占い師が不良少女でも信じてくれますかっ!?

しんしょう

文字の大きさ
上 下
3 / 8

占いと恋する少女

しおりを挟む
 「あの~、だれか居ませんか~? 」

恐る恐るながら、占い部の扉をノックする少女が一人。

 「占い部になんか用か? 」

 扉の向こうからではなく、すぐ後ろから呼びかける声が聞こえ、思わず

 「ひぁい!! 」

 すっとんきょうな声をあげる少女。

 「ほら、そんなとこ立ってねえで、さっさと入りな。占って欲しいんだろ? 」

 「は、はい・・・」

 そんな声にはもう飽きてんだ、という表情を浮かべながら、不良少女は部室に入るよう促す。
 おずおずとしながらも、少女は部室の中へ。

 「ほらここに座りな」

 そう言いながら椅子をひき、少女を座らせる。
 不良少女も机を挟んで向かいにある椅子にどかっと座り、

 「んで? あんたは何を占ってほしいんだ? 」

 と、少女に問いかける。

 「あの・・・恋占い・・・す

 「あぁん?! なんだって!?」

 「ッ! あの、恋占いをして下さいっ! 」

 不良少女の喝につられ、大きな声で答える少女。
 その様子にニヤッと笑いを顔に浮かべながら、少女に言う。

 「よし、あたしに任せときな」

 不良少女はギラっとした目でそう言う。そして、いつのまにか用意していたタロットカードを取り出す。

 「ほら、この中からあんたが一枚引きな」

 「は、はい・・・じゃあこれにします」

 少女が裏向けにされたカードの中から一枚引き抜き、めくると、そこに書かれていたのは力(ストレングス)だった。

 「ハハッ、あんた、いいじゃねえか。そのカードが出たってことは、後は行動するだけだ。頑張んなっ 」

 そう言って少女の肩をバシっと叩く。

 「で、でも、本当に大丈夫かな・・・」

 「あぁん? 」

 「いや、こうやって良いカードが出たんですけど、イマイチというか・・・」

 「おい、そりゃ、あたしの占いが信じられねえって事か? 」

 少女の言葉に、不良少女が噛みつく。

 「いえ、そうじゃないんです。そうじゃないんですけど、踏ん切りがつくくらいの自信が持てなくて・・・」

 少女は視線を下に落とす。そんな少女に向かって、不良少女は言う。

 「おいこら、自信があろうとなかろうと、恋っつうのはうまくいくときはうまくいくし、ダメな時はダメなんだよ。なにせ相手が何考えてんのかなんざ、占ったって分かんねぇんだからな」

 「自信が持ててから、なんて考えるのはやめときな」

 「・・・」

 不良少女の言葉に黙り込む少女。
 沈黙の中に、鼻をすする音が広がる。

 「はぁー、あんたはやりゃあできんだから、当たってみりゃいいじゃねえか」

 「あなたにそんな事言われたって・・・」

 そう言う少女の頭を、不良少女は力を込めて、クシャクシャ撫でつつこう言った。

 「こ~んな人気のねぇ部室に一人で来て、あたしを前に逃げずにいんだぞ? なかなかいねぇぞ、そんな根性ある奴は」

 そう言う不良少女に、困惑気味に少女は言う。

 「んえっ? あなたを怖がる人がいるんですか? こんな私でも相手してくれるいい人なのに。まぁ金髪なのは校則違反ですけど」

 「最後のは余計だ。だけどほら、あんたはちゃあんと人を見る目があんだよ。あたしの中身の良さを見抜いてんだからな」

 そう言って不良少女は、少女をギュッと抱き寄せながら、

 「あんたが見込んだ相手なら、悪いようにはならねぇよ。あたしも占い抜きで応援してやるから」

 と言った。

 「うん、うん! なんか出来るような気がしてきましたっ! もうこの勢いで行ってきます! それじゃあ、見た目ヤンキーな占い師さんっ、ありがとうございました! 」

 そう言って、ドタドタっと少女は走り去っていく。

 「だから、最後が余計なんだって」

 また一人残された不良少女だが、

 「ま、頑張りなよ」

 口元を緩ませながらそう呟いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

薬膳茶寮・花橘のあやかし

秋澤えで
キャラ文芸
 「……ようこそ、薬膳茶寮・花橘へ。一時の休息と療養を提供しよう」  記憶を失い、夜の街を彷徨っていた女子高生咲良紅於。そんな彼女が黒いバイクの女性に拾われ連れてこられたのは、人や妖、果ては神がやってくる不思議な茶店だった。  薬膳茶寮花橘の世捨て人風の店主、送り狼の元OL、何百年と家を渡り歩く座敷童子。神に狸に怪物に次々と訪れる人外の客たち。  記憶喪失になった高校生、紅於が、薬膳茶寮で住み込みで働きながら、人や妖たちと交わり記憶を取り戻すまでの物語。 ************************* 既に完結しているため順次投稿していきます。

愛する貴方の心から消えた私は…

矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。 周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。  …彼は絶対に生きている。 そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。 だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。 「すまない、君を愛せない」 そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。 *設定はゆるいです。

月花は愛され咲き誇る

緋村燐
キャラ文芸
月鬼。 月からやってきたという鬼は、それはそれは美しい姿をしていたそうだ。 時が経ち、その姿もはるか昔のこととなった現在。 色素が薄いものほど尊ばれる月鬼の一族の中、三津木香夜はみすぼらしい灰色の髪を持って生を受けた。 虐げられながらも生きてきたある日、日の本の国で一番の権力を持つ火鬼の一族の若君が嫁探しのために訪れる。 そのことが、香夜の運命を大きく変えることとなった――。 野いちご様 ベリーズカフェ様 ノベマ!様 小説家になろう様 エブリスタ様 カクヨム様 にも掲載しています。

女性漫画家いちご先生を復活させたい男性編集者の物語

北条丈太郎
キャラ文芸
引きこもりで描かない女性漫画家と貧乏な男性編集者の仕事なのか恋愛なのか中途半端な物語

椿の国の後宮のはなし

犬噛 クロ
キャラ文芸
※毎日18時更新予定です。 架空の国の後宮物語。 若き皇帝と、彼に囚われた娘の話です。 有力政治家の娘・羽村 雪樹(はねむら せつじゅ)は「男子」だと性別を間違われたまま、自国の皇帝・蓮と固い絆で結ばれていた。 しかしとうとう少女であることを気づかれてしまった雪樹は、蓮に乱暴された挙句、後宮に幽閉されてしまう。 幼なじみとして慕っていた青年からの裏切りに、雪樹は混乱し、蓮に憎しみを抱き、そして……? あまり暗くなり過ぎない後宮物語。 雪樹と蓮、ふたりの関係がどう変化していくのか見守っていただければ嬉しいです。 ※2017年完結作品をタイトルとカテゴリを変更+全面改稿しております。

冷蔵庫の印南さん

奈古七映
キャラ文芸
地元の電気屋さんが発明した新型冷蔵庫にはAIが搭載されていて、カスタマイズ機能がすごい。母が面白がって「印南さん」と命名したせいで……しゃべる冷蔵庫と田舎育ちヒロインのハートフルでちょっぴり泣けるコメディ短編。

待つノ木カフェで心と顔にスマイルを

佐々森りろ
キャラ文芸
 祖父母の経営する喫茶店「待つノ木」  昔からの常連さんが集まる憩いの場所で、孫の松ノ木そよ葉にとっても小さな頃から毎日通う大好きな場所。  叶おばあちゃんはそよ葉にシュガーミルクを淹れてくれる時に「いつも心と顔にスマイルを」と言って、魔法みたいな一混ぜをしてくれる。  すると、自然と嫌なことも吹き飛んで笑顔になれたのだ。物静かで優しいマスターと元気いっぱいのおばあちゃんを慕って「待つノ木」へ来るお客は後を絶たない。  しかし、ある日突然おばあちゃんが倒れてしまって……  マスターであるおじいちゃんは意気消沈。このままでは「待つノ木」は閉店してしまうかもしれない。そう思っていたそよ葉は、お見舞いに行った病室で「待つノ木」の存続を約束してほしいと頼みこまれる。  しかしそれを懇願してきたのは、昏睡状態のおばあちゃんではなく、編みぐるみのウサギだった!!  人見知りなそよ葉が、大切な場所「待つノ木」の存続をかけて、ゆっくりと人との繋がりを築いていく、優しくて笑顔になれる物語。

処理中です...