35 / 63
第35話 カラ回り
しおりを挟む
「ああ、そのことですか。それは、我々の派閥の動きですね。どうか、邪魔をされないようにしてください」
「え? 毒を撒いてるってことですか?」
いきなりのラムダン子爵の告白にドキリとする。
完全にテロリストじゃねーか。
でも、これで、やっと関係者に会えた。
「アイリス、誰も来ないか見張っておいてくれ。盾の装備を忘れるな」
「承知しました」
アイリスは応接室から出ていき、入り口前で待機しているはずだ。
ここからはアイリスにも見られたくない。
前のパンツを見せてもらったことを思い出させてしまうからだ。
『ピュア』『催眠術』「この事件にまつわる話を全て聞かせてください」
「そうですね。殿下には聞いていただきたいですね。我々の派閥について……。」
こうして、ことの顛末を聞かされた。
どうやら、派閥は王が率いる宰相派閥と、剣聖が率いるストライク侯爵派閥、賢者が率いるアウグスト公爵派閥があるらしい。
その派閥が覇権を常に奪い合うことで、政治が回っているそうだ。
現在はストライク侯爵が勇者を召喚したにも関わらず、王の手柄とするべく宰相派閥が手を回し、勇者を王妃の元に送り届けた。
しかし、それをおもしろく思わなかったストライク派閥が、娘がいることを知らずに刺客を送ってしまい、返り討ちにあった。
そして、代わりにスキをついてセージ家を没落させたらしい。
そして、アウグスト公爵はそれに怒り、剣聖への刺客を送った。
しかし、これまた、賢者もその場にいたことで、何の意味もなかった。
平行して、城内に毒を盛り、動きを鈍くしたところで暗殺し放題という状況をつくったそうだ。
で、今ココってとこだな。
これからは、宰相の暗殺を計画していて、それを実行に移すのが今晩だと。
うーん。
どいつもこいつもロクなことしないな。
と、いうか、どの派閥にも見事にツバをつけてて笑えてくる。
『ピュア』『催眠術』「で? 勇者の婚約者であるフランソワも暗殺対象というのはなんでだ?」
「それは、悪魔召喚をしてしまい、大きな災いを招いたとされるポーター大公の娘だからです」
え?
なんて?
そういえば、フランソワの家名は聞いたことなかったな。
僕はってきりフラ・ンソワだと思っていたのだろうか?
そうか、フランソワ・ポーターがフルネームだったんだ。
あまりに幼少期からいると、そういう背景に興味を持たなかったな。
『ピュア』『催眠術』「それで? なんで、お母様のところにそのポーター大公の娘がいるんだよ? それこそ国家反逆罪じゃないのか?」
「それは、陛下が内密にイザベラ様のメイドというポジションをあてがったからです。それに気づいたのがアウグスト公爵です」
なるほどね。
それで、フランソワを殺してしまえば、勇者の元気がなくなるから、宰相派も、ストライク派も力を失うのか。
とりあえず分かったのは、全員クズで、誰が死んでも僕には関係ない。
でも、フランソワだけは守ろう。
お世話になったしね。
お母様より母親らしいことをしている人だ。
恩を返そうではないか。
宰相のことは知らん。
勝手にそっちでやってくれ。
僕は何も聞かなかった。
『ピュア』『催眠術』「ここであったことは他言無用だ。僕は何も聞いていないことにする。いいな?」
「はい。承知しました。アウグスト様にも黙っておきます」
よし。
口止めOK。
あとはフランソワだけ守って静観しよう。
僕はラムダン邸をあとにした。
まずは、どんな刺客が来てもいいように、戦力を集める必要があるな。
王城は宰相の暗殺をしゃべるとめんどくさくなりそうだから内緒だ。
最悪、お父様が暗殺される恐れもあるけど、なんとかなるだろ。
一緒にいた時間ではフランソワの方が長いし、世話になった。
比べるわけじゃないけど、仕方ないと割り切ろう。
集めるのはいつものメンバーでいいな。
アーサー一家が集まれば何とかなるだろ。
そのためにはストライク家からもう一度ガーベラを連れてくる必要があるな。
ストライク家へ行こう。
ドンドンドン
「すいません。アーサーです。何度も申し訳ないのですが、ガーベラさんはおられますか?」
執事と思われる男性が出てきた。
「こんにちは、アーサー様。先ほどは送り届けていただき、ありがとうございました。ガーベラ様は先ほど宰相様よりの使いと一緒に城へ行かれました」
ああ、先を越されたか。
自分の暗殺を防ぐつもりか。
敵派閥同士の潰し合いという形に持って行くんだな?
仕方ない、一旦帰ってサルビアを連れて行こう。
家に帰るとサルビアもいない。
どうやら、アウグスト派に連れ出されたようだ。
くそぅ。
全て後手に回っている。
誰が誰を狙っているのか未だによくわからないし……。
もう、アイリスと二人で守るしかないか。
あ、サイトがいるな。
でも、役に立つかな?
いないよりはマシか。
こうして僕はイザベラ邸へ向かった。
「え? 毒を撒いてるってことですか?」
いきなりのラムダン子爵の告白にドキリとする。
完全にテロリストじゃねーか。
でも、これで、やっと関係者に会えた。
「アイリス、誰も来ないか見張っておいてくれ。盾の装備を忘れるな」
「承知しました」
アイリスは応接室から出ていき、入り口前で待機しているはずだ。
ここからはアイリスにも見られたくない。
前のパンツを見せてもらったことを思い出させてしまうからだ。
『ピュア』『催眠術』「この事件にまつわる話を全て聞かせてください」
「そうですね。殿下には聞いていただきたいですね。我々の派閥について……。」
こうして、ことの顛末を聞かされた。
どうやら、派閥は王が率いる宰相派閥と、剣聖が率いるストライク侯爵派閥、賢者が率いるアウグスト公爵派閥があるらしい。
その派閥が覇権を常に奪い合うことで、政治が回っているそうだ。
現在はストライク侯爵が勇者を召喚したにも関わらず、王の手柄とするべく宰相派閥が手を回し、勇者を王妃の元に送り届けた。
しかし、それをおもしろく思わなかったストライク派閥が、娘がいることを知らずに刺客を送ってしまい、返り討ちにあった。
そして、代わりにスキをついてセージ家を没落させたらしい。
そして、アウグスト公爵はそれに怒り、剣聖への刺客を送った。
しかし、これまた、賢者もその場にいたことで、何の意味もなかった。
平行して、城内に毒を盛り、動きを鈍くしたところで暗殺し放題という状況をつくったそうだ。
で、今ココってとこだな。
これからは、宰相の暗殺を計画していて、それを実行に移すのが今晩だと。
うーん。
どいつもこいつもロクなことしないな。
と、いうか、どの派閥にも見事にツバをつけてて笑えてくる。
『ピュア』『催眠術』「で? 勇者の婚約者であるフランソワも暗殺対象というのはなんでだ?」
「それは、悪魔召喚をしてしまい、大きな災いを招いたとされるポーター大公の娘だからです」
え?
なんて?
そういえば、フランソワの家名は聞いたことなかったな。
僕はってきりフラ・ンソワだと思っていたのだろうか?
そうか、フランソワ・ポーターがフルネームだったんだ。
あまりに幼少期からいると、そういう背景に興味を持たなかったな。
『ピュア』『催眠術』「それで? なんで、お母様のところにそのポーター大公の娘がいるんだよ? それこそ国家反逆罪じゃないのか?」
「それは、陛下が内密にイザベラ様のメイドというポジションをあてがったからです。それに気づいたのがアウグスト公爵です」
なるほどね。
それで、フランソワを殺してしまえば、勇者の元気がなくなるから、宰相派も、ストライク派も力を失うのか。
とりあえず分かったのは、全員クズで、誰が死んでも僕には関係ない。
でも、フランソワだけは守ろう。
お世話になったしね。
お母様より母親らしいことをしている人だ。
恩を返そうではないか。
宰相のことは知らん。
勝手にそっちでやってくれ。
僕は何も聞かなかった。
『ピュア』『催眠術』「ここであったことは他言無用だ。僕は何も聞いていないことにする。いいな?」
「はい。承知しました。アウグスト様にも黙っておきます」
よし。
口止めOK。
あとはフランソワだけ守って静観しよう。
僕はラムダン邸をあとにした。
まずは、どんな刺客が来てもいいように、戦力を集める必要があるな。
王城は宰相の暗殺をしゃべるとめんどくさくなりそうだから内緒だ。
最悪、お父様が暗殺される恐れもあるけど、なんとかなるだろ。
一緒にいた時間ではフランソワの方が長いし、世話になった。
比べるわけじゃないけど、仕方ないと割り切ろう。
集めるのはいつものメンバーでいいな。
アーサー一家が集まれば何とかなるだろ。
そのためにはストライク家からもう一度ガーベラを連れてくる必要があるな。
ストライク家へ行こう。
ドンドンドン
「すいません。アーサーです。何度も申し訳ないのですが、ガーベラさんはおられますか?」
執事と思われる男性が出てきた。
「こんにちは、アーサー様。先ほどは送り届けていただき、ありがとうございました。ガーベラ様は先ほど宰相様よりの使いと一緒に城へ行かれました」
ああ、先を越されたか。
自分の暗殺を防ぐつもりか。
敵派閥同士の潰し合いという形に持って行くんだな?
仕方ない、一旦帰ってサルビアを連れて行こう。
家に帰るとサルビアもいない。
どうやら、アウグスト派に連れ出されたようだ。
くそぅ。
全て後手に回っている。
誰が誰を狙っているのか未だによくわからないし……。
もう、アイリスと二人で守るしかないか。
あ、サイトがいるな。
でも、役に立つかな?
いないよりはマシか。
こうして僕はイザベラ邸へ向かった。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編
追放もの悪役勇者に転生したんだけど、パーティの荷物持ちが雑魚すぎるから追放したい。ざまぁフラグは勘違いした主人公補正で無自覚回避します
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
ざまぁフラグなんて知りません!勘違いした勇者の無双冒険譚
ごく一般的なサラリーマンである主人公は、ある日、異世界に転生してしまう。
しかし、転生したのは「パーティー追放もの」の小説の世界。
なんと、追放して【ざまぁされる予定】の、【悪役勇者】に転生してしまったのだった!
このままだと、ざまぁされてしまうが――とはならず。
なんと主人公は、最近のWeb小説をあまり読んでおらず……。
自分のことを、「勇者なんだから、当然主人公だろ?」と、勝手に主人公だと勘違いしてしまったのだった!
本来の主人公である【荷物持ち】を追放してしまう勇者。
しかし、自分のことを主人公だと信じて疑わない彼は、無自覚に、主人公ムーブで【ざまぁフラグを回避】していくのであった。
本来の主人公が出会うはずだったヒロインと、先に出会ってしまい……。
本来は主人公が覚醒するはずだった【真の勇者の力】にも目覚めてしまい……。
思い込みの力で、主人公補正を自分のものにしていく勇者!
ざまぁフラグなんて知りません!
これは、自分のことを主人公だと信じて疑わない、勘違いした勇者の無双冒険譚。
・本来の主人公は荷物持ち
・主人公は追放する側の勇者に転生
・ざまぁフラグを無自覚回避して無双するお話です
・パーティー追放ものの逆側の話
※カクヨム、ハーメルンにて掲載
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。
みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる