されており私は目の置き場に困る。
「それでお話というのは?」
家族で食事を行う、テーブルに案内し、ヴェンタレスが着席するのを確認した父がそう切り出す。
「同席は承認しましたが、貴方と喋るとは・・」
「いいからご用件だけ仰っていただけませんか?」
珍しく苛立ちを露わにした父を見て私は唖然とする。
こういっては何だが私の家は母が家主と言ってもいいほど、父の威厳はあまりないのだが、というか完全に尻に敷かれている状態であり、今は見違えるほどの威圧感が伺えたのである。
「もしかして私って歓迎されていませんか?」
「私の親友の娘に刃を向けたんだ、アンタらが歓迎されていないのは当たり前だろ・・。」
飄々とした態度のヴェンタレスに静かな怒りを示す父に私は言葉を失う。
今の父は大黒柱のソレであり、格好良く見えるほどである。
「オホホホ、騎士様もご冗談を言われるんですね。私たちはベーラに何の用かだけを聞きたいんですけど?」
先に着いた客人をもてなすのは母の仕事であるが、嫌味を言いながらコップを置く母の圧迫感は面接官よりも恐ろしかった。
(まあ面接なんて受けたことないけど・・。」
やはり母も不躾な態度の王国騎士たちに少なからず苛立ちを覚えていたのだろう。
「うーん、まあこの際言っとくべきなんでしょうね」
ヴェンタレスは勿体ぶったようにそう言うと、懐から王国の紋章が刻まれた懐中時計のような造形のペンダントを取り出す。
「こ、これは・・?」
「魔晶盤といいまして、探したいモノの特徴や名前を記憶しその方角を示してくれる魔道具です」
「はあ・・それでこれがどうしたんですか?」
父の質問にヴェンタレスはそのペンダントを開き中身を見せる。
「今回は魔女の捜索していまして、この村に行き着いたのです」
その言葉に私は冷や汗をかく。
この魔道具は先日ミリアンヌが言っていたスキルボードに似ている探索アイテムのようだ。
そんな私の表情を見てヴェンタレスは微笑を向ける。
口元は笑っているが、光のない淀んだ瞳が私を捉えていた。
「と、言っても何のことかわからないでしょうから私たちミドザリア王国と魔女の関係性についてお話しましょう」
ヴェンタレスの不気味な笑顔に私は冷や汗をかくのであった。
そして、ヴェンタレスはそのまま昔話を語り始めるのであった。
というのも、先程のいざこざを見ていた両親が、二人きりにはさせないと言ったため危害を加えない証として私の家で話をすることになったのだ。
「随分と趣きのある家ですね、お邪魔しますよ」
ヴェンタレスは父よりも頭ひとつ大きく、父の背格好で設計された家の扉を暖簾を潜るように入室するのであった。
交戦の意志がないことを示すためにヴェンタレスは鎧を外しており、ラフなパンツと、ワイシャツ姿であるが、村にいる男性とは違う男性の色香が醸し出されており私は目の置き場に困る。
「それでお話というのは?」
家族で食事を行う、テーブルに案内し、ヴェンタレスが着席するのを確認した父がそう切り出す。
「同席は承認しましたが、貴方と喋るとは・・」
「いいからご用件だけ仰っていただけませんか?」
珍しく苛立ちを露わにした父を見て私は唖然とする。
こういっては何だが私の家は母が家主と言ってもいいほど、父の威厳はあまりないのだが、というか完全に尻に敷かれている状態であり、今は見違えるほどの威圧感が伺えたのである。
「もしかして私って歓迎されていませんか?」
「私の親友の娘に刃を向けたんだ、アンタらが歓迎されていないのは当たり前だろ・・。」
飄々とした態度のヴェンタレスに静かな怒りを示す父に私は言葉を失う。
今の父は大黒柱のソレであり、格好良く見えるほどである。
「オホホホ、騎士様もご冗談を言われるんですね。私たちはベーラに何の用かだけを聞きたいんですけど?」
先に着いた客人をもてなすのは母の仕事であるが、嫌味を言いながらコップを置く母の圧迫感は面接官よりも恐ろしかった。
(まあ面接なんて受けたことないけど・・。」
やはり母も不躾な態度の王国騎士たちに少なからず苛立ちを覚えていたのだろう。
「うーん、まあこの際言っとくべきなんでしょうね」
ヴェンタレスは勿体ぶったようにそう言うと、懐から王国の紋章が刻まれた懐中時計のような造形のペンダントを取り出す。
「こ、これは・・?」
「魔晶盤といいまして、探したいモノの特徴や名前を記憶しその方角を示してくれる魔道具です」
「はあ・・それでこれがどうしたんですか?」
父の質問にヴェンタレスはそのペンダントを開き中身を見せる。
「今回は魔女の捜索していまして、この村に行き着いたのです」
その言葉に私は冷や汗をかく。
この魔道具は先日ミリアンヌが言っていたスキルボードに似ている探索アイテムのようだ。
そんな私の表情を見てヴェンタレスは微笑を向ける。
口元は笑っているが、光のない淀んだ瞳が私を捉えていた。
「と、言っても何のことかわからないでしょうから私たちミドザリア王国と魔女の関係性についてお話しましょう」
ヴェンタレスの不気味な笑顔に私は冷や汗をかくのであった。
そして、ヴェンタレスはそのまま昔話を語り始めるのであった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
1001部隊 ~幻の最強部隊、異世界にて~
鮪鱚鰈
ファンタジー
昭和22年 ロサンゼルス沖合
戦艦大和の艦上にて日本とアメリカの講和がなる
事実上勝利した日本はハワイ自治権・グアム・ミッドウエー統治権・ラバウル直轄権利を得て事実上太平洋の覇者となる
その戦争を日本の勝利に導いた男と男が率いる小隊は1001部隊
中国戦線で無類の活躍を見せ、1001小隊の参戦が噂されるだけで敵が逃げ出すほどであった。
終戦時1001小隊に参加して最後まで生き残った兵は11人
小隊長である男『瀬能勝則』含めると12人の男達である
劣戦の戦場でその男達が現れると瞬く間に戦局が逆転し気が付けば日本軍が勝っていた。
しかし日本陸軍上層部はその男達を快くは思っていなかった。
上官の命令には従わず自由気ままに戦場を行き来する男達。
ゆえに彼らは最前線に配備された
しかし、彼等は死なず、最前線においても無類の戦火を上げていった。
しかし、彼らがもたらした日本の勝利は彼らが望んだ日本を作り上げたわけではなかった。
瀬能が死を迎えるとき
とある世界の神が彼と彼の部下を新天地へと導くのであった
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界に来ちゃったよ!?
いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。
しかし、現在森の中。
「とにきゃく、こころこぉ?」
から始まる異世界ストーリー 。
主人公は可愛いです!
もふもふだってあります!!
語彙力は………………無いかもしれない…。
とにかく、異世界ファンタジー開幕です!
※不定期投稿です…本当に。
※誤字・脱字があればお知らせ下さい
(※印は鬱表現ありです)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる