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114. 年末年始の、予定を立てよう
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美香と、一つ屋根の下の暮らし。
それは甘美な時間ではあるが――親もいるので、残念ながら同棲の再現とまではいかない。
うちの両親も多忙ではあるが、美香の両親よりはいろいろと余裕があったのか、今日は母さんも父さんも家にいる。
それでも、やはり自室は貴重なプライベート空間。
「美香、うちの父さんに気に入られてよかったな」
「なんなら頭撫でられちゃったしね。…なんか兄妹みたいだね?」
「いいのか?兄妹だと恋人になれないぞ」
「…たしかに!」
なんて、付き合いたてのバカップルのごとき会話を繰り広げていた。
…まあ、付き合ってまだ4日なのだから、許してほしい。
そんな会話の中で、ふと出た話題があった。
「そういえばさ、美香のところは初詣行く?」
「うちはそのつもりだって言ってたよ。振袖はないけど」
「まあ、高いもんなぁ…」
ラブコメを読んでいるとよく正月にヒロインが振袖を着て初詣に来たりしているが、そんなに都合よく振袖があるわけがないのである。
例によって、女性用の振袖は布面積が多少小さいのだが、別にそれで価格が下がるわけではない。
「行くのはどこの神社?」
「近所のあそこじゃない?うちも帰省とかする予定ないし、大きいところ行っても混んでるだろうしね」
俺の家からも美香の家からも近いところに、一つこぢんまりとした神社が建っている。
屋台すら出ず、精々おみくじくらいしか楽しみのないところだが…
「どうする?一緒に行くか?それとも待ち合わせするか?」
「一緒に行きたいけど、うちの親次第だね。まぁ、許可してもらえるとは思うけど」
内心はワクワクとした気持ちで満たされていた。
正直、今まで恋愛というものがそんなに幸せなものなのか、と懐疑的な見方をしていたところが自分にはあったが、今なら、それは幸せなものだと断言できる。
なぜなら…
「楽しみだね」
「ああ」
こんな小さなイベントですら、楽しみなものに化けてしまうのだから。
◆ ◆ ◆
俺は手元のリモコンで、部屋の電気を切った。
暗転した視界が慣れてくると、目の前に美香がいた。
「一緒に寝れるのも、とりあえず今日で最後かぁ…」
「いずれまたチャンスが来るだろうから、それまでお預けだな」
「そうだね…ふぁ…」
今日は29日。
明日には、美香の両親も帰ってくる。
貴重な添い寝の感覚を逃さないよう、体をグッと美香の方に寄せた。
「近いね…」
「嫌だったか?」
「ううん。全然」
美香はそう言って、俺に体を密着させてきた。
形の良い露出された胸が、ふにゃりと形を変えた。
「…ん…」
俺は、両手を美香の胸に触れさせた。
そしてそのまま、優しく指を沈み込ませ、ゆっくりと揉む。
「…するの?」
「添い寝もしばらくお預けだからな」
答えになっているかは怪しかったが、それが行為の合図であることは、すぐに美香にも伝わった。
「うん。しよっか」
そして、美香は俺に顔を近づけた。
それは甘美な時間ではあるが――親もいるので、残念ながら同棲の再現とまではいかない。
うちの両親も多忙ではあるが、美香の両親よりはいろいろと余裕があったのか、今日は母さんも父さんも家にいる。
それでも、やはり自室は貴重なプライベート空間。
「美香、うちの父さんに気に入られてよかったな」
「なんなら頭撫でられちゃったしね。…なんか兄妹みたいだね?」
「いいのか?兄妹だと恋人になれないぞ」
「…たしかに!」
なんて、付き合いたてのバカップルのごとき会話を繰り広げていた。
…まあ、付き合ってまだ4日なのだから、許してほしい。
そんな会話の中で、ふと出た話題があった。
「そういえばさ、美香のところは初詣行く?」
「うちはそのつもりだって言ってたよ。振袖はないけど」
「まあ、高いもんなぁ…」
ラブコメを読んでいるとよく正月にヒロインが振袖を着て初詣に来たりしているが、そんなに都合よく振袖があるわけがないのである。
例によって、女性用の振袖は布面積が多少小さいのだが、別にそれで価格が下がるわけではない。
「行くのはどこの神社?」
「近所のあそこじゃない?うちも帰省とかする予定ないし、大きいところ行っても混んでるだろうしね」
俺の家からも美香の家からも近いところに、一つこぢんまりとした神社が建っている。
屋台すら出ず、精々おみくじくらいしか楽しみのないところだが…
「どうする?一緒に行くか?それとも待ち合わせするか?」
「一緒に行きたいけど、うちの親次第だね。まぁ、許可してもらえるとは思うけど」
内心はワクワクとした気持ちで満たされていた。
正直、今まで恋愛というものがそんなに幸せなものなのか、と懐疑的な見方をしていたところが自分にはあったが、今なら、それは幸せなものだと断言できる。
なぜなら…
「楽しみだね」
「ああ」
こんな小さなイベントですら、楽しみなものに化けてしまうのだから。
◆ ◆ ◆
俺は手元のリモコンで、部屋の電気を切った。
暗転した視界が慣れてくると、目の前に美香がいた。
「一緒に寝れるのも、とりあえず今日で最後かぁ…」
「いずれまたチャンスが来るだろうから、それまでお預けだな」
「そうだね…ふぁ…」
今日は29日。
明日には、美香の両親も帰ってくる。
貴重な添い寝の感覚を逃さないよう、体をグッと美香の方に寄せた。
「近いね…」
「嫌だったか?」
「ううん。全然」
美香はそう言って、俺に体を密着させてきた。
形の良い露出された胸が、ふにゃりと形を変えた。
「…ん…」
俺は、両手を美香の胸に触れさせた。
そしてそのまま、優しく指を沈み込ませ、ゆっくりと揉む。
「…するの?」
「添い寝もしばらくお預けだからな」
答えになっているかは怪しかったが、それが行為の合図であることは、すぐに美香にも伝わった。
「うん。しよっか」
そして、美香は俺に顔を近づけた。
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