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第61話 いざ実践
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僕はとんでもないパワーアップを遂げた。
おそらく、レベル一万になることも簡単にできるだろう。
でも、これ以上スキルが増えても覚えきれないし、使いこなせないので、今のところはやめておこう。
必要ならいつでもできるしね。
「ねぇ、かなりパワーアップしたのはいいんだけど、どれくらい実践で使えるか試したいんだ。いきなり元神のいるとされるダンジョンに行くのは不安なんだよね」
「そうですね。一度いつものダンジョンの30階層あたりまで攻略してみるのもいいかもしれませんね」
ガーベラはダンジョン攻略マニアだ。
やたらと詳しい。
「30かぁ、いけるのかな? 僕はそんな深いところまで行ったことないよ?」
「私も35くらいが限界かな?」
サルビアでもそんなもんか。
「私は45階層まで行ったことありますが、メンバーを厳選すればもう少し行けそうでしたね」
ガーベラは戦闘狂だ。
嬉々として進んでいっただろう。
基本的にダンジョンの難易度はどのダンジョンでもそれほど変わりないと言われている。
人類の最高到達点である57階層もどこのダンジョンの話なのかは知らないが、みんなが知っている階層だ。
噂とはそんなものだ。
本当に57階層に到達したのかも眉唾だろう。
僕の体感では10階層までは素人でも行くことができるギリギリのラインだ。
それ以降は戦闘のプロが進むべき領域となる。
つまり、スキルで強化された人類を超越した身体能力を身に付けたものだけが進める道だ。
サイトは『勇者』スキルの恩恵でレベルアップが異常に速かった。
おそらく、スキルの説明にある『選ばれし者』が重要なのだろう。
僕はあくまでコピーしたスキルなので『選ばれし者』の文言がない。
同じ理由でガーベラのレベルが異常に高いことも説明がつく。
しかし、僕には自己暗示という裏技でレベルが一気に上がる。
これを使えばみんなの足を引っ張ることもないだろう。
それに魔法も使えるようになった今となっては、エース級の活躍をできるに違いない。
それでも、いきなり本番というのは少し怖い。
やはり一度は連携の練習もしておきたいものだ。
「さあ、それじゃあ、行きますよ」
さっそく郊外のダンジョン攻略を進めることにした。
ガーベラは張り切っている。
「オーケェイ! バイブスアゲてくZEー!」
サイトのノリが懐かしい。
さっそく、二人は暴走列車となって消えていった。
やっぱりそうなるよね。
あの二人に連携とか無いよね。
残されたのは僕とアイリスとサルビアだった。
幸い、前衛、中衛、後衛がそろっており、バランスがいい。
人数が少ないことが気になるが、魔法乱射でなんとかなるか。
「アーサーはマインドたっぷりあるの?」
サルビアが何気なく話しかけてきた。
「へ? マインド?」
「うん、魔法使うならマインドがないと使えないよ?」
「なにそれ?」
「マインドポイントが0になると気絶するよ?」
「え? そんな重要なことはもっと早く教えてよ……」
「ごめんごめん。知ってるものだと思ってたよ」
え?
これってまずくない?
魔法は無限に使えるものだと思っていた。
MPあるなら教えてほしかった。
確かに考えれば気づいただろうな。
僕はなんてマヌケなんだ。
なんのリスクもなく無限に撃てる魔法があれば魔法使い最強だもんな。
「それで、そのマインドの数値はどうやったらわかるの?」
「うーん、感覚かな? ヤベッてなったら魔法使うのやめた方がいいよ」
「曖昧だなぁ」
「でも、それ以上説明のしようがないもん」
「そっか、まぁ、0になる前に教えてくれて助かったよ」
魔法使い二人がMP0になって、盾職のアイリス一人が二人を担ぎながらダンジョンを進むなんて考えるだけで地獄だな。
絶対にMP0にはならないようにしよう。
どうりで、魔法を使ったあとは少し体がだるくなるわけだ。
あれがひどくなるとMP0になるわけだな。
それにしても、まったく魔物がいない。
10階層までなら何度か来たことあるので、なんとなく道も覚えていた。
その先は地図を頼りに進むしかない。
地図は騎士団の物を拝借してきた。
ちなみに、ガーベラは今は騎士団の任務から免除されている。
国からの直接指名の任務中という扱いになっている。
10階層を超えたあたりから少しずつ魔物が現れだした。
おそらく、全て倒していたらきりがないからドンドン進んでいったのだろう。
毒の階層主も倒されていたことを思えば、二人は行動を共にしているのだろう。
一人が倒している間にもう一人が解毒したのかもしれない。
先ほどまで現れていたヒュージゴブリンはサルビアの魔法で爆散していった。
ヒュージとつくだけあってデブだったので、爆散すると肉片が飛んできて気持ち悪かった。
しかし、今回は僕の実践での戦いを試しに来たことも大きな目的だ。
サルビアには少し休んでもらって、次に現れた魔物は僕が倒すことになった。
魔物が現れた。
11階層の階層主ラージゴブリンだ。
どうやら、12階層への連絡路が近いらしい。
地図はアイリスに見てもらっているので、詳しくはわかっていない。
ラージゴブリンは3mはあるだろう巨体からナイフを振り回してくる。
ナイフと言っても人間からすればグレートソードくらいはある。
一振り目はアイリスの盾で防いだ。
しかし、攻撃が重すぎるのか、かなりノックバックでたたらを踏んでいる。
約束通り、サルビアは手を出さないようだ。
階層主だとわかっていれば手伝ってほしかったけど、今は気持ちが大きい。
何せ、レベル二千オーバーだ。
そこいらの魔物では相手にならないはずだ。
「アイスランサー」
手始めに氷の槍を放ってみた。
3mの巨体に2mほどの槍はささった。
体を貫通して奥の壁にまで突き刺さった。
威力は十分だが、ダメージは少ないようだった。
攻撃の面積が少なかったのだろう。
致命傷にはいたらなかったようだ。
ラージゴブリンからの攻撃はナイフを叩きつけるものだった。
ノックバックから戻っていたアイリスがしっかり仕事をしていた。
鋼鉄の大盾で攻撃を防いでいた。
「バーニングフレア」
次なる僕の攻撃はサルビアが好きな爆裂魔法を放ってみた。
目標はゴブリンの頭だ。
頭が爆散すれば動けまい。
どごぉぉぉぉおおおーーん
かなりの威力が出たようだ。
しかし、音とは裏腹に、それほどダメージが入っていない。
「あー、アーサー、これは、熟練度不足だね」
「じゅくれんど?」
「うん、そんなにその魔法使ってないでしょ? 同じ魔法を何度も使うことでその魔法の熟練度があがって威力が高まるんだよ?」
え、そういう仕様についての説明はしてよ。
さっきのMPのこともそうだけど、この世界の常識に疎いんだからさ。
ま、僕が勉強をさぼったツケなんだけどね。
「ちなみに、魔法は使えば使うほどマインドも高まるからいいことばっかりだよ」
「教えてくれてありがとう。でも、今すぐはあがらないよね。どうしようかな」
3秒悩んだけど、やはり結論はコレしかなかった。
僕は剣に手をかけ、抜刀と同時にラージゴブリンを袈裟切りにした。
音速の剣はラージゴブリンを真っ二つにして倒した。
結局は前衛になるしかないのかな……。
おそらく、レベル一万になることも簡単にできるだろう。
でも、これ以上スキルが増えても覚えきれないし、使いこなせないので、今のところはやめておこう。
必要ならいつでもできるしね。
「ねぇ、かなりパワーアップしたのはいいんだけど、どれくらい実践で使えるか試したいんだ。いきなり元神のいるとされるダンジョンに行くのは不安なんだよね」
「そうですね。一度いつものダンジョンの30階層あたりまで攻略してみるのもいいかもしれませんね」
ガーベラはダンジョン攻略マニアだ。
やたらと詳しい。
「30かぁ、いけるのかな? 僕はそんな深いところまで行ったことないよ?」
「私も35くらいが限界かな?」
サルビアでもそんなもんか。
「私は45階層まで行ったことありますが、メンバーを厳選すればもう少し行けそうでしたね」
ガーベラは戦闘狂だ。
嬉々として進んでいっただろう。
基本的にダンジョンの難易度はどのダンジョンでもそれほど変わりないと言われている。
人類の最高到達点である57階層もどこのダンジョンの話なのかは知らないが、みんなが知っている階層だ。
噂とはそんなものだ。
本当に57階層に到達したのかも眉唾だろう。
僕の体感では10階層までは素人でも行くことができるギリギリのラインだ。
それ以降は戦闘のプロが進むべき領域となる。
つまり、スキルで強化された人類を超越した身体能力を身に付けたものだけが進める道だ。
サイトは『勇者』スキルの恩恵でレベルアップが異常に速かった。
おそらく、スキルの説明にある『選ばれし者』が重要なのだろう。
僕はあくまでコピーしたスキルなので『選ばれし者』の文言がない。
同じ理由でガーベラのレベルが異常に高いことも説明がつく。
しかし、僕には自己暗示という裏技でレベルが一気に上がる。
これを使えばみんなの足を引っ張ることもないだろう。
それに魔法も使えるようになった今となっては、エース級の活躍をできるに違いない。
それでも、いきなり本番というのは少し怖い。
やはり一度は連携の練習もしておきたいものだ。
「さあ、それじゃあ、行きますよ」
さっそく郊外のダンジョン攻略を進めることにした。
ガーベラは張り切っている。
「オーケェイ! バイブスアゲてくZEー!」
サイトのノリが懐かしい。
さっそく、二人は暴走列車となって消えていった。
やっぱりそうなるよね。
あの二人に連携とか無いよね。
残されたのは僕とアイリスとサルビアだった。
幸い、前衛、中衛、後衛がそろっており、バランスがいい。
人数が少ないことが気になるが、魔法乱射でなんとかなるか。
「アーサーはマインドたっぷりあるの?」
サルビアが何気なく話しかけてきた。
「へ? マインド?」
「うん、魔法使うならマインドがないと使えないよ?」
「なにそれ?」
「マインドポイントが0になると気絶するよ?」
「え? そんな重要なことはもっと早く教えてよ……」
「ごめんごめん。知ってるものだと思ってたよ」
え?
これってまずくない?
魔法は無限に使えるものだと思っていた。
MPあるなら教えてほしかった。
確かに考えれば気づいただろうな。
僕はなんてマヌケなんだ。
なんのリスクもなく無限に撃てる魔法があれば魔法使い最強だもんな。
「それで、そのマインドの数値はどうやったらわかるの?」
「うーん、感覚かな? ヤベッてなったら魔法使うのやめた方がいいよ」
「曖昧だなぁ」
「でも、それ以上説明のしようがないもん」
「そっか、まぁ、0になる前に教えてくれて助かったよ」
魔法使い二人がMP0になって、盾職のアイリス一人が二人を担ぎながらダンジョンを進むなんて考えるだけで地獄だな。
絶対にMP0にはならないようにしよう。
どうりで、魔法を使ったあとは少し体がだるくなるわけだ。
あれがひどくなるとMP0になるわけだな。
それにしても、まったく魔物がいない。
10階層までなら何度か来たことあるので、なんとなく道も覚えていた。
その先は地図を頼りに進むしかない。
地図は騎士団の物を拝借してきた。
ちなみに、ガーベラは今は騎士団の任務から免除されている。
国からの直接指名の任務中という扱いになっている。
10階層を超えたあたりから少しずつ魔物が現れだした。
おそらく、全て倒していたらきりがないからドンドン進んでいったのだろう。
毒の階層主も倒されていたことを思えば、二人は行動を共にしているのだろう。
一人が倒している間にもう一人が解毒したのかもしれない。
先ほどまで現れていたヒュージゴブリンはサルビアの魔法で爆散していった。
ヒュージとつくだけあってデブだったので、爆散すると肉片が飛んできて気持ち悪かった。
しかし、今回は僕の実践での戦いを試しに来たことも大きな目的だ。
サルビアには少し休んでもらって、次に現れた魔物は僕が倒すことになった。
魔物が現れた。
11階層の階層主ラージゴブリンだ。
どうやら、12階層への連絡路が近いらしい。
地図はアイリスに見てもらっているので、詳しくはわかっていない。
ラージゴブリンは3mはあるだろう巨体からナイフを振り回してくる。
ナイフと言っても人間からすればグレートソードくらいはある。
一振り目はアイリスの盾で防いだ。
しかし、攻撃が重すぎるのか、かなりノックバックでたたらを踏んでいる。
約束通り、サルビアは手を出さないようだ。
階層主だとわかっていれば手伝ってほしかったけど、今は気持ちが大きい。
何せ、レベル二千オーバーだ。
そこいらの魔物では相手にならないはずだ。
「アイスランサー」
手始めに氷の槍を放ってみた。
3mの巨体に2mほどの槍はささった。
体を貫通して奥の壁にまで突き刺さった。
威力は十分だが、ダメージは少ないようだった。
攻撃の面積が少なかったのだろう。
致命傷にはいたらなかったようだ。
ラージゴブリンからの攻撃はナイフを叩きつけるものだった。
ノックバックから戻っていたアイリスがしっかり仕事をしていた。
鋼鉄の大盾で攻撃を防いでいた。
「バーニングフレア」
次なる僕の攻撃はサルビアが好きな爆裂魔法を放ってみた。
目標はゴブリンの頭だ。
頭が爆散すれば動けまい。
どごぉぉぉぉおおおーーん
かなりの威力が出たようだ。
しかし、音とは裏腹に、それほどダメージが入っていない。
「あー、アーサー、これは、熟練度不足だね」
「じゅくれんど?」
「うん、そんなにその魔法使ってないでしょ? 同じ魔法を何度も使うことでその魔法の熟練度があがって威力が高まるんだよ?」
え、そういう仕様についての説明はしてよ。
さっきのMPのこともそうだけど、この世界の常識に疎いんだからさ。
ま、僕が勉強をさぼったツケなんだけどね。
「ちなみに、魔法は使えば使うほどマインドも高まるからいいことばっかりだよ」
「教えてくれてありがとう。でも、今すぐはあがらないよね。どうしようかな」
3秒悩んだけど、やはり結論はコレしかなかった。
僕は剣に手をかけ、抜刀と同時にラージゴブリンを袈裟切りにした。
音速の剣はラージゴブリンを真っ二つにして倒した。
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