中身はクズモブなのに『ピュア』だけでゴリ押す第六王子のハーレムは完成する〜非戦闘スキルなのにバトルも無双〜

ahootaa

文字の大きさ
上 下
47 / 63

第47話 変化

しおりを挟む
 僕は急いでカーテンを閉めた。
 なかったことにしよう。
 僕はアイリスのパンツを脱がせなかったし、そこにトリスタンお兄様はいなかった。
 それでいこう。

 ドアノックの音がした。
 お兄様がいた。
 なかったことにはできなかった。
 アイリスはまだ右手にパンツを持ったままだ。
 完全にアウトだ。

「やあ、アーサー、ダンジョン探索の途中に寄ることができたので寄ってみたんだ」
「こんにちは、お兄様。僕はここに留学のために来ていました」
「留学か。実家から離れてハメを外したいのもわかるが、メイドに無理をさせるのはよくないぞ?」

 う、なかったことにはしてくれなかった。
 トリスタンお兄様はその素朴な物腰のまま淡々と僕へ指摘してきた。
 感情がこもっていない分、余計に反省してしまう。
 この空気を誰か終わらせてくれ~。
 
「はい、反省しております」
「わかればよい。それじゃあ、俺はまたダンジョンへ行くよ」
「はい、お気をつけて」
「ああ」

 おお、もう終わった。
 助かった。
 のか? よくわからんが、終わってよかった。

「アイリス、恥をかかせてごめんね」
「いえ、アーサー様の命ですので、恥とは思っておりません」
「うーん、もうすぐ妻になるんだから、そんな事務的に対応されると少し傷つくなぁ」
「そうでしたか。失礼しました」
「アイリスはいつから僕との関わり方を変えるつもりなの?」
「結婚後も変えるつもりはありません」
「わかった。今はそれで、いいけど、結婚後は変えてね?」
「ご命令とあらば」

 うーん、わかってるのかな?
 最悪、スキルが発動してそれっぽくなるかな?
 僕はどの女性とも公平に付き合いたい。
 あれ?
 僕ってこんなこと考える人間だっけ?
 自分のこともわからなくなってきたぞ?

 そこへ再度ドアノックの音がした。
 お兄様がもう一度? と思ったが、スパイクだった。
 助かった。
 また怒られるのかと思った。

「失礼します。ダンジョン前の宿屋からモンスターがたくさん出てきて困っていると救助依頼がありました。つきまして、殿下にもご助力いただきたく、参上しました。」
 
 堅いな。
 どうやら、領地経営のアドバイスをあげたから師匠のような扱いになっているのだろう。
 正直そんな扱いは苦手だ。
 だから、断りたいところだけど、ダンジョン前に宿屋を設置するアイデアを出したのは僕だ。
 少しは責任を感じている。

 ん?
 やっぱり変だ。
 責任を感じる人間ではなかった。
 それが、責任を感じるようになっている。
 クズでモブな僕は責任なんて無視して、引きこもっていたはずだ。
 ピュアな心を持ちつつあるのかもしれない。
 スキルのおかげだとしても、この心に素直に従っていれば、前世で「持ってる人」だった大山健一君のようになれるかもしれない。
 ここは従ってみよう。

「わかりました。宿屋設置を提案したのも僕です。手伝いに行きましょう」
「ありがとうございます。領主邸には戦力というものは存在せず、私一人ではどうしようもなかったのですよ」
 なるほど、必死だったからあんなに堅かったのか。
 いいことしたかもしれないな。
 義理の兄になることだし、長い付き合いになるだろうしな。

「それでは、南西のダンジョンへ行きます。支度時間は必要ですか?」
「いや、急ぎでしょう? もう出発しましょう」
「助かります。よろしくお願いします」

 早速の出発、御者はスパイクの執事が行い、僕たちは馬車に乗った。
 馬車で三十分ほど進んだところにダンジョンはあった。
 やはり、都市から近すぎる。
 これは冒険者にとってはメリットだが、魔物が外にでる恐れがあることを考えればリスキーとも考えられる。

「これは一つのアイデアなんですが、近くの冒険者を用心棒として雇ってはどうでしょう? 今は僕たちが行っていますが、これを毎回するわけにもいきませんよね?」
「そうですね。たしかにそれがいいですね。初めは用心棒として雇って、最終的には警備兵として、ストライク家と契約してもいいですね」
「あ、それいいですね。私兵を持つことも重要ですよ。この前、アウグスト公爵が攻めてきた時は、農民が戦ってましたからね」

「それはひどい。戦闘訓練を受けていないのに、戦わせるなんて」
「ええ、ひどいものでしたよ。肉壁としてしか扱っていませんでしたからね」
「そうですか。私兵の件も検討してみます。やりすぎると、王都に反意ありと判断されそうで困っていたのですが、警備兵なら問題ないかと思います」
「そうですね。できたら、優秀なものを長に置いて運営は丸投げする方がいいかもしれませんね」
「組織的ってやつですね。承知しました」

 タッタラー

 ん?
 なぜ今レベルアップ?
『鑑定』してみると『ドラゴンハート』のレベルが上がっていた。
 よくわからんが『ドラゴンハート』は使うことないし、関係ないか。

 ダンジョンに到着すると、宿屋周辺も含めて魔物がウヨウヨいた。
 ダンジョンの数が多いのに対して冒険者が少ないとこういったことが起こる。
 冒険者を増やすための宿屋だったのに、そこへたどり着けなかったら本末転倒だ。
 僕は近くにいたウェアウルフを5体テイムし、どんどん魔物を倒していった。
 5体同時に攻撃させればどんな魔物もすぐに倒すことができた。
 全ての魔物を撃退し、魔石の数を数えると56個あった。
 どうやら一人でそれだけを倒したようだ。
 
 タッタラー
 タッタラー

 鑑定すると『ピュア』と、またもや『ドラゴンハート』が上がっていた。
 なんか気持ち悪いスキルだな。
 スキルの性能は「大勢の前で堂々とし話せる」ってだけなのに……。
 
 その後、冒険者を用心棒としてスカウトし、最終的には冒険者ギルド経由で依頼を出すシステムを作った。
 これで、ここでやることもなくなったかな?
 農業改革とかやりだしたらキリがないし、街の安全だけ確保したらそれでいいか。
 一週間の滞在だったが、楽しかったし、そろそろ帰ろう。
 超短期留学だけど、許してくれるだろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

病弱な第四皇子は屈強な皇帝となって、兎耳宮廷薬師に求愛する

藤原 秋
恋愛
大規模な自然災害により絶滅寸前となった兎耳族の生き残りは、大帝国の皇帝の計らいにより宮廷で保護という名目の軟禁下に置かれている。 彼らは宮廷内の仕事に従事しながら、一切の外出を許可されず、婚姻は同族間のみと定義づけられ、宮廷内の籠の鳥と化していた。 そんな中、宮廷薬師となった兎耳族のユーファは、帝国に滅ぼされたアズール王国の王子で今は皇宮の側用人となったスレンツェと共に、生まれつき病弱で両親から次期皇帝候補になることはないと見限られた五歳の第四皇子フラムアーク付きとなり、皇子という地位にありながら冷遇された彼を献身的に支えてきた。 フラムアークはユーファに懐き、スレンツェを慕い、成長と共に少しずつ丈夫になっていく。 だがそれは、彼が現実という名の壁に直面し、自らの境遇に立ち向かっていかねばならないことを意味していた―――。 柔和な性格ながら確たる覚悟を内に秘め、男としての牙を隠す第四皇子と、高潔で侠気に富み、自らの過去と戦いながら彼を補佐する亡国の王子、彼らの心の支えとなり、国の制約と湧き起こる感情の狭間で葛藤する亜人の宮廷薬師。 三者三様の立ち位置にある彼らが手を携え合い、ひとつひとつ困難を乗り越えて掴み取る、思慕と軌跡の逆転劇。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

処理中です...