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第四章 ワクドキ学園パラダイス編 12歳

第65話 魔術師大会1回目

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 魔術師大会の試合はヒャッハー先輩から指輪を譲ってもらった翌日だった。

 近すぎるだろ。
 前日に奪ってすいません。
 先輩には後で詫びを入れておこう。
 
「ついたわね」
 会場はイタッツァ国内だったが、土地勘がないので、よくわからない場所へ車で連れて行かれた。

「そうだな。思ったより狭い場所だね」

「ここからはアタシたちも入れないらしいわ」

「そうだね~。中身は秘密なんだよ~」

 魔術師大会といっても、観客の類は一切なし。
 審判と、各選手の契約者のみ。
 俺の場合、校長である。
 そして、相手の情報も一切ない。
 なんなら全員仮面をしているので、何もわからない。
 完全に怪しい集団だ。
 その後校長と合流する。

「さて、セオのお母さん、このまま試合がいきなり始まる感じですか?」

「そうだよ。ライ君にはぜひ出てもらいたいと思ってたのさ。嬉しいよ」

「はあ」

「何せ、神殺しだからね。相手も必ず特級だから気をつけてね。セオから聞いているだろうけど、魔闘法だけでは勝てないよ」
 確かに、セオの魔力でもあっさり負けたらしいし、魔闘法だけではダメなんだろう。
 工夫が必要だろうな。

「わかりました。魔術も色々準備したので試してみます」
 そう、昨日のうちに色々準備したのだ。
 だから、寝る時間が遅くなってしまった。
 理由はそれだけではないが……。
 
「それじゃ、行ってきます」
 改めて挨拶して出発する。

 会場には直径20mほどの円形リングがあるのみ。
 ここから落ちたら負けか。
 簡単なルールだ。
 
 対戦相手がやってきた。
 ヒョロッとした男性だった。
 身長は180ほどあるだろうか。
 シャイナと似た風貌だ。
 姿勢が悪い。
 杖は恐らく指輪型だな。
 俺と同じだ。
 もちろん顔はマスクで覆われている。
 名前は知らないのでマスクマンと呼ぶことにしよう。
 
 さて、そもそも、魔術師大会はなぜ行われているかというと、極端な表現にすると、素晴らしい魔術師のパトロンになれるかどうか? ということを起源としている。
 その理由もあって、勝敗にはこだわる。
 だから、専属の審判もいるし、場外と降参でしか負けを認めないという簡単なルールにこだわっている。
 そこで、試合に勝てば、世界中の有力者から一目置かれる存在となれる。
 負けても何もなし。
 その代わり、パトロンとして雇っている契約者がクビに一歩近づく。
 クビになった場合は、新たに別の魔術師を見つければ参戦できる。
 しかし、その際は、協会への莫大な献金が必要となる。
 では、なぜそこまでして協会に所属したいのか?
 答えは簡単である。
 この世の最新魔術を目にすることができるからである。
 対戦相手となる魔術師の実践的な魔術を見て学ぶことができる。
 それは出場者が学ぶのか、出資者が学ぶのかは2人で決められることだ。

 とにかく、魔術の最新事情を知りたい人間が密かに集まり、個人情報を守りながら学習する集まりだと考えてほしい。

 さて、周囲の準備もできたようだ。
 審判の合図で試合はスタートする。

「はじめっ!」

 さぁ、試合の始まりだ。
 俺は自分が格下だと認識している。
 出し惜しみはせずに挑むつもりだ。
 まずは、オーラを全開にする。
 もちろん、相手のマスクマンもオーラは出している。
 初めは、得意の重力魔術からスタートだ。
 前方に10倍の魔術を出現させる。
 魔速400mpの魔術だ。
 早速相殺される。
 想定通りだ。
 次に100倍の重力魔術を繰り出す。
 攻め続けることが最大の防御となるはずだ。
 10倍の10倍なので、単純に4000mp必要となる。
 この時点で隠の魔力が8000mp必要なので、特級であることはバレる。
 しかし、これも余裕で相殺してくる。
 タイムラグが数秒あり、その間は魔術を食らっているはずなのに、マスクマンは余裕だった。
 おそらくオーラで防御を固めているからだろう。
 
 続いて、1000倍の重力魔術を放つ
 周囲の空気が震える。
 8万mp必要になる。
 神殺しの領域だ。
 相殺はできないらしい。
 もう、身動きすらできないようだ。

 どれくらい耐えられるのか気になるし、最大出力もやってみよう。
 5000倍だ。
 40万mpもの莫大な魔力が必要だ。
 吸い込み時もオーラ同様、サイクロン方式だ。
 瞬時に魔術は完成する。
 身動きできなかったマスクマンに炸裂。

 グシャリ

 と、音を立てて、マスクマンは床に崩れた。


【あとがき】

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

前話公開日にイメージイラストを公開しました。

主に主人公ヒロインです。
おまけにシエン(アネモネの母)の画像もあります。
当該文章の最後に貼り付けていますので、探して見て下さい。
三章の初めは多かったと思います。

よかったらどうぞ。
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