占い師が不良少女でも信じてくれますかっ!?

しんしょう

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占いと不良少女

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 「んで? テメエは何を占って欲しいんだ? 」

 「・・・えっ? 占いって言いました? 」

 想像していたものと程遠い言葉に、キョトンとする男の子。

 「なにしてんだ。ほら、さっさと言えって」

 「いや、特に占って欲しい事なんてないですけど・・・」

 「あぁ? さっきテメエ、この占い部の方をジッと見てたじゃねえか」

 「いや、そりゃあれだけ叫んでる人がいたら見ますよ、普通は」

 男の子はあきれた様子で答える。すると不良少女は、

 「あぁん! 」

 と、言って男の子を睨みつける。

 「ひぇっ、な、何でもないです・・・」

 その凄みのある不良少女の顔に、男の子は思わずたじろぐ。

 「まぁいい。グダグタしてねえでさっさと言えって。なんかあるだろ? 恋だとか友達だとかの悩み事がさぁ」

 そう言って催促する不良少女に、男の子はこう答える。

 「あ、えーと・・・そ、それじゃあ運勢占いをお願いします」

 「ほら、ちゃんと占って欲しい事があるじゃねえか。よし、運勢だな、ちょっと待ってろ」

 そう言って、ゴソゴソと何かを探す不良少女。その顔はどこか楽しげだった。

 「んじゃ、今回はタロットで占うぞ。テメエのこれからの運勢はっと・・・」

 シャシャシャっと、手慣れた手つきでカードを切っていく。
 ある程度シャッフルしたところで、不良少女は一番上のカードをめくる。

 「っと、テメエの運勢は・・・ お、なかなかいいじゃねえか。恋人の正位置だ。よかったな」

 そう言うと不良少女は、男の子の背中をバンバンと叩く。

 「いたっ痛いですってもう・・・」

 そう男の子が呟き、占い師である不良少女の方を見ると、ニコニコと機嫌が良さそうだ。
 ここでしばしの沈黙が訪れる。

 「・・・んぇっ? これで終わりですか? なんかもっと意味とか具体的な助言とかあるんじゃ? 」

 沈黙に耐えかねて、男の子は占いの結果について催促する。

 「んなもんねぇ。とりあえずなんも考えずにいたらいいんだよ。はい、以上」

 不良少女は吐き捨てるように言う。

 「・・・もしかして、適当に言ってるんじゃないですか? 」

 そう訝しむ男の子に、不良少女は間髪入れずに、

 「あぁ? テメエ、喧嘩売ってんのか? 」

 と、男の子に凄みのある顔で詰め寄る。

 「い、いや、そんなつもりじゃないですけど」

 男の子はたまらず目線を下に逸らす。

 「ちっ、とりあえず信じてりゃあいいんだよ、いい結果がでてんだから。」

 「まぁそうですね。あんまり占いとか信じてないですけど」

 「あぁ? 今何つった? 」

 ピクリ、と不良少女の顔の青筋が反応する。

 「いやいや、何もないですよ。あ、あー、明日が楽しみだなぁ」

 「それでいいんだよ。ほら、分かったらさっさと帰りな」

 「・・・自分が無理矢理引っ張ってきたくせに」

 男の子は、ぽそっと呟く。

 「あぁ? 」

 不良少女は、その小さな呟きを聞き漏らさない。

 「いえ、何でもないです! さよならーーー!! 」

  もうこれ以上捕まってたまるかと言わんばかりの速さで、男の子は占い部を飛び出す。

 「・・・やっぱ人を占うってのはいいな、うん」

 一人部室に取り残された不良少女の顔はほころんでいた。最初に占った女の子と同じく、男の子も飛び出すように逃げたにもかかわらず。

 一方、男の子は、

 「・・・占いとか信じちゃいないけど、誰かに良いって言われるのは悪くないなぁ」

 と、呟き、軽い足取りで家路についた。
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