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占いと恋する少女
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「あの~、だれか居ませんか~? 」
恐る恐るながら、占い部の扉をノックする少女が一人。
「占い部になんか用か? 」
扉の向こうからではなく、すぐ後ろから呼びかける声が聞こえ、思わず
「ひぁい!! 」
すっとんきょうな声をあげる少女。
「ほら、そんなとこ立ってねえで、さっさと入りな。占って欲しいんだろ? 」
「は、はい・・・」
そんな声にはもう飽きてんだ、という表情を浮かべながら、不良少女は部室に入るよう促す。
おずおずとしながらも、少女は部室の中へ。
「ほらここに座りな」
そう言いながら椅子をひき、少女を座らせる。
不良少女も机を挟んで向かいにある椅子にどかっと座り、
「んで? あんたは何を占ってほしいんだ? 」
と、少女に問いかける。
「あの・・・恋占い・・・す
「あぁん?! なんだって!?」
「ッ! あの、恋占いをして下さいっ! 」
不良少女の喝につられ、大きな声で答える少女。
その様子にニヤッと笑いを顔に浮かべながら、少女に言う。
「よし、あたしに任せときな」
不良少女はギラっとした目でそう言う。そして、いつのまにか用意していたタロットカードを取り出す。
「ほら、この中からあんたが一枚引きな」
「は、はい・・・じゃあこれにします」
少女が裏向けにされたカードの中から一枚引き抜き、めくると、そこに書かれていたのは力(ストレングス)だった。
「ハハッ、あんた、いいじゃねえか。そのカードが出たってことは、後は行動するだけだ。頑張んなっ 」
そう言って少女の肩をバシっと叩く。
「で、でも、本当に大丈夫かな・・・」
「あぁん? 」
「いや、こうやって良いカードが出たんですけど、イマイチというか・・・」
「おい、そりゃ、あたしの占いが信じられねえって事か? 」
少女の言葉に、不良少女が噛みつく。
「いえ、そうじゃないんです。そうじゃないんですけど、踏ん切りがつくくらいの自信が持てなくて・・・」
少女は視線を下に落とす。そんな少女に向かって、不良少女は言う。
「おいこら、自信があろうとなかろうと、恋っつうのはうまくいくときはうまくいくし、ダメな時はダメなんだよ。なにせ相手が何考えてんのかなんざ、占ったって分かんねぇんだからな」
「自信が持ててから、なんて考えるのはやめときな」
「・・・」
不良少女の言葉に黙り込む少女。
沈黙の中に、鼻をすする音が広がる。
「はぁー、あんたはやりゃあできんだから、当たってみりゃいいじゃねえか」
「あなたにそんな事言われたって・・・」
そう言う少女の頭を、不良少女は力を込めて、クシャクシャ撫でつつこう言った。
「こ~んな人気のねぇ部室に一人で来て、あたしを前に逃げずにいんだぞ? なかなかいねぇぞ、そんな根性ある奴は」
そう言う不良少女に、困惑気味に少女は言う。
「んえっ? あなたを怖がる人がいるんですか? こんな私でも相手してくれるいい人なのに。まぁ金髪なのは校則違反ですけど」
「最後のは余計だ。だけどほら、あんたはちゃあんと人を見る目があんだよ。あたしの中身の良さを見抜いてんだからな」
そう言って不良少女は、少女をギュッと抱き寄せながら、
「あんたが見込んだ相手なら、悪いようにはならねぇよ。あたしも占い抜きで応援してやるから」
と言った。
「うん、うん! なんか出来るような気がしてきましたっ! もうこの勢いで行ってきます! それじゃあ、見た目ヤンキーな占い師さんっ、ありがとうございました! 」
そう言って、ドタドタっと少女は走り去っていく。
「だから、最後が余計なんだって」
また一人残された不良少女だが、
「ま、頑張りなよ」
口元を緩ませながらそう呟いた。
恐る恐るながら、占い部の扉をノックする少女が一人。
「占い部になんか用か? 」
扉の向こうからではなく、すぐ後ろから呼びかける声が聞こえ、思わず
「ひぁい!! 」
すっとんきょうな声をあげる少女。
「ほら、そんなとこ立ってねえで、さっさと入りな。占って欲しいんだろ? 」
「は、はい・・・」
そんな声にはもう飽きてんだ、という表情を浮かべながら、不良少女は部室に入るよう促す。
おずおずとしながらも、少女は部室の中へ。
「ほらここに座りな」
そう言いながら椅子をひき、少女を座らせる。
不良少女も机を挟んで向かいにある椅子にどかっと座り、
「んで? あんたは何を占ってほしいんだ? 」
と、少女に問いかける。
「あの・・・恋占い・・・す
「あぁん?! なんだって!?」
「ッ! あの、恋占いをして下さいっ! 」
不良少女の喝につられ、大きな声で答える少女。
その様子にニヤッと笑いを顔に浮かべながら、少女に言う。
「よし、あたしに任せときな」
不良少女はギラっとした目でそう言う。そして、いつのまにか用意していたタロットカードを取り出す。
「ほら、この中からあんたが一枚引きな」
「は、はい・・・じゃあこれにします」
少女が裏向けにされたカードの中から一枚引き抜き、めくると、そこに書かれていたのは力(ストレングス)だった。
「ハハッ、あんた、いいじゃねえか。そのカードが出たってことは、後は行動するだけだ。頑張んなっ 」
そう言って少女の肩をバシっと叩く。
「で、でも、本当に大丈夫かな・・・」
「あぁん? 」
「いや、こうやって良いカードが出たんですけど、イマイチというか・・・」
「おい、そりゃ、あたしの占いが信じられねえって事か? 」
少女の言葉に、不良少女が噛みつく。
「いえ、そうじゃないんです。そうじゃないんですけど、踏ん切りがつくくらいの自信が持てなくて・・・」
少女は視線を下に落とす。そんな少女に向かって、不良少女は言う。
「おいこら、自信があろうとなかろうと、恋っつうのはうまくいくときはうまくいくし、ダメな時はダメなんだよ。なにせ相手が何考えてんのかなんざ、占ったって分かんねぇんだからな」
「自信が持ててから、なんて考えるのはやめときな」
「・・・」
不良少女の言葉に黙り込む少女。
沈黙の中に、鼻をすする音が広がる。
「はぁー、あんたはやりゃあできんだから、当たってみりゃいいじゃねえか」
「あなたにそんな事言われたって・・・」
そう言う少女の頭を、不良少女は力を込めて、クシャクシャ撫でつつこう言った。
「こ~んな人気のねぇ部室に一人で来て、あたしを前に逃げずにいんだぞ? なかなかいねぇぞ、そんな根性ある奴は」
そう言う不良少女に、困惑気味に少女は言う。
「んえっ? あなたを怖がる人がいるんですか? こんな私でも相手してくれるいい人なのに。まぁ金髪なのは校則違反ですけど」
「最後のは余計だ。だけどほら、あんたはちゃあんと人を見る目があんだよ。あたしの中身の良さを見抜いてんだからな」
そう言って不良少女は、少女をギュッと抱き寄せながら、
「あんたが見込んだ相手なら、悪いようにはならねぇよ。あたしも占い抜きで応援してやるから」
と言った。
「うん、うん! なんか出来るような気がしてきましたっ! もうこの勢いで行ってきます! それじゃあ、見た目ヤンキーな占い師さんっ、ありがとうございました! 」
そう言って、ドタドタっと少女は走り去っていく。
「だから、最後が余計なんだって」
また一人残された不良少女だが、
「ま、頑張りなよ」
口元を緩ませながらそう呟いた。
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