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44. 祭りの後にも、燃え上がるものがある
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『それでは、最終得点の発表です!』
音質の悪いドラムロールが響き、シンバルが鳴ると同時にスコアボードを覆う布が取り払われた。
「…おっ、オレらのクラス優勝じゃね?」
「うぉっしゃぁぁぁ!!!!優勝だぁぁぁ!!!!」
すぐ近くでさっき玉入れのときにも騒いでいた奴が大声を上げて、俺と浜場は咄嗟に耳を塞いだ。
「びっくりした…」
「まあ、途中まで最下位だったからな。逆転できたらそりゃ喜ぶだろうよ」
「なんだよ、お前らも喜べよ!優勝だぞ優勝!しかも逆転優勝!特に奥原、MVPのお前が喜ばなくてどうする!!」
「暑苦しいわ」
大声で騒ぐ奴の声を手でシャットアウトする。
「別に嬉しくないわけじゃないけどさ、お前がこんだけ喜んでくれるから俺が喜ばなくても済むんだよ。だいたい俺2競技しか出てないしその片方ではボロ負けしたしMVPなんて」
「でも逆転のきっかけは確実に奥原だぜ?…よし、夜の打ち上げでなんか奢ってやる!」
「へぇ、じゃあお言葉に甘えて一番高いやつを選ぼうかな」
「…ほどほどにしてくれよ?」
「冗談だよ。それより、お前委員会のメンバーだよな?閉会式の準備しないと遅れるぞ」
「おっとそうだ!行ってくる」
彼は運動会実行委員会のテントの方へと走っていった。
それを確認して、俺は浜場に向き直った。
「…あいつ、誰だっけ」
「わかってなかったの!?」
◆ ◆ ◆
『これにて閉会式を終了します!』
宣言が終わり、各自自由解散となった。
人の波が校舎へと吸い込まれていく。
俺もうまいこと波に乗って戻ろうとしたその時、肩をトントンと叩かれた。
振り向いてみると、うちの担任がいた。
「奥原、ちょっといいか?」
「どうしたんですか?」
「片付けの人手が不足していてな。手伝ってもらえると助かるんだが」
「それくらいならいいですよ」
気前よく承諾して、波に逆らい先生についていく。
「あ、奥原おつかれー」
「奥原くんも来たんですね。優勝、おめでとうございます」
そこには、色葉と白宮さんがいた。
「お疲れ様。そっちも先生に呼ばれたのか?」
「うん。片付けの担当が欠席したり来なかったりしてるんだって」
「無論、欠席はともかく来なかったやつらは成績を下げさせてもらうがな」
慈悲はない。
俺は心のなかで手のひらを合わせた。
「てなわけで、頼んだぞ!まずはグラウンドの三角コーン回収、そしたら椅子とシートを片付けて…」
「多くないっすか…?」
結局、片付け作業は空が赤く染まるまでかかってしまったのだった。
サボった奴らは成績がゼロになればいいと、心の中で思った。
◆ ◆ ◆
「それでは、私は着替えて帰ります。お疲れさまでした」
「お疲れー」
白宮さんと別れて、俺と色葉は教室へと戻った。
ちょうど、教室が茜色一色になっている。
今は色が最も濃い時間帯だろう。
「着替えちゃおっと。よいしょ」
言うやいなや、色葉は体操服を思い切り脱いだ。
流れで短パンの方も脱いで、上履きと靴下以外は一切を身に纏わない姿になる。
…声は出なかったが、いきなり脱がれると心臓に悪い。
「あ、いきなり脱がないほうが良かった?慣れてなかった?」
「慣れてはきたんだけど…女の子が脱ぐというシチュエーションに慣れてないというか…」
言ってから、自分は何を恥ずかしいことを言っているんだという気分になった。
でもしょうがないじゃないか、こっちの女の子は「普通の格好」から脱いで裸になるシチュエーションが極端に少ないんだよ…と、心の中で呟いた。
「…ふーん、そういうのもあるんだ?まあいいや、ローターローター…あった」
色葉は鞄を漁って、いつもの黒いローター2つを取り出した。
ついでにそれを装着するためのガーターリングも。
それを見て、ふと思ったことを口にする。
「そのローターって、必須アイテムなのか?」
「必須ねぇ…うーん…」
ちょっと考えるそぶりを見せてから、色葉は答える。
「必須というわけではないんだけど、ないと落ち着かないんだよね、ここが」
おもむろに色葉が股間へと手を伸ばし、指を曲げて弄る。
かすかに聞こえた湿った音に、自分の股間もぴくりと反応してしまう。
それを知ってか知らずか、色葉はいつぞやのように提案した。
「…ねぇ、セックスしようか」
音質の悪いドラムロールが響き、シンバルが鳴ると同時にスコアボードを覆う布が取り払われた。
「…おっ、オレらのクラス優勝じゃね?」
「うぉっしゃぁぁぁ!!!!優勝だぁぁぁ!!!!」
すぐ近くでさっき玉入れのときにも騒いでいた奴が大声を上げて、俺と浜場は咄嗟に耳を塞いだ。
「びっくりした…」
「まあ、途中まで最下位だったからな。逆転できたらそりゃ喜ぶだろうよ」
「なんだよ、お前らも喜べよ!優勝だぞ優勝!しかも逆転優勝!特に奥原、MVPのお前が喜ばなくてどうする!!」
「暑苦しいわ」
大声で騒ぐ奴の声を手でシャットアウトする。
「別に嬉しくないわけじゃないけどさ、お前がこんだけ喜んでくれるから俺が喜ばなくても済むんだよ。だいたい俺2競技しか出てないしその片方ではボロ負けしたしMVPなんて」
「でも逆転のきっかけは確実に奥原だぜ?…よし、夜の打ち上げでなんか奢ってやる!」
「へぇ、じゃあお言葉に甘えて一番高いやつを選ぼうかな」
「…ほどほどにしてくれよ?」
「冗談だよ。それより、お前委員会のメンバーだよな?閉会式の準備しないと遅れるぞ」
「おっとそうだ!行ってくる」
彼は運動会実行委員会のテントの方へと走っていった。
それを確認して、俺は浜場に向き直った。
「…あいつ、誰だっけ」
「わかってなかったの!?」
◆ ◆ ◆
『これにて閉会式を終了します!』
宣言が終わり、各自自由解散となった。
人の波が校舎へと吸い込まれていく。
俺もうまいこと波に乗って戻ろうとしたその時、肩をトントンと叩かれた。
振り向いてみると、うちの担任がいた。
「奥原、ちょっといいか?」
「どうしたんですか?」
「片付けの人手が不足していてな。手伝ってもらえると助かるんだが」
「それくらいならいいですよ」
気前よく承諾して、波に逆らい先生についていく。
「あ、奥原おつかれー」
「奥原くんも来たんですね。優勝、おめでとうございます」
そこには、色葉と白宮さんがいた。
「お疲れ様。そっちも先生に呼ばれたのか?」
「うん。片付けの担当が欠席したり来なかったりしてるんだって」
「無論、欠席はともかく来なかったやつらは成績を下げさせてもらうがな」
慈悲はない。
俺は心のなかで手のひらを合わせた。
「てなわけで、頼んだぞ!まずはグラウンドの三角コーン回収、そしたら椅子とシートを片付けて…」
「多くないっすか…?」
結局、片付け作業は空が赤く染まるまでかかってしまったのだった。
サボった奴らは成績がゼロになればいいと、心の中で思った。
◆ ◆ ◆
「それでは、私は着替えて帰ります。お疲れさまでした」
「お疲れー」
白宮さんと別れて、俺と色葉は教室へと戻った。
ちょうど、教室が茜色一色になっている。
今は色が最も濃い時間帯だろう。
「着替えちゃおっと。よいしょ」
言うやいなや、色葉は体操服を思い切り脱いだ。
流れで短パンの方も脱いで、上履きと靴下以外は一切を身に纏わない姿になる。
…声は出なかったが、いきなり脱がれると心臓に悪い。
「あ、いきなり脱がないほうが良かった?慣れてなかった?」
「慣れてはきたんだけど…女の子が脱ぐというシチュエーションに慣れてないというか…」
言ってから、自分は何を恥ずかしいことを言っているんだという気分になった。
でもしょうがないじゃないか、こっちの女の子は「普通の格好」から脱いで裸になるシチュエーションが極端に少ないんだよ…と、心の中で呟いた。
「…ふーん、そういうのもあるんだ?まあいいや、ローターローター…あった」
色葉は鞄を漁って、いつもの黒いローター2つを取り出した。
ついでにそれを装着するためのガーターリングも。
それを見て、ふと思ったことを口にする。
「そのローターって、必須アイテムなのか?」
「必須ねぇ…うーん…」
ちょっと考えるそぶりを見せてから、色葉は答える。
「必須というわけではないんだけど、ないと落ち着かないんだよね、ここが」
おもむろに色葉が股間へと手を伸ばし、指を曲げて弄る。
かすかに聞こえた湿った音に、自分の股間もぴくりと反応してしまう。
それを知ってか知らずか、色葉はいつぞやのように提案した。
「…ねぇ、セックスしようか」
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