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第二章 躍動の5年間 初等部編

第8話 俺の初めてを捧げます 初等部1年生

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 今日は慎重に動きたい。
 今日はアノ日だ。
 初めてを捧げる日だ。
 赤飯がいるぞー!
 バァさんや、メシはまだかの?
 いやいや、違うぞ、違う!
 落ち着けー!
 スーハースーハー。
 そう、今日は杖を買いに行くぞ!
 待望の杖だ!
 初めて魔術を使える日だ。
 問題はいくつかある。
 だから、落ち着けー。
 問題点の1つ目は、購入予算だ。
 今の所、1万丸ガンの予算らしい。
 初等部の杖の相場を考えると多めに設定してくれているらしいが、兄よりは安いものらしい。
 悔しいが、仕方ない。
 2人目の子どもとはそういうものだ。
 俺も子育ては経験があるからよくわかる。
 上の子には取り敢えずいいものを買い与えてみるが、冷静になると「やっぱ、いらんかったな」と、なる。

 しかし、それに対しては対抗手段を用意している。
 普通、杖を買う時は、魔術屋で杖と中身の魔術をセットで購入する。
 そして、魔術屋で、杖に魔術を付与してもらうのが、通常の流れだ。
 魔術は単品で買うと、付与するために手数料を取られる。
 杖と一定の魔術がセットで販売されているものは少しお得に購入できる。
 杖というハードウェアに、魔術というソフトウェアをインストールするという考え方だ。
 通常なら、セットを買うところだ。

 しかーし、俺はこの5年間でアースの部屋の本を借りて勉強したのだ。
 そこで、魔術の術式とその付与の仕方を予習しておいたのだ。
 簡単な魔術だと初等部でも付与できるが、実用的な魔術となると、中等部の教科書を見る必要があった。
 そこで、俺はアースの本と、家庭教師を利用してバッチリ予習済みというわけだ。
 もちろんアースにはワイロ(オヤツ)を渡してある。
 これで、俺は少ない予算でも、杖本体に全ての財力を投入できる。

 そして、その後発生するのが、第2の問題だ。
 それは、ママンのいない時に買うことである。
 普通、小学1年生が1万円の買い物をするとなれば、大人が同伴するものだ。
 しかし、ママン同伴で買いに行けば、魔術とセットの方を買おうとする。
 なぜなら、魔術の付与は失敗すると、マナ暴走を誘発する危険性があるからだ。
 安全面には配慮して付与するつもりだが、ママンが許してくれるとは思えない。
 でも、少しでも高級な杖を買いたい。
 そこで俺は考えた。

「ねぇ、ママン、今度、学校で使う杖を買いに行きたいんだけど、いいかな?」

「もちろんよ。しっかり勉強してもらわないとね。予算は、言ってた通り1万丸ね」

「ありがと。それじゃあ、アネモネと買いに行くよ。どうやら、アネモネは近所の魔術屋に顔がきくらしくて、少しいいものを買えるらしいんだ」

「そうなの?いつも通ってるからアネモネに任せようかしら。アネモネも中等部に入って、引き続き成績優秀らしいしね」

 そう、エリートをダシに使う作戦だ。
 アネモネは上級術師で、成績はいつもトップだ。
 それに、内緒で教えてもらったことだが、彼女は実は特級術師だ。
 魔力が9500mpもあるんだから、成績がトップなのも頷ける。
 調べてわかったが、特級術師が生まれる確率は、1億分の1の確率だ。
 この星も地球と人口がそこまで変わらないことから、特級術師はこの星に80人程度しかいない計算になる。
 彼女はそのうちの1人なのである。
 それくらい貴重な人材だから、命を狙われるとのことだ。
 もちろんトップシークレットだ。
 さて、さっそく頼んで見よう

「ねぇねぇ、アネモネ!俺の杖を買いに行くからついてきてよ」

「今なら大丈夫よ。どんな杖にするか決めてる?」

「あぁ、杖自体は詳しく無いんだけど、買うのは杖だけで魔術無し、それで、杖は付与できる容量のなるべく大きい物がいいな」

「それだけ具体的に決まってるならすぐに決まるわね。まかせて、値切ってあげる。アタシ、実はあの店の付与手伝ってるのよ?」

「おお、さすがだね!心強い!」

 魔術屋にいくと1万5千丸の杖を1万丸にオマケしてくれた。
 さらに、アネモネが付与できる最高の魔術セットまで付与してくれた。
 これは一度やってみたかったけど、今回はこれでいいや。
 お得なお買い物だった!ラッキー!
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