2 / 37
New World
しおりを挟む
それは突然のことであった。
私は脳に電流が走り、木製のスプーンを床に落としてしまった。
脳を鋭い痛みが通り抜け私は椅子から崩れ落ち、背中を丸めて苦痛の表情を浮かべるのであった。
齢7歳私はその時、前世の記憶を思い出したのだ。
「あああぁぁぁぁ!!!」
「ベーラどうしたの!?」
突然の私の言動に、母が寄り添い介抱する。
母の手は暖かく、普段は熱を出すと母の手を恋しく思うのだが、今回はそうはいかなかった。
脳が焼け切れるように痛く、今の私にとって母の行動は焼け石に水であり、余裕のない私は母の手を振り払う。
取り乱した私を家族はとても心配していたが、その痛みは数分後にピタリと止んでしまった。
「だ、大丈夫なのか?」
と、恐る恐るそう聞いたのは、現在の世界の兄モートリーであった。
私は平静を装った顔で、何事もなかったかのように席をつく。
「何か怖い声が聞こえたの・・。」
私はそう言いぎこちのない笑みを家族に向ける。
この世界では、あらゆる現象が解明されてない中世紀のような途上文化であるし、なによりも魔法という物が公になっている世界なので家族はすぐに私の言葉を信じてくれたのであった。
「今度また聞こえたら、お兄ちゃんに言うんだぞ?お兄ちゃんがベーラを守ってやるんだからな」
兄は胸を張ってそう言い、木製のスプーンを立てる。
そんな姿を見て、両親は微笑む。
怖がる必要はないと言った様子であったが、私の両手は酷く震えていた。
私は突然前世を思い出してしまったのだ。
魔法少女の時に体験した、辛い過去が雪崩のように私の記憶を呼び起こさせたのだ。
私は瞬時に理解した。
これが夢や妄想の産物ではないことに・・。
というのも、私の身体にはあの時の力が偶然にも継承されていたのだ。
こちらの世界でいう魔力が私の身体を循環しているのが身体を通して脳に伝わる。
先程まで感じなかった、この力の流れは前世の物と全くと言っていいほどに同じであった。
だが、私はいつものように純真な子供のフリをしながら食事を再開した。
この世界でも争い事が各地で勃発しているが、魔法少女の力はこちらの世界でも強大な物になるだろう。
もしかしたら軍事的利用もあるかもしれない。
だから、私は隠し通す。
この平凡な世界で生きていくために・・。
私は脳に電流が走り、木製のスプーンを床に落としてしまった。
脳を鋭い痛みが通り抜け私は椅子から崩れ落ち、背中を丸めて苦痛の表情を浮かべるのであった。
齢7歳私はその時、前世の記憶を思い出したのだ。
「あああぁぁぁぁ!!!」
「ベーラどうしたの!?」
突然の私の言動に、母が寄り添い介抱する。
母の手は暖かく、普段は熱を出すと母の手を恋しく思うのだが、今回はそうはいかなかった。
脳が焼け切れるように痛く、今の私にとって母の行動は焼け石に水であり、余裕のない私は母の手を振り払う。
取り乱した私を家族はとても心配していたが、その痛みは数分後にピタリと止んでしまった。
「だ、大丈夫なのか?」
と、恐る恐るそう聞いたのは、現在の世界の兄モートリーであった。
私は平静を装った顔で、何事もなかったかのように席をつく。
「何か怖い声が聞こえたの・・。」
私はそう言いぎこちのない笑みを家族に向ける。
この世界では、あらゆる現象が解明されてない中世紀のような途上文化であるし、なによりも魔法という物が公になっている世界なので家族はすぐに私の言葉を信じてくれたのであった。
「今度また聞こえたら、お兄ちゃんに言うんだぞ?お兄ちゃんがベーラを守ってやるんだからな」
兄は胸を張ってそう言い、木製のスプーンを立てる。
そんな姿を見て、両親は微笑む。
怖がる必要はないと言った様子であったが、私の両手は酷く震えていた。
私は突然前世を思い出してしまったのだ。
魔法少女の時に体験した、辛い過去が雪崩のように私の記憶を呼び起こさせたのだ。
私は瞬時に理解した。
これが夢や妄想の産物ではないことに・・。
というのも、私の身体にはあの時の力が偶然にも継承されていたのだ。
こちらの世界でいう魔力が私の身体を循環しているのが身体を通して脳に伝わる。
先程まで感じなかった、この力の流れは前世の物と全くと言っていいほどに同じであった。
だが、私はいつものように純真な子供のフリをしながら食事を再開した。
この世界でも争い事が各地で勃発しているが、魔法少女の力はこちらの世界でも強大な物になるだろう。
もしかしたら軍事的利用もあるかもしれない。
だから、私は隠し通す。
この平凡な世界で生きていくために・・。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
1001部隊 ~幻の最強部隊、異世界にて~
鮪鱚鰈
ファンタジー
昭和22年 ロサンゼルス沖合
戦艦大和の艦上にて日本とアメリカの講和がなる
事実上勝利した日本はハワイ自治権・グアム・ミッドウエー統治権・ラバウル直轄権利を得て事実上太平洋の覇者となる
その戦争を日本の勝利に導いた男と男が率いる小隊は1001部隊
中国戦線で無類の活躍を見せ、1001小隊の参戦が噂されるだけで敵が逃げ出すほどであった。
終戦時1001小隊に参加して最後まで生き残った兵は11人
小隊長である男『瀬能勝則』含めると12人の男達である
劣戦の戦場でその男達が現れると瞬く間に戦局が逆転し気が付けば日本軍が勝っていた。
しかし日本陸軍上層部はその男達を快くは思っていなかった。
上官の命令には従わず自由気ままに戦場を行き来する男達。
ゆえに彼らは最前線に配備された
しかし、彼等は死なず、最前線においても無類の戦火を上げていった。
しかし、彼らがもたらした日本の勝利は彼らが望んだ日本を作り上げたわけではなかった。
瀬能が死を迎えるとき
とある世界の神が彼と彼の部下を新天地へと導くのであった
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界に来ちゃったよ!?
いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。
しかし、現在森の中。
「とにきゃく、こころこぉ?」
から始まる異世界ストーリー 。
主人公は可愛いです!
もふもふだってあります!!
語彙力は………………無いかもしれない…。
とにかく、異世界ファンタジー開幕です!
※不定期投稿です…本当に。
※誤字・脱字があればお知らせ下さい
(※印は鬱表現ありです)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
転生騎士団長の歩き方
Akila
ファンタジー
【第2章 完 約13万字】&【第1章 完 約12万字】
たまたま運よく掴んだ功績で第7騎士団の団長になってしまった女性騎士のラモン。そんなラモンの中身は地球から転生した『鈴木ゆり』だった。女神様に転生するに当たってギフトを授かったのだが、これがとっても役立った。ありがとう女神さま! と言う訳で、小娘団長が汗臭い騎士団をどうにか立て直す為、ドーン副団長や団員達とキレイにしたり、旨〜いしたり、キュンキュンしたりするほのぼの物語です。
【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。
【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?
※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる