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107. 休みの朝の、のんびりした雰囲気
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目が覚めた。
冬特有の低い日の光が、カーテンの隙間から差し込んでいる。
冷たさを感じるのは顔だけで、体はしっかり布団に覆われている。
だけど、この暖かさは布団だけのおかげではない。
布団を捲り上げてみると、白宮さんが俺にしがみついたまま寝息を立てていた。
(…かわいいな…)
キスをしたくなる衝動に駆られるが、キスはそんなに軽い行動ではない。
思い直して、頭を撫でるに留めた。
時計を見てみると、8時半だった。早くはないが、休みの日の朝なら10時くらいまでは寝ていても許される…と思う。
昨日聞いた限りでは、白宮さんのお母さんが帰ってくるのは早くとも夕方以降らしいので、問題はないだろう。
スマホを弄って、10時ごろにアラームを設定する。
「んぅ…?」
徐に、白宮さんが目を開いた。
「起きた?」
「…そーじくん…」
とろんとした目で俺を見つめて、白宮さんはそう言った。
そしてまた瞳を閉じる。
何を言っているのか理解せずに数秒経って、それが俺の名前であることをようやく思い出した。
口元が緩む。
下の名前を呼んでもらえた。
お返しにと、俺は彼女の耳元に口を近づけ、つぶやく。
「美香」
その瞬間、彼女はビクッと体を震わせた。
閉じたはずの目を見開いて、俺を見る顔は真っ赤だ。
「えっと…奥原、くん…私…総司くんって…」
「…言ってたから、お返しにと思って」
白宮さんは真っ赤な顔を両手で覆った。
「言っちゃったー…」
「…折角だからさ、この機会に名前呼びにしないか?美香」
「うぅ…総司、くん…」
手を少しだけずらして、目から上を見せる白宮さん…美香。
とりあえず、互いに了承は得られたようだ。
しばし無言が続いて、から、美香が口を開いた。
「…総司くん、昨日はごめんね」
「昨日?…あぁ、気にしないで」
そう言いながら、美香の透き通るような髪に手を通す。
セックスできなかったことが、一晩経った今でも彼女の後悔として残っているようだ。
「無理しないで、ゆっくり慣らしていけばいいから」
「…うん。ありがと」
髪をかき分けて頭を撫でてやると、美香は甘えるように頭を手にすり寄せた。
会話の上では解決したようにも思えるが、実際のところ美香は昨日これで枕を濡らすほどには気にしている。
なにか解消する手立てがあればいいのだが…と真面目に考えを巡らせようとしたところで、俺の腹の虫が鳴いた。
「…とりあえず起きて、ご飯にしよっか」
「…おう」
微妙な気恥ずかしさがあったが、空腹には抗えず俺は布団を出た。
冬特有の低い日の光が、カーテンの隙間から差し込んでいる。
冷たさを感じるのは顔だけで、体はしっかり布団に覆われている。
だけど、この暖かさは布団だけのおかげではない。
布団を捲り上げてみると、白宮さんが俺にしがみついたまま寝息を立てていた。
(…かわいいな…)
キスをしたくなる衝動に駆られるが、キスはそんなに軽い行動ではない。
思い直して、頭を撫でるに留めた。
時計を見てみると、8時半だった。早くはないが、休みの日の朝なら10時くらいまでは寝ていても許される…と思う。
昨日聞いた限りでは、白宮さんのお母さんが帰ってくるのは早くとも夕方以降らしいので、問題はないだろう。
スマホを弄って、10時ごろにアラームを設定する。
「んぅ…?」
徐に、白宮さんが目を開いた。
「起きた?」
「…そーじくん…」
とろんとした目で俺を見つめて、白宮さんはそう言った。
そしてまた瞳を閉じる。
何を言っているのか理解せずに数秒経って、それが俺の名前であることをようやく思い出した。
口元が緩む。
下の名前を呼んでもらえた。
お返しにと、俺は彼女の耳元に口を近づけ、つぶやく。
「美香」
その瞬間、彼女はビクッと体を震わせた。
閉じたはずの目を見開いて、俺を見る顔は真っ赤だ。
「えっと…奥原、くん…私…総司くんって…」
「…言ってたから、お返しにと思って」
白宮さんは真っ赤な顔を両手で覆った。
「言っちゃったー…」
「…折角だからさ、この機会に名前呼びにしないか?美香」
「うぅ…総司、くん…」
手を少しだけずらして、目から上を見せる白宮さん…美香。
とりあえず、互いに了承は得られたようだ。
しばし無言が続いて、から、美香が口を開いた。
「…総司くん、昨日はごめんね」
「昨日?…あぁ、気にしないで」
そう言いながら、美香の透き通るような髪に手を通す。
セックスできなかったことが、一晩経った今でも彼女の後悔として残っているようだ。
「無理しないで、ゆっくり慣らしていけばいいから」
「…うん。ありがと」
髪をかき分けて頭を撫でてやると、美香は甘えるように頭を手にすり寄せた。
会話の上では解決したようにも思えるが、実際のところ美香は昨日これで枕を濡らすほどには気にしている。
なにか解消する手立てがあればいいのだが…と真面目に考えを巡らせようとしたところで、俺の腹の虫が鳴いた。
「…とりあえず起きて、ご飯にしよっか」
「…おう」
微妙な気恥ずかしさがあったが、空腹には抗えず俺は布団を出た。
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