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69. 冬が過ごしやすいのは、正直助かる
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「よし、まずはオレらが集客でいいんだよな?」
「うん、しっかり集めてね」
最初にスタッフを務めるメンバーに見送られ、俺と浜場を含む十人程度が教室を出た。
一時間ごとのローテーションで、休憩・集客・スタッフを交代する予定だ。
集客係はバディを組んで、片方が看板持ち、片方が声掛けで動く。
最初は俺が看板を、浜場が声掛けを担当することにした。
「さて、俺たちはどっから回るよ」
「人が多そうなとこがいいだろうなぁ。入り口とか?」
「人はいるだろうけど、激戦区だなぁ…多分他の奴らもいるんじゃないか?」
「うーん、じゃあどうしようか…」
「俺は外を回るのがいいと思うぞ。今のメンバーに男オンリーのバディは少ないからな」
「男?…あぁ、そういうことね」
12月の屋外は、女子があの格好で歩き回るにはキツい。
まあ、衣装の数には限りがあるので皆が皆あの格好をするわけではないのだが、どっちみち女子が辛いであろうことには変わりない。
「よし、しっかり客集めんぞ」
俺たちは意を決して、屋外へと繰り出した。
◆ ◆ ◆
「さっむ…」
「そんなにか?」
確かにずっと出ていれば手が若干悴むくらいはするだろうが、まあその程度だろう。
「いやいや、今日かなり寒いほうだぜ?こんな寒くなるのは1月とかだと思ってた…」
「2月まで行ってもこれなのか、結構余裕だな」
「お前…すげぇな…」
「いやいや、お前が寒さに弱…あ」
そこまで言って、思い至った。
「わかった。こっちの世界、全体的に俺のいた世界より気温が高いんだ」
「せ…世界?」
いきなり大きなスケールの話が出てきたせいか、浜場が若干怪訝な顔をする。
「そうなんだよ。こっちの世界であんな裸ファッションが流行ったのは、気温が高めだからだと思う」
実際、夏はうだるような暑さに悩まされた。
当時は地球温暖化の進行具合を呪ったりもしていたが、そもそも世界自体が違うのだ。
「じゃあ、こっちの世界も気温が低かったらこういうことにはならなかったんかね」
「フランス革命のときに服を脱いだ一団がまとめて風邪引いて全滅するんじゃね?」
「うわー、ありそう」
互いにテンション低めの笑いを零していると、人が来たので慌てて呼び込みを再開する。
結局、外を回るという作戦はある程度の成功を収め、そこそこの人数を店に向かわせることができた。
一部の人々は女子のバニーで釣った。まあコレくらいはいいだろう。
不意にスマホが震えた。
「あ、もう時間か。戻ってきてほしいってさ」
「了解、引き上げよう」
俺たちは意気揚々と店へ戻った。
「うん、しっかり集めてね」
最初にスタッフを務めるメンバーに見送られ、俺と浜場を含む十人程度が教室を出た。
一時間ごとのローテーションで、休憩・集客・スタッフを交代する予定だ。
集客係はバディを組んで、片方が看板持ち、片方が声掛けで動く。
最初は俺が看板を、浜場が声掛けを担当することにした。
「さて、俺たちはどっから回るよ」
「人が多そうなとこがいいだろうなぁ。入り口とか?」
「人はいるだろうけど、激戦区だなぁ…多分他の奴らもいるんじゃないか?」
「うーん、じゃあどうしようか…」
「俺は外を回るのがいいと思うぞ。今のメンバーに男オンリーのバディは少ないからな」
「男?…あぁ、そういうことね」
12月の屋外は、女子があの格好で歩き回るにはキツい。
まあ、衣装の数には限りがあるので皆が皆あの格好をするわけではないのだが、どっちみち女子が辛いであろうことには変わりない。
「よし、しっかり客集めんぞ」
俺たちは意を決して、屋外へと繰り出した。
◆ ◆ ◆
「さっむ…」
「そんなにか?」
確かにずっと出ていれば手が若干悴むくらいはするだろうが、まあその程度だろう。
「いやいや、今日かなり寒いほうだぜ?こんな寒くなるのは1月とかだと思ってた…」
「2月まで行ってもこれなのか、結構余裕だな」
「お前…すげぇな…」
「いやいや、お前が寒さに弱…あ」
そこまで言って、思い至った。
「わかった。こっちの世界、全体的に俺のいた世界より気温が高いんだ」
「せ…世界?」
いきなり大きなスケールの話が出てきたせいか、浜場が若干怪訝な顔をする。
「そうなんだよ。こっちの世界であんな裸ファッションが流行ったのは、気温が高めだからだと思う」
実際、夏はうだるような暑さに悩まされた。
当時は地球温暖化の進行具合を呪ったりもしていたが、そもそも世界自体が違うのだ。
「じゃあ、こっちの世界も気温が低かったらこういうことにはならなかったんかね」
「フランス革命のときに服を脱いだ一団がまとめて風邪引いて全滅するんじゃね?」
「うわー、ありそう」
互いにテンション低めの笑いを零していると、人が来たので慌てて呼び込みを再開する。
結局、外を回るという作戦はある程度の成功を収め、そこそこの人数を店に向かわせることができた。
一部の人々は女子のバニーで釣った。まあコレくらいはいいだろう。
不意にスマホが震えた。
「あ、もう時間か。戻ってきてほしいってさ」
「了解、引き上げよう」
俺たちは意気揚々と店へ戻った。
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