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93. 衝撃的な体験は、冷静さを向上させる
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「…え?」
現れたのは、白宮さんだった。
見知った顔で安心したのが半分、先生のような強力な誰かでない落胆が半分という感情が、自分の中に現れた。
「来るな!不審者だ!」
「…っ!」
白宮さんは何も言わずに頷いて踵を返し、逃げていった。
「…チッ」
オッサンは鋭く舌打ちをして、こちらを睨んだ。
「諦めろ。写真は撮った。あとは連絡すればお前はお縄だ」
「ふんっ、そ、その写真で、証拠になるわけないだろ」
「さあ、どうだろうな。こっちには被害者ももういるわけだし。とりあえず、連絡させてもらおう」
「…くそっ!おい、それを寄越せ!」
「おっと」
俺は向かってきたオッサンをさっと避けて、ついでに足をひっかけた。
「ぐぁっ」
潰れたカエルのような声を出したオッサンの上に乗っかり、抑え込む。
「くそ…なんで、そんな冷静に動ける…っ」
「少なくともてめえよりは激動の人生歩んでるからだよ」
なんて言ったって、周りの女子が突然裸になる人生を歩んでいるからな。
どうせわかりやしないから言ってやることもないが。
「奥原くん!先生連れてきたよ!」
背後から白宮さんがやってきた。
オッサンは首だけを必死に動かして、最後の抵抗を叫ぶ。
「こ、ここの生徒に乱暴された!!助けてくれ!!」
場が白けて、沈黙が降りる。
やがて、先生の一人が呟いた。
「…ここは関係者以外立ち入り禁止の場所ですよ」
◆ ◆ ◆
オッサンは腕っぷしのいい体育教師二人に両側を挟まれて連行されていった。
「どこに連れて行かれるんだろうな」
「たぶん校長室。けど、最終的に着く場所はもっと違うんじゃない?」
「きっと鉄格子に囲まれてるんだろうなぁ」
二人でくだらない笑いをしてから、俺は未だに座り込んでいる女の子のことを思い出した。
「大丈夫だった?何もされてない?」
「は、はい…ありがとうござい、ます…」
「…状況的に、男の俺がはやめたほうが良いかもな。白宮さん、彼女のことお願いできる?」
「うん、大丈夫。だけど、4組行って私が遅れるって伝えておいて。ちょうどスマホ持ってなくて」
「了解」
そう答えて、白宮さんの胸ポケットを見ると、財布が入っている。
なるほど、スカートもなく服も短いと物をしまうのに困るのだろうな…。
俺は勝手に納得して、その場をあとにした。
現れたのは、白宮さんだった。
見知った顔で安心したのが半分、先生のような強力な誰かでない落胆が半分という感情が、自分の中に現れた。
「来るな!不審者だ!」
「…っ!」
白宮さんは何も言わずに頷いて踵を返し、逃げていった。
「…チッ」
オッサンは鋭く舌打ちをして、こちらを睨んだ。
「諦めろ。写真は撮った。あとは連絡すればお前はお縄だ」
「ふんっ、そ、その写真で、証拠になるわけないだろ」
「さあ、どうだろうな。こっちには被害者ももういるわけだし。とりあえず、連絡させてもらおう」
「…くそっ!おい、それを寄越せ!」
「おっと」
俺は向かってきたオッサンをさっと避けて、ついでに足をひっかけた。
「ぐぁっ」
潰れたカエルのような声を出したオッサンの上に乗っかり、抑え込む。
「くそ…なんで、そんな冷静に動ける…っ」
「少なくともてめえよりは激動の人生歩んでるからだよ」
なんて言ったって、周りの女子が突然裸になる人生を歩んでいるからな。
どうせわかりやしないから言ってやることもないが。
「奥原くん!先生連れてきたよ!」
背後から白宮さんがやってきた。
オッサンは首だけを必死に動かして、最後の抵抗を叫ぶ。
「こ、ここの生徒に乱暴された!!助けてくれ!!」
場が白けて、沈黙が降りる。
やがて、先生の一人が呟いた。
「…ここは関係者以外立ち入り禁止の場所ですよ」
◆ ◆ ◆
オッサンは腕っぷしのいい体育教師二人に両側を挟まれて連行されていった。
「どこに連れて行かれるんだろうな」
「たぶん校長室。けど、最終的に着く場所はもっと違うんじゃない?」
「きっと鉄格子に囲まれてるんだろうなぁ」
二人でくだらない笑いをしてから、俺は未だに座り込んでいる女の子のことを思い出した。
「大丈夫だった?何もされてない?」
「は、はい…ありがとうござい、ます…」
「…状況的に、男の俺がはやめたほうが良いかもな。白宮さん、彼女のことお願いできる?」
「うん、大丈夫。だけど、4組行って私が遅れるって伝えておいて。ちょうどスマホ持ってなくて」
「了解」
そう答えて、白宮さんの胸ポケットを見ると、財布が入っている。
なるほど、スカートもなく服も短いと物をしまうのに困るのだろうな…。
俺は勝手に納得して、その場をあとにした。
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