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フェニと炭酸飲料
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「やっぱり出来たーーーっ!!」
私は嬉しさのあまり、木製のコップを片手にぴょんぴょんとその場で跳ねるのであった。
先日、ミルナバさんという街で出会った女性から教えてもらった錬金術で、私は今炭酸水を作っていたのであった。
先日の失敗を活かし、今日の私はタナレスクの森で、魔法少女の姿で炭酸水作りに励んでいたのであった。
錬金術は原理はとても簡単だが、ミルナバが言ったようにとてつもなく魔力と体力を消費する魔法で、魔法少女の姿の私も日に数度しか使えないということを実感したのであった。
「それは本当かい!?ベーラ、ボクにも見せて見せて!」
「ちょっとフェニ、そんなにガッツがないでよ」
フェニのきめ細かいモフモフとした毛が私の足元をくすぐる。
私はむず痒さを堪えて、フェニを抱き上げる。
フェニはパチパチと音を立てる炭酸水に目を輝かせる。
「ねえ!これ飲んでもいいの!?」
「味をつけてないけどいいの?」
私はこの数日間に渡って錬金術の練習をしたのだが、どうやら錬金術は思っているよりも難しいみたいだ。
錬金術にはいくつかの特徴があって、複合物を作る場合はそれぞれの想像力が必要になるのだ。
コーラで例えると、甘味、香り、色、炭酸など、その数が増えることに比例して魔力・体力・そして生成時間がかかることがわかった。
これなら字の通りに、金を錬成してお金持ちになった方が良さそうだが、あいにく私は平凡に暮らしたいのでそうすることは生活に困窮するときしかしないだろう。
と、錬金術は便利だが、割りに合わないなあというのが私の感想である。
本当は重曹とクエン酸の粉を作りたいのだが、重曹やクエン酸の成分がよく分からず断念してしまった。
こんなことが出来るならしっかりと科学の授業を受けるべきだったな・・。
「いっただきま~す!」
と、私が考え事をしていると、私の腕の中にいたフェニが器用にコップを両の前脚で掴みながら、そう挨拶をする。
フェニは、豪快にコップを傾けて水のようにゴクゴクと飲んでしまう。
「ちょ、ちょっとフェニ・・!?」
私は後から襲って来る炭酸の痛みに近いシュワシュワとしたあの感覚を思い出し、フェニを心配する。
「ギャウゥゥンッッ!!!」
「ふ、フェニーー!」
だが、時すでに遅しといった様子でフェニが叫び声を上げてコップもろとも宙に舞ってしまう。
咄嗟のことで私はフェニをキャッチ出来ずに、フェニはそのまま背中から地面に落ちてしまうのであった。
ドンっと地面にぶつかる痛々しい音に私は不意に目を瞑ってしまう。
「うぅ~ん。ペッペッ、一体なんなんだよこの飲み物・・。」
と、何故か地面をうろうろと歩き、炭酸水を吐き出す。
さすが、大狼というべきなのか、痛みはないらしく、炭酸水の衝撃のほうが強いらしい。
「フェニの口には合わなかった?」
「口の中が爆発したみたいだったよ・・。」
フェニの後悔した顔を見て、不覚にも私は笑ってしまう。
「アハハハハ!そんなに一気に飲むからよ」
「笑わないでよ。こんなのの何がおいしいんだい?」
「これを砂糖とか入れて飲むととても美味しいのよ」
「ふうん・・。」
痛い目を見たからか、フェニは気落ちしており、興味なさそうに私の言葉を受け流す。
「明日は本当の炭酸飲料を飲ましてあげるよ!」
私はそう言うと、投げ捨てられたコップと不満そうなフェニを抱き抱えて、帰路につくのであった。
後日私が作った炭酸を蜂蜜とレモンで割った自家製レモネードを飲んだフェニは取り憑かれたように、私に炭酸飲料を飲みたいと言い寄るのであった。
私は嬉しさのあまり、木製のコップを片手にぴょんぴょんとその場で跳ねるのであった。
先日、ミルナバさんという街で出会った女性から教えてもらった錬金術で、私は今炭酸水を作っていたのであった。
先日の失敗を活かし、今日の私はタナレスクの森で、魔法少女の姿で炭酸水作りに励んでいたのであった。
錬金術は原理はとても簡単だが、ミルナバが言ったようにとてつもなく魔力と体力を消費する魔法で、魔法少女の姿の私も日に数度しか使えないということを実感したのであった。
「それは本当かい!?ベーラ、ボクにも見せて見せて!」
「ちょっとフェニ、そんなにガッツがないでよ」
フェニのきめ細かいモフモフとした毛が私の足元をくすぐる。
私はむず痒さを堪えて、フェニを抱き上げる。
フェニはパチパチと音を立てる炭酸水に目を輝かせる。
「ねえ!これ飲んでもいいの!?」
「味をつけてないけどいいの?」
私はこの数日間に渡って錬金術の練習をしたのだが、どうやら錬金術は思っているよりも難しいみたいだ。
錬金術にはいくつかの特徴があって、複合物を作る場合はそれぞれの想像力が必要になるのだ。
コーラで例えると、甘味、香り、色、炭酸など、その数が増えることに比例して魔力・体力・そして生成時間がかかることがわかった。
これなら字の通りに、金を錬成してお金持ちになった方が良さそうだが、あいにく私は平凡に暮らしたいのでそうすることは生活に困窮するときしかしないだろう。
と、錬金術は便利だが、割りに合わないなあというのが私の感想である。
本当は重曹とクエン酸の粉を作りたいのだが、重曹やクエン酸の成分がよく分からず断念してしまった。
こんなことが出来るならしっかりと科学の授業を受けるべきだったな・・。
「いっただきま~す!」
と、私が考え事をしていると、私の腕の中にいたフェニが器用にコップを両の前脚で掴みながら、そう挨拶をする。
フェニは、豪快にコップを傾けて水のようにゴクゴクと飲んでしまう。
「ちょ、ちょっとフェニ・・!?」
私は後から襲って来る炭酸の痛みに近いシュワシュワとしたあの感覚を思い出し、フェニを心配する。
「ギャウゥゥンッッ!!!」
「ふ、フェニーー!」
だが、時すでに遅しといった様子でフェニが叫び声を上げてコップもろとも宙に舞ってしまう。
咄嗟のことで私はフェニをキャッチ出来ずに、フェニはそのまま背中から地面に落ちてしまうのであった。
ドンっと地面にぶつかる痛々しい音に私は不意に目を瞑ってしまう。
「うぅ~ん。ペッペッ、一体なんなんだよこの飲み物・・。」
と、何故か地面をうろうろと歩き、炭酸水を吐き出す。
さすが、大狼というべきなのか、痛みはないらしく、炭酸水の衝撃のほうが強いらしい。
「フェニの口には合わなかった?」
「口の中が爆発したみたいだったよ・・。」
フェニの後悔した顔を見て、不覚にも私は笑ってしまう。
「アハハハハ!そんなに一気に飲むからよ」
「笑わないでよ。こんなのの何がおいしいんだい?」
「これを砂糖とか入れて飲むととても美味しいのよ」
「ふうん・・。」
痛い目を見たからか、フェニは気落ちしており、興味なさそうに私の言葉を受け流す。
「明日は本当の炭酸飲料を飲ましてあげるよ!」
私はそう言うと、投げ捨てられたコップと不満そうなフェニを抱き抱えて、帰路につくのであった。
後日私が作った炭酸を蜂蜜とレモンで割った自家製レモネードを飲んだフェニは取り憑かれたように、私に炭酸飲料を飲みたいと言い寄るのであった。
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