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変わらない日々とちょっとした楽しみ
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「なーんであんなこと言っちゃうかな~」
尻尾をメトロノームのように左右に動かしながらそう言ったのは、退屈そうに私の腕の中に居たフェニであった。
私たちは大木の中にある秘密基地から帰路を歩いている。
落ちつつある夕日が私たちの帰る時間を教えてくれているようであった。
「仕方ないでしょ、あのまんま放っておくなんて私には出来なかったんだよ」
「にしてもあの言い訳はどうかと思うよ?」
フェニは私の腕の中でジタバタともがき、私に訴えかける。
「だってベーラはミリアンヌのために今から色々とするんでしょ?そしたら、ボクとの時間が減るじゃないか!」
フェニは小さな口を開けて可愛らしい威嚇をする。
「ずっとべったりなんだからたまにはいいじゃない・・。」
「君はいつからそんなに冷たくなってしまったんだい?」
「冷たいってどこが?」
「教えない・・。」
お得意の『教えない』を言ったフェニは、私に顔を合わせないように頭を私の手の中に埋める。
そんなフェニは私に向かってフリフリと可愛らしくお尻を振って手の中にうずくろうとしていた。
そんなフェニはどこか拗ねているようであったが、頭隠して尻隠さずのフェニの状態に私は笑ってしまう。
「何がおかしいのさ・・?」
「フェニって本当にかわいいね」
「ほ、褒めたって何も出ないよ?」
「別に冗談で言ってないんだけどな」
「もうっ・・。」
フェニは気恥ずかしくなったのか、私の手をすり抜けるようにして地面に着地する。
「でもさ、具体的にはどうするすつもりなの?」
フェニは雪の上を平気な顔で歩きながら私に訊ねる。
こういうところを見ると、フェニは私の知っている動物なんじゃないた思ってしまう。
まあ、喋っている時点でもう違うか・・。
「具体的にってミリアンヌのこと?」
「そうだよ。彼女たちと何をするつもりなんだい?今まで通りに遊ぶなんてしないよね?」
「うーん、私の居た世界では、テーマパークとかきっと興味を引く物はあったけど、こっちの世界の娯楽ってあんまりないんだよね・・。」
「てーまぱーく・・何だいそれは?」
私はそう言いつつ、難しい顔になってしまう。
よくよく考えて見ると、私の今の世界はアナログの物が多く、電子機器が発達しておらず、子供の遊び道具も木製の物が大半である。
というのも、この世界の魔法は前世の電子機器のほぼ全てのことが可能なので科学という物が発展してないのである。
科学・・。
自分の脳内で思い浮かんだことに引っかかりを覚える。
そこで私はあることに気づく。
「甘い飲み物だ・・!」
前後の言葉がない私の発言にフェニはキョトンとした顔で、「甘い飲み物・・?」と聞き返すのであった。
「子供がとっても好きな物で、新食感の物を作ればきっと喜んでくれるし、楽しいわよ!」
「・・よ、よく分からないからちゃんと説明してくれよ」
「私の居た世界では炭酸飲料っていう物があったのよ。こっちでいうジュースみたいな物なんだけど、魔法で作れるんじゃないかと思ったんだけど・・。」
「ボクの知らない飲み物・・ゴクッ。それを作ってよ!」
生唾を飲む音がハッキリと聞こえるほどにフェニは私の言葉に食いついてくる。
興奮からか、フェニのフサフサの尻尾がブンブンと大きく揺れる。
「そうと決まれば買い出しに行かないとね!」
「オオーーン!」
嬉しそうにフェニが遠吠えをする。
あまりの喜びから狼の本能が出てしまったのだろうか。
私はそんなフェニにウィンクをし、浮かれながら帰路に着くのであった。
尻尾をメトロノームのように左右に動かしながらそう言ったのは、退屈そうに私の腕の中に居たフェニであった。
私たちは大木の中にある秘密基地から帰路を歩いている。
落ちつつある夕日が私たちの帰る時間を教えてくれているようであった。
「仕方ないでしょ、あのまんま放っておくなんて私には出来なかったんだよ」
「にしてもあの言い訳はどうかと思うよ?」
フェニは私の腕の中でジタバタともがき、私に訴えかける。
「だってベーラはミリアンヌのために今から色々とするんでしょ?そしたら、ボクとの時間が減るじゃないか!」
フェニは小さな口を開けて可愛らしい威嚇をする。
「ずっとべったりなんだからたまにはいいじゃない・・。」
「君はいつからそんなに冷たくなってしまったんだい?」
「冷たいってどこが?」
「教えない・・。」
お得意の『教えない』を言ったフェニは、私に顔を合わせないように頭を私の手の中に埋める。
そんなフェニは私に向かってフリフリと可愛らしくお尻を振って手の中にうずくろうとしていた。
そんなフェニはどこか拗ねているようであったが、頭隠して尻隠さずのフェニの状態に私は笑ってしまう。
「何がおかしいのさ・・?」
「フェニって本当にかわいいね」
「ほ、褒めたって何も出ないよ?」
「別に冗談で言ってないんだけどな」
「もうっ・・。」
フェニは気恥ずかしくなったのか、私の手をすり抜けるようにして地面に着地する。
「でもさ、具体的にはどうするすつもりなの?」
フェニは雪の上を平気な顔で歩きながら私に訊ねる。
こういうところを見ると、フェニは私の知っている動物なんじゃないた思ってしまう。
まあ、喋っている時点でもう違うか・・。
「具体的にってミリアンヌのこと?」
「そうだよ。彼女たちと何をするつもりなんだい?今まで通りに遊ぶなんてしないよね?」
「うーん、私の居た世界では、テーマパークとかきっと興味を引く物はあったけど、こっちの世界の娯楽ってあんまりないんだよね・・。」
「てーまぱーく・・何だいそれは?」
私はそう言いつつ、難しい顔になってしまう。
よくよく考えて見ると、私の今の世界はアナログの物が多く、電子機器が発達しておらず、子供の遊び道具も木製の物が大半である。
というのも、この世界の魔法は前世の電子機器のほぼ全てのことが可能なので科学という物が発展してないのである。
科学・・。
自分の脳内で思い浮かんだことに引っかかりを覚える。
そこで私はあることに気づく。
「甘い飲み物だ・・!」
前後の言葉がない私の発言にフェニはキョトンとした顔で、「甘い飲み物・・?」と聞き返すのであった。
「子供がとっても好きな物で、新食感の物を作ればきっと喜んでくれるし、楽しいわよ!」
「・・よ、よく分からないからちゃんと説明してくれよ」
「私の居た世界では炭酸飲料っていう物があったのよ。こっちでいうジュースみたいな物なんだけど、魔法で作れるんじゃないかと思ったんだけど・・。」
「ボクの知らない飲み物・・ゴクッ。それを作ってよ!」
生唾を飲む音がハッキリと聞こえるほどにフェニは私の言葉に食いついてくる。
興奮からか、フェニのフサフサの尻尾がブンブンと大きく揺れる。
「そうと決まれば買い出しに行かないとね!」
「オオーーン!」
嬉しそうにフェニが遠吠えをする。
あまりの喜びから狼の本能が出てしまったのだろうか。
私はそんなフェニにウィンクをし、浮かれながら帰路に着くのであった。
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