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第四章 ワクドキ学園パラダイス編 12歳

第50話 倒せ悪魔像

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 悪魔像を発見してしまった。
 それも20m以上もの大きさのマンションみたいな像だ。
 それが下級ダンジョンのボス?
 ありえない。
 何かの間違いだ。
 前回中級のダンジョンへ入ったが、ゾンビの王は人間サイズで、すぐに倒せた。
 その経験があるから下級くらいチョロいと思っていた。
 が、違った。予想の斜め上を行く恐ろしいものを見た。
 どうすればいいんだ?

「なあ、あれ、倒せる?」
 みんなの意見を聞いてみる。

「いや、人間でどうにかなるサイズじゃないでしょ」
 アネモネはまともだった。
 倒そうとした俺が恥ずかしい。

「え~。魔闘法ならイケるんじゃない~?エイヤーってね~」
 んな、無茶な。

「・・・・・」
 クロは我を失っている。

 いや、待てよ?
 俺って結構強力なカード持ってるよね?
 それを使えばどうだろ?

「ねえ、アネモネ、この前のブラックホール魔術ここで使ったらどうなるだろ?」

「自分も吸われて消えていいなら使いなさい」
 あ、そうか、近すぎるか。
 あれ、隣の山なのに、吸われそうになったもんな。
 出した瞬間に吸われるな。

「う~ん。私は普通に魔闘法で倒せると思うよ~」
 あ、そうか、最悪、俺とアネモネで時間を止めればなんとかなりそうだ。
 近づいて糸オーラを繋ぐまでが大変そうだな。
 何かいい方法はないもんか?
 あ、透明になればいいんじゃね?

「そういえば、この前、透明になる魔術というものを手に入れましてね」
 どうしても怪しげな口調になる。

「ほうほう、それを使って近づくってぇのかい?」
 クロも元気になってきた。

「不意打ちでいきなり重力魔術をぶちかましてやろうと思うんだけど、どうだろ?」
 アネモネに振ってみる。

「それなら悪くない気がするね。やってみようか。もちろん危ないようなら撤退で」

「そりゃそうだね。安全第一で」
 安全を薦めるクロ。

「いいよ~私はオーラだけで戦うけどね~」
 さっきからやけにオーラを薦めてくるなぁ。
 まぁ、怪我しない程度にやってね?

「よっしゃ、行きますか」
 
 オーラを全開にする。
 透明魔術を全員に使う。
 そーっと扉を開く。
 こっそり中に入る。
 静かに扉を閉める。
 密かに石像に近づく。
 重力魔術を展開する。
 両足を範囲として発動する。
 石像が倒れる。
 
 こっちに。

「えええええ~~」

「これは聞いてない」

「うぎゃー」

 ドーンとかガシャーンとかいいながら倒れる。

 俺たちは必死で土オーラに拝んだ。

 完全に下敷きになってしまったが、体はなんともなかった。
 土オーラ様、ありがとう。
 体の上の元石像である石傀は火オーラで簡単に動かせた。
 多分1個で数トンとかありそうなのに。
 なんともない。
 オーラすげー。
 感動した。
 人間相手にしか使ってこなかったからどれくらいの力なのか分かってなかった。
 土埃がすごくて誰がどこにいるのかわからないけど、感動しているのは俺だけではなかったらしく、大声で喜んでいる人物は複数いた。

 しかし、すぐ隣にいたセオは無反応だった。
 どうやらこれくらい余裕だと知っていたらしい。
 いや、違うな、俺の近くにいたんじゃなくて、クロを守っていたんだ。
 土埃が晴れてきてやっと見えた。
 どうやらクロのオーラでは危なかったらしい。
 って、なぜ、お前はそれがわかる?
 最近、馴染んでたのに、また謎が生まれた。
 
 なにはともあれ、怪我もなく攻略できた。
 下級ダンジョンってこんなとこなの?
 いや、いくらなんでもおかしいだろ?
 そもそも、門が白じゃなくてプラチナだった。
 そこがおかしい。
 光ってたもん。
 でも、特別級で黒だから、プラチナって何級よ?

「これってほんとに下級?セオが調べたんでしょ?」
 アネモネが言い出した。

「そうだよ~。でも、入る直前にどうやら悪魔が入ったようだね~」
 セオはなんでもないことのように答える。

「なんでそんなことがわかるのよ」
 アネモネは引かない。

「だって入るとこ見えたんだもん~」
 しれっと言う。

「じゃあ、それを言ってよ!」
 クロの緊張が決壊した。
 腰が抜けたのかへたり込んでいる。

「ん~だって、言ったら行かなかったでしょ~?私はみんなと冒険したかったんだ~」
 ネジがぶっ飛んでる人の発言だ。
 
「俺、門が白じゃなくて、プラチナだって思ったんだけど、それも関係ある?」

「あ~、それはボスが強敵に変更された時の合図だよ~」

「だから、言えよ!ライも!」
 アネモネが怒ってた。
 俺も怒られた。

「ごめん」
 とりあえず謝っておこう。

「ごめんね~。でも、このメンバーだと余裕だと思ってたのよ~」
 こいつマイペースだな。
 まぁ、憎めんキャラだな。

「それにね~。ライの魔術かっこよかったよ~。惚れ直しちゃった~」
 なんなんだろう?
 もやもやする気持ち。
 いや、ムラムラしてるんだ。
 なぜか、セオに欲情している。

「あー、やっぱり、ムリだわ。セオ、あんたをライに近づけたの失敗かも」
 アネモネがブチギレてる。
 こんなに怒ってるのは初めて見た。

「私もね~、アネモネのことは好きじゃないよ~。ライを独り占めするでょ~?」
 おおお。爆弾投下。
 恐ろしすぎるぅ~。

「ちょっとー、ライ、なんとかしなさいよ。あんたの取り合いでしょ?」
 
「そんなこと言われても、どうしようもないじゃん」
 そうも言ってられないなぁ。
 どうしよう。
 こんなハーレム展開は前世にもない。

「ちょっと落ち着こうよ。セオには悪いけど、俺はアネモネが好きなんだよ」
 ちょっといいこと言ってみた。

「でも~、ライって、アネモネも私も好きでしょ~?」

「そりゃ、セオも好きだけど、種類が違うよ。俺はアネモネ一筋で生きて来たんだから」

「じゃあ~、どっちも愛してよ~」

「何勝手なこと言ってんよ。ライはアタシのものよ」
 アネモネが強引に俺を引っ張る。

「そうじゃないってば~。どっちも愛してくれたら2人とも幸せで解決でしょ~?ちょっと、アネモネったらワガママなんじゃない~?私はアネモネのこと好きじゃないけど、それでもライのためなら仲良くするって言ってるのに~」

「え?ちょっとわかんない。アタシが悪いの?」

「そうよ~。国によって結婚感は違うのよ~。私たちの間では、共通の愛しいものは分け合うものよ~」

「ちょっとアタシにはわからないわ。ライが決めなさいよ」
 旗色が悪くなったと感じたのか、俺に振り出した。
 なんかアネモネが可哀想になってきた。

「うん。まあ、俺はアネモネしか抱かないよ。だから、セオがどれだけ言ってもダメ」
 これでいいだろう。
 どうやら俺の下半身はセオにも反応しているが、それは俺たちの国の倫理観に触れる。
 あ、これ、浮気するフラグだわ。
 前世でこのパターンから浮気したことある。
 抱ける女は抱いちまおうって時期があった。
 いや、でも、今はアネモネ一筋に操を立てたんだ。
 ブレずに行こう。
 でも、これで、俺の我慢次第ってことになるから、下半身はセオから狙われ放題なんだよね。
 セオももう22歳なのにこんな子どものどこがいいだ?
 完全なるショタ罪だろ。
 それにしても、俺は我慢できるかな。
 いや、12歳から貞操観念崩壊してるとか人生の破滅しかイメージできない。
 アネモネを幸せにするんだ。

 ということで、俺の中でも結論が出た。
 そして、石像のドロップ品として、悪魔の右手が手に入った。
 なんか、おどろおどろしくて気持ち悪い。
 魔術屋に持っていくと15200丸で買い取ってくれるらしい。
 大学に確認してもらってから売ることにした。
 以前、ドロップアイテムを換金したときは、大量にあったのに15万丸だったのを考えるとお得アイテムだったのかもしれない。
 しかし、ゾンビの旨みを知ってる俺からすれば、大したことない。
 しかし、クリアはクリアだ。
 金稼ぎが、目的ではない。
 最後はグチャグチャになったけど、当初の目的は達成した。
 ドロップ品を証拠に次に授業に進める。
 あれ?このイベントって、初等部の進級試験でやったような?
 まぁ、いいか。
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