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96. そして、年の瀬へ
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12月の一大イベント、文化祭が終わった。
「いやー、楽しみだなぁ!クリスマスに正月…」
「あと期末の結果発表な」
「…思い出させるなよ!!」
隣を歩く浜場が、かなり強く小突いてきた。
「あぁーもう、文化祭から早すぎるんだよ!いくらなんでも文化祭から代休二日の後すぐ試験っておかしいだろ!」
「まぁ、スケジュールがキツいのはわかるけど、文化祭前にも結構テスト対策とかあっただろ」
「…正直、浮かれすぎたとも思ってるよ。あの打ち上げとか…」
「浜場もそのクチかー」
横から割り込んできたのは色葉だった。コート姿なので、露出はない。
「わたしもねー。売り上げ一位ってことで大喜びしたまま休み過ごしちゃって…大爆死」
色葉はいろいろと取り仕切っていただけに、喜びもひとしおだっただろう。
そして、試験を思い出したときの絶望も。
「願わくば、お前も破滅してくれ…!」
「嫌すぎる…」
そんな感じで騒ぎながら、掲示された順位表の前へ行く。
最初に目に止まったのは、白宮さんの名前だった。
「おっ、白宮さん一位か。返り咲いたな」
「そしてその下の奥原はいつも通りだね」
「うるせ」
体調不良のない白宮さんはやっぱり無敵だ。
「もう残りは学年末試験だけだな。一位取れんのか?」
「正直わかんねぇ…」
「あら、弱気ですね?」
背後からかけられた声に、俺は振り向く。
白く透き通った長髪を流した美少女、白宮さんがそこにいた。
周りに人がいるからか、敬語モードだ。
「今回は私が一位でしたね。勝ちました」
「負けたよ」
にっこり微笑む白宮さんに、俺は白旗を揚げる。
「このままなら、次も私が一位ですね」
「かもな」
「…今日の奥原くんはなんか元気がないですね。疲れてます?私みたいに風邪引かないようにしてくださいね」
「気をつけとく…」
会話も少なめにその場を離れた俺を、白宮さんが首を傾げながら見つめていた。
◆ ◆ ◆
「どうした?恋の悩みか?」
「うっせ…」
俺は、浜場と島地にからかい半分で質問を受けていた。
「まあ普段からお前が『悔しー!次こそ一位だ!』みたいなキャラじゃねぇことは知ってるけどさ…」
「あそこまでじゃないよねぇ」
「…諦めかけてるんだよ」
特に隠さず、俺は答える。
「別に俺だって、二位を取りたくて取ってるわけじゃないんだよ。白宮さん、マジで強くて…」
「でも一回は一位取ってたじゃん?同率と相手の体調不良だけど」
「俺も意外といけるんじゃないかって思ったよ。でも、こうも二位が続くとね…心折れそう」
「…なんか…お前もそういう悩み方するんだな」
「意外か?」
「オレたちにとっちゃ、学年で一位だ二位だってのは天上の戦いだからな。ラグナロクだよラグナロク」
浜場の言葉に島地も腕を組んでうんうんと頷く。
表現としてはなんか違うが。
「それお前らも巻き込まれてるからな」
「こういうのは雰囲気でいいんだよ。ま、そう気を落とさず頑張ってくれ。オレらも手伝うからさ」
「そりゃ俺に勉強教わりたいだけだろ」
そう言ってやると、浜場はてへぺろのポーズを取って誤魔化した。
「いやー、楽しみだなぁ!クリスマスに正月…」
「あと期末の結果発表な」
「…思い出させるなよ!!」
隣を歩く浜場が、かなり強く小突いてきた。
「あぁーもう、文化祭から早すぎるんだよ!いくらなんでも文化祭から代休二日の後すぐ試験っておかしいだろ!」
「まぁ、スケジュールがキツいのはわかるけど、文化祭前にも結構テスト対策とかあっただろ」
「…正直、浮かれすぎたとも思ってるよ。あの打ち上げとか…」
「浜場もそのクチかー」
横から割り込んできたのは色葉だった。コート姿なので、露出はない。
「わたしもねー。売り上げ一位ってことで大喜びしたまま休み過ごしちゃって…大爆死」
色葉はいろいろと取り仕切っていただけに、喜びもひとしおだっただろう。
そして、試験を思い出したときの絶望も。
「願わくば、お前も破滅してくれ…!」
「嫌すぎる…」
そんな感じで騒ぎながら、掲示された順位表の前へ行く。
最初に目に止まったのは、白宮さんの名前だった。
「おっ、白宮さん一位か。返り咲いたな」
「そしてその下の奥原はいつも通りだね」
「うるせ」
体調不良のない白宮さんはやっぱり無敵だ。
「もう残りは学年末試験だけだな。一位取れんのか?」
「正直わかんねぇ…」
「あら、弱気ですね?」
背後からかけられた声に、俺は振り向く。
白く透き通った長髪を流した美少女、白宮さんがそこにいた。
周りに人がいるからか、敬語モードだ。
「今回は私が一位でしたね。勝ちました」
「負けたよ」
にっこり微笑む白宮さんに、俺は白旗を揚げる。
「このままなら、次も私が一位ですね」
「かもな」
「…今日の奥原くんはなんか元気がないですね。疲れてます?私みたいに風邪引かないようにしてくださいね」
「気をつけとく…」
会話も少なめにその場を離れた俺を、白宮さんが首を傾げながら見つめていた。
◆ ◆ ◆
「どうした?恋の悩みか?」
「うっせ…」
俺は、浜場と島地にからかい半分で質問を受けていた。
「まあ普段からお前が『悔しー!次こそ一位だ!』みたいなキャラじゃねぇことは知ってるけどさ…」
「あそこまでじゃないよねぇ」
「…諦めかけてるんだよ」
特に隠さず、俺は答える。
「別に俺だって、二位を取りたくて取ってるわけじゃないんだよ。白宮さん、マジで強くて…」
「でも一回は一位取ってたじゃん?同率と相手の体調不良だけど」
「俺も意外といけるんじゃないかって思ったよ。でも、こうも二位が続くとね…心折れそう」
「…なんか…お前もそういう悩み方するんだな」
「意外か?」
「オレたちにとっちゃ、学年で一位だ二位だってのは天上の戦いだからな。ラグナロクだよラグナロク」
浜場の言葉に島地も腕を組んでうんうんと頷く。
表現としてはなんか違うが。
「それお前らも巻き込まれてるからな」
「こういうのは雰囲気でいいんだよ。ま、そう気を落とさず頑張ってくれ。オレらも手伝うからさ」
「そりゃ俺に勉強教わりたいだけだろ」
そう言ってやると、浜場はてへぺろのポーズを取って誤魔化した。
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