中身はクズモブなのに『ピュア』だけでゴリ押す第六王子のハーレムは完成する〜非戦闘スキルなのにバトルも無双〜

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第24話 ストライク家

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 ストライク家は名家である。
 侯爵とは爵位の中でもトップクラスに上位の爵位であり、王族の親類が独占している公爵に並ぶ古くからの名門である。
 その中でもストライク家は最古参で、王国建国の時代から存在する最も古い貴族だ。
 そう、無知な僕でさえ知っているほど有名なほどに。
 城下町の町民が知っているほどに有名な貴族であった。

 ラムダン家の従者が馬車を操車し、ストライク家の屋敷をめざす。
 距離は1時間ほどだ。
 ラムダン家の馬車は僕の屋敷の馬車と違って安い作りだった。
 お尻が痛い。
 途中、一昨日泊まったセージ家の屋敷を横目に貴族街を通っていく。
 ストライク家への手土産は新鮮なフルーツ盛り合わせだった。
 無難な手土産だが、いいかな。
 ここで失敗すれば、ガーベラとの話も破談になってしまう。
 大きなかけだ。

 約束の時間より少し早くついたが、すでに、ストライク家の執事は門の前で待っていた。
 従者が事情を説明すると、玄関ホール前の馬車停車場へ案内してくれた。
 荷物を持って馬車を降りると執事から挨拶があった。
「おはようございます。アーサー王子。わざわざお越しいただき、主に代わってお礼申し上げます。よろしければお荷物を持ちましょうか?」
「ああ、ありがとう。それでは、これを侯爵へ。手土産だ。」
 そう言って、果物の盛り合わせを渡した。
 ここまでは間違えていないはず。

「承知しました。それでは、どうぞ、お入りください。主人も待っております」
「ああ。ありがとう」
「こちらへ」
 案内されたのは応接間だった。
 豪華な家具がたくさん並べられている。
 王城にも負けない豪華さだ。

 コンコンコン
 
 しばらくすると、ノックの音がした。
「はい」
「失礼します。ご主人様がおいでなさりました」
「どうぞ」
 ガチャリ
 執事が先頭で入ってきて、それに続き、大柄な男性が入ってきた。
 年の頃にして、40前くらいか。
 筋肉質なのが、上等そうな服装の上からでもわかる。
 髪は短く切りそろえられ、すぐにでも戦えそうな雰囲気がある。
 
 僕は席を立ち、挨拶する。
「こんにちは、ストライク侯爵。アーサー・ド・サリュームです」
「ええ、こんにちは、王子様。私がライオネラ・ストライクだ」
「どうも、お時間をいただき、ありがとうございます。ライオネラ様とお呼びすればよろしいですか?」
「王族に様をつけてもらう必要はない。ライオネラと呼び捨てにしてくれ」
「承知しました。ライオネラ。いえ、お義父さんでもいいですかね?」
「呼び方など、なんでもかまわん。まぁ、座れ」
 なんか、王族相手に強気だな。
 以前パーティで会ったときも陰キャモブな僕とは話さなかったな。

「それでは、失礼します」
「ああ。それで、今日はどのような用向きだ? 手紙には詳細が書かれていなかったが?」
「それでは、早速失礼します。本日はセージ家のことで来ました」
「ふむ。先日、あのバカ者どもは没落したな」
「そうですね。ご存じの通り、セージ家の三女であるサルビアさんと僕は恋仲です」
「聞いている。ガーベラというものがありながら、婚前にも関わらず次の女に手を出したそうじゃないか」

『ピュア』「あ、すいません。でも、ガーベラも旧知の仲で、三人で上手くやっていく自信はありました」
「言うではないか。しかし、王子よ、お前はただの第六王子で特に能力も無いと聞いている。ガーベラの話では、冒険者をやりながら生計を立てて行くしかないと聞いておるぞ?」
『ピュア』「そうですね。以前の僕ならそうでした。しかし、僕は冒険者としてダンジョン探索をしていくうちに『勇者』のスキルを発現させました。僕が勇者として働けば爵位はもらえるはずです。ストライク家が召喚した勇者のように」

「ほう、そこまで知っているか。勇者の取り扱いは非情に難しい。それをイザベラ様がうまく操って婚約者を身近なもので用意してくださった。おかげで勇者の結婚式と叙爵式とを同時すると国民の王族への評判も高まるというもの」
『ピュア』「そうですね。そこに、僕の結婚式も同時にしませんか?」
「なるほど、国を挙げてのお祭り騒ぎにするわけだな?」
『ピュア』「そうです。それに、僕は二人同時の結婚式にしたいです」
「それは許さん。一番はガーベラだ」
『ピュア』「そう言ってセージ家を没落させたのでしょう?サルビアは賢者です。彼女と勇者である僕が手を組めば国をひっくり返すことくらいできますよ?」
 ハッタリだ。
 そんなことできないし、する気もない。

「脅しか。しかし、我々も剣聖の一族。負けはせぬ」
「僕に『剣聖』のスキルもあるとしたら?」
「そんなことは信じられぬ。『剣聖』はとんでもないレアスキルだぞ?」
「さっき言いましたよね? 僕はダンジョン探索の成長過程として『勇者』を手に入れました。『剣聖』もそのうちの一つです」
「なに? そんなことはあってたまるか!」
『ピュア』「そんなに心配なんだったらその目で確かめてください」
 僕は木剣を取り出した。

「まだ、レベルが1なのでコントロールはできていませんが、一度だけなら使えます」
 そういうと、立ち上がり壁に向かって木剣を振った。
 音速を超える剣速はソニックブームを生み出し、周囲を衝撃波で吹き飛ばす。
 豪華な家具も吹き飛んだ。
 僕の右腕は激痛に襲われるが、今は交渉の場だ。
 それに、『勇者』スキルが作用したのか、剣の扱いがうまくなっている。
 我慢しよう。

「なんたることだ。信じられない。間違いなく『剣聖』の攻撃」
「そうでしょう?スキルは持ってるんですから」
「勇者であり、剣聖……なんということだ。こんな逸材見たことがない」
 ライオネラは震えながらつぶやいている。
「……。わかった。王子とガーベラとサルビアの同時結婚を認めよう」
「ありがとうございます」

「その代わり、お前には次の王になってもらう」

「へ?」
 思わず間抜けな声が出た。
 それは予想外な展開だな。
 だって、第六王子だよ?
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