21 / 63
第21話 テング
しおりを挟む
今日からは6階層の攻略を進める。
正直、何も知らない。
しかし、アーサー部隊は元ガーベラ部隊である。
かなりの深さまで潜っているらしい。
僕は知らなくても周囲は知っている。
だから、頼ればいい。
「なぁ、これより先へは行ったことないんだけど、どんな魔物がいるんだ?」
「10階層までザコは同じですよ。兄さんでしたら余裕なはずです。それに、俺たちには、ラフレシアとオーガがいますしね」
「そうなんだ。一晩寝たからまたテイムはできるけど、階層主はテイムした方がいいかな?」
「そうですね。できるならした方がいいですけど、多分無理です」
「どうしてだい?」
「すぐに自爆攻撃をするんですよ」
「なるほど。捕まえると、爆弾として使えるわけか」
「へい」
どんなやつか知らんけど、捕まえてみるか。
自爆攻撃は食らいたくないけど。
まぁ、日程的には6階層クリアの段階で帰還だな。
無理をする必要もないか。
それにしても、さすが、ガーベラが鍛えてただけあって優秀な部隊だな。
よくダンジョンのことを知ってる。
これなら安心だ。
「兄さん、ザコは適当に処分しておきますぜ」
「ああ、頼んだ」
「了解でっす」
気もつくし、優秀だ。
褒めておくか。
「なぁ、ガラハッド、お前たちってホント優秀だよな。ガーベラに鍛えられたんだな」
「分かりますか?あっしらの苦労。ガーベラ隊長は先々いっちまうし、残された俺たちは俺たちだけで生き延びるしかなかったんです」
「ああ、僕もガーベラとダンジョンへ潜ったことがあるからよくわかるよ」
「そうでしたか。同志でしたか。俺ら凡人が剣聖無しで生き残るのがどれほど過酷かわかってもらえますよね?」
「そうだな。僕も怖い思いをしたよ。気づいたら独りぼっちだったからな」
うんうん、と返事している。
どうやら、ガーベラは隊長時代もやらかしていたようだな。
彼女は戦いとなると、周りが見えなくなるのは悪いクセだ。
しかし、かわいいところでもある。
いつも真面目なガーベラがダンジョンに入った途端に性格が変わるんだ。
普段とのギャップがかわいい。
あとは、もう少し僕に甘えてくれてもいいと思うんだが、どうやら、恥ずかしいらしい。
そういう関係になりにくいのは、僕も恥ずかしいからだし、仕方ないか。
婚約パーティの時に手の甲にキスをさせられただけで頭が爆発しそうだった。
そういえば、あれ以来彼女には触れていないな。
本当に婚約者なんだよな?
もうちょっと、エッチな展開があってもいいのではないだろうか?
いや、僕が経験ないしな。
きっとガーベラも剣一筋で生きてきたからそういう経験なさそうだしな。
なんて考えていると、
「兄さん、ヤツです。来ました」
少し遠くにトゲトゲの浮遊物が見えた。
たんぽぽの綿毛のように見えるが、棘の一本一本には毒が塗られているそうだ。
刺さると、激痛を伴い、一晩かけて死に至るそうだ。
その名も、デスニードル。
デスニードルは、空気の流れを読んで敵が近づくことを察知し、自爆攻撃をしてくるらしい。
基本的に移動はできないそうだ。
攻略法は、適当な魔物を捕まえてきて、デスニードルの前へ投げると自爆するらしい。
移動ができないなら、テイムしても連れてあるけないな。
それに、棘に毒があるなら触るのもイヤだし。
それじゃ、実験だけして帰るか。
まず、オーガをデスニードルに突っ込ませる。
すると、自爆攻撃を食らう。
その後、ラフレシアで解毒する。
その解毒がうまくできるなら、万が一毒に侵されてもなんとかなる。
さあ、実験だ。
「オーガ、間合いを見たいからゆっくり近づけ」
「ウォ」
オーガはゆっくり歩いていく。
「ラフレシア、オーガの後をついていき、毒をくらったら解毒しろ」
ふわんと花が揺れる。
多分理解しているだろう。
オーガが、止まった。
おそらく、あれ以上いくと危険だと判断したんだろう。
「オーガ、すぐに解毒してやるから行ってこい」
「ウォ―」
のっそり歩き出した。
そーっとラフレシアもついていく。
すると、やはり、一歩目からデスニードルは自爆した。
爆発すると同時に無数の棘が飛んでくる。
僕たちのところまでは飛んでこなかったが、近くにいたら絶対に当たっているはずだ。
逃げる場所なんてなさそうだ。
実際、オーガは針だらけになっていて、その後ろのラフレシアも針に貫かれている。
思ったより攻撃は激しかったようだ。
ラフレシアはオーガに解毒しようとするが、もう動けないようだ。
オーガは大きな体の全面すべてに針を受けており、ピクリとも動かない。
よく見ると、針が頭や体を貫通している。
貫通しているから、後ろのラフレシアまで貫かれたのだ。
どうやら実験は失敗らしい。
周囲も気をつかってくれている。
なんか、申し訳ない。
ちょっと、調子に乗っていた。
僕ごときが大山健一君のようにふるまえると勘違いをしていたのだ。
僕はやはり、人前にでる器ではないのだろう。
それを目の前の実験結果が物語っていた。
タッタラー
タッタラー
どうやら、失敗も経験値にカウントされるらしい。
今の僕には悲しい音にしか聞こえないし、馬鹿にされているようにも感じた。
僕は落ち込み、帰りの指揮はほぼ、ガラハッドに丸投げだった。
ガラハッドはがんばって働いていた。
彼の妹についての約束は守るつもりだが、この先も僕は百人長を続ける自信が無い。
彼を副長に任命して、一時的に騎士団からは去ろう。
正直、何も知らない。
しかし、アーサー部隊は元ガーベラ部隊である。
かなりの深さまで潜っているらしい。
僕は知らなくても周囲は知っている。
だから、頼ればいい。
「なぁ、これより先へは行ったことないんだけど、どんな魔物がいるんだ?」
「10階層までザコは同じですよ。兄さんでしたら余裕なはずです。それに、俺たちには、ラフレシアとオーガがいますしね」
「そうなんだ。一晩寝たからまたテイムはできるけど、階層主はテイムした方がいいかな?」
「そうですね。できるならした方がいいですけど、多分無理です」
「どうしてだい?」
「すぐに自爆攻撃をするんですよ」
「なるほど。捕まえると、爆弾として使えるわけか」
「へい」
どんなやつか知らんけど、捕まえてみるか。
自爆攻撃は食らいたくないけど。
まぁ、日程的には6階層クリアの段階で帰還だな。
無理をする必要もないか。
それにしても、さすが、ガーベラが鍛えてただけあって優秀な部隊だな。
よくダンジョンのことを知ってる。
これなら安心だ。
「兄さん、ザコは適当に処分しておきますぜ」
「ああ、頼んだ」
「了解でっす」
気もつくし、優秀だ。
褒めておくか。
「なぁ、ガラハッド、お前たちってホント優秀だよな。ガーベラに鍛えられたんだな」
「分かりますか?あっしらの苦労。ガーベラ隊長は先々いっちまうし、残された俺たちは俺たちだけで生き延びるしかなかったんです」
「ああ、僕もガーベラとダンジョンへ潜ったことがあるからよくわかるよ」
「そうでしたか。同志でしたか。俺ら凡人が剣聖無しで生き残るのがどれほど過酷かわかってもらえますよね?」
「そうだな。僕も怖い思いをしたよ。気づいたら独りぼっちだったからな」
うんうん、と返事している。
どうやら、ガーベラは隊長時代もやらかしていたようだな。
彼女は戦いとなると、周りが見えなくなるのは悪いクセだ。
しかし、かわいいところでもある。
いつも真面目なガーベラがダンジョンに入った途端に性格が変わるんだ。
普段とのギャップがかわいい。
あとは、もう少し僕に甘えてくれてもいいと思うんだが、どうやら、恥ずかしいらしい。
そういう関係になりにくいのは、僕も恥ずかしいからだし、仕方ないか。
婚約パーティの時に手の甲にキスをさせられただけで頭が爆発しそうだった。
そういえば、あれ以来彼女には触れていないな。
本当に婚約者なんだよな?
もうちょっと、エッチな展開があってもいいのではないだろうか?
いや、僕が経験ないしな。
きっとガーベラも剣一筋で生きてきたからそういう経験なさそうだしな。
なんて考えていると、
「兄さん、ヤツです。来ました」
少し遠くにトゲトゲの浮遊物が見えた。
たんぽぽの綿毛のように見えるが、棘の一本一本には毒が塗られているそうだ。
刺さると、激痛を伴い、一晩かけて死に至るそうだ。
その名も、デスニードル。
デスニードルは、空気の流れを読んで敵が近づくことを察知し、自爆攻撃をしてくるらしい。
基本的に移動はできないそうだ。
攻略法は、適当な魔物を捕まえてきて、デスニードルの前へ投げると自爆するらしい。
移動ができないなら、テイムしても連れてあるけないな。
それに、棘に毒があるなら触るのもイヤだし。
それじゃ、実験だけして帰るか。
まず、オーガをデスニードルに突っ込ませる。
すると、自爆攻撃を食らう。
その後、ラフレシアで解毒する。
その解毒がうまくできるなら、万が一毒に侵されてもなんとかなる。
さあ、実験だ。
「オーガ、間合いを見たいからゆっくり近づけ」
「ウォ」
オーガはゆっくり歩いていく。
「ラフレシア、オーガの後をついていき、毒をくらったら解毒しろ」
ふわんと花が揺れる。
多分理解しているだろう。
オーガが、止まった。
おそらく、あれ以上いくと危険だと判断したんだろう。
「オーガ、すぐに解毒してやるから行ってこい」
「ウォ―」
のっそり歩き出した。
そーっとラフレシアもついていく。
すると、やはり、一歩目からデスニードルは自爆した。
爆発すると同時に無数の棘が飛んでくる。
僕たちのところまでは飛んでこなかったが、近くにいたら絶対に当たっているはずだ。
逃げる場所なんてなさそうだ。
実際、オーガは針だらけになっていて、その後ろのラフレシアも針に貫かれている。
思ったより攻撃は激しかったようだ。
ラフレシアはオーガに解毒しようとするが、もう動けないようだ。
オーガは大きな体の全面すべてに針を受けており、ピクリとも動かない。
よく見ると、針が頭や体を貫通している。
貫通しているから、後ろのラフレシアまで貫かれたのだ。
どうやら実験は失敗らしい。
周囲も気をつかってくれている。
なんか、申し訳ない。
ちょっと、調子に乗っていた。
僕ごときが大山健一君のようにふるまえると勘違いをしていたのだ。
僕はやはり、人前にでる器ではないのだろう。
それを目の前の実験結果が物語っていた。
タッタラー
タッタラー
どうやら、失敗も経験値にカウントされるらしい。
今の僕には悲しい音にしか聞こえないし、馬鹿にされているようにも感じた。
僕は落ち込み、帰りの指揮はほぼ、ガラハッドに丸投げだった。
ガラハッドはがんばって働いていた。
彼の妹についての約束は守るつもりだが、この先も僕は百人長を続ける自信が無い。
彼を副長に任命して、一時的に騎士団からは去ろう。
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)
@aozora
ファンタジー
ひろし君は狂喜した。「俺ってこの世界の主役じゃね?」
このお話は、男女比が狂った世界で女性に優しくハーレムを目指して邁進する男の物語…ではなく、そんな彼を端から見ながら「頑張れ~」と気のない声援を送る男の物語である。
「第一章 男女比世界へようこそ」完結しました。
男女比世界での脇役少年の日常が描かれています。
「第二章 中二病には罹りませんー中学校編ー」完結しました。
青年になって行く佐々木君、いろんな人との交流が彼を成長させていきます。
ここから何故かあやかし現代ファンタジーに・・・。どうしてこうなった。
「カクヨム」さんが先行投稿になります。
元体操のお兄さんとキャンプ場で過ごし、筋肉と優しさに包まれた日――。
立坂雪花
恋愛
夏休み、小日向美和(35歳)は
小学一年生の娘、碧に
キャンプに連れて行ってほしいと
お願いされる。
キャンプなんて、したことないし……
と思いながらもネットで安心快適な
キャンプ場を調べ、必要なものをチェックしながら娘のために準備をし、出発する。
だが、当日簡単に立てられると思っていた
テントに四苦八苦していた。
そんな時に現れたのが、
元子育て番組の体操のお兄さんであり
全国のキャンプ場を巡り、
筋トレしている動画を撮るのが趣味の
加賀谷大地さん(32)で――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる